携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

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時間が出来たのでまた投稿します。
神子たちの口調はこれでいいのか少し心配です。


雷の皇帝

儀符「オーレリーズサン」!!

 

魔理沙はこのスペルを発動し、三体を攻撃した。放たれる3つのレーザーは的確に相手を捉える。しかし三体は素早い動きで華麗に躱した。

しかし彼女の目的は当てることではなく

 

「それじゃあ先言った通り」

「分かれて戦うわよ!!」

『はい!!』

 

異変の解決に向かった四人とキズが回復した神霊廟にいた四人。合わせて八人がそれぞれ三手に分かれて三体の撃破に向かう。これは先ほど決めた作戦である。

 

 

~回想~

 

「あなたたちは・・・?」

「あんたらが起こした異変を解決に来た者達よ。・・・まあ今はそんなことを言ってられないでしょうけど」

「あいつらがこれを引き起こしたのか?」

「ええ。間違いなく」

「獣のようですけど、でも明らかに普通じゃないことは確かですね・・・」

 

彼女たちが話している様子は三体は攻撃をすることもなくじっと見ていた。だがそれだけでもこの三体からはすさまじい「プレッシャー」を放っており、霊夢たちは緊張せざるを得ない。それは正に強者の風格だった。

 

「・・・戦うのか?」

「面倒だけどそうするしかないわ。このまま放置すれば間違いなく幻想郷は大変なことになる。あの三体はそれほどの相手よ」

 

と魔理沙と霊夢、そして言葉は出さなくとも早苗と妖夢も考えは同じだった。

 

「私たちも一緒に戦わせてくれませんか?」

 

すると神子が霊夢たちにこう声をかけた。

 

「私たちにも原因はわかりませんが、このまま放っておくわけにはいかないことは明白です。微力ながら協力させてほしいのです。いいですよね?三人とも」

「太子様がそうおっしゃるのなら」

「もちろん私もだ。せっかくこうして蘇ったというのにあっという間に我らの世界と夢殿大祀廟を破壊されたことは許すわけにはいかん」

「この者たちの実力は確かのようですし、私も共闘すべきかと」

 

四人は共闘を持ちかけてきた。未だ霊夢たちは(早苗を除いて)この四人の素性はわからず、正直なことを言えば信用していいのか疑わしい。しかし今はそうとも言っていられない事態に陥っていた。

 

「そちらの緑色の方」

「私ですか?」

「失礼ですが、私の能力で探ったところあの三体のことを知っているようですね」

「!?」

「本当なのか?早苗!!」

 

早苗の考えは神子の能力で筒抜けになっていた。しかし今は

 

「・・・事情は後で話します。それより私の考えなのですが、三手に分かれて・・・」

 

早苗は7人に作戦を話す。とはいえそれは三手に分かれて一対多数で戦うという単純なものなのだが。しかし早苗は三匹のことは知っている。その情報をもとに誰があの中の三匹の中でどれを相手にするのかや、弱点などを手身近に説明した。その後早苗は真聡からもらった「かいふくのくすり」で四人のダメージを回復させた。

 

一方、三匹は依然として見つめるだけだった。いつ挑んできてもいいように身構えながら、自分たちに挑んでくる挑戦者たちが戦いを挑んでくることをじっと待ちながら

そして

 

「じゃあ、私のスペルで三匹を引き離すぜ。後はいいな?」

 

そして冒頭に至る。

 

