携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

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妖精大戦争編です


氷の師弟

「あたいを弟子にしてください!!」

「えーと・・・」

 

いきなりだが突然チルノにこんなことを言われてしまった。どうしてこんなことを言いだしたのかはよくわからない。だが話を聞く限りどうやら決闘を申し込んだらしくてどうしても勝ちたいとのことだ

 

「どうして俺なんだい?」

「うん。強くなるには強い人の弟子になるのがいいんじゃないかなと大ちゃんに言われたの。そうなるとあたいが知っている中で一番強いのは真聡だからだ」

「なるほど・・・」

 

まあチルノはポテンシャルはあると思う。妖精は人間よりも弱いと言われているが単純な戦闘能力だけで絞ればチルノは例外と言っていいだろう

 

「最近俺の修行部屋でこっそり修行していたのはそのためか」

「え!?知ってたの?」

「まあな」

 

理由はよくわからないけど真剣な眼差しで迫ってきた。よほどの相手なのだろうか

 

「決闘直前まででいいからお願い!!」

「・・・・・」

 

まあ俺にとってもいい刺激になるかもしれない。これでも一応自警団で新入りの育成もしていて他人に指導する経験は積んでいるつもりだ。ここは一つ胸を貸してあげるとするか

 

「いいぞ。でも時間があまりないようだから厳しくするからな。いいな?」

「!!うん!!」

 

こうして突如師弟関係が生まれたのだった

 

 

~修行部屋~

 

俺とチルノは修行部屋へと向かった。ここなら存分に暴れても問題ないし、時間の流れも外よりはるかに早いため早く強くなるにはうってつけだ

 

「まずはお前の実力を見る必要がある。準備はいいか?」

「あたいはいつでも戦えるよ!!」

「よし。では全力でかかってこい!!」

「いくよ!!」

 

チルノは冷気を放出する。チルノとは花映塚で弾幕ごっこをしたのが最後だが、その時と比べて格段に冷気が強くなっていた

 

氷符「アイシクルマシンガン」

ドドドドドド!!

 

すると氷をマシンガンのように高速で連射してきた。俺はマシンガンにはマシンガンとユキメノコで「シャドーマシンガン」で相殺した。そして今度はお返しというように「こおりのつぶて」をマシンガンのように高速で発射した。速度も威力もチルノの物より上だったが、チルノは躱していく。技の回避も前よりもうまくなっていた。しかし次第に追い詰められていったが

 

氷符「ソードフリーザー」

 

チルノは氷の剣を生みだした。そして躱せないと判断した弾幕を切り裂いていった

 

(こんなことも出来るようになったのか)

 

とチルノの成長に感心していた。しばらく互角の攻防が続く。俺はチルノの放つ弾幕を躱していき、チルノも氷の剣を使いながら回避していった。しばらくすると今度はメガオニゴーリに変えた

 

「れいとうビーム!!」

 

すると俺は強烈な冷凍エネルギーの光線を発射した。メガシンカのパワーと積み重ねた修行の成果により、太さも威力も前にチルノと戦ったものより格段に威力が上がっていた。しかしチルノも

 

冷符「瞬間冷凍ビーム!!」

 

春雪異変の時に俺を驚かせた攻撃をしてきた。威力も更に洗練されていた。両者の光線はぶつかり合って押し合いになる。しかし威力は真聡の方が上でチルノは徐々に押されていく

 

「これでどうだ!!」

「!?」

 

すると地面に強力な冷気を送り込んだ。すると巨大な冷気の壁が生まれたのだ。これは以前俺が見せた氷の障壁である。そして俺の「れいとうビーム」で更に巨大になっていった。しかしそれだけでは終わらなかった

 

ズズズズズズズズズ・・・

「これは!!」

 

すると巨大な氷山と化した氷の障壁が浮き始めた。チルノは己の限界まで力を出し切ってこの氷塊を操り浮き上がらせたのだ。そしてそれを振りかぶって超巨大なハンマーと化した

 

「くらえ!!」

超氷塊「アルティメットクラッシャー!!!」

 

本来は氷塊「グレートクラッシャー」という技名なのだが、今のはその規模を凌駕する。故に更に強力な威力になったという意味でこう名付けたのだろう

 

(まさかここまで強くなってるとはな・・・本当に驚かせてくれるよ)

「はああああああああああああああああ!!!」

 

俺は膨大な冷気を纏いだす。そして真聡もまた凄まじい冷凍エネルギーの塊となった。これはとくせい「フリーズスキン」によってこおりタイプの技とかしてさらに強力になった技だ。俺は最大パワーで迎え撃った

 

「氷のギガインパクト!!!」

ドッカーン!!

