携帯獣の能力を宿す者の幻想伝 作:幕の内
妖怪を二体倒し、俺はさっきの二人組に会いに行った。二人組の近くには慧音さんもいた。すると少女が俺にお礼を言った。
「先程は助けていただき本当にありがとうございました。あのままでは私は今頃妖怪の餌になっておりました」
『貴殿の名は慧音殿から聞きました。真聡殿、阿求様を助けていていただき誠にかたじけなく存じます』
『私からも礼を言わせてくれ。私の大切な知人を助けてくれて本当にありがとう」
と慧音さんまでお礼を言ってきた。この少女とは知り合いのようだ。少女の身なりからすると名家の令嬢だろうか
「いえいえ当然のことをしたまでですよ。とにかく無事で何よりです。そういえばあの時は言えませんでしたがお怪我はありませんでしたか?」
「ご心配なく。私たちは大丈夫です」
まあとにかく二人とも無事のようで何よりだ。
「申し遅れました。私は稗田阿求と申します」
『私はお付きの
と挨拶をしてきた。そのとき
「稗田阿求・・・てことはまさかこの本の著者は貴方なんですか?」
と言いながら鈴奈庵で借りた「幻想郷縁起」をとりだした。すると
「はい。拙著ながら私が書いたものです。」
「そうなんですか」
正直驚いた。まだすべて読んだわけではないが、パッと見てもあの本は非常に鮮明に書かれていた。それをこんな幼い子が書いたというのだから驚きだ。
それからしばらく雑談をした。、阿求の家系は代々幻想郷の妖怪についてなどを「幻想郷縁起」に編纂しているらしい。阿求はその当主の九代目に当たるそうで、なんと千年以上前から転生を繰り返しているらしい。やはりこの子もただ者ではなかったようだ。それと慧音さん曰く寺子屋の資料の大半は稗田家が纏めたものを使っているらしく、そこから親交があるとのことだ。
そうこう話していると突然男性の声が聞こえてきた。振り返るとさっき俺を追い出した自警団の男性だった
「君は木戸真敏君、だったね」
「はい。そうですけど」
すると、男性は深々と頭を下げてこういった。
「先ほどはガキだの子供の遊びじゃないなど無礼な発言ばかりして本当にすまなかった。君がいなければ稗田の家のご令嬢を失うところだったし、狙われたのが他の市民であっても多くの犠牲が出かねなかった。あれだけ無礼な発言をしといて今更手のひらを反すようなものだが、どうか自警団に入ってくれないだろうか?君が入れば大変心強い。どうか、頼む」
と俺に謝罪をし、自警団に入ってくれないかと頼んできた。正直あの時はむかついたし、あの時とは言葉遣いが変わっていて少し困惑している。しかし謝罪の態度には誠意を感じられた。それに阿求さんだけではなく人里の住人のことも気にかけていた。だから俺は少しの間考えたが・・・
「わかりました。俺でよければお力になりましょう」
「そうかね。先ほどは本当にすまなかった。そして本当にありがとう」
こうして俺は自警団に入ることになった。俺は阿求と柴さん、慧音さんに別れの言葉を言い、早速本部で入隊手続きをするために戻ろうとすると・・・
「あの~ちょっといいですか?」
といきなり女性の声が上空から聞こえた。すると白い半袖のシャツと赤い山伏帽子をかぶった女性が空から降りて現れた。後ろには黒い翼がついていた。
「あの。何かご用ですか?」
「私は「文々。新聞」を出版しております、新聞記者の射命丸文と申します。」
この人は・・・いやおそらく妖怪、それも烏天狗だろう。幻想郷では天狗たちが主に報道を担当していると書いてあったはずだ。そして個人で新聞を発行しているらしい。
となるともしかして・・・
「単刀直入に申します。よろしければあなたのこと取材させてもらってもよろしいですか?」
やっぱりか。しかしインタビューなんてしたことがない。それに新聞に掲載されるだろうし、あまり自警団の方を待たせるわけにも・・・
「時間はそこまで取りませんからどうか!」
と俺に迫ってくる。先程の男性に聞いてみたが別に構わないとのことだ。
・・・・まあいっか。
「じゃあ少しだけなら」
「そうこなくては!ありがとうございます。ではまずお名前から・・・」
そのあと約20分近くにわたる取材が行われた。そのあと文さんはすごいスピードで空を飛んで行った。・・・ピジョットとどっちが早いのだろうか?
そのあと俺は入団の申し込みをした。こうして俺は自警団の一員となったのである
今回登場した柴真棋士さんは自分が即興で作ったオリキャラです。
ちなみに名前の由来はカントー四天王のシバとノモセジムのジムリーダーのマキシを組み合わせただけです。理由はこの人はかなり武芸には秀でているという設定で格闘家系のキャラからとりました。