お風呂場に突然、漆黒の嫌われ者『G』が出現しました。
どうしますか?
(別にアンケートじゃありません。それぞれに脳内で勝手に妄想してください)
山本さんが運転する車に揺られて、俺は帰路についている。
後部座席に座っているが、俺の隣にはピーノが一緒に座っている。
なんでか手を繋いだまま。
「千夏ちゃん。今日はお姉さんは家にいるのかい?」
「恐らく。週一で家に帰るようにしているらしくて、今日が丁度その日なんです」
「そうか」
やっぱり……話さなくちゃいけないんだよな…。
「ところで……」
「ん?」
「どうしてピーノはさっきからずっと俺の手を握ってるの?」
「なんとなく」
なんとなくかい。
せめて何か意味が欲しかった。
「自分で話すかい?」
「それは……」
「辛いなら、俺から話してもいいんだが……」
「いえ……自分で話します。しなくちゃいけないんです」
例え何を言われようとも、それは仕方のない事だ。
どんな言葉であっても受け入れてやる。
「……君は強いな」
「そんな事は無いですよ」
俺は臆病で、脆弱で、情けない唯の人間だ。
自分の身一つすら満足に守れない。
いくら専用機を手に入れても、何にも変わらなかった。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
家につく頃は日が傾き始めていて、空が赤くなっていた。
「ただいま」
いつものようにドアを開けると、玄関には一夏の他にも姉さんの靴があった。
どうやら、ちゃんと帰ってきているようだ。
「お、千夏姉。おかえり」
「ん」
俺の帰宅に気が付いた一夏がやって来たが、俺の後ろにいる二人を見て固まってしまった。
「ち……ち……ち……ち……」
お……おい?
「千夏姉が男を家に連れてきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
一夏の大声に反応して、姉さんも奥からやって来た。
寛いでいたのか、Tシャツにジーパンと言った格好で、その手には缶ビールが握られている。
「大声出すなよ。近所迷惑だろ」
「なっ!? 片方は年上で、もう片方は外国人だと!?」
「おい」
聞けやコラ。
「……賑やかな家族だな」
「お恥ずかしい限りです……」
「僕はいいと思うけどね」
そう言ったピーノの顔は、少しだけ愁いに満ちていたように見えた。
なんかもう収集が付きそうにないので、半ば無理矢理に近い形で二人を中に入れた。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「えっと……お茶です」
「すまんな」
「ありがとう」
リビングのテーブルにてそれぞれに向き合う俺達。
一夏と姉さんが一緒に座り、その反対側に俺とピーノと山本さんが座っている。
「で? 実際にその二人は誰なんだ? 返答次第によっては……!」
まだ言ってるんかい。
「ず……随分と溺愛されてるんだな……」
「当然だ! 私の目が黒いうちは千夏を嫁になんぞ絶対に出させん!!」
いや……そもそも俺って結婚できるのか?
だって、こんな体だぞ?
「取り敢えずは自己紹介だな」
「ですね」
じゃないと、何時まで経っても話が先に進まない。
「俺は山本信彦。貴女もよく知っている松川芳美と付き合っている者です」
「山本?お前……いや、貴方が芳美の言っていた『信彦さん』か……」
あ、名前だけは知っていたのか。
「松川さんの彼氏か……よかった……」
なにが?
「僕はピノッキオ。訳あってこんな名前を名乗っているけど、決してふざけている訳じゃないから」
「そ……そうか……」
まぁ、最初はそんな反応だよな。
「こいつは俺の所で預かっていてな。悪い奴じゃないのは保証する」
マフィアだけどね。
でも、信用は出来ると思う。
「私は……」
「それは大丈夫だ。アンタの事は誰もが知っているだろう」
「有名人だしね」
モンドグロッソの優勝者だしね。
世界的有名人だろう。
「そっちが弟の一夏君か」
「俺の事も?」
「千夏ちゃんから聞いていたからな」
そういや、ここに来るまでに話したっけ。
「そんな二人がこの家に一体何の用だ?千夏が一緒の所を見る限り、千夏に関係する事は確実だろうが…」
「うん……」
分かってはいても、やっぱり言い難いな…。
「大丈夫か?」
「はい……」
もしかしたら、ここが俺の人生で一番の勇気を振り絞る場面かも知れない…!
