携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

24 / 123
次で紅魔郷編も終わりの予定です


異変後の宴会

~博麗神社~

 

「それでは異変解決を祝って・・・乾杯ーーー!!」

『『乾杯!!』』

 

と魔理沙が音頭をとって宴会が始まった。俺は用意された食事を食べながら酒を少しずつ飲んでいく。このお酒はなかなかおいしい。水が違うのだろうか

 

それにしてもこの宴会の光景は異様なものだ。なんせ周りが女性ばかりで男は俺しかいない。しかもどう見ても酒を飲んで良い年齢ではない少女が俺よりもがばがば飲んでいるのは少し唖然とする。妖怪とかは実年齢がかなり長いのでまだしも、魔理沙と霊夢はさすがにどうなんだと思った。かくいう俺も18で年齢的には未成年だ。しかし飲んだのはこの年になってからだし、世界的に見れば18歳からの国の方が多いからまあいいかと思って飲んでいる。最近は慣れておいしさがわかるようになってきた。強さに関しては初めて飲んだ時も特に酔わなかったため、少なくとも下戸ではないようだ

そうやってしばらく飲んでいると

 

「真聡お兄ちゃ~ん」

「おおフラン。来てたのか」

 

フランが俺のところにやってきた。最近だとレミリアの許可があれば外出していいようになった。あの異変で紅魔館も消滅してしまい、何とか残っていた地下を拠点にしばらくの間過ごしていたらしい。しかし図書館は本がほとんど倒れていて戻すのが大変だったらしいが

 

そのあと俺が地形の整備が完了した後に再び再建作業が始まり、今だと7割方元に戻ったようだ。俺も水と植林の合間に材料を提供したりした

 

「元気だったか?前には作業を手伝ってくれてありがとうな」

「いいよ別に」

 

フランはレミリア曰く以前と比べて明るくなり、能力も制御できるようになって不安定だった情緒も安定し始めたらしい。姉妹仲も良好な様子

 

「レミリアは?」

「あそこで咲夜と一緒に霊夢と話してるよ」

「そうか」

「妹様ここにおられたのですか。真聡さんも」

「あっどうも」

 

すると美鈴さんがやってきた。今日はレミリアが特別に門番の仕事を休みにしてくれたとのことだ

 

「真聡さんがくれた肥料は本当にすごい効果ですね。あっという間に育ってしまいました。中には見たことがない色をした花が生えてきましたよ」

「あ~そういえば「とんでもこやし」も混ぜたんだっけ」

 

「とんでもこやし」は「びっくりこやし、ぐんぐんこやし、たわわこやし」の三つの効果がすべてあるもので、「びっくりこやし」は木の実に突然変異が起こる確率が上がる効果がある。おそらくその効果で突然変異が起こったのだろう。そうなるとあの森の木々の中にもでてくるかもな

 

「そうだ。よければこれらの木の実を育ててはどうです?」

「木の実ですか・・・うわ~いろんな種類がありますね。どれも見たことない物ばかりです」

「この桃みたいなのは何?」

「これはモモンのみという種類で甘くて更に強力な解毒作用のある実で・・・」

 

としばらく木の実の特徴を説明していった。二人とも興味深そうに聞いていた。俺も普段は近くの空き地で育てている

 

木の実をいくつか差し上げて、二人としばらく話していると

 

「うい~。のんでるか~」

「お前飲みすぎだろ」

 

すると魔理沙が酔っ払って俺に話しかけてきた

 

「たくっ、それじゃ明日は二日酔い間違いなしだな」

「いいじゃんか~。宴会なんだし~お前はまじめすぎるんだぜ」

「お前が不真面目すぎるんだろ」

 

この見た目でこんなに酔っぱらっているやつは現世ではまず見ないだろう。まあここではこれといった法律がないのだが

 

「しっかしよくあそこまで戻したよな。正直驚いたぜ」

「まあ、自分がやったことには責任を持たないとな」

 

と酒を少し飲んで

 

「俺は自警団の隊長だし、一応正義を掲げているつもりだ。でも正義のためだからと言って、自分のせいで起こした被害を放置していいものではないと思うんだ。それだと示しがつかないだろ?罪悪感にも苛まれるしさ。だから俺の持てるすべての力を使って修復したまでさ。俺の持論だが、破壊することは簡単だが修復はそれに比べると大変だ。だから強大な力とは破壊だけでなく再生の力も合わさって真の強大な力だと思う」

 

と少し間を置き

 

「まあたとえ世界征服をしようとするような悪人でもいざとなれば、ある程度は修復作業はすると思うよ。世界征服しようとしても征服する世界が壊れてしまっては意味がないからな」

「ふーん・・・」

 

とまあこんな感じに語った

 

「まあさ。お前はそれをやり切ったんだしさ。今くらいは飲めよ!」

「・・・そうだな。じゃあついでくれ!」

 

こうして再び楽しい酒盛りが始まる

 

「・・・・・・」

 

しかしこの時俺は外野から今の話を聞いている者がいたことに気づかなかった

 

 

 

~深夜~

 

宴会もようやくお開きになった。何だかんだいって、いろんな人と話をすることが出来て楽しかった。おかげで思った以上に酔ってしまった。明日は休日で本当に助かった

 

「真聡」

「おう、レミリア。どうした?」

 

するとレミリアが話かけてきた

 

「あまりガラじゃないけどお礼を言いに来たのよ」

「お礼?」

「・・・私は長い間フランを閉じ込めてきたわ。フランを守るためにね・・・

でも私は姉なのに大切な妹に正面から挑めなかった。我ながら情けない姉よね・・」

「・・・」

「でもあなたは真正面から戦い、話してフランの心の闇を払うきっかけを作ってくれた。それには本当に感謝しているわ。だから紅魔館が直ったら時々フランに会いに来てくれないかしら?歓迎するわ」

「レミリア・・・」

 

レミリアは真剣な眼差しで俺にそう語った。俺はそれに

 

「ああ、もちろんそうさせてもらうよ。・・・それとさレミリア。お前ら吸血鬼の寿命はとても長いんだろ?だったらフランをないがしろにした年月以上の年月を接してあげなよ」

「ええ。わかっているわ。ありがとう」

 

そう言って俺たちは握手をした

 

「私もあなたが来た時には門を通しますからね。あと木の実をくれてありがとうございます」

「私からも歓迎するわ。妹様も喜びますし。・・・ただ遊ぶときは館を壊さないようにお願いします。」

「ははは・・・もちろんですよ・・」

 

今度はそうしないようにしようと改めて誓った

フランは疲れて寝てしまったらしく、美鈴さんにおんぶされていた

 

「じゃあな、フラン。またいつか遊びに行くからな」

 

と言って頭を軽く撫でた。その時フランは笑っていた

こうして俺は紅魔館一行を見送った。ちなみにパチュリーと小悪魔はきてなかった

 

「さあ~て。俺も帰るか」と思ってケーシィで「テレポート」をして帰ろうとすると

 

「ちょっといいかしら?」

 

後ろから女性の声がしたので振り返った

容姿は長い金髪にリボンがいくつか結ばれていて紫色のドレスを着た女性だった。その雰囲気は妖艶な魅力を持つがそれと同時に得体のしれない力を感じる。ただ者ではない

 

「初めまして。私は八雲紫ともうしますわ。木戸真聡ですよね?」

 

俺はまた一悶着ありそうな予感を感じた

 




チェックはしていますが誤字がいくつか出てしまうときがありますね。注意せねば

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。