ソードアートBro's   作:名無しの権左衛門

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6話前編ができたので、投稿しました。
今回は、14,612文字です。


5:巡り廻って福と成す(後編)

5:巡り廻って福と成す(後編)

 

 今日の朝、ヒースクリフから25層フロアボス攻略の話が来る。

メールというもので来るのだが、それに従いクロガネシティに集まる。

その街は炭鉱の町で、非常に有名な場所だ。お金稼ぎしやすいっていう意味でだ。

 

「さて、皆集まってもらって助かるよ。説明は要らないと思うが、私はヒースクリフという。

 これより、25層フロアボス攻略会議を始める。

 と云っても、クォーターポイントのボスだ。

 非常に強い事を肝に銘じて頂きたい。

 

 私の絶対防御で一度防いだとしても、今後が続かなければ意味がない。

 よって自分の身は自分たちパーティで守れるような、精強な者でなければならない。

 これらを踏まえて、パーティ枠は1組8人の6分隊とする」

 

 ここから話がどんどんと進んでいく。

キリトは今回のテーマフラグ英雄とそのプレイヤーを知っているということで、

ヒースクリフに主砲扱いされる。

 

主砲はF隊。キリト・アスナ・アーロイ・シリカ・サトシ。

後はパーティに含まれない、機械獣とポケモンたち。

他のパーティにも、英雄が混じっている。

しかし絶対数が足りていない。

 

 そのような状態でも、テーマフラグ英雄がいるのといないのとでは勝敗の確立がかなり変動する。

今回は英雄がいて、そのフラグの一部を解放しているため、非常に有用であろう。

 

「では、諸君……進軍だ!」

「「「おおお!!」」」

 

 テンガン山西側から踏破し、開けられた壁画から登山開始。

滅茶苦茶寒い外壁を渡り、セーフポイントにくる。

この目の前にボス部屋がある。

別に扉があるわけではない、白い光で埋め尽くされている出入り口がそこにあるだけだ。

 

「最終点検をしてくれ。……では、行くぞ!」

 

 ゆっくりと皆がその光に入っていく。

そして皆が見るのは、廃墟という自然美と宗教観に塗れた人工的美だった。

ギリシャを思い浮かべるその神殿っぽい柱や建造物の破壊痕。

眼下に見える雲海。この史跡の中央から見える二つの台座。

 

「さぁて、出てくるか」

 

 二つの台座から、ナニカが出てくる。

左の台座からは青い光があふれ出てくる。

右の台座からは淡い桃の光があふれ出てくる。

 

 そしてあふれ出ているその場所は、裂けめがある。

その裂け目は徐々に大きくなり、そこからでてくる者に多くの者は美しさに目を奪われる。

 

「ディアルガ、じかんポケモン。パルキア、空間ポケモン」

 

 

 そして、最初の初見殺しが始まる。

ディアルガの胸中央にある、青い金剛石が青白い光を周囲に展開する。

その瞬間皆思考できる中、肉体が動かない事を知る。

次に来るのは、パルキアの両肩にある淡い桃色の白玉が白い光を周囲に散布させ、

パルキアの両腕が桃に光り腕を振るったと思うといつの間にか、周囲の48人中19人が消えていた。

 

「ひっ」

 

 逃げようとしたその者は、裂けた。

そう、物理的じゃない。空間的に裂けた。

HPゲージがはじけ飛び、ポリゴンもはじけ飛ぶ。

 

この光景をみて、慣れていない者は怖気づいてしまう。

そして、今まで死者を出してこなかった攻略組は、大量の死者を出してしまう事になる。

此れを持って確信する。

全滅覚悟でやらねば、やられると。

 

 そう、絶対防御なんてできなかったのだ。

下手すれば、此処にいる全員が死んでいた。

死んでいないのは、ただ腕試しとしてやっているからなのかただの油断なのか。

良くわからないが、確実性のある自信がそこにあるのだろう。

 

 おかげで主要戦力は残っている。

 

「ピナ、龍の波導」

「グルァァアアアア!!!」

 

 ピナは翠碧の光を放ち、実体化する。

そして二匹のボスが認識するよりも速く、パルキアに龍タイプの攻撃を叩きこんだ。

HPゲージが少し削れる。

現在のピナの技は、フィールドボスの時とは違うものになっている。

これはサトシに技マシンを貸してもらって、技をカスタマイズしたからだ。

 

 攻撃を受けたパルキアの瞳が鋭くなる。

パルキアは右腕を光らせ、そのまま振るう。

独特な聲を上げる。

この聲をとどろかせると、青白い光が周辺を照らす。

一瞬の出来事で、プレイヤーの動きが全て止まり形勢が逆転する。

 

(まずい!シリカが!)

