携帯獣の能力を宿す者の幻想伝 作:幕の内
多忙とスランプが重なりなかなか書けませんでしたが、また再開していきます
~人里~
ザアアアアアアアアアアアアア!!!
現在幻想郷では強烈な嵐が吹き荒れていた。風はあらゆるものを吹き飛ばさんと荒れ狂い、すべてを水に流してしまうかのように豪雨が降り注いでいた
ピカ!!ゴロゴロゴロゴロロ!!!!
しばらくすると巨大な雷が発生して幻想郷を青白く照らし、鼓膜を切り裂くかの如き雷鳴が響き渡る
ここ数年稀に見る悪天候だった。既に人里の住人はほとんど外に出ておらず、中には家が倒壊する、またはしかけており大勢を入れることが出来る命蓮寺や阿求邸に避難している者もいた。今外出しているのは困っている者の救助や建物の補強などに努める自警団の団員だけだった。そしてもちろんこの男が中心となっていた
「・・・明らかに普通じゃないな」
木戸真俊は空を見上げてそう呟く
(今起こっていることがもし「東方project」において起こる出来事であるなら早苗は前もって必ず俺に伝えるはずだ。これは描かれなかった偶然によるものなのか、あるいは・・・)
何らかの
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・ドーン!!
それは願いはあっという間に潰えるのであった
~夢殿大祀廟の洞窟~
時は少し遡る
霊夢たち一行は墓地で地下に続く道を発見し、その先に広がる洞窟を突き進んでいた。その途中彼女たちは魂魄妖夢と合流した。目的は同じであったため今は四人だ。多くの神霊や妖精が立ち塞がるが、今の四人には遊び相手にもならないほど実力の差があり、数十体で束になっても数秒で全滅していき快調に前へと進む
そして今
「そんなの当たりませんよ!!」
「あらあら掠る気配すらしないだなんて」
洞窟を進んでいると奥から女性が現れた。彼女の名は霍青蛾。仙人を名乗っており、簪を付けた水色の神に半袖のワンピースに羽衣を纏っている。彼女曰く地上で戦った宮古芳香は彼女の手によって蘇った存在で手先であるとのことだ。それが倒されてしまったため、それを晴らすということで彼女たちに弾幕ごっこをけしかけたのである。相手は早苗が担当し、残りの三人は取り囲む神霊を排除しながら、戦いの様子を見守っていた
戦況は早苗が圧倒している状態である。彼女は芳香を呼び寄せ二人掛かりで挑んできたが、早苗はそれをまるでものともしなかった。芳香はあの後大量の神霊を吸収してパワーアップしているのにも関わらずだ。芳香を倒したことから普通の人間ではないことはわかっていたが、これほどの強さであるとは思っていなかった
開海「モーゼの軌跡」
彼女はスペルカードを発動させて一気に勝負を着けにかかった。二人を取り囲む巨大な大津波が発生して底から弾幕が発射される。二人はギリギリで躱していくがこのスペルは原作と違ってそれだけではない
「え!?」
ドドドドドドド
突然大波が閉じ始める。青蛾はいち早く安全地帯を発見して回避に成功するが、芳香は動きが鈍重なため間に合わず大海に飲み込まれてしまった。彼女は救出に向かおうとしたが、向かえば確実に自分も飲み込まれてしまうのは明白だった。そして
「これで終わりです!!」
「ここまでのようね・・・」
早苗は隙をついて止めを刺しにかかる。青蛾は敗北を悟り潔く受け入れようと目を瞑るのだった
しかし次の瞬間
ドドドドドドドドドドドドドド!!!
『!?』
突如、途轍もないエネルギーが津波のように洞窟から押し寄せてきたのだ。それは弾幕ごっこ用で威力が低いとはいえ、早苗の弾幕をあっという間に消滅させながら迫ってきた
「くっ、「二重結界」!!」
霊夢はすかさず強力な結界を張ってこの場にいる全員を守護した。そしてそのエネルギーはそれに弾かれながらも突き進んだ
~人里~
「おお!!」
そのころ真俊は人里に「ひかりのかべ」と「リフレクター」をさらに強力にして混ぜた巨大なバリアーを張っていた。何故なら地下から突然すさまじいエネルギーが墓地から迫ってきたからだ。彼はそれにいち早く気づき、食い止めていた。しばらくするとそれは止み、露散していった。人里は無事だったが、墓地は完全に吹き飛んでしまった。凄まじい熱だったようで地面が赤熱、あるいはガラス化していた。しかし何故か所々水浸しになっているところもあった。ちなみにバリアを張る前に発見した犬のような耳をした妖怪、響子を救出しておいた。完全に気を失ってはいるが無事である。安心する暇もなくしばらくすると
グオオオオオオオオオオオオ!!!!
穴から何かの咆哮らしき音が聞こえた。するとそれに呼応して今度は大地が震え始める。そしてそれは次の瞬間地面からマグマが噴出し始めた
「まずい」
真聡はパルキアの力を発動させて人里を空間事切り取って異空間へと放り込んだ。こうでもしないと守り切れないと判断したのだ
今現在の幻想郷は大混乱だった。各々の方法でこの異常事態に対応し、中でも守矢神社にいる諏訪子は大地を操って地震、そして噴火を押さえつけていた
「どうやら俺の出番らしいな」
真聡は異空間にいる人里の住人たちや他の幻想郷の住人たちに呼びかけた後、すぐに霊夢たちの元へ向かうのだった
~洞窟~
一方そのころ
「うう・・危なかったわ。あと少しで結界を破られそうだったわ」
霊夢たちは青蛾と芳香含めて無事だった。霊夢はかなりギリギリではあったが、防ぎきった
「おい!この先にいる主は一体何をしようとしてるんだ!!」
魔理沙は青蛾たちを問い詰めた。しかし当の本人は
「こんなこと、あの方は絶対するはずがないわ。一体何が起こっているの?」
と明らかに狼狽えていた。どうやら彼女の想像もつかないことが起こったらしい
「とにかく先に進みましょう!!このままじゃ絶対にまずいことになります」
妖夢はそう叫び一行は新たに青蛾と芳香を加えて先へと進んだ。そして大きな穴を見つけた。正確にはそこには巨大な扉があったのだが、跡形もなく破壊されていた。そしてその先はというと
「そんな・・・嘘でしょ・・・」
青蛾は唖然として膝を地面についてしまった。目の前にあるのはただの更地。本来なら夢殿大祀廟という巨大な建物が建っていたはずだった。しかし今は跡形もなかった。そしてそれを知らない霊夢たちから見ても明らかに異常な光景であることは明確である
(こんなのおかしいです!!こんなことあるはずが・・・)
早苗は自分が見てきた原作に起きていなかった展開に混乱していた。すると霊夢が何かを見つける
「・・・!!誰か戦っているわ!!」
その視線の先には三人ほどの人影
そして三人には何かが対峙しているのだった
久しぶりに書きましたが、やっぱり小説を書くことって難しいです
楽しくもありますがね