携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

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タイトルはエンテイのことですけど前半はライコウパートのお話です。
だいぶ話が浮かんできたので時間があるうちに書いています。とはいえ来週の平日はちょっと忙しいのでまた間が空くと思いますが、休日には何とか更新したいところです。


炎の帝王

グオオオオオオオオオオオオオ!!!

バリバリドーーン!!

 

雄たけびを上げながら「しんそく」で超高速移動をしながら更に威力の高まった雷を乱発する。「しんそく」はゲームでは配信でしか手に入らない特別な色違いのライコウでしか覚えていないのだが、リアルでは知ったことかというように使用してくる。

 

神子と布都が弾幕を放っても早すぎて当たらず、妨害するための弾幕も電撃で相殺されてしまう。雷の如き激しさと速さで大地を駆け回るライコウの強さは凄まじい。更にライコウは雷を集約して極太の光線へと昇華させた「でんじほう」で薙ぎ払ってきた。それは空気を震わせ、焼き尽くすほどの威力だった。

 

だが早苗には秘策があった。それはある技がライコウには有効だったからだ。

 

大奇跡「洩矢の神脈」!!

 

早苗のスペルの中で「大奇跡 八坂の神風」というスペルがある。これは彼女の仕える八坂神奈子の力を元にしたスペルである。そのほかにも早苗は風を扱ったものが多かった。しかし現在彼女は現人神になって信仰が移ったため二人との境界線が曖昧になっているが、本来は神奈子、そして洩矢諏訪子の力を借りることで奇跡を起こす能力なのだ。今発動したのは諏訪子の力を借りた神奈子と対を成す大地の力を宿したスペルである。早苗がスペルを発動させると大地が震え出した。

 

ズズズズズズズズズズズズズズズ!!!

 

大地のエネルギーを纏った激しい振動はライコウの行動を鈍らせた。そして更に

 

ズッガア――ン!!!ドドドドド

 

大地は地割れを起こしマグマが噴き出し始める。そして地割れから大地のエネルギーを纏った大量の弾幕がライコウに襲い掛かる。

 

グオオオオオ!?

 

伝説のポケモンであったとして弱点とするタイプは存在する。ライコウはでんきタイプであり大地のエネルギーを持つ技、すなわちじめんタイプの攻撃は非常に有効だったのである。

 

ライコウはたまらず「でんじふゆう」で揺れだけでも回避しようとするが

 

「そうはさせぬぞ!!」

「大火の改新」!!

 

布都は自身の持つ最高の威力を持つスペルをライコウに発動。灼熱の炎の渦がライコウを飲み込んだ。ライコウは「ほうでん」で吹き飛ばそうとするが突然眩しい光が頭上から差し込んできた。

 

「太子様今です!!!」

!?

 

ライコウのさらに上に光り輝く剣と化した勺を振りかざしている神子がいた。

 

「詔を承けては必ず慎め」

ズバアアア―――ン!!

 

光り輝く巨大な剣の斬撃がライコウを上から切り裂いた。流石のライコウも大きなダメージを受けて地に落ちていく。そして待ち構えていたかのように早苗がライコウが落下する場所に力を集中させて

 

「これでとどめです!!」

ズッド――――――――――――ン!!

 

一点に集約した大地のエネルギーを巨大な光の柱と化してライコウに解き放つのだった。

 