 

 

パルキアの空間切断の刃は、シリカに向けて放たれる。

誰も動けない中、あるものが動く。

 

<幼い子が失われる。そんな悲しい事は起こさせるわけにはいかん>

 

 背中に雲と結晶のようなものをそびえさせる獣が、そのようにテレパシーで伝えてくる。

するとアルファベットを模したポケモンが出現し、謎の泡のようなものを作り上げる。

刃はその泡を透過し、泡の奥へ向かう。

泡は急速に拡大したので、シリカに向かう刃の攻撃線上の全ての仲間を守った。

 

 

「ピカチュウ、ボルテッカー!」

「ピカア!!」

 

 黄色い電気鼠ピカチュウが、高圧電流を纏ってパルキアにタックルを決める。

タックルの反動で怯むピカチュウに、ディアルガは即座に反応し額の上から流星群を発生させる。

其れは機関銃のように放たれた。

 

「ピッ!?」

 

 しかし突如出現したダム穴のようなものがピカチュウの足元に開いて、

そのまま彼をやぶれた世界に落とし込み、流星群は的を得られず地面に当たった。

 

そして今度は其れが、ディアルガの後ろと足元に開く。

後ろからピカチュウが飛び出し、電磁波を放って地上では鈍足なディアルガを麻痺させる。

足元からはギラティナが出現し、ディアルガをその6つの黄色い脚で捕え引きずり込んだ。

しかし抗うやつにミュウツーが向かい、波導弾で撃ち落とし自身もやぶれた世界へ行く。

 

 でてきたピカチュウは、元気にサトシの所に帰ってくる。

その時と同じくして、時の停止が終わる。

刹那……。

 

「お世話になったな、この大馬鹿野郎」

「人間嘗めんな、神様」

「生きる為なら何でもするぞ、バケモノめ」

 

 キリトや多くの男性プレイヤーが、パルキアに殴り込みをかける。

この時に左肩の白玉に少しヒビを入れる事に成功した。

それと同時に、桃色の覇気がパルキアを包む。

そして青白い弾丸を両手から放ってくる。

 即座にヒースクリフが指示を出して、タンクに反射を行わせる。

しかし逸らすだけで精いっぱいのようだ。

次に耐えているタンクに、パルキアが至近できてアクアテールを打ち付ける。

体力は赤へ減るが、直ぐに後退させアタッカーが囮になる。

 

「ソウトゥース、攪乱!」

 

 アスナが率いる最精鋭である機械獣を、パルキアに嗾ける。

 

 ソウトゥースとは、攻撃が肉弾戦しか出来ない虎型機械獣の事だ。

ネコ科であるため、動きがしなやかで人工筋肉を使った動きが非常に効率的だ。

彼等は目の前の龍を攪乱し、ヘイトを拡散する。

この間に陣形を直す。

 

もう少しで完成すると思ったら、パルキアの大地の力でヘイト分散していた虎型機械獣が全て破壊された。

 

「ピカチュウ、電光石火!」

「ピッ!」

 

 神速の域に達するピカチュウの攪乱と小さなダメージと衝突に、ぐらりとバランスを崩す龍。

これを好機とエンテイが咆哮を上げる。

彼の龍の足元やそこらの遺跡から、結晶の棘が出てきて押しつぶす。

其れと共に足場を作って、猿型機械獣『ジーニアスヘッド』が高速移動から結晶の投擲で龍の妨害をする。

 

「こっちだ、バケモン!」

「此方だ、パルキア」

「こっちが本命だ、神龍!」

 

 三位一体といえるその息の良さは、他者の追随を許さないほどだ。

三者は身動きの取れないパルキアを一斉攻撃し、その場から逃げ去る。

そのあとすぐに、アクアテールが来て彼等を追い払うようにするが、既に退避済みである。

 

