セラフィムの学園   作:とんこつラーメン

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一応…リメイクです。

原型…微塵も無いけど。


序章 ~死にゆく運命の過ごし方~

『一寸先は闇』

 

この言葉を考えた人間は天才だと思う。

 

一時間後…いや、一分後、もとい、一秒後には何があるか分からない。

だから気を付けていきましょう。

 

今、『この状況』になって初めて、その言葉を意味を噛み締めた。

 

何故なら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の腹から血が溢れて止まらないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の俺はいつものように過ごしていた。

 

いつものように朝起きて、いつものように朝食を食べて、いつものように家を出た。

いつものようにバイトに行き、いつものように主任に怒られて、いつものようにバイトを終えた。

いつものようにバイト帰りにコンビニに寄って…寄って……

 

そこからおかしかった。

 

暗くなりかけている道を一人歩く。

 

別に人通りが少ない道を歩いている訳じゃない。

今日に限って人がいないだけだ…多分。

 

それなのに、背後からひしひしと気配が感じられた。

 

いや…気配と言うよりは視線と言った方が正しいか。

 

何とも言えない、まるで舐め回すかのような視線を感じるのだ。

 

そう言えば、少し前からずっと外出する度にこんな視線を感じていたっけ。

別に俺はなんとも思っていなかったから、敢えて無視していたけど。

 

今日もそんな感じで無視をする。

一々気にしていたらキリがない。

 

コンビニで買ったおにぎりを食べながら歩くと、急に喉が渇いてしまった。

今、俺の手元には飲み物が無い。

さっきコンビニにいた時は別に喉の渇きなんて無かった為、ドリンクの類を購入しなかったのだ。

 

「はぁ……」

 

思わずため息が出る。

こんな事なら、小さめのペットボトルに入ったお茶でも買っておけばよかった。

 

そんな小さな後悔を噛み締めながら歩いていると、ふと、陰で暗くなっている横道に丁度よく自販機があった。

 

勿論、俺はそこに向かって歩いていき、自販機でペットボトルのお茶を買う。

少し大きい気もするが、少ないよりはマシだ。

 

早速蓋を開けて飲もうとすると……

 

「ふ……ふふふ……。じ…自分からこんな場所に入るなんて……さ…誘っているのかい?」

 

いきなり、変態染みた声が後ろから響く。

反射的に声のした方を見るが、影になっていて良くは見えない。

分かるのは、相手が男で、見た感じ俺よりも年上、そして、太っている事。

男のボテ腹とか誰得だよ。

 

「い…今までずっと我慢してきたけど……もう限界だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

突然叫び出したと思ったら、その変態野郎に押し倒された。

押し倒された時に頭を強打して、凄く痛かった。

 

「痛っ……」

「はぁ~…はぁ~…!」

 

涎垂らしながらこっち見んな。

 

「こ……怖くないのかい?」

「さぁ?」

 

俺は昔からこうだ。

ゴキブリや百足が部屋に出た時は馬鹿みたいに驚く癖に、こんな風に本当のピンチや普通なら感情が爆発するような状況では表情筋がピクリとも動かない。

事実、俺は死んだ母親の葬式でも涙一つ流さなかった。

悲しみと言う感情も感じず、ただ普通に『ああ…死んだのか』ぐらいしか思わなかった。

 

「そ……そんな強がっている顔も可愛いよぉぉぉ…!」

 

別に強がっている訳じゃないんだけど。

 

俺の事を可愛いとか…。

 

確かに俺はよく男なのに女に間違われることがある。

俗世間的に言えば『男の娘』ってヤツらしい。

バイトの先輩が言っていた。

 

顔立ちはまさに女そのものらしく、面倒くさがって髪を切らずに伸ばしたのも女らしさに拍車をかけたんだろう。

だが、どんなに女っぽくても俺は男だ。

少なくとも男色の趣味は無い。

同じように襲われるなら、そんなデブ野郎じゃなくて美少女、もしくは美女が良かった。

こんな俺にだってまともな性欲ぐらいはある。

 

「そ……そう言えば……今日……僕が知らない男とは……話してたよね……?」

 

それって先輩の事か?

普通に雑談してただけなんだけど?

 

「駄目じゃないかぁぁぁ……。僕以外の男に近づいちゃ……」

「俺が誰と話そうが、俺の勝手だろ」

「そんな事を言っちゃうのかぁぁぁ……。じゃあ……」

 

男はポケットから包丁を取り出して、俺に向けた。

うん、なんとなくこの後の事が予想出来ます。

本音を言えば逃げたいけど、この野郎が滅茶苦茶重たいから逃げられない。

って言うか、さっきからずっと我慢してるけど、結構苦しいのよ?

