携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

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先週友人と「君に決めた」を見に行きました。20周年に相応しい作品だったと思います


聴衆

~上空~

 

俺は今謎の空飛ぶ巨大船に向かった。UFOの犯人を捕まえたおかげで邪魔するものはいなくなった。あと少しで船に到着する

 

(こんな巨大な船を浮かせるとはな。仮にぬえの話が本当で僧侶を復活させることが目的だとしてもこんな巨大な船が必要なんだろうか?それとあの破片は何のために・・・)

 

そんなことを考えながら俺は船の甲板に降り立った

 

 

~飛行船・甲板~

 

「とりあえず誰かいるはずだから探すとするか」

 

俺はしばらく波導を頼りに探すことにした。僧侶を助けようとする連中ではあるが、妖怪だ。話が分かるものだといいのだがと思いながら進む。波導で感知したところ4人いた。たった四人で動かせるものなのかと思ったがエンジンとかの類はないし、霊力や妖力とかで動かしているのかもしれない。だが、実のところそのうち一人に周りとは性質の違う波導があった。まあひとまずそれは置いておいた。4人とも丁度一か所に集まっているようだ。やがて人影を見つけた確かに4人いた。とりあえずここは堂々と声をかけた

 

「あなた方がこの船の船員で間違いないですね?」

「「「「!?」」」」

「し・侵入者!?」

 

いきなりで驚いたらしい。まあ無理もないだろう。そもそもこんな巨大な船にたった四人しかいないのだ。ス〇ークとかじゃなくても潜入は簡単だろう。するとそのうちのリーダーと思わしき女性が口を開いた。容姿は金髪のショートでオレンジ色の蓮のような髪飾りで何というか虎を思わせる感じだった

 

「一体何の御用ですか?」

「いきなり大空にこんな巨大な船が飛んでいたので調査に来たんですよ。あなた方は一体何が目的なのかを聞きたいのです。悪さをするためならばこちらとしてもそれなりの対処をしないといけませんがどうなんでしょうか?」

 

と答えた。そしてその後

 

「それとこの中でムラサという妖怪はいますか?」

「「「!?」」」

「わ・私だけど・・・」

 

するとセーラー服のような服を着た少女が名乗り出た。身の丈以上ある大きな錨を持っていた。俺はその後リングを取り出してそしてその中から先ほど異空間に閉じ込めたぬえを呼び出した

 

「え!?」

「ぬ・ぬえ!?」

 

その光景には四人とも驚いていた。何故なら何の変哲もない輪っかからいきなり妖怪が現れたのだから無理もない

 

「ここに来る前に「飛倉の破片」とかいうものに細工をしてばら撒いていた犯人を捕まえました。そして彼女からムラサという妖怪が僧侶を復活させようとしていることを聞いたんですよ。お聞きしますがそれで間違いありませんね?」

「え、ええ」

 

どうやら本当だったようだ。となると別に悪さをするためではなさそうである。しかし

 

「なあムラサ。どうして人間の僧侶なんてよみがえらせようとするんだよ?あたしらを封印したのはその人間どもだぞ」

「確かにそうだけど聖は違うわ。私たちにとって聖は大恩人なのよ」

「どういうことなんだよ」

 

とぬえが聞き返した。俺としても事情を知りたいので「話してくれないか?」と頼んだ

 

話によるとその僧侶の名前は聖白蓮というらしい。かつて命蓮という伝説の僧侶がいた。彼女は命蓮の姉であり、彼から法力を学んでいた。しかしその命蓮が死んで彼女は死を極端に恐れて魔力と妖力にも手を染めて若返りの力を手に入れて若返ったという。表向きは人々から妖怪退治を依頼されて信頼されていたが、裏では妖力を維持するために妖怪たちを助けていたらしい。しかし妖怪たちが不当な迫害を受けていることを知っていくうちに妖力を維持するためだけではなく、本心から妖怪たちを助けてあげたいと思うようになったようだ。ムラサたちはその時に助けられた妖怪たちであるとのこと。しかしそれが人々にバレて彼女は魔界に封印され、ムラサ達も地底に封印されてしまったのである

先程俺に話しかけてきた女性は寅丸星という方でそのあとは妖怪であることを隠して毘沙門天として寺に留まっていたが、何百年の時が流れて寺はすっかり荒廃してしまったらしい。しかしぬえと同じく間欠泉によってムラサ達は復活して再会。そしてそれから聖を開放することを決行したとのことだ

そして聖は妖怪も人間も平等に扱う人物であり、妖怪たちにとってもいい存在であることが分かった。それを聞いてぬえは後悔したようで謝罪していた

 

