携帯獣の能力を宿す者の幻想伝 作:幕の内
~白玉楼前広場~
ヒュウウウ・・・・
今は緊迫した雰囲気に包まれていた。それは居合の達人同士が対峙しているかのような状況である。両者とも相手の出方をうかがっていた
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・カツン
どこからか小石が風にとばされて何かにぶつかる音がした。その刹那
ガキィーーーン!!
両者の斬撃がぶつかり合う。そして
「はあああああああ」
「おおおおおおおお」
ガキィ、キィーン、ガガガガガガ!!
激しい剣技の猛襲。そしてぶつかり合った。両者は今のところ互角である。しかし
「!?」
「リーフブレード!!」
「クッ」
俺はエルレイドの能力と自身の波導を組み合わせて、相手よりわずかだが先に攻撃していた。相手もそれに反応して捌く腕も大したものだが、ほんの少しづつ俺が押していく
(一端距離をとって)
妖夢は距離をとり
餓王剣「餓鬼十王の報い」
すると彼女が横一文字の斬撃を放つとそこから青い光弾が大量に表れて弾幕となった。俺は「リーフブレード」で捌き、「サイコカッター」で応戦しながら回避していく
そしてタイミングを見計らって
「こっちも反撃だ「サイコショック」!!」
ドドドドドド!!
俺は念じると妖夢の周りに念波を実体化して生み出して出来た礫を大量に生み出し一斉に放った。一つ一つは小さいが全方位を囲み、弾速が非常に速い。エルレイドではそこまで威力が出ないが、それでも牽制には十分だった
「クッ。はああああああ」
しかし速い剣閃と素早い身のこなしで対応していく。この子は相当な鍛錬を積んできたようだ
しばらくすると、妖夢がこちらに突っ込んでくる。俺はそれを受け止めた後攻撃する
「れんぞくぎり」
ガキィ
「その程度はどうってことないですよ!!」
と余裕で防がれるが
「れんぞくぎり」!
ガキィーン
「!?」
妖夢は驚いた。同じ技なのに威力が倍増したからだ。この技の神髄は名の通り連続で攻撃することで真価を発揮する
「れんぞくぎり」!!
三撃目。そして最大威力の
「れんぞくぎり」!!!
グウワキィーーン!!
最大威力となりで最初の一撃の威力の四倍になった。そこから猛攻を仕掛ける。強烈な威力となった斬撃を連続で繰り出されてはさすがの妖夢も手が持たなくなり始める
(このままじゃ私の腕どころか刀も折られかねない。でも)
「なめるなーー」
「!?」
するとそれを捌き、渾身の一閃を仕掛けてきた。俺は急いで「テレポート」を発動して距離をとったが、少し切られてしまった
(くっ、あっぶねえ。あと一瞬でも遅かったら大ダメージを受けるところだった。やはり純粋な剣術では鍛錬の差であちらの方が上手か。俺だって毎日鍛錬を積んできたが剣術に特化してきたわけじゃないからな・・・)
獄神剣「業風神閃斬」
すると大きめの青い弾幕が大量に迫ってくる。俺はそれを回避していくが次の瞬間、妖夢はまた放たれた青い弾幕を自ら斬って赤と紫の大量の弾幕へと変化させた
(こんなこともできるのか!)
俺はそれでも対応して避けていく、しかしそれは囮であり、ある技を仕掛けようとしていた
「!!まずい。「まもる」!」
人符「現世斬」!!
間一髪だった。目にも止まらぬすさまじい速度で動いて切りかかってきたのだ。しかし彼女はさらに技をつなげる
人神剣「俗諦常住」
後ろに回り横一文字に一閃すると弾幕が発生し、更に俺の後ろに回り紅い弾幕を放ってきて左右同時攻撃を仕掛けてきた
前後の弾幕に気を配らなければならず、さすがに苦戦する。俺は「サイコショック」の実体念波を自分の周りに発生させて、自分の周辺に発射して相殺させた。いわゆる防御の型というべきだろうか。すると妖夢は再びためを作り出す。俺はすかさず
「かげうち」
ドカカカカ
「がっ」
俺は妖夢の背後の影から攻撃した。思わぬところからの攻撃でもろにくらってしまう。相手の体勢が崩れた今しかないと思い、「テレポート」で一気に近づきこちらも少しためてから大技を放とうとする。
妖夢もまたそれに気づいて大技を仕掛けようと身構える
俺が放つ技は「インファイト」。本来は拳や蹴りを交えた猛攻を行う技だが、エルレイドの状態ではそれを両手の刀で行う。俺はそれを名付けてこう呼んだ
「インファイト・斬!!」
人鬼「未来永劫斬」!!
ヒュン・・・・
ズババババババババババババ・・・
両者の姿がほぼ同時に姿が一瞬で消えた後に、すさまじい速さと数の斬撃が一瞬で飛び交った。そして
ズッバーン!!
ズザァァァ・・・
お互いに最後の強烈な一閃を放ち、地面を少し滑ったのちにピタリと止まった
ザァァァァァァ・・・
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
風により桜の花びらが舞う中、二人は一言も喋らなかった。しかししばらくして
・・・・・ドサ
「・・・ふう」
勝者は木戸真聡。妖夢はゆっくりと倒れた。しかし刀は決して手放してはいなかった
技の威力も速さも互角だった。しかし妖夢は「かげうち」により体勢が崩れたのが原因で、わずかに技の出が遅れてしまった。その一瞬が差を生んだのである
俺はそのあと少し地面に座った。緊張の一戦が終えて、糸が切れたように崩れ落ちてしまったのだ。俺はしばらくボーとした後、端においていたバックを「ねんりき」でこちらに運び、木の実と薬で傷の手当を行った。ここまですべて強力な最終進化形の力を宿してきたので体力をかなり削ってしまっていたのである。俺はカゴの実を口に含み、少しだけ「ねむる」で体力を回復させた。
そしてしばらくして
「さあ~て。もうこれ以上休んではいられないし、行くとするか」
俺は立ち上がり、この異変を起こした首謀者の元へと向かったのであった
インファイトはテラキオンとかパンチもキックも出来そうもないポケモンも使うので、手の刀で攻撃を行うエルレイドは剣の乱舞のように猛攻をしそうなので作中のようにしてみました