 

~~~~~~~~~~

 

場面が変わってある一組とポケモンの戦いが繰り広げられていた。

十数本の火柱が天へとそびえ立ち、地面からはマグマが噴き出し、灼熱の熱風が辺りを包み込んでいた。その中心にエンテイが立っていた。威風堂々と灼熱の火炎を操る姿は正に炎の帝王と呼ぶに相応しかった。

 

「くそ!!まるで近づけないぜ。霊夢に結界を張ってもらっているのになんつう暑さだよ」

「文句言っている暇はないわ!!このままじゃこっちが倒れてしまうわ」

 

この場の温度はとても人間、いや並の生物ではとても生きていられないほどの温度だった。おそらく魔理沙の箒、いや彼女たちが着ている服もあっという間に燃え尽きてしまうだろう。霊夢の発動した結界で何とかこの場にとどまっていられる状況だった。しかしそれでもですさまじい熱さであり、霊夢と魔理沙の体力を着実に蝕んでいた。

 

「まずあの火柱を突破しないとね。魔理沙!!」

「任せろ!!でもお前能力であれすり抜けられるんじゃないか?」

「そういうのは奥の手として取っておくのよ。あれ疲れるし。・・・それに」

(なんか引っかかるのよねえ)

 

霊夢は持ち前の勘で何かを察していた。この三匹を倒してもまだ何かあるかもしれないということを。そうなると今自分が持っている霊力をこの戦いで使い切っていいものなのかと迷っていた。出し惜しみするほどの余裕がない敵が今相手であったとしてもだ。

 

「とにかく!!今はさっさとやりなさい!!」

「はあ・・・まっお前に言われなくてもそろそろしていたと思うけどな!!」

 

魔理沙は八卦炉を構えて彼女の代名詞ともいえるあのスペルを発動する

 

恋符「マスタースパーク」!!

 

八卦炉から放った極太のレーザーはエンテイの火柱を貫いた。そしてそのままエンテイに襲い掛かる。

だがエンテイはそれを素早く回避して「かえんほうしゃ」で焼き払ってくる。

 

「それくらいなら当たらないわよ!!」

 

霊夢はエンテイの放つ灼熱の火炎を華麗に躱していく。そして同時に霊力による弾幕を的確に連射して反撃する。霊夢の天性の勘も手伝った相手の動きを読んだ弾幕はエンテイに被弾していく。エンテイは自ら炎を纏って霊夢に突進していくが

 

「そこらへんは気を付けな」

ドドドドドドドドドド!!

!?

 

すると下から何十本のレーザーが発射されてエンテイに襲い掛かった。魔理沙は霊夢が戦っている間に光符「アースライトレイ」を発動しており、レーザーを発射する物体をばら撒いていたのだ。それに怯んだエンテイを今度は霊夢の代名詞と言えるスペルを放つ。

 

霊符「夢想封印」!!

 

霊夢から色鮮やかな弾幕が一斉に放たれた

 

バーーーーン!!

 

弾幕はエンテイに直撃して鮮やかな色をした爆発が発生した。

 

「おー!!さすが霊夢!!また腕上げたじゃないか」

「あんたねえ。あんたがばらまいた奴からのレーザーが私に当たらないかとか考えなかったの?」

「ん?お前なら勘で何とかなるだろ?実際うまくいったし」

「あのねえ」

 

なんだかんだこの二人の付き合いは長い。彼女たちだって何度も異変解決に携わっていくうちに次第に何らかの信頼関係は出来ているのだ。

二人とも実力は高まっており、弾幕の技術の威力も格段に上がっていた。エンテイに大きなダメージを確実に与えていた。

 

グオオオオオオオオオオオオオオオ!!

ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

だがこれで倒れるほどエンテイは甘い相手ではない。彼自身も二人を強敵だと認めたのか炎はますます熱く燃え盛っていた。

 

「いよいよ本気出してきたな」

「そうね。でもまあ・・・」

 

しかし二人もこれで倒れる相手だとは思っていない。本当の戦いはまだこれからであることはわかっていた。

 

「こっちも全力で決めるわよ!!」

「おう!!もちろんだぜ!!」

 

本気を出してきたエンテイに二人は臆せず立ち向かっていくのだった。

 

 




エンテイ   NO.244  タイプ:ほのお

ジョウト地方に伝わる伝説のポケモン。名もなきポケモンがライコウ、スイクンと共に塔を焼いた炎の力を授かって甦って誕生したポケモン。
マグマの情熱を体に宿すと言われており、みなぎる力を押さえきれず全てを焼き尽くす炎を噴き上げながら大地を駆け回る。エンテイが吠えると火山が噴火すると言われている。長い間炎タイプの技に恵まれない不遇な時代がゲームでは続いたが、第六世代からホウオウの専用技である「せいなるほのお」を習得したことによりかつての汚名は消えていったと言える。
劇場版ポケモンの「結晶塔の帝王 ENTEI」で登場。三犬の中で唯一主役を担った。


早苗のスペルは今作のオリジナルです。諏訪子をリスペクトした大地のスペルがあってもいいんじゃないかと思って考えたスペルです。
エンテイは初代ポケモンレンジャーをイメージした感じにしています。初代のポケモンレンジャーは難しくてラスボスのエンテイに苦戦したなと書きながら思いました。

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