携帯獣の能力を宿す者の幻想伝 作:幕の内
見たことのない森で目覚めた少年、木戸真聡はバッグに入っていた説明書のようなものを手にとり、読み始めようとしたが・・・
「あれ?何も書いてない」
中は白紙で一文字も文字が書かれていなかった。途方に暮れていると
「あの謎の声が言っていた俺の好きなものの力って何だろう」
とつぶやいた。すると・・・
君の好きなものはなんだった?
白紙のページにいきなり文字が浮かび上がったのだ
真聡は驚愕したが、すぐにその文字に従い考えてみた。父さん、母さん、それと友人のAとBにC・・・と考えを巡らせていくとやがて自分はポケモンが好きだったことが頭をよぎる。するとページがピカッと光り始めた。このときに真聡は自分がもらった力ってもしかして・・・そう思っていると
さあ、イメージしてごらん。その力を持つ存在を
と新たな文字が浮かび上がる。そして真聡は頭に浮かぶ自分の好きなポケモンを考え始める。そしてポケモンと言ったらやっぱり・・・
「ピカチュウ」
と頭でイメージする。すると自分の体に不思議な力が宿り始めた。外見に変化は特にないが、体の内から強力な電気が全身を駆け巡っているように感じた。
近くに5メートルほどの岩があった。そこに狙いを定めて力を込める。すると体から電撃がバチバチとあふれ出す。そして
「ピッカー・・・チュウーーーーーー!」
とせっかくだから鳴き声も真似して「10まんボルト」を放つ。放たれた電撃は岩へと向かい直撃する。そして
ドッカーン!
と大きな爆発をおこし、煙が立ちこもる。しばらく経ち、煙が晴れ始めると岩は跡形もなく破壊され、周りの雑草が黒く焦げ、地面が少し抉れていた
その威力には正直驚かされた。現実的に考えたら10万ボルトの電撃が生身の人間に直撃したら確実に死ぬだろう。あれはマサラ人であるサトシだからこそ平気なのだ。そもそもポケモンは図鑑を見ると、伝説じゃないポケモンであってもすさまじい能力を持っているものがたくさんいる。しかしポケモンの世界の人間たちはそんなポケモンたちとモンスターボールの存在しない頃から共存していたことがわかっている。なかにはポケモンたちに混ざり、武装して戦争までしていたほどだ。またナツメやゴジカのように超能力やゲンやアーロンの波導など特殊な力を扱えるものもいる。そう考えればポケモンの世界の人間たちの身体能力は現世の人間より高いのは案外自然なことなのかもしれない。そう考えながら今度は違うポケモンになりたくなり
「今度はリザードンだ」
とリザードンをイメージしたが
「・・・あれ?」
いくらイメージしても先ほどと違ってまるで力が宿ったような気がしない。そう思っているとまたページが光り出し
強い力を引き出すには自分自身が強くならなければいけない
自分に過ぎた力はやがて身を滅ぼす
と文章が新たに浮かび上がった
「つまり今の自分ではリザードンのような最終化形やそれに匹敵する強力なポケモンの力は扱えないということか。ましてや伝説級のポケモンなんて絶対できないだろうな」
とつぶやく。そのあと今度はヒトカゲをイメージすると今度は炎の力が宿った。試しに「ひのこ」を放ってみるとちゃんと技が発生した。
でももっと多くのポケモンの力を扱えるようになりたい。そのためにもしっかり修行を積まないといけないなと彼は思った
バッグの中を更に見てみると中には木の実や薬などポケモンで出てくるアイテムがたくさんあった。どうやらバッグの入れ口に入る大きさの物ならいくらでも入る超性能らしい。流石ポケモンの世界の科学力である。さらに探るとこんなものがあった
「これは・・・もしかしてフーパの・・・」
中にはフーパが使うリングに酷似したアイテムがあった。のどが乾いたので試しに水が欲しいと思いリングの中に手を突っ込む。すると中から「おいしいみず」が出てきたのだ。正直タダ飲みしたようで少し後ろめたいが有り難くいただいた。味は今までで飲んだ水の中で一番おいしかった。
「うまく使えばいろんなことができるかもな」
と思いつつ、ひとまずそれをバッグに戻す
気が付けばもう夕方だ。流石に得体のしれない森で夜を迎えるのはまずい。早く人が住む民家か町や村を見つけなければ。そう思い荷物を片付けて立ち上がると、突然木の陰から気配を感じる。刹那、自分でも信じられないほどのスピードで反射的にその場を離れる。するとさっきいた場所に何かがいた。警戒しつつ注意深く見ると長そでの白いブラウスと黒いワンピースと赤いリボンを頭につけた、金髪のショートヘアーの幼い少女がそこにいた
フーパのリング・・・今作のオリジナルアイテム。現世とポケモンの世界、幻想郷内なら大抵のものは取りだせる。ただし肉や魚などの食材を除いて人間や妖怪、ポケモンなどの生き物は召還できない。また自分がリングの中に入ることもできない
2話目投稿です。いざ自分が小説を書くとなるとなかなか難しいですが頑張っていく所存です