「事情は分かりました。どうやら君たちは悪さをしないようだから安心しましたよ。ここで会ったのも何かの縁です。俺もよければその復活に協力させていただけますか?」

「え?いいんですか?」

「構いませんよ。あなた方はどうやら悪い妖怪ではないようですし。それとぬえから聞きましたけどこの破片が必要なんですよね?」

「はい」

「でもそれだけじゃまだ足りないわね」

 

と今度はセミロングの空色の髪をした尼さんのような人が話し出した。近くにピンク色の雲みたいな老人男性がいた。しかし腕と顔だけで胴体らしい部分がない。どうやら謎の波動の正体はこれによるものらしい

 

「ナズーリンの方はどうですか?」

「残念だけどあまり集まらなかっったよ。あちこちに飛び回って集めるのが大変でね」

「そうですか」

 

どうやらナズーリンとかいうグレーのセミロングに深紅の瞳をしたねずみのような少女も「飛倉の破片」を集めていたらしいが成果は乏しいようだ。そこで俺は

 

「じゃあ今からそれをここに集めますよ」

 

と言った後おれはバックから「フーパのリング」を取り出した。そして「飛倉の破片」を取り寄せるように念じたすると中から大量の「飛倉の破片」が出てきた。ぬえの能力はすでに解除されているようでただの破片に戻っていた

 

「す、すごい!!」

「あたしもさっきあれに閉じこめられたんだよな・・・」

 

厳密にいうとそれは違う。俺が今使ったのは最初からあったアイテムの方だ。フーパの力でもいいのだが、フーパは幻のポケモンで戦闘能力も禁止伝説に匹敵する。だから体力の消費がちょっと激しいのだ。アイテムの方なら体力は使わないし、生物じゃなければ大丈夫なのだ。だから基本的に俺はこちらの方を使う

 

「これでどうですか?」

「これだけあればもう十分です。本当にありがとうございます。そういえばまだお名前をお聞きしていませんでしたね」

「そうでしたね。これは失礼しました。俺は木戸真聡というものです」

「その名前知ってる!!こいつがそうか!!最近騒がせている人間って」

「月人も倒して今では幻想郷最強と名高いという・・・」

「そんな凄い方だったんですか」

「いやいやそんなお恥ずかしい」

 

その後ここにいる妖怪たちと話しているうちに彼女たちと馴染んでいった。しばらくするとムラサこと村紗水蜜が慌てた様子でやってきた

 

「今こっちに3人ほど向かってきてるよ!!」

「何ですって!?」

 

と周りがどよめき始める。しかし俺はその向かってくる者たちが誰なのかは大体想像がついていた。だから俺は

 

「じゃあ俺が行ってきますよ。多分俺の知り合いでしょうからね」

 

そう言って俺は外に出た。すると案の定、ここに向かってきたのは霊夢と魔理沙と早苗だった。俺は空を飛んで近づいていき

 

「おーい!!」

「あっあれは」

「真聡じゃないか」

「やっぱり来ていたんですね」

 

俺たちは合流したが、霊夢が

 

「なんで船から出てきたのかしら?まさかあんたがこの異変の首謀者なの?」

「そんなわけないだろ。それにこの船にいる妖怪たちは悪さをするつもりはないようだよ」

「どういうことなんだぜ」

「それはな・・・」

 

俺は三人に事情を説明した。早苗は知っているようだが、知らないふりをして神奈子たちに言われて一応やってきたというところのようだ。それを聞いて霊夢は

 

「なんだ。せっかく宝船だと思って期待していたのに」

「お前な・・・」

 

なんというか彼女らしい動機だ。本当にこいつは巫女なんだろうかとつくづく思う。それを知って霊夢は帰ろうとしたが

 

「なあ真聡。一つ頼みごとがあるんだけどいいか?」

「何だ?」

「せっかく今こうして対峙する形になったんだし、ちょっと弾幕ごっこの相手をしてくれないか?」

「何だって?」

 

何と魔理沙が弾幕ごっこがしたいと言い出したのだ。予想外の要望に少し困惑する

 

「あんたそいつ私たちを圧倒したあの依姫を姉ごと倒したのよ。わかってるの?」

「もちろんだ。私も勝てるとは思ってないぜ。でも前に戦って引き分けに終わったし、私だって真聡の修行部屋で強くなったつもりだ。だからお前とどうしてもまた戦いたいんだぜ」

 

いつになく真剣な眼差しで俺に言ってきた。こうなれば俺も引くような真似は出来ない

 

「いいだろう。あの時の決着をつけようじゃないか」

「!!・・・へへ。ありがとうな」

 

霊夢と早苗はその場を離れて見守ることにした。そして今久しぶりの魔理沙との弾幕ごっこが始まろうとするのだった

 


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