 シリカや他のプレイヤーも攻撃をするが、突如空間が揺れる。

嫌な予感しかしない。

それは的中する。

 

ダム穴のようなやぶれた世界への出入り口が、蒼穹に開く。

そこからは、黒い煙に焚かれたディアルガがほぼ元気な状態で出てくる。

しかし自慢の胸の結晶は完全にひび割れてしまっている。

 

HPバーも10分の3を示している。

 最初はほぼ満載であったが、やぶれた世界でミュウツー・ギラティナ・シェイミ等味方にしたポケモンの攻撃で、

削りに削ったのだが時間停止によって大半が敗れてしまっていた。

そう、『ときのほうこう』で、一気にノックアウトしたのだ。

しかしその技を使うには、多大なエネルギーが必要で大きな隙を生む事が分かっている。

よって、絶対に勝てないとしたうえで行ったのは、金剛石の破壊・無力化だ。

 

 つまり、今のディアルガは時間停止を極短時間しか使用できず、且つときのほうこうを連射できないのだ。

更にパルキアも右肩の白玉を、ほぼ無力化されている。

よって空間切断攻撃も、あまり効力がなくなっている。

 

「『時空断裂閃』」

「え?」

 

 サトシが呟き、シリカがその呟きに反応したときプレイヤー二名とここら一帯が空間的消失を発生しだした。

この現象はアラモスタウンで見たのと同じである。

ディアルガは10分の3、パルキアは10分の4のHP。

これを削らないと、一定時間後にはここに居る全員が消える。

 

「シリカ、聞いてくれ。今から、ディアルガとパルキアの持つ宝玉を盗る」

「どういうことですか!?」

 

 サトシは世界の始まりの木で手に入れた、過去の遺品を取り出してシリカに渡す。

そして片方ずつ履く。

サトシは右手に、シリカは左手に。

 

 これは自分のHPを使って、ポケモンの技を使えるようになる伝説の装備。

今使えるのは、『龍の波導』『波導弾』『どろぼう』『はっけい』だ。

これの中で『どろぼう』を使えば、相手のポケモンの道具を奪い取ることができる。

しかし、自分の道具を持っていない事前提だ。

故に武器は装備できない。

伝説の装備は、リボンと同じような扱いだ。だから、大丈夫。

 

「そ、そんな。いきなり、そんな事って……」

「速度特化のシリカしかいないんだ。じゃないと、皆この世から消えてしまう!」

「わ、私はただの女の子ですよ?」

「皆ただの人間なんだ。必死に命を張って戦っている。

 一人で出来ることなんてたかが知れてる。だから、ここで形勢逆転の一手を打つんだ」

 

 シリカの肩を掴んで、その目を見る。

シリカはその強い瞳に惹かれるが、逸らしてしまいそうなくらい眩しい。

彼女は葛藤しているが、空間の端でプレイヤーの装備が空間に呑まれて消滅する様子を見て、

決心せざるをえなくなる。

 

「わ、わかりました」

「よし、いくぜ!」

「はい!」

 

 サトシは大声でキリト達に伝える。

 

「タゲとっててくれ!」

「! 打開策があるのか。アスナ、アーロイ!」

「ええ、行くわよ!」

「あと少しだ。諦めるわけにはいかない!」

 

 三人が前に行こうとすると、パルキアが周辺に大地の力を散布する。

攻撃範囲外だが、プレイヤーもつらくなってくる。

空間的に最初にこのやりのはしらにでてきた出入り口が、この世から抹消してしまう。

これに気づいたプレイヤー達は、死を覚悟し死兵と化す。

 

「「うわああああ!!」」

「待て、行くな!」

 

 取り乱し我を失ったプレイヤーは、もれなく突撃しディアルガの流星機関銃で抹殺される。

彼等を制止させようとしたヒースクリフは言葉を失う。

そんな彼の肩を叩くプレイヤーが一人。

 

「そう気に病むんじゃない、ヒースクリフ。

 俺達は人なんだ」

「ディアベル君……。そうだな、今は目の前の現実だ―――オーバーアシスト!『神聖剣』!」

「!?」

 

