携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

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書いていくうちに予想以上に長くなったので今回はエンテイオンリーです。


炎の帝王 その2

今現在霊夢と魔理沙はエンテイとの激しい戦闘をしていた。エンテイは二人を自分の脅威となる敵だと判断したかのように先ほどよりもさらに温度の上がった灼熱の炎を自在に操ってくる。更に

 

「ちい!!あいつを取り巻いている炎は厄介だな」

 

魔理沙はそう呟く。エンテイの周りに10個の炎が取り巻いていた。大きさは小さいながらその分凝縮された炎のエネルギーを持っているらしく、霊夢と魔理沙の弾幕を防いでいた。灼熱の火柱も合わさりその守りは堅牢の一言。更に「ふんえん」で空から火球が降り注ぎ、灼熱の煙で目くらましをしてくる。魔理沙が「マスタースパーク」で一時的に煙を吹き飛ばしてもエンテイには当たらず、またすぐに噴煙はエンテイを覆い隠す。そこから自在に移動して「かえんほうしゃ」と「だいもんじ」を放ってきた。

 

霊夢と魔理沙にとって火口ポケモンという名の通りまるで巨大な火山そのものを相手にしているようなものだった。二人とも直撃はしていないものの、どんどん体力は奪われている。このままでは二人の肉体は灼熱の炎によって灰燼に帰すの時間の問題である。

 

「マスパを撃っても当たらないし、すぐに噴煙が覆ってしまう。これじゃあ私の魔力は持たないぜ」

「こうなったらあれで直接あいつを倒すしかないわね」

 

すると霊夢は目を瞑る。すると霊夢の周りに8つの陰陽玉が周囲に展開される。これこそが霊夢の奥義「夢想天生」である。

 

「久しぶりに見たな。その技」

「どんな攻撃でも効かなければ意味はないわ!!」

 

霊夢はそのままエンテイに向かっていく。魔理沙は弾幕を放ちながら霊夢を援護する。

 

「夢想天生」は霊夢の能力の「空を飛ぶ程度の能力」を応用した技である。

 

「空を飛ぶ」

一見するとある程度強い力を持ったものなら多くの幻想郷の住人が飛行能力を持っているため、あまり大した能力ではないように思うだろう。しかしこの能力の真の強さはあらゆるものから浮く(・・)ことである。それは重力も、いかなる重圧も脅しも通用しない。あらゆる存在から浮くことで彼女にはあらゆる攻撃を無効化する。つまり無敵になるである。霊夢自身もこの技には絶対の自信を持っていた。

 

思惑通り霊夢にはエンテイのいかなる攻撃を通さなかった。火炎も火球も何もかも・・・

 

だがこれには思わぬ盲点があることを彼女は生れて初めて気づく

 

「しくじったわ。これじゃあいつの居場所が・・・」

 

今の霊夢は実体のない不透明な透明人間のようなもの。いかなるものでも彼女には触れられずすり抜けていく。

 

しかしそれはあくまでもすり抜ける(・・・・・)だけである。

確かに今の霊夢に弾幕を直撃させても効果はなくすり抜ける。しかし相手が弾幕を止めるかは相手の意思によるものであり、霊夢からは攻撃そのものを止めさせられるわけではない。つまり攻撃が効かなくても攻撃そのものを打ち消せるわけではないのである。

そして行動そのものは霊夢の判断によるもの。彼女に炎が包まれていれば彼女の視界に映るのは炎、水なら水である。いま彼女を覆うのは広範囲に及ぶ灼熱の炎とそして噴煙(・・)

霊夢の目には四方八方噴煙しか見えず、エンテイの姿は目に映ってはいなかった。

 

要するに霊夢は攻撃を無効化してはいるもののエンテイの居場所がわからず肝心の攻撃に転じることが出来ずにいたのである。

 

相手は霊力を持ってはいない上に彼女には真聡の波導のように目に映らなくても相手を感知する能力は持っていない。エンテイに攻撃するには彼女自身がエンテイの姿を捉えるしかないのだ。彼女は天性の勘を持っているためいづれはエンテイの姿を捉え攻撃することは出来るかもしれない。しかし彼女の直感で今感じたことは・・・

 

「まずい!!魔理沙が!!」

 

すると霊夢は七色に輝く鮮やかな炎に噴煙と共に包まれる。

 

一方・・・

 

「何だよあれ!!」

 

すると噴煙の中から七色に輝く炎が出始めていた。噴煙はその影響で七色に染まっていく。

これは本来エンテイを蘇らせたホウオウが使える火炎。エンテイはその炎をホウオウから授かっていた。そして噴煙の中から七色の炎が集まり

 

ゴオオオオオオオオオオオオオ!!!