 

両者の全力の一撃が激突した

 

 

~数時間後~

 

「・・・うう」

「目が覚めたか?」

「あたいはいったい・・・!!痛たた」

「無理するな。さっきの戦いで力を使いすぎたせいで今のお前はろくに動けないよ。外よりも時間の流れが速いところで休ませているから治る頃でも一日も経ってないから安心して寝ていろ」

「・・・わかった」

 

最後の衝突は最初の方は拮抗していた。しかしチルノは限界を超えた力を使ったのが原因で完全にスタミナ切れを起こしてしまったのだ。そのせいで急激に威力が弱まって氷塊は砕け散ってしまい、そのまま俺の攻撃に飲み込まれた。俺は気絶したチルノをベットに運んで「いやしのはどう」などで回復してあげた。そのあとチルノはまたぐっすり寝てしまった

 

 

次の日、チルノの力は回復して元気に動き回れるようになった。妖精は自然がある限りまた復活するため、回復が早いようである。しかも周りを氷で出来た部屋にしておいたのもあって更に早い回復速度をもたらしたようだ

 

「久しぶりに戦ったが相当強くなったな。俺も結構焦ったぞ」

「へへへ。あたいはさいきょーだもの、当然よ」

「ていうか本当に修行する必要があるのか?相手はそんなに強いわけ?」

「いや一人一人はあたいで倒せるんだけど三人で来ると厄介なの。それにあたい以外でも、この湖周辺に住む妖精はみんな強くなってるんだ」

「・・・なるほど」

 

チルノが言う通り近年妖精たちが強くなる傾向が出始めている。原因は元をたどれば俺のせいである

というのも霧の湖周辺は紅霧異変で一度消滅して焦土になってしまった。今は伝説のポケモンの力が使えてディアルガの巻き戻しですぐに元通りに出来るのだが、当時は使えなかったため様々なポケモンの力と道具で修復した。その時この土地はポケモンの力で生み出したものが大半を占めるせいか自然のエネルギーが強いらしい。草タイプなど動いたりするにもかかわらず植物と同じように光合成を行うと言ったようにポケモンには強い自然のエネルギーが宿っている場合が多い。木々もポケモンの力で急激に成長させたものが多く、普通の木よりも強いエネルギーを溜め込んでいるという話である

更に土がポケモンの世界の肥料を使ったおかげで土の質が格段に良くなって植物がさらに成長し、独自の進化をするものが出てきた。しかもその約1年後に起こった花映塚の異変の時に本来は季節外れの花は霊がいなくなった途端すぐに枯れるはずなのに、その土のおかげで何と何種類かはそのまま咲き続けてしまったのだ。そして現在ではたった数年で以前の物よりも遥かに強い立派な森になったのだ

 

妖精は自然エネルギーが強いほど力が強くなる種族である。近年の森の成長のおかげで妖精たちは力を付け始め、最近では妖怪が妖精に倒されたという話も出始めたのだ。下級の妖精でもレーザーをぶっ放してくる者も中にはいるそうだ

 

(となるとこのまま修行してやるべきなのだろうか?でもチルノも俺と同様貪欲に修行した結果ここまで強くなったわけだしそれを踏みにじるのもな・・・)

 

とかなり悩んだ。しかし

 

「あたいはもう大丈夫だからビシビシ鍛えてよ!!」

 

と純粋な目で見つめてきた。俺はその熱意に負けて

 

(まあその時はその時。今は弟子の熱意に応えてあげるとするか)

「よし!!では始めるぞ!!」

「うん!!」

 

俺はその熱意に応えることにして修行が始まるのだった

 

~~~~~~~~~~~~~

 

「いいかまずは基礎体力を鍛え上げるぞ。お前は昨日の戦いでスタミナに不安があることが分かったはずだ。まずはランニングからだ。サボったら周回を増やすからな」

「わかった!!」

 

~~~~~~~~~~~~~

 

 

「うう・・・熱い」

 

今俺たちは俺が作ったマグマが煮えたぎる灼熱の部屋に案内した

 

「手っ取り早く強くなるには自分の弱点に抵抗する力を身に着けることだ」

 

そして俺はマグマに「れいとうビーム」を発射する。するとたちまち凍り付き氷の世界へと変わった

 

「おお!!!」

「お前にとっても不利な環境下でも強い力を発揮できるようになれば何でもない環境ならさらに強い力を得られるはずだ」

「なるほど~。よーしやるぞ!!」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

「今回はコントロールの特訓だ。いくら威力を上げても当たらなければ意味がないし、この前みたいにガス欠になって自滅してしまう。強弱を自在にコントロールできるようにすることも重要だ」

「なるほど」

「まずはあの高速で動く的に当てて見せろ!!」

「わかった」

 

カッキーン!!

 

「よし。ではこれはどうかな?」

「くっ、早いよ~」

「よーく動きを見るんだ。相手を観察することも大切だ」

 

 

師匠の真聡、弟子のチルノの師弟関係による修行はしばらくの間続くのだった

 


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