携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

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一週間ほどまた開けてしまってすみません。これから更新頻度がばらつきますけど小説は書き続けていくのでどうかご了承を


墓場にいる者たち

~墓地~

 

「うわー!!助けてー!!」

ドカーン!!ドドドドドドドドドドド!!

 

命蓮寺の近くには墓地がある。そこには神霊が大量発生していた

しかし今はそれだけではない。一人の少女の声と爆発音が響き渡っていた。その声の主は・・・

 

「ちょっと!!わちきはただ単に退治の依頼をしただけで悪さはしてないのに~」

 

 

その声の主は多々良小傘である。墓地には人間を不安に掻き立てさせれてくれる場所であり、人を驚かすのを生業にする小傘にとっては絶好の場所だった。そのため彼女はこの墓地が出来てからはよく通っていた。ところがとある存在によって抵抗虚しく墓地を追い出されてしまい困り果てていた。小傘はお世話になっている命蓮寺の面々に相談に行こうとしていたところに霊夢と魔理沙に出会ったのだ。彼女は異変解決を生業にしていることは知っているため、ここを占拠している妖怪の退治を依頼したのである。しかし

 

「妖怪が妖怪を退治してくれなんて滑稽だし、ちょっと怪しいじゃない。まあ妖怪を見たらとりあえず退治が一番よね」

「そんな理不尽な~!!」

 

・・・頼んだ相手が悪かった。それに尽きる状況であった。一方魔理沙の方は

 

「うう・・・あんまりだあ~」

「真聡が教えてくれた「ジョ〇の奇妙な冒〇」という漫画になんかそれと似たようなセリフがあったな」

 

魔理沙は墓地に入ったところに彼女の目の前に倒れている犬のような耳としっぽが特徴的な山彦の妖怪の幽谷響子である。彼女はもともと山に住んでいたが、最近は命蓮寺に入門している。普段は命蓮寺の参道でそうじをしていて、やってきた人間に元気よく挨拶して襲っている。そんないつものような感じで挨拶をする。しかしその声があまりに大きいためうるさいなと魔理沙が言ったのを快く思わず挑みかかったのだ。しかし真聡の部屋修行と積み重なった戦闘経験により洗練された強さを持つ魔理沙に敵う筈もなくあっという間に瞬殺された

ちなみに余談だが魔理沙は今でも紅魔館の図書館に通っている。最近では本を借りるときはちゃんとパチュリーに申告してちゃんと期日通りに返却している。何故ならパチュリーよりもはるかにこわーい存在がいるし、盗んでもしばらくしたらすぐに取り返されてしまうので盗んでも無駄なのだ。その張本人である真聡に漫画をいろいろ紹介してもらったことがあって結構読んでいるのだ。そのため結構漫画には詳しいのである

 

「さあ!!そろそろやられなさい!!」

「いやーー!!」

「おいおい霊夢、そこら辺にしとけって・・」

 

と魔理沙が言っても全く聞く耳に持たない霊夢。しかししばらくすると横から

 

ガキーン!!

「!?」

「ふう・・全く」

「あっお前は」

 

小傘に弾幕が直撃する寸前に横から結界が張られて小傘の身を守った。それをしたのは東風谷早苗である

 

「ちょっと!邪魔しないでよ!!まさかあんたもグルなの?」

「違いますよ。でもあんまりにも霊夢さんが理不尽な真似をするので不憫に思って助けたまでです」

「早苗さ~ん!!」

 

彼女は小傘とは面識があった。真聡が小傘の友人で会ったことがきっかけで話だし仲良くなっていた。小傘は助けてくれた早苗に感謝の気持ちも混ざりつつ泣きつくのだった

 

「妖怪だからと言ってすぐに退治してはだめだと思いますよ」

「だっていろいろ聞くのがめんどくさいし、さっさとやった方が楽じゃない」

「はあ・・」

 

早苗は知っていた。原作では自分も小傘を退治しにかかることも。しかし現実で自分が実際にやることは妖怪が相手だとは言え、特に悪さをする妖怪ではないもの相手にはするべきではない。そう思うため彼女はしないのである。それと真聡ならこんな真似はしないだろうと思うし、彼からの影響も強かった

それと同時にこの異変の真相も知っていた。本来なら解決に行く必要がない異変だ。しかし異変解決を実際に体験した方がいいと思い、それをすることが生業だと思うので向かったのだった

 