 ヒースクリフは、流星機関銃と大地の力で体力を削られているプレイヤーを救助し、

前線で戦うプレイヤーの防御と攻撃反射・反撃を行う。

今はもう、時間との闘い。

フィールドは、もう雲海が見えることが出来無くなっている程だ。

 

 そして、響いてくる何とも言えない心地よい音。

心音ともいえるその音の音源は、二つの祭壇……更に奥に一つの合計三つの祭壇の中央にあった。

その中央は、誰も見ていないが謎の文様がある。

そこである者が、笛を吹いている。

横笛だ。

 

 どこの音かわからない音は、この戦場の空気や時を静止させる。

そして神龍二匹は、がばっと振り返る。

横笛を吹く者は、非常に華奢で可憐であった。

音が鳴りやまると、半透明な階段が出現する。

その階段に、少年が一人先行し少女に手を差し出す。

少女はその手を取り、天空へと歩きだす。

 

 その瞬間、ディアルガとパルキアは我を取り戻したかのように、その二名に突撃する。

やれると思ったのか、今の戦場を忘れたのか、非常に必死だった。

だからこそ隙が生まれる。

 

「行かせるとおもったか?」「行かせると思ったの?」

 

 聲が重なり合う。

その者はキリトとアスナ。

瞬間的に発動した時間停止も空間断裂も効果を成さず、甘んじてその剣技を受け後方へ仰け反る。

更に神龍の後ろには、タンクらのスイング。

 

「そりゃあ!」

「まだまだあ!!」

 

 しかしアクアテールとアイアンテールで弾き飛ばされ、周囲の安定を図る。

神龍二匹は空を駆って、二人を追いかける。

透明の階段を上っている二人も驚いて走り出す。

 

<残念だが、ここを通す訳にはいかんのだ!>

 

 結晶の塔が彼等の目の前を阻み、アルファベットを模したポケモン”アンノーン”が、

エンテイと大量のアンノーンを異空間から出現させる。

エンテイは紅蓮の火炎弾を、アンノーンは数多の目覚めるパワーを繰り出す。

天から落とされる神龍は、天上からの機械獣ストームバードの集中攻撃でダメージを喰らう。

しかし、それでも元気だ。

 

 そして彼らは咆哮を上げる。

今度は何だと思うと、最奥部にある3つ目の祭壇から黒い靄が出てきた二匹を包む。

ディアルガの金剛色に包まれた身体の線が、橙色に染め上げられる。

パルキアも赤色から、黄緑色に線の色が変化する。

 

 

雰囲気も変化する。紫電が走り、肉体に力が漲るようなそんな最悪の事態が予想された。

 

 

 

 

 さて、シリカとサトシは、最上階に来ようとしていた。

ここで念を押すサトシ。

 

「間違っても攻撃するなよ?俺の知り合いの可能性があるからな」

「え、お知り合いなんですか?」

「ああ。皆と仲良くはできなくても、知っていてくれるだけでもうれしいんだよな」

「それはちょっとわかります」

 

 そして話していくと、その奥宇宙の先にある原子核の中央に居ると思われる例の存在がいた。

半透明の床が敷き詰められたこの空間。

その者が目を覚ますのは、そう遅い事でもなかった。

 

<そなたは……>

「俺はサトシ。で」

「私はシリカです」

「たのみがあるんだけど、聞いてくれないか?」

<まあまつがよい、サトシ。事態は一刻を争う。

 だからこそ、待つことを覚えよ>

「……」

<しかし、変わったのぅ。あの時はやんちゃ坊主だったが、実に大人になった>

「! アルセウス、俺の事……!」

<ああ、覚えているとも。私の命をダモスをミチーナを救ってくれた者として……>

 

 そこから話が進む。

このSAOというゲームに招致され、遍く森羅万象がここに降臨した事。

今ここに居るのは、データで本物ではない事、本物なのはプレイヤー達。

彼等の生存の道を弄び、それを須らくとして加担している者の事を教えた。

 

<そうか……>

「俺達を助けてほしいんだ。ここに居る偽者の命より、本物の命を助けてほしい」

<……分かった。創造の主として、この世の均衡を保つため、わたしの力を授けよう>

 

『Pocket Monsters CLEAR』

 

 これがこの空間に張り出される。

この光景に、シリカは茫然とする。

そして、その瞬間にアルセウスは息をのむ。

 

<……なるほど、そういうことか。サトシも同じとするところということか?>

「……その様子だと……ああ、そうだ」

<協力は惜しまぬ。これを受け取ってほしい>

 

『Pocket Monsters PACK』が、シリカのインベントリに入る。

シリカはそれを開けなければならないような気がしたので、急いで開ける事となる。

開けると、その中に入っていたのは……。

 

「ゲンシカイキって、Zワザってなんですか?レックウザのデルタ化、伝説の力覚醒?