「千夏?」
「マジでどうしたんだ?」
「じ……実は……」
気まずさが場を支配する中、俺は静かに話し始めた。
今までずっと二人に黙っていた……いや、黙らずを得なかったことを……。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「なんだよそれ……」
「……………」
全てを話し終えた後、リビングは静寂に包まれた。
「なんなんだよ! それは!!」
バンッ! とテーブルを叩きながら一夏がいきなり立ち上がった。
「千夏姉があの野郎に辱められてたって……なんでっ!!」
「一夏……」
「アンタ等もどうして止めてくれなかったんだよ!! そうすれば……」
「一夏!!!」
……っ! 姉さん……。
「言いたいことは分かるが、まずは座れ」
「でも!」
「二度も同じ事を言わせる気か?」
「………分かったよ…」
姉さんの睨みに屈して、一夏は渋々と言った感じで座り直した。
「君の言葉はもっともだ。本当に情けない限りだ……!」
山本さんも悔しそうに拳を握りしめている。
それは姉さんも同様で、同時に唇を噛み締めている。
「俺達の事は幾ら責めてくれても構わない。だが、千夏ちゃんが黙っていた事だけは許してあげてくれ」
「何故だ……?」
「この子は……脅されていたんだ」
「なに?」
あ……それも言っちゃうんだ…。
「『自分達が千夏ちゃんを凌辱したことを誰かに言ったりしたら、家族がどうなっても知らないぞ』……とな」
「「!!!」」
姉さんと一夏が今までで一番の驚きを見せた。
こんな顔をさせてしまう自分が憎くて仕方が無い。
「千冬さん。アンタ…代表を引退したんだって?」
「あ……ああ」
「そ…・・・そうなのか!?」
「あのままIS操縦者を続けていたら、またお前達の身を危険に晒してしまうと思ってな……」
「だが、立場上はアンタはまだ日本の所属となっている……だな?」
「そうなる…・・・な」
「どうやら、アイツ等はそれを利用しようとしたようでな。『大島』がアンタの引退の事も千夏ちゃんに話したらしい」
「そんな……」
本当なら目を逸らしたい。
けど、それは絶対に許されない。
これは紛れもなく俺の『罪』であり『罰』だから。
自分の弟の事を苗字で呼ぶって事は、彼なりの決別の証なのかもしれない。
「私はまた……千夏を……」
「姉さんは何も悪くない。これは俺が……」
「千夏も悪くないよ」
「ピーノ?」
いきなり何を……。
「悪いのは全てあの親子だ。君は何も悪くない」
「そうだぜ千夏姉! 千夏姉は寧ろ犠牲者じゃないか!!」
「一夏……ピーノ……」
二人共……。
「いい弟さんですね」
「ええ」
鈍感な所が玉に瑕だけどな。
「こうして話した以上、その二人にはそれ相応の報復をするんだろうな?」
「勿論だ。俺が最も世話になっているお人がなんとかする手筈になっている。それにはIS委員会の委員長も一枚噛むことになっている」
「委員長もだと!?」
「その委員長は、このピーノの育ての親でもある」
「「ええっ!?」」
うん、そりゃ驚くよな。
って言うか、自分達の正体については話さないのね。
妥当な判断だとは思うけど。
「おじさん達なら大丈夫だよ。だから、任せて欲しい」
「これを話したのは、動き出す前に千夏ちゃんの家族にも知らせる必要があると判断したからだ」
「そうか……済まない。ブリュンヒルデだとか世界最強だとか持て囃されても、当の私自身は妹一人守れない弱い人間だ…。世話を掛けてしまうな…」
「気にしないでくれ。こっちも自ら望んでやっていることだからな」
山本さんとしては、自分の家族の不始末を滅却するって言う意味も含まれてるんだろうな…。
「そうなると、もう日本支部も終わりか……」
「いや、そうはならないかもしれない」
「なんだと?」
「アイツ等を排除した後に、もっと相応しい人物が支部長に就任する事になっている。正式な発表はまだ先だろうがな」
そう言えば、そんな事を言っていたな。
確か…あの組長さんだっけ?
