携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

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しばらくの間開けてしまってすみませんでした。この頃忙しく話の流れもなかなか浮かばず書けずじまいでした。ようやくまとまってきたのでまた書いていきます


第八章:神霊廟編+??
幻想郷中に現れた霊


カキ―ン!!キキ――ン!!

 

今、木戸真聡の修行部屋で刀同士の鍔迫り合いの音がこだまする。真聡は今とある人物に対決を申し込まれてそれに応じて戦っているのだ。その相手とは・・・

 

「腕を上げたな!!妖夢!!」

「・・・そちらこそ」

 

俺が今相手をしているのは魂魄妖夢である。彼女もよくこの修行部屋で修行に来ていた。今日はその成果を試すためなのか俺に勝負を申し込んできたのである。俺はそれに応じて今戦っているのだ。妖夢の二本の刀に対し、真聡はメガエルレイドの力を宿して応戦している。傍から見れば一見は互角の攻防だった。しかし

 

(もう軽く一時間は激しい戦いを続けているのに、真聡さんはまるで消耗していない。こっちもまだ戦うことには問題はありませんが、このままじゃこちらが消耗しきってしまう)

 

妖夢の消耗はかなり多かった。大して真聡は全然消耗していない。このままでは駄目だと判断して全力の猛攻で一気に倒すことにしたのだ

 

断霊剣「成仏得脱斬!!」

 

すると妖夢が刀を振るうと巨大な桃色の剣気の柱が発生した。これが何十本も出てくるのだが、真聡は余裕で回避していく。でもこれは想定内だった。妖夢はそれに加え目に映らないほどの速度で移動する

 

「おっと」

ガキーン!!

 

妖夢はもともと射命丸文ですら目で追えないほどの速度で移動できる。しかしそれはためが必要であり距離も短かった。しかし修行の末に溜めはほとんどいらなくなり、距離も長くなった。そこからの連続攻撃は驚異の一言である。剣気の柱と超高速移動からの剣戟で一気に攻めてくる妖夢。しかしそれでも真聡は全て防いで見せる

 

(くっ・・・これでも届かないなんて)

 

妖夢はそれでも攻撃を続けて真聡を斬りつけるが

 

フワア・・

「!?」

「そら!!」

 

真聡は幽香戦でも披露した流水の動きで躱す。妖夢から見たらまるで水を切ったようにすり抜けたと錯覚した。そして妖夢にカウンターを決めた。妖夢は咄嗟に体をひねって直撃は避けれたがダメージはしっかり入っていた

 

「速度も技の鋭さも前と比べ物にならないし、大したものだよ。でも速いだけじゃ勝てない。それにまっすぐすぎていくら早く動けても読まれやすい」

 

と妖夢に言った。しかし妖夢はそれでも諦めずに俺に相対した。そして今度はタメに入る。妖夢は大技を仕掛ける。真聡もまた大技で迎え撃つ

 

人鬼「未来永劫斬!!」

「インファイト・斬!!」

 

春雪異変でもぶつかり合った二つの技。しかし互いにあの時のものを遥かに凌駕する一撃だった

 

ズバババババ―――ン!!!!

 

今回は互角だった。しかし真聡はすぐに切り返して「サイコカッター」を放った。巨大な斬撃となって妖夢に迫る。しかし妖夢はそれをいなし

 

(これで決める!!)

空観剣「六根清浄斬!!」

 

すると妖夢は超高速で移動して真聡を取り囲み、無数の斬撃を放った。しかし真聡もエネルギーを溜めて身構える

 

「大回転切り!!」

 

俺は緑の勇者のオマージュ技で応戦した。超高速の回転攻撃はやがて巨大な斬撃の竜巻のようになって妖夢の攻撃を受け止めた。しかし妖夢は果敢に攻めていき、真聡は一切気が抜けなかった。しかし勝敗が決する時はそう遠くはなかった

 

ド―――――ン!!

 

妖夢は弾かれて吹き飛ばされた。長時間の戦闘と大技の連続で限界を迎えていたのだ。受け身を取ってすぐに臨戦体勢を取るが、既に刀を目の前に突きつけられていた。こうなってはもう勝ち目はなく

 

「・・・参りました」

「なかなか楽しかったぞ」

 

妖夢は降参するのであった

 

「ほら。とりあえずこれでも飲んでいなよ」

「ありがとうございます」

 

俺は妖夢に体力回復の効果が非常に高い独自で作った特製の「きのみジュース」を差し出した。それと同時に「いやしのはどう」を妖夢にかけて傷と体力を回復させた

 

「ふう・・・やっぱりお強いですね。流石閻魔や月人を倒したお方というところでしょうか」

「いやいや。以前よりはるかに強くなっていて俺もかなり苦戦したよ。冗談抜きで純粋な剣術で絞れば今まででも一番手強かったさ」

「だといいのですが・・・」

 

この言葉には偽りもなかったし、正直最後は結構危なかった。もし妖夢に体力が十分にあったらおそらく押し負けていたのはこっちだろう。本当に強くなったものだと感心していた

 

「話は変わりますけど、ここ最近現れている神霊は何なんでしょうか」

 

幻想郷の季節は今は春だった。桜が咲き誇り暖かい風が吹いていく。しかし最近大量の霊が出現したり消えたりしている。人里の人たちは不気味がって、せっかく桜は満開なのに花見に行けずに困っていた。妖夢の話によると冥界にも現れているとのことで近々調査に向かおうと思っているらしい。久しぶりに異変解決に乗り込むので、その前に修行した自分の強さを確かめたくて真聡に挑んできたのである

 

「だったら命蓮寺の裏にある墓場に行くといいぞ」

「そうなんですか?」

「ああ、俺は霊たちとしゃべれるし声も聴けるからな」

 

俺はゴーストタイプの力を宿せるため霊の類のものとは会話ができる。神霊でも可能である。神霊は人々の祈りから生まれたもので同じ霊でも幽霊とは別物なのだが、それでも会話そのものは可能らしい

 

「なんでもそこで聖人が復活するらしくてな。自分たちの欲をかなえてもらおうと集まっているらしい」

「・・・わかりました。情報の提供に感謝します」

 

妖夢は有力な情報をに入れてお礼を言った。そしてしばらくした後妖夢は一旦は白玉楼に帰っていった。しかし内心疑問が妖夢にあった

 

(どうしてそこまでの情報を知りながら何もしないのでしょうか・・・普段なら率先して異変解決へと向かいそうなのに・・・)

 

 

~修行部屋~

 

「・・・まあたまには傍観を決め込むのもいいのかもな」

 

俺は今回は傍観に徹することにした。早苗からも教えてもらったが、今回この異変では特に害があるものではないとのことだ。それならば俺が出なくてもいいのではないかと思ったのだ

この世界は「東方project」というゲームの中の世界であり俺はその世界の登場人物ではない。いうなればイレギュラーな存在であり、今までの異変だって本来なら霊夢たちが解決していることなのだ。ならばそれに従うのもいいかもしれないと思ったのである。それに主人公である魔理沙は最近滅茶苦茶強くなったし、俺と同じく現世で生きていた早苗も相当強くなっていた。それはあの修行嫌いの霊夢も焦って修行するようになったほどだ。まあそのおかげで霊夢もさらに強くなったわけなのだが

 

何にせよ今回は俺の出る幕はないかなと思い、俺は本業である人里の警備に打ち込むのであった

 

 

しかしイレギュラーな存在はイレギュラー事態を引き起こす可能性があることを今は誰も知らない

 

 




次回は霊夢たちの視点になります

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