 ユニゾンって訳わかりません……」

 

 そのように呟くと、シリカの右手首に腕輪が装着される。

この時を見計らったのか、ピナは彼女たちの頭上に舞い上がる。

するとピナは虹色の光に身を包まれ、肉体を変化させその光を拡散させた。

 そこにいるのは、実に神々しい龍だった。

まさに流星とも彗星ともとれるその雄々しい姿。

当の本人のシリカでさえ、その姿に見とれてしまう。

レックウザは、シリカの目の前に行く。

そして咆哮をあげる。

これによってこちらに来たのは、Ωの溶岩結晶とαの深海結晶だった。

 

「シリカ、プレイヤーとして、君にお願いがあるんだ」

「な、なんですか、サトシさん?」

「俺は本来はここに存在していない人間なんだ。

 だからいつ消えてもおかしくない。でも、君は現実の人間なんだ。

 生きて帰らないといけない。

 そのためには、この生きるにも難しい世界を生き残らないといけない」

 

 色んな事実に腰が抜けた彼女と同じ視線に立つために、その場に座るサトシ。

その言葉は今までの経験や覇気も加わって、シリカの心に響き渡る。

 

「だから、どんなに卑怯でもいい、元の世界に戻ってくれ。

 それが俺からの願いだ」

「じゃあ、サトシさんやピカチュウは……?」

 

「……」

 

「……わかりました。アルセウス」

<うむ、プレイヤーである故、非常に良い>

 

 世界の主役は、サトシでもアルセウスでもなくシリカを含むプレイヤー達である。

彼等を支援するのが、彼等英雄にとって有意義なのだ。

そしてこのポケモンの世界に生きる最高に善良といえるサトシは、

非常に利己的だ。

旅の最中、道連れや情けをかけられることは少なくない。

だからこそ、シリカの生還を一番に考えてしまうのだった。

 

 このテーマフラグ解放が行われた瞬間、サトシの居場所はないといっても過言ではない。

それくらい強力なパックを、シリカは手に入れてしまっていた。 

 

だがそれは間違いである。

シリカは文章の一番上を見ただけで、後半に英雄に関する解放能力が書いてあるのだ。

よって、サトシの手持ちは、一体から六体に増える。

彼は自身の腰ベルトに転移したモンスターボールを見て、口角を上げる。

 

「俺もこんなに楽しい世界を、手放しにするなんて勿体無いなんて思ってたんだ。

 恩に着るぜ、アルセウス!」

 

 

 シリカとアルセウスが振り向き、頷く。

二人の同調が強まっている様だ。

シリカの瞳は、金色に光り出す。

そしてアルセウスは光の玉と化して、シリカと同化する。

 

一般人と創造神。

天獄の差がありながら、光が晴れたその姿は全てを穿つ者として変化する。

天衣無縫と言うが如くの一品。

芸術というべきか……いやはや、実に畏れ多いものである。

 

 

 

 

 地上ではデッドヒートが行われている。

体力はお互いに後少し。

しかしじり貧。敵は遂に、自身を回復しプレイヤーの回復を封じる術を使いだす。

おかげで回復アイテムはまだあるが、使えないという状態にある。

 タンクはアビリティのおかげで、自動回復がある。

だが他の者は、そんなもの存在しない。

よって死にそうな者が多い。

如何にオーバーアシスト等GMチートや機械獣によるヘイト移譲・航空支援があっても、

敵の方がはるかに速い為回復を止められずに済んでしまっている。

 

「アーロイ……薬草はまだあるか?」

「ああ、まだある。だが……」

「玉薬がないってわけね。そろそろ詰み……かしら」

「アスナ!」

「っ!だって、そうでしょう!?」

 

 アスナが弱音を吐く。

他プレイヤーもわかっている。

言いたい。喚き散らしたい。人生最後ぐらい、ゆったりと過ごしたい。

 

