携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

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悪魔の妹との会話

砂嵐が荒れ狂う中、二人の戦いは激化していった。

 

禁忌「クランベリートラップ」

 

俺の周りを魔法陣が縦横に移動し俺を狙って弾幕が放たれる。俺はそれを躱していき、「あくのはどう」や「いわなだれ」で攻撃していく。フランもまたそれを回避したり弾幕で相殺していく

一見は一進一退の攻防に見えるが実際はフランの方が不利だった。理由は今起きている砂嵐だ。砂嵐は少しずつではあるが確実に体力を奪い、更に特性「すながくれ」ほどではなくても目をくらませることが出来た。俺はそれを活かしながらとうとうフランに被弾させる。

 

「うう、こんのお、壊れちゃえ!!!」

 

すると弾幕の数も速度も上がっていく、正直これはかなり厳しい。しかしそれでも俺は何とか躱していきできるだけ接近する。そして

 

「うおおおおおおおお!!」

 

なんと強引に一直線に突っ込んできたのだ。弾幕なんてお構いなしというように。実際何発か被弾しているがさしてダメージは入らなかった。それは砂嵐のもう一つの恩恵によるものだ。砂嵐はいわ、じめん、はがねタイプのポケモンならダメージを受けない。しかしいわタイプのポケモンには砂嵐は鎧となりとくぼうを1.5倍にする効果を持つのである。かなり危険ではあるが俺はそれにかけて突っ込む。これにはフランもひるんだ。そしてその隙に接近し、フランに「かみくだく」をお見舞いした

 

「う・うわあああああああ!!」

 

牙の形をした強力なあくタイプのエネルギーが直撃してフランは悲鳴を上げる。そしてそのまま地面にたたきつけてさらに足にエネルギーを込めて

 

「今の破壊衝動しかないお前では俺は倒せん!!「じしん」!!」

 

俺はフランを踏みつけて、「じしん」のエネルギーを直接叩き込んだ。すさまじい地震のエネルギーは地下を揺らし、やがてフランのいた部屋を崩壊させた

 

 

~紅魔館・庭~

 

ボコッ

 

俺は地下から穴を掘って脱出した。フランも担いである。かなり乱暴ではあるがこれでも加減はしている。部屋の周りには「リフレクター」を何層も張っておいた。崩すのはあくまでフランのいた部屋だけ、それ以外の被害を最小限にするためである。

 

フランは今はボロボロであり、完全に気を失っていた。しかし俺は彼女を「げんきのかけら」と「かいふくのくすり」で回復させた。吸血鬼特有の再生力もあり、しばらくするとフランは目を覚ました

 

「うう、私は一体・・・」

「目が覚めたか?」

「!?」

 

フランは驚いていた。そして同時に恐怖を感じていた

 

「そう怖がるなって。手荒な真似はしたけど手当てしたのは俺だ」

「・・・私は負けちゃったんだよ・・・ね」

「まあな。いったろ?あのままでは俺を倒せないぞって」

「どうして・・・私を助けたの?」

「お前と少し話をしてみたかったからだ。しかしお前は狂気に飲まれていた。だから一度お前を倒して正気に戻さないと話せそうもなかったんでね。手荒な真似をして悪かったな」

 

フランは驚いていた。こんなことを言う者に会ったことがなかったからだ

 

「なあフラン、君は一体どうしたいんだ?このままだと一生あの暗い地下の部屋の中で過ごすことになるぞ。それでもいいのか?」

「私は・・・・」

 

フランは思い出していた。もうずいぶん昔のことではあるけど、姉のレミリアと仲良く過ごしていた時のことを。そして突然わけもわからず地下に閉じ込められてしまったことも

 

「本当は私も外に出て、お姉さまや咲夜たちみんなと話したりしたいよ。でも私のせいで大事なものも壊してしまうのが怖くて・・・」

 

と正直に語った。俺はしばらく黙った後・・

 

「・・・少しはわがままを言ってみた方がいいんじゃないか?」

「え!?」

「お前の能力は確かに危険極まりない物だ。だけどな、そういった能力がどうとか関係なく、自分が直したいことは自分で行動していかないといけない。なぜなら自分のことは自分自身が行動をすることでしか直せないからだ」

 

そして俺は続ける

 

「でも自分だけでは限界はある。誰かに頼らないといけないこともある。そういう時は自分で自分がどう思っているのかを相手に伝えないとダメなんだ。自分で伝えない限り誰もお前には協力してくれない。たとえ実の姉でもな。そして君は決して悪い子ではない。なぜなら君は大切な人を壊したくないと思っているからさ。本当に悪い者ならそうは思わないと思うけど?」

 

フランはただ黙って聞いていた。そして再び驚いていた。自分のことについてここまで考えてくれている人にはもうずっと会っていなかったからである。そして・・・

 

「さて、俺はそろそろ異変を解決するためにお前の姉のところに向かうとするかな」

 

俺は立ち上がり、レミリアのところへ向かおうとする。すると

 

「ま、待ってよ!私も・・・私もお姉さまのところに行く!そしてお姉さまに自分のしたいことを話したいの!!」

 

と言ってきた。俺はニッと笑い

 

「じゃあついてくるか?」

「う・・うん!!」

(まあどっちにしろフランの部屋は今は完全に崩壊しているしな)

 

そしてフランは俺についてきた。その道中で

 

「そういえばお兄ちゃんの名前はなんていうの?」

「そういえば名乗ってなかったな。俺は木戸真聡。人里の自警団の隊長をしている」

「私フラン。フランドール・スカーレット。よろしくね真聡お兄ちゃん!!」

(お兄ちゃんか・・・)

 

俺は弟も妹もいなかったから、そう呼ばれたのは初めてだった。そしてその時のフランの笑顔はかわいらしい邪気のない少女そのものだった

 

 

~紅魔館・最上階の部屋~

 

「ふふ、さすがは博麗の巫女言ったところかしら」

「あんたも主だけあって少しはやるじゃない」

 

今は正に博麗の巫女こと、博麗霊夢はこの異変の首謀者、レミリア・スカーレットと激しい戦いを繰り広げていた。両者一歩も譲らない互角の攻防だった

 

「でもそろそろ終わらせるわよ」

「あら、私が吸血鬼であることをわかっていっているのかしら?」

「吸血鬼だろうと神だろうと邪魔するものは蹴散らすまでよ!!」

 

そして両者は大技を放とうとし始める。しかし・・・

 

「あくのはどう」!!

「「!?」」

 

突然二人の間を阻むように、漆黒の波動が放たれる

そして入り口からある人物が現れる

 

「戦いの最中に邪魔をしてしまって申し訳ない。お前がこの館の主レミリア・スカーレットで間違いないな?」

「ええ、そうよ。せっかくの楽しい時間を邪魔してどういうつもりかしら?」

「お前の妹が言いたいことがあるそうだ」

「!?。フランがここに!?」

 

そう言って俺は下がり、そしてフランが前に出てきた

 

「お、お姉さま・・・

 




紅魔郷編も残り少なくなってきました
フランは一旦倒させましたが、再戦はあるのでそれを楽しみにして頂くと嬉しいです

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