「!?」

 

するとエンテイは「せいなるほのお」をその身に纏って魔理沙に突撃してきた。魔理沙はそれに向かって急いで「マスタースパーク」を発射した。しかし不意を突かれた上に膨大な聖なる火炎の前には通用せずあっという間に打ち消されてしまう。

 

「くっ!!」

 

魔理沙は体を逸らし、反動を利用してその場から離れた。あと一歩判断が遅ければ魔理沙の肉体は跡形もなく消滅していたに違いない。その威力に流石の魔理沙も戦慄する。

 

しかし躱したところをエンテイはすかさず火柱で魔理沙を捉えようとする。魔理沙は弾幕を放ちながら必死に回避していくが防戦一方。霊夢は急いでこの噴煙から脱出しようとするが七色に輝く噴煙は霊夢の視界を奪い、そして際限無く放たれて逃がさない。霊夢は七色の噴煙の檻に閉じ込めらていた。かといって霊夢にはこの噴煙を吹き飛ばすほどの強力な攻撃を持っていない。しかも聖なる炎のおかげで並の弾幕では一瞬にして消滅してしまう。

 

二人は正に絶体絶命。しかし今エンテイに攻撃することが出来るのは魔理沙だけだった。

 

(いくら何でもこれほどの力を持った炎をずっと維持し続けることは多分出来ない筈。あまり私のガラじゃないが今は耐えてみせるぜ)

 

エンテイは怒涛の攻撃を行っていくがなんとか耐え忍ぶ。灼熱の突進や火柱に飲み込まれかけてもただただ必死に回避していく。ほんの数秒でも魔理沙にとっては非常に長く死と隣り合わせの濃密な時間だった。

 

そしてしばらくしてついにその時は来る

 

グウウ・・・

 

エンテイの放つ「せいなるほのお」は少しずつだが明らかに弱り出していた。いくら「せいなるほのお」が使えたとしても所詮は授かって手にしたもの。本来の使い手であるホウオウと比べて威力は劣るし、何よりもそれが体内に宿している容量の差は歴然だった。流石のエンテイと言えども本来の使い手ではないためか限界が来だしていた。

 

魔理沙は遂に好機が来たと感じ八卦炉をエンテイに構える。魔理沙はこの時のために八卦炉に少しづつ魔力を溜めており、いつでも発射できるようにしていた。

 

「星符「ドラゴンメテオ」!!」

 

魔理沙はエンテイの上から強烈な威力の極太の光線を発射する。エンテイは「せいなるほのお」を集約させて迎え撃つが先ほどと違って相殺に止まりだった。

 

「魔符「スターダストレヴァリエ」!!」

 

魔理沙は大量の星形の弾幕を形成してエンテイに放つ。しかしエンテイもこのままでは終わらず灼熱の火炎を駆使して応戦し、魔理沙の弾幕がその身に被弾することはなかった。しかし次の瞬間

 

ドッゴオ!!

!?

 

エンテイの腹から凄まじい霊力を纏った重たい衝撃が走る。

 

「私がいることを忘れないでほしいわね」

 

その攻撃をしたのは霊夢である。霊夢を取り囲んでいた噴煙は魔理沙の奮闘によって弱まり出しており、霊夢は既に脱出していた。エンテイは魔理沙に気を取られたあまり霊夢の接近に気づかなかった。そして炎は止み魔理沙の星形の弾幕がエンテイに襲い掛かる。

 

「たく・・・遅いぜ霊夢」

「あんたこそさっさと仕留めなさいよ・・・でもまあよくやったと思うわ」

 

と霊夢は素直じゃないながらも魔理沙を称賛する。魔理沙も悪い気分はしなかった。

 

「さあ止めを刺すわよ!!」

「おう!!」

 

二人は最大の攻撃でエンテイに解き放つ

 

「夢想天生!!」

「魔砲「ファイナルマスタースパーク」!!」

 

二人の大技は一つとなってエンテイに襲い掛かる。エンテイも力を振り絞ってありったけの力を込めた「せいなるほのお」で対抗するが

 

「はあああああああ!!!」

「いっけえええええ!!!」

 

次第に二人の弾幕がエンテイの炎を押し出していく

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

そしてエンテイを守っている炎を消し去りながらエンテイは光に飲み込まれるのだった。

 

 




エンテイだけ妙に長くなったうえに強くなったような気が
まあ三犬の中で唯一の専用技持ちだし、霊夢と魔理沙のコンビで挑むからということで

周りを囲む10個の炎もポケモンレンジャーからです。なんかエンテイは防御力が高い感じになったなと思います。そして「せいなるほのお」のエフェクトはどのシリーズを見てもとくしゅ技にしか見えないなと思います

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