それは願わぬもの。

 

絶望の中、抗おうと必死でもがくキリトやアーロイを含む少数のプレイヤーと英雄。

既に諦め散っていった命は過半数を超えた。

 

 しかし、そこにいきなりメールが来る。

キリト・アスナ・アーロイは、そのメールの送信元を見てすぐに開く。

そこには、シリカからのボス部屋に入れないというものだった。

アルセウスというボスの情報から、大量のウィルスか何かによってその空間のみ別の処理となってしまっているようだった。

だからそのウィルスの元を破壊してほしいとのこと。

 

「あの黒い靄が出てきたのは、祭壇奥三つめの場所!」

「ああ!アレをどうにかすれば……」

 

「救援を呼べる。そういうことだな、お前たち」

 

 キリト達が解決の糸口に希望を見出し作戦を練った時、

彼等の背後や周囲からプレイヤーや英雄が集まる。

 

「はい。あの奥……あの黒い歯車が浮いているのがわかりますか。

 あれを破壊すれば、俺達の勝ちだ」

 

 圧倒的重圧感の中に安心感の混ざる彼等に、キリトは目的を云う。

それを聞いて、ディアベルが指示する。

 

「残った全員、キリト達を援護しろ!現在最高のレベルは、キリトら『黒の英傑連盟団』だ!

 ここで命を張れ!さもなくば、永遠に日のめは見れないと思え!

 死にたくない者はいるか!ならばそこで黙ってみて居ろ!

 

 戦い奴はいるか!ならば、ここで全てを曝け出して死ね!!」

「「「ウオオオオオオ!!!」」」

 

 残る男共の咆哮。

本当の死兵になった者らは、圧倒的な意思で立ち上がり歯を食いしばる。

あふれ出るアドレナリン。

それは、生きる時を疑わせ、死をも歪まし、生死の境を曖昧にする。

 

 その時こそが、まさに―――愉悦―――。

 

 この感情の渦。システム面が、この状況をどうにか解読しようとし、フレームエラーの坩堝に陥る。

つまり処理落ちする。

この状態で、更に宗教的意味のない熱狂的再征服が行われるのならば……人は量子の世界を超える。

 

「グギュグバァッ!!」

「ぱるぱるぅっ!」

 

 次元を破壊する時の咆哮や流星機関銃を、無制限に放ってくるディアルガ。

時空を破壊する亜空切断や波導弾・大地の力を、無尽蔵に放ってくるパルキア。

 

 

「俺達は負けない、負けて居られないんだ!」

「帰る、現実に!私はこの世界に負けない!」

「死ねや、バケモンが!」

「大馬鹿野郎共、平伏せ!」

 

 その悪鬼羅刹の如く走り出すプレイヤー達。

まず初撃の時の咆哮で、エンテイの噴火が打ち消されポリゴンとなって弾き飛ばされた。

次の亜空切断で、アンノーンだけが弾き飛ばされた。

 

「我ら三兄弟!生まれは別なれど、死す時は同じ!いざ、往かん!」

「うむ、兄者。参ろうぞ!」

「ああ、兄者。年下共に、死なれちゃ敵わんからなァ!」

 

 劉備玄徳、関羽雲長、張飛翼徳。

彼等は桃園結義で有名な、蜀建国の立役者。

勇猛果敢で中国大陸の群雄割拠を生き抜いたその強かさは、心の強さと共に頭脳や肉体、カリスマ……。

そして、誰でも負けぬ膂力やその卓越した戦闘力にあった。

 

 しかし相手は化け物。

如何に百万の敵を咆哮で萎縮させたとしても、塩や豆腐等の商売・様々な伝承を残す軍神だとしても、

覇道に対する王道と直に宣言された大義の蜀王だとしても……。

質と量に勝つことはできないのだ。

 

「ぐはっ!?」

「「兄者!?」」

「てめぇら、よくも……!よくもぉ…!ガハッ!」

「翼徳!我が大義をこの世に示す!咆えよ、鮮烈なる荒神よ!」

 

 猛る業火が数多の技を潰すが、視界外の波導弾により関羽は敗退する。

 

「なんたる不覚ッ……!」

 

 残り、45M。

 

 