 

「お仕置きしなくちゃねぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

極太の腕が振り下ろされて、その手に握られた包丁が俺の腹部に突き刺さる。

 

「ぐはっ……!?」

 

うわ~…刺された時って本当に『ぐはっ!?』って言っちゃうのか~。

 

「い……痛てぇ……!」

 

腹を刺されて『痛い』で済んでる俺って……。

 

「あ……ははは……ははははははははは!! 痛そうに顔を歪める君も可愛いよぉぉぉ!!!」

「うっさい……!」

 

つーか、こんだけこの馬鹿が叫んでるのに、なんで誰も気が付かないんだよ…!

 

「助けを期待しても無駄だよ。この時間帯のこの通りは殆ど人が通らないからね」

 

そうだったの?

初めて知ったんだけど。

 

くそ……なんとなくで普段通らない道を歩くんじゃなかった…。

 

「でゅふふ……さぁ……一つになろうか……」

「なに……を……」

「君も分かってるんじゃない?」

 

想像はしたくないけどな。

一応言っておくけど、俺はまだ童貞だぞ。

なのに、なんで童貞なのに処女を先に失わなきゃいけないんだよ…。

 

こっちが痛みで上手く動けないことをいい事に、こいつは調子に乗って俺のズボンを脱がしやがった。

勿論、下着も脱がされた。

 

「そ……そうだ。一度でいいからやってみたいことがあるんだった……」

 

なんだよ……!こちとら早く病院に行って腹の刺し傷をなんとかしたいんだよ…!

 

「今までも色んな子を犯してきたけど……」

 

けど? なんだよ?

 

「いっぺんでいいから……切り刻みながら犯ってみたかったんだよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

包丁が再び振り下ろされる。

 

「ぐぁ……!」

「あはははははははははははは!!!!」

「や……め……」

「ははははははははははははは!!!!」

 

体に何回も激しい痛みが走り、同時に何かが入るような異物感があった。

 

途端に意識が朦朧となって、痛みを遠く感じた。

 

このままでは絶対に死ぬ……そう思った瞬間、急に自分の最後を冷静に考えた。

 

(よりにもよって……デブで……不細工で……変態で……ホモで……サイコパスな最低野郎に薄暗い横道で強姦されて…これが俺の終わりかよ……)

 

その間も幾度となく衝撃が走るが、それもどこか他人事のように感じていた。

 

急に瞼が重くなって、眠気が襲ってきた。

 

ああ……これが『死ぬ』ってことか……。

 

出来れば、もうちょっとマシな死に方が良かったなぁ……。

 

例えば……。

 

最後にそんな事を考えながら俺の意識が無くなり、目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 

「……あれ?」

 

次に目が覚めた時、俺の視界には見た事の無い天井が見えた。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「せ……先生!! め……目を覚ましましたぁぁぁぁぁ!!!」

 

大声を上げながら看護婦と思わしき女性が走って行ってしまった。

 

(……なんなの?)

 

改めて天井を見る。

 

白くて綺麗で……清潔感に溢れている。

 

次に自分がいる場所を見てみる。

 

室内も清潔っぽくなっていて、視界には木製の小さな引き出しが見えた。

 

っていうか……。

 

(体が思うように動けない…?)

 

もしかして、俺が意識を失った後、あの変態野郎の事を偶然に通りがかった誰かがなんとかしてくれて、その後で俺を病院に運んでくれたのか?

 

もしもそうなら、その人にお礼を言いたい。言いたいけど……

 

(まずは身体が動かないとな……)

 

そう思って試しに手を動かしてみる。

 

すると、俺の目に映ったその手は……。

 

「……え?」

 

包帯だらけで分かりにくかったが、なんだか小さく感じた。

 

(どう言う事だ?視界がぶれて小さく見えるのか?)

 

目の事を考えて、自分の視界が狭く感じるのが分かった。

分かりやすく言うと、片目が塞がっている感じ。

 

今、分かっていることと言えば、自分がベットに寝ている事。

そして、俺の体に包帯が巻かれている事。

まぁ…どう考えてもあんな目に遭えば重症なのは間違いないから、これには大して驚いてはいないんだけど。

で、自分が病院のような場所にいる事。

 

現状出来る状況把握を済ませてから、俺はさっきの看護婦が戻ってくるのを待った。

 

彼女が戻って来たのは、それから10分ぐらい経ってからだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




果たしてこれを本当にリメイクと言っていいのか…。

IS要素が全く無いし…。

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