携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

111 / 123
ダブルスポイラーは一話完結になります
それと閲覧数が3万超えました。読んでくださった皆様には感謝です


ダブルスポイラー

本日も平和な幻想郷であった。最近は特に大きな事件も起こらず普段通りの日常が続く木戸真聡にとってはありがたいことである

しかしそれをあまり良しとしないものも中にはいるのが常。そして今回は二人のスポイラーが日々弾幕ごっこを挑んで取材をしていた

 

「だーかーらー!新聞勧誘はお断りと言ってるでしょ!!」

 

そう言って超巨大な「新聞勧誘お断り!」と霊夢の写真付きで書かれた超巨大なポスターのようなものが発射されてやがてそれが消滅して弾幕と化した。しかし

 

「そんなこと言わずに~私のジャーナリストとしての意地があるんです。弾幕をとらせてもらいますよ!!」

パシャ!!

 

とカメラのシャッター音と共にその映った範囲の弾幕は消滅する

 

「変なカメラ使って!!」

 

この特殊なカメラのせいで本気の弾幕でも回避されてしまう。そのあと霊夢は

 

「これでどうかしら?」

夢符「夢想亜空穴」

 

すると霊夢は瞬間移動を繰り返しながら高速でタックルをしてくる。それと同時に弾幕を放つ非常に苛烈な攻撃をしてきた。これにはさすがの射命丸も被弾してしまう

 

「くっさすがは霊夢さんですね・・・」

 

しかし彼女はそれでも諦めずに撮り続けた。これがジャーナリストとしての意地なのだろうか。そして何とか凌ぎきり、十分写真を取った後、持ち前の飛行高速移動で一目散に逃げだした

 

「あ!!こら待ちなさい!!」

 

といって追いかけたが、結局は逃げられてしまうのだった

 

 

~妖怪の山~

 

「くう~先を越されたわ!!とうとう博麗の巫女までやってしまうなんて」

 

文の執筆している文々。新聞を読んで悔しがる天狗が一人いた。彼女の名は姫海棠はたて。「花果子念報」という新聞を執筆している天狗であり、射命丸文のライバルである。彼女は「念写をする程度の能力」を使ってガラケーの形をしたカメラにキーワードを打ち込むとそれにちなんだ写真が見つかるというもので、わざわざ外に行かないで済むのだ。しかしそれ故に写真はどこかで見たことのあるものばかりで新鮮味に欠けるため人気はあまり出ていないのが現状だ。そんな彼女は文と対抗するため自身も行動を起こし、文と同じく弾幕を撮影しまわっていた。しかし今回はその中でも特ダネの一つともいえる博麗の巫女こと博麗霊夢の写真を先を越されてしまったのだ。はたても妖怪の山に住む巫女、東風谷早苗の写真を撮ることに成功したが、文は既に霧雨魔理沙の分も写真を撮っていた。彼女も秘かに狙ってはいたが先を越される。しかしまだもう一つ、最上級の特ダネが残っていた

 

「こうなったらあの人間に会いに行くしかないわね。いざってときのためにあの人間の勤務時間は調査しておいて助かったわ。流石に勤務中で人里内でさせるわけにもいかないし」

 

そしてその時はもう迫っていた。はたては大急ぎでその人物に会いに行くのだった

 

 

~自宅前~

 

俺は今日の勤務を終えて自宅に戻ってきた。今日も平和な一日だった。俺は夕食を食べて少し修行してさっさと寝るかと思っていたのだが

 

「はあ・・・とうとう来たか」

 

俺は向きを変えて軽めの「はどうだん」を発射した。放った相手は突然の攻撃で慌てていたが

 

パシャ!! 

 

シャッター音が鳴り響くと同時に「はどうだん」は消滅してしまった。一種の力試しとして発射したのだが、とりあえず最低限の力量はあるらしい

 

「今のってあなたが持つ波導よね?音をたてないように真後ろから来たというのにあっさり気づくなんて」

「お前ははたてという名前の天狗だったよね?」

「あら。どうして知っているのかしら?初対面のはずだけど」

「早苗から聞いたよ。弾幕の写真を撮って回ってるそうじゃないか」

「そこまで知っているなら話は早いわ。さあ!!ネタとして取らせてもらうわよ!!」

取材「姫海棠はたての練習取材」

 

するとはたての周りの大量の青い弾幕が放たれる。密度はなかなかだが躱すことは難しくないが、はたてはガラケーをこちらに向ける。俺は急いで回避行動をとる。またシャッター音が鳴ったがはたての弾幕は消滅しなかった

 

(相手の弾幕は消滅させるけど自分の物は出来ないようになっているのか・・・厄介だな)

 

まあでも逆を言えばそれに頼りっきりな面があるともいえる。おれはスペルカードを取り出し

 