「まあいっか。正直こいつはそんなことしそうもないし、見逃してやるわ。手がかりはつかめたし」

「やれやれ」

「た・・助かった~」

 

命拾いしたことに小傘はほっとした

 

「ところでその墓地を占領したやつってどういうやつなんだ?」

「えーとそれは・・・」

「みーつけーたぞー」

『!?』

 

すると後ろから間の抜けた声がしてきた。彼女は宮古芳香。赤い中華風の服を着ておでこにお札が張られた少女でありが、その正体は中国版のゾンビ、キョンシーである。それを裏付けるかのように両腕を前に突き出してピョンピョン飛び跳ねている

 

「ちーかよーるなー!これから先はお前たちが入っていい場所ではない」

「何かあるようだな」

「何を守っているのかしら?」

「えーと・・・・なんだっけ?」

『・・・・・・』

「・・・あ!そうだ!!霊廟を守るためにいるんだった!!」

「・・・脳みそ腐ってるんじゃないかおまえ?」

「腐っても戦士(キョンシー)だ」

「あ・・腐っていたか」

「とーにかーく!ここは通さないぞ!!」

「小傘さん。あなたが言っていたのって・・・」

「うん、あいつだよ。気を付けて!あいつ異常なまでに力が強いし、何よりもこの墓地に漂う霊を食べて体力を回復することができるわ。わちきはそれに競り負けてしまったの」

「そりゃ厄介だな」

「なんでもいいわよ。それなら回復が追い付かないほどのダメージを与えるまで。今回は止めるんじゃないわよ!」

「わかってますよ」

「深き眠りから覚めたこの力で我々の仲間になるがいい!!」

毒爪「死なない殺人鬼」

 

彼女が爪で振るうとそこから大量の紫色の苦無型の弾幕が放たれる。これには毒があって命中すれば命の危機だ。しかし霊夢は表情一つ変えずに躱していく。そして大量のお札による攻撃を芳香に浴びせる。動きが遅いため簡単に命中する。しかし皮膚が固いうえに痛みを感じない体のためダメージはさほどない。芳香は余裕だと思っていたが、霊夢は少し力を込めてまたお札の弾幕を放つ。すると膨大な数と速度と霊力によって威力が上がってダメージが出始めていた。痛みを感じないことは強みでもあるが同時に弱点でもある。何故なら

 

ミシ・・・バキバキ!!

(なんだ?普段よりも動きにくく・・・)

「さっさとやられなさい」

ドドドドドドドドドドド!!!

ガク「!?」

 

痛みとは自身の体に危険を伝える信号であり、その信号がないということは自分の肉体に異常が起きたとしてもそれに気づくことが出来ないのだ。そうなるとこれ以上ダメージを受けてはいけない部位にも痛みを感じないことをいいことに攻撃を受け続けてしまう。そうなると痛みを感じなくても肉体の損傷そのものはどんどん出始めてやがて動かなくなってしまう。彼女はいつの間にか身動きが取れなくなってしまった。彼女は自身の頑丈さと痛みを知らない代わりに動きが非常に鈍重であるため逃げることは簡単だ。それは見方を変えれば回避に向いていないのだ

 

(まずい)

 

流石に芳香も自身の危険を感じて神霊を食べて回復しようとするが結界に阻まれて食べることが出来ない

 

「あの妖怪の忠告が役に立ったわね。そこには感謝するわ」

 

そしてとどめを刺そうと霊夢は霊力を込め始めて

 

霊符「夢想封印」

 

霊夢の十八番ともいえる弾幕を放った。魔理沙と早苗はそれを一目見ただけで分かった

 

「何だかんだあいつも強くなってるんだな」

「ですね」

 

自身の才能と面倒くさがりな性格によって以前は修行は碌にしなかった。しかし最近真聡を筆頭に周りがどんどん強くなっていき出した。腐っても彼女は異変解決を生業にする博麗の巫女。流石にこのままではいけないと焦り出して修行をし始めたのだ。それによって霊夢もまた強くなったのである

 

ド―――――――ン!!

「やーらーれーた―!!」

「悪いけどあんたじゃ相手にならないのよ」

 

キョンシーである芳香をいとも容易く撃破したのであった。そしてしばらく調査すると地下へと続く抜け穴を発見した。一行はその中に入って突き進むのだった

 

しかしその間にも異常(イレギュラー)な存在の姿は徐々に姿を現そうとするのだった。しかしそれは霊夢たちではなかった

 




今作では早苗が東方を知っているためか原作と比べるとかなり常識人です

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