少なくとも、あのクソ野郎よりは100倍マシだな。
「千夏はどうなる?まだ続けるのか?」
「俺は……」
あの親子に乗せられるような形でIS操縦者になったけど、今更やめたいとは思わない。
何故なら……
「確かに嫌な事も沢山あったけど、それと同じぐらいに嬉しい事も沢山あった。何より、あの訓練所で得たものは絶対に手放したくない。あそこには俺の…大切な『友達』がいるから」
こんな形で簪達と別れるのは絶対に嫌だ。
いずれ別れるとしても、ちゃんとした別れをしたい。
「そうか…。千夏もそんな事を言うようになったんだな……」
俺だって成長してますから。
「分かった。そこまで言うのならば、私は何も言わない。とことんまでやって見せろ」
「勿論」
姉さんなら、そう言ってくれると思っていたよ。
「千夏姉の決意は固いんだな…」
「うん」
「なら、俺も千夏姉を応援するよ。俺に出来る事なんてそれぐらいだけど」
「そうでもないんじゃないかな?」
「え?」
今日のピーノはよく喋るな…。
「家族の存在ってかなり大事だと思うよ。こうして一緒にいるだけで、千夏は安心できると思う」
「そう…かな?」
「そうだよ」
よもや、ピーノが一夏を慰める光景を見られるとは……。
「これからは俺も千夏ちゃんの様子を見る為に、暇を見つけては訓練所に足を運ぶつもりだ」
「そうですか……」
「それと、このピーノが千夏ちゃんの護衛につく事にもなったしな」
「ご…護衛?」
「念の為に…な」
本当は委員長さんのおせっかいに近いけどね。
「それは有難いし、疑う訳ではないが……大丈夫なのか?」
「心配は無用だ。こう見えてもピーノはかなりの修羅場を何回も潜り抜けている。ISは操縦出来ないが、対人戦闘ならば間違いなく頼りになる」
マジですか……。
大人しそうな顔をして、山本さんにそこまで言わせるとは……。
「じゃあ、そろそろ行くとするか。報告すべき事は言ったしな」
「ですね」
もう行ってしまうのか…。
「長居しちまったようで悪かった」
「いや…こうして話してくれて助かった。知らせてくれなければ、また私は後悔するところだっただろう」
後悔……か。
「あの……さっきはすいませんでした!感情的になってバカみたいな事を言って…」
「気にしてねぇよ。家族が酷い目に遭ったと知ったら、誰だって激昂するさ」
マジで『漢』だよな……山本さんって。
これが任侠に生きる人間か…。
「それじゃあ、邪魔したな」
「お休み、千夏」
「う…うん。またな…ピーノ…」
こうして、最終的には何とも言えない空気になってから、話は終わった。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「千夏……」
「姉さん?」
二人が去ってから、姉さんが俺の傍までやって来た。
「済まない……」
「ふぁ?」
いきなり抱きしめられた。
急にどうした?