次元乱撃「いじげんラッシュ」

 

これはフーパの能力を使用したものだ。6つのリングから巨大な拳の猛ラッシュに小型の「サイコショック」、「あくのはどう」の猛襲を仕掛けるスペルだ。リングはいろんなところへと移動し続け、常にあらゆる角度を警戒する必要のある弾幕だ

 

「うわわわ。なんて弾幕放って来るのよ!!さすがは幻想郷最強と謳われるだけあるってわけ!?」

(まあゲームでは必中技とまで呼ばれている技だし、それにいろいろ魔改造したものだからね。まあ弾幕ごっこ用にちゃんと避けれるようにはしていてパターン化はしているし)

 

しかし初見なら今の霊夢や魔理沙クラスでもないと攻略は難しいレベルには仕上げてはいる。そう簡単にクリア出来たら面白くないし、手加減用もあるけど今回は状況が状況なのでやや本気にしている。それに今回はおまけを一つだけつけている

 

「さしおさえ」

 

と俺が宣言すると同時にはたては紫色のオーラのようなものに包まれた。はたては気味悪がっていたが、この弾幕の前に集中力を切らしたら当たりに行くようなものなので、気にするのを止めて取材を続行した。しかし弾幕はどんどん激しくなってついに追い詰められる。はたては回避も兼ねてカメラで写真を撮ろうとしたが

 

「えっうそ!?カメラが動かない!!」

「よそ見していいのか?」

「はっ!しまっ・・キャー!!」

ピチューン!!

 

はたては敢え無く被弾した。そしてさらに苛烈な攻撃を対処できず、二回、三回と被弾して弾幕ごっこは終了した。俺は「さしおさえ」ではたてのカメラの使用を禁止したのだ。こういう道具だよりの相手には抜群の効果を発揮する。豊姫との戦いにも貢献した技だ。でも今回は弾幕ごっこのためちゃんと宣言はした。ルール違反はしていないはずである。制限系は暗くして視界を奪ったり時を止めていたりするんだし大丈夫だろう。その後俺ははたてに「いやしのはどう」をかけて傷を治した

 

「うう・・・やはり一筋縄ではいかないようね。カメラの使用まで封じられるなんて・・・」

「まあそう簡単にさせるほど甘くはないさ・・・もう一人いるようですが」

「・・・まさか」

「あやや、やっぱりバレてますか。能力で周りの空気を斬って伝わりにくくしましたのに」

「逆を言えばその方向に何者かがいるということくらいはわかるんじゃないか?」

「あ~なるほど」

「やっぱりあんたも狙っていたのね」

「ふふふ。まだまだ青いわね。私がわざと遅れたのはあんたが挑むのを待っていたんですから」

「え?それはどういう・・」

「なるほどそういうことか。これは迂闊だったな」

「はっ!ま・まさかあんた私が弾幕ごっこしている時に放たれる弾幕を影から撮影してたってこと!?」

「正解でーす。まあ実際にやって目の前で撮る方がいいんですけど、真聡さん相手じゃ至難の技なのでね。うまくいったわ。それに別のいいネタを手にいれたしね。視点を変えることも大切だと改めて学んだわ」

「うう・・・」

「普段家に引き籠って念写に頼ってばかりだからこうなるのよ」

「何ですって!!あんたも被写体はいいけど肝心の記事が酷いじゃない!!取材を活かすには推敲を重ねた記事が必要なのよ」

「記事の内容など、事件の質の前ではふきとんでしまう。本当に興味を惹く記事は、写真と見出しだけでほぼ9割の人は満足するのが現実よ」

「それでは記事を書く意味がないじゃない」

「記事で意味があるのは文字数くらいね。字数が規模を表すバロメーターなの」

「ふん、文はそんなんだからいつまで経っても・・・」

「喧嘩は他所でやってくれ」

ヒュン・・・

 

俺は二人を「テレポート」で妖怪の山に送った。自宅の前で騒がれても迷惑なだけだ

 

「やれやれ困ったものだよ。まあ今回は文さんの作戦勝ちかな」

 

そうつぶやきながら家に戻るのだった

 

次の日、文々。新聞が掲載されてきた。何か妙に売れるのが早い。俺はとりあえず手に入れて読んでみると俺の弾幕の写真が載っていた。しかもよく見たらご丁寧にはたてさんのスカートの中身がばっちり写っていた

 

「視点を変えることも大切とはそういうことか・・・抜け目ないなあ」

 

きっと今頃妖怪の山は二人の言い争いが起こっていることだろう。そしてはたてはますます文への対抗意識を持つに違いない

二人の対抗新聞同士(ダブルスポイラー)の争いはこれからも続きそうである

 

 




まあダブルスポイラー自体普段の日常と変わりませんからね。一話完結にしました

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。