結果は成功。お互いの距離はだいぶ離れた。そしてそれぞれの戦いの幕が開かれたのである。

 

~~~~~~~~

 

バリバリバリ!!

ゴロゴロゴロ・・・ドーン!!

天霊「雨の磐舟よ天へ昇れ」

仙符「日出ずる処の天子」

 

この場は上空に闇の瘴気だけではなく黒い雷雲も大空を覆い尽くしている。

その場にいるのは早苗、神子、布都の三人。相対するは雷の化身ライコウである。ライコウは上空の雷雲と自身の持つたてがみから無数の雷を放ってきた。三人は弾幕を放つが雷によって遮られる上に雷のスピードを宿すと謳われる圧倒的なスピードでことごとく躱される。際限なく放たれる凄まじい猛攻は接近すら許されなかった。

 

「きゃあ!!」

「大丈夫ですか?布都」

「ええ何とか。しかし攻撃があまりにも苛烈すぎる。威力も屠自古のものを遥かに上回る威力の雷をこうも連発されるとなると・・・」

「埒があきませんね」

 

このままでは早苗たちがどんどん追い詰められて雷の餌食になることは目に見えている。直撃すれば一瞬で灰塵に帰すだろう。しかしライコウの方もなかなか命中しないことに業を煮やしたのか、今までとは違う行動に出ようとしていた。

 

ヒュン・・・ズバン!!

「うっ」

「!!太子様!!」

 

ライコウは「でんこうせっか」で姿が見えなくなるほどの速度で一気に接近し、神子を爪でひっかいたのだ。このライコウには何故か能力が通用しない。それ故の完全な予想外の行動に対応できず、もろにくらってしまったのだ。倒れたところをライコウはすかさず牙に雷を纏い「かみなりのキバ」で神子を引き裂き、焼き殺そうとした。

 

「そうはさせません!!」

秘法「九字刺し」

 

早苗はスペルを発動させて縦と横にレーザ-を放って網目のようにして神子の上に発動した。ライコウは突然のことで避けられず、レーザーの網に直撃して爆風によって吹き飛ばされる。

 

「これでもくらうがよい!!炎符「廃仏の炎風」!!」

 

この機を逃さまいと布都は炎の弾幕をライコウに放つ。弾幕は命中し、ライコウは炎に包まれるが

 

グオオオオオオオオオオオオ!!!

バリバリバリドーン!!

「うわ!」

 

ライコウはそれを容易く電撃で吹き飛ばして見せた。そして布都に向かって「チャージビーム」で反撃してきたのである。間一髪で躱したものの今の絶好のチャンスをあまり活かすことが出来なかったのはかなり痛い。

 

「くっなんて奴だ。我の炎を受けてもまるで応えんとは」

 

と悔しそうな表情をしていた。しかしその後

 

「だがそこの巫女よ。太子様の危機を救ってくれたことには礼を言うぞ」

「ええ、助かりました。ありがとう」

「いえいえ」

 

とりあえず一旦仕切り直しというところになった。しかし現状はこちら側が圧倒的に不利だった。地面は雷によって穴だらけであり、高熱によってガラス化したり煙が出ている個所だらけになった。しかしその時早苗はあることを思い付いた。

 

「そうだ!!あの、私に考えがあるのですが・・・」

 

早苗は二人に概要だけ伝える。攻撃を躱しながらだったが、神子の能力のおかげもありすんなりと伝わった。そして早苗は早速行動に移る。

 

秘法「九字刺し」

 

早苗はもう一度先程のスペルを発動する。更に

 

開海「モーゼの軌跡」!!」

 

早苗はライコウの両側に膨大な水量の水の障壁を生み出してライコウを閉じ込めた。上にはレーザーの網、左右は巨大な津波の壁。ライコウは完全に閉じ込められた。そしてレーザーの網と大波から容赦なく大量の弾幕が放たれた。

 

だがライコウはそれすらもこざかしい真似をとでもいうように電撃を溜め始める。そして膨大な量の電撃を「ほうでん」として解き放った。

 

シュゥゥゥゥゥ・・・

 

弾幕は一撃で破壊され、大波は一瞬で蒸発してしまった。それによって水蒸気が発生して視界が悪くなるが大した問題ではなかった。

だがそれは・・・

 

熱龍「火焔龍脈」!!」

 

布都は先ほどよりもさらに強力な炎の弾幕をは放つ。そして

 

ボッカアアアアアアアアアアン!!!

 

突然すさまじい大爆発が発生した。それは広範囲を吹き飛ばし、凄まじい衝撃波が襲った。

 

「おお!!」

「これは一体・・・?」

「ふふふ・・・真面目に理科の授業を受けていた甲斐がありました。」

 

と早苗は少し得意気になっていた。

 

「電気分解」

中学生辺りで理科で習うことだろう。電気分解とは水に電圧をかけることによって水は酸化還元反応を起こすことである。この反応が起こると陽極には酸化反応により酸素が、陰極では還元反応により水素が発生する。先程早苗が発動した開海「モーゼの軌跡」によって膨大な水が発生。それをライコウの「ほうでん」をしたことにより水は電気分解されてライコウの周りには膨大な量の水素が発生していたのだ。それを布都の炎の弾幕により水素が反応し、大爆発が起こったのだ。おまけに酸素も発生していたので炎の温度がかなり上がっていた。先程の弾幕は早苗が思い付いた罠だったのである。

 

早苗達は早苗が弾幕を放った後に大急ぎでライコウから離れ、そして布都が弾幕を放った後にフルパワーで結界を張って爆発を凌いだのである。

 

「実に見事な作戦だったぞ」

「これは間違いなく効いているはずです」

「ええ。ですが・・・」

 

爆発による煙が晴れていく。爆発の中心にはライコウがいた。咄嗟に「ひかりのかべ」を張って威力は軽減したものの、それでも大きなダメージを受けていた。しかし・・・

 

グオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!

バリバリバリバリバリバリ!!!!

『っ!!!!』

 

ライコウはそれでも倒れなかった。それどころか今のことで堪忍袋の緒が切れ、雷は咆哮と共にますます猛っていた。その咆哮は空気を歪め、大地を揺るがすほど猛々しかった。

 

「奴め。まだこれほどの力を」

「でも確実に弱ってはいるはずです。」

「ええ。そして今こそ」

 

早苗は身構える。ライコウを次こそ倒すために・・・

 

 




ライコウ  NO.243   タイプ:でんき

ジョウト地方に伝わる伝説のポケモン。かつては名もない一つのポケモンでカネの塔の火災によって死んでしまった。しかしそれを哀れんだホウオウによってエンテイとスイクンと共に蘇るとともに塔に落ちた雷の力を司るようになったと言われている。
体内に宿したエネルギーを電撃として出しながら大地を駆け回る荒々しいポケモン。背中の紫色のたてがみのようなものは雨雲であり、そこかどんな時であっても雷を撃ちだすことが出来る。雷のスピードを宿しており、その遠吠えは落雷の空気を震わせ、大地を揺るがすと言われている。


ずいぶん久しぶりにこのポケモンの解説を書いたなと思いました。

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