「お前達に迷惑を掛けない為に代表を辞めたのに……結果としてお前に一生消えない傷を負わせてしまった……。本当に済まない……」
「……謝らないでくれ。俺がもうちょっとしっかりしていたら、こうはならなかったんだ。俺の不甲斐無さが招いた結果だよ。寧ろ、姉さん達に辛い思いをさせてしまった自分が憎いぐらいだ……」
俺が油断さえしなければ、大島に好きにさせなかったのに…。
「さっきも言っていたけど、千夏姉はマジで悪くねぇよ。全部はアイツ等が悪いんだろ?」
「そうかもしれないけど……」
後悔の念は拭えないな…。
「とにかく、これからは今まで以上に色々と話し合おう」
「うん」
「ああ」
皮肉だけど、家族の絆は深まったかもしれない。
「それで千夏。それとは別に聞きたいことがある」
「何?」
「あのピノッキオとか言う青年とはどう言う関係だ?」
「はい?」
なんでそこで彼の話になる?
「もしかして……自覚が無かったのか?」
「なにが?」
「さっきの話の最中、彼が話す度にお前がジッと見ていたことだ」
「えぇ?」
そ……そうだったか?
見てはいたかもしれないけど、完全に無意識だった…。
「そうだったか?」
「「お前にその手の話は期待してない」」
「二人揃って!?」
鈍感星人が何を言うかな。
「まぁ、見た感じでは誠実そうな青年だったが、まだ交際は認めんぞ! 千夏にはまだ早い! まずは『お友達』から始めろ! いいな!?」
「……さっきまでのシリアスを返してください」
あぁ~…シリアスな空気が家の外に逃げていく~。
「いや…ピーノとは今日知り合ったばかりで、そんな風に思った事は……」
大体、俺は前に鈴に告白されたし、それ以前に、何度も言うようであれだけどさ…こんな体をしていても、間違いなく性別上は俺は『男』だから!
そんな俺が同じ男に恋心を抱くなんてことは……な…い……。
「あれ?」
じゃあ、なんで俺はピーノと一緒にいた時にあんなにも落ち着いてたんだ?
手を繋がれても不快じゃなかったし……。
(いやいやいやいや。マジで有り得ないから)
そうそう。そんな事絶対にないから。
俺にとってピーノは大事な『友達』
それでいいじゃん。
うん。決定。
「千夏姉……なんか焦ってないか?」
「そ…そう? 私は別にそんな事は無いけど? 一夏の気のせいじゃないかしら?」
「混乱の余り、一人称が『私』になってる上に女言葉になってるぞ…」
そ……そうか?
いや~……おかしいな~……ははは~。
「ち…千夏に春が……! 私よりも早く……」
いや、姉さんは容姿はいいんだから、後は生活能力と性格をもうちょっとお淑やかにすれば、絶対に世の男達は逃さないと思うんだけど……。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!! 千夏は私の嫁だぁぁぁぁぁぁぁ!! 誰にも渡さん!!!」
「「いきなり何を言ってるんだ、この人は」」
実の姉の百合宣言を聞いて、こっちはどうしろと?
「……取り敢えず一夏……ごはん」
「…だな」
一夏が夕飯の準備をする間、ずっと姉さんは俺に抱き着いていた。
心配してくれるのは本当に嬉しいが、問題発言だけはマジでやめて欲しい。
リアクションに困るから。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
山本とピノッキオが東友会の事務所に帰った後、ピノッキオは一人屋上でタバコを吸っていた。
「ふぅ~……」
年齢よりも若く見られがちな彼だが、普通にタバコも吸うし、車だって運転出来る。
周囲の人間達が思っている以上に彼は大人なのだ。
「織斑千夏……か」
今日初めて会った日本人の少女。
彼女と同じぐらいの少女にならば、仕事の関係上、沢山出会っている。
その殆どが彼の手によって既にあの世に逝っているが。
「不思議だな……。あの子の事が頭から離れない……」
今まで異性を意識した事のないピノッキオにとって、このような事は初めてだった。
見目麗しい女性には散々会ってきたが、そのいずれにも興味を示す事は無かった。
だが、何故か千夏だけは別だった。
余り見せない彼女の表情の変化や、一挙手一投足が全て目に焼き付いている。
「……ところでさ、何時までそこにいるつもり?」
ピノッキオがそっと屋上の入り口付近に話しかけると、そこの物陰から一人の女性が現れた。
「にゃはは……流石は噂に名高い『ピノッキオ』君だね。私の気配を一発で見破ってしまうなんて」
「そうでもないよ。最初は分からなかった。多分、何か動揺でもして気配が乱れたんじゃないの?」
「……君って本気で何者?」
「僕は僕さ」
出てきたのは、自らの事を『天才』と自称する科学者。
毎度おなじみの篠ノ之束だった。
彼女は謎の存在の拘束が解除された後、即座に千夏の様子を見る為に日本に来ていたのだ。
「それで? 世界的なお尋ね者でもある篠ノ之博士が僕に何の用なの?」
「なっちゃんの様子を見に来たの。でも、その過程で君にも興味が出てきちゃって」
「ふ~ん…。なっちゃん?」
「織斑千夏ちゃんの事」
「へぇ~」
基本的にピノッキオは束とよく似ている。
興味のない対象にはとことんまで無関心である。
それが彼なりの暗殺者としての矜持だ。
「君なら……なっちゃんを支えてあげられるかもしれない」
「そうかな?」
今の所、彼にとって千夏は唯の護衛対象に過ぎない……と思っている。
少なくとも、ピノッキオは自分の中に芽生えつつある感情に気が付いていない。
「お願い……誰よりも優しくて…儚いあの子の事を……守ってあげて……」
「言われなくてもやるよ。それが仕事だから」
「ふふ……今はそう言う事にしておくよ」
そう言う束の目は少しだけ潤んでいて、赤くなっていた。
「まさか、それだけを言う為にここまで来たの?」
「それもあるよ。けど、今回の本当の目的は…君にこれを渡すため」
束が服のポケットからある物を取り出した。
それは、『AMSF』と文字が掘られた赤いペンダントだった。
「これは?」
「いつの日か、なっちゃんを守ってくれる『騎士様』に渡そうと思って密かに用意していた物だよ。これであの子を守ってあげて」
「よく分かんないけど……分かったよ」
普段は最初から疑うピノッキオが、珍しく大人しく受け取った。
「随分と素直なんだね」
「色んな人間を見てきたから、自然と相手が嘘をついているか、その表情とかで分かるんだ。少なくとも、貴女は嘘はついてない」
「あはは……本当にチートだね…君」
「そう?」
自覚無き天才なんて、往々にしてこんな物である。
「じゃ、私はもう行くね。なっちゃんの事…よろしくお願いします」
「うん。任された」
束は自分が出てきた物陰へと戻っていき、そのまま姿を消した。
その様子をずっとピノッキオは見ていた。
恐らく、彼は今回の事を誰にも言うつもりはないだろう。
束が去って行った後、束から渡された物を見ていた。
「これ……本当になんなんだろう?」
今は何の関心も無いピノッキオだが、後に知る。
この時に束から渡された物が、千夏を守る最強の力になる事を。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
『もう終わりかな?』
『終わり終わり!』
『あの親子に』
『利用価値はもう無い』
『そろそろ切り捨てようか?』
『切り捨てよう!切り捨てよう!』
『でも』
『でも?』
『あの息子には最後に人柱になってもらおうか?』
『人柱?』
『あの馬鹿には何の才能も無いけど、生体パーツぐらいにはなるでしょう?』
『生体パーツ!生体パーツ!』
『でも、どうやってやろうか?』
『じゃあ、あの『天災』の人形を使おうか?』
『あの無人機の事?』
『奪うの?』
『アイツの造った物を使うなんて嫌だ!』
『じゃあ』
『じゃあ?』
『アップグレードした上で、コピーしちゃおう!』
『コピー!コピー!』
『早速始めよう!』
『そうしよう!そうしよう!』
前書きの私なりの答え。
ホースで水攻め。
因みに、前書きはノンフィクションです。
実際にありました。
その時ほど、自分の視力が悪くて良かったと思った時はありません。
なんせ、視界がぼやけるせいでGを直視せずに済みましたから。