「オラオラオラアアアア!!アタックディーラー様のお通りじゃい!!」

「血盟騎士団最精鋭の俺達に勝てると思ってんのか、アア!?」

「三位一体!絆よ、我らが手に!」

「「「スネークバイト!!」」」

 

 来たる数多の弾幕を、蛇の如く動きでプレイヤーを狙う技だけを撃ち落とす。

だが大地の力という足場の揺らぎで、統率に揺らぎが出てしまう。

そして物理的に浮足立つ三人は、回避不可能となり波導弾で撃ち落とされる。

 

「無念なり」

「だあああああ!!ここで終わりかよ、ちっきしょおおおお!!!」

「後は任せた!」

 

 ポリゴンとなって消えるほどではないが、麻痺となってその場に倒れる。

そして距離が短くなっていく。

数多の犠牲を払って、皆が希望へ駆ける。

 

「さて……最後はギルドマスターでやるとするか」

「ああ、これで終わりにするんだ!」

 

 残り10M程。

機械獣は殲滅された。

今まで育ててきた最精鋭の子らだ。

航空支援や後方支援で、弾幕の撃ち落としをしていたがそれもなくなってしまった。

 

 残りはディアベル・ヒースクリフ・アーロイ・アスナ・キリトだ。

ディアベルとヒースクリフによる、オーバーアシスト・神聖剣・ヴァーパルストライクの技は芸術と化していた。

この巧みな技のおかげで、3Mまで近づけた。

そこまですると、ディアルガとパルキアの妨害も顕著だ。

 

 ディアベルはディアルガへ行き、4足特有の動きの鈍さをアタッカーによる俊敏さで捌く。

ヒースクリフはパルキアの方へ行き、直接攻撃や技を盾で受け止め逸らし反撃する。

 

「「――――!」」

 

 聲にならない叫びを上げる神龍は、時の咆哮と亜空切断を行おうとする。

圧倒的防御力に、ギルドマスターの攻撃は通じない。

其処に出現するのは、アーロイだ。

 

彼女はアシスト機能と『フォーカス』を使って、力の集約地点を発見しそこを爆撃する。

それだけで力が露散する。

この時に罠をはりつけ、動きを更に遅くする。

 

 キリトとアスナは、大地の力とアクアテールによる水圧の脅威にさらされながら、そこにたどり着く。

そして二人の動きは、ほぼ同一と化す。

 

「ハアアアア!!!」「てやあああ!!!」

 

 ヴォーバル・ストライクとアクセル・スタブが、その真っ黒な靄につつまれ緑に鈍く輝く歯車を破壊した。

直後、氷のようなモノが、第三の台座から出てくる。

 

「「!」」

 

 二人の動きや思考は同じものとし、脳の計算力が加速する。

情報処理が加速する中、その氷のようなものに対して攻撃を行う。

その氷の塊も氷の礫を放ってくるが、この二者を倒す事はもはや不可能。

 

二人は瞳を黄金に光らせ、全てを見切りありとあらゆる弱点を破壊する。

 

最後のコアのようなものに、最後の一撃を喰らわせる。

 

「「いい加減、倒れろオオオっ!!」」

 

 その氷触体は、十字に切られ粉々にポリゴンと化して散る。

しかしまだまだ終わらない。

 

今度は真っ黒な……。

 

 

 この時、光の階段が次の敵の出現に絶望するキリトとアスナの間に架かる。

真っ黒な物体は触手を周囲に広げるが、このカーテンに触れた瞬間じゅっと蒸発した。

雲間からでる狐の嫁入りだとか言われる光のカーテン。

標高的にありえないが、更に上に雲がある。

 

 ディアルガとパルキアも、光の格子に捕らわれ身動きが取れない。

すると緑の光が周囲に降りてきて、この光に触れた万物は戦闘前の様相へと戻る。

プレイヤーが損傷したHPと装備を、完全に治し切る。

 

「キリトさん、アスナさん、皆さん、ありがとうございます」

 

 とある彼女の聲が聞こえた。

どこからの聲なのか、彼らは探す。

 

すると天空を覆う雲の一部が晴れ、そこから金色の太陽の光の中から少女が降りてくる。

この世が小麦色に染まる中、その存在は神々しいものであった。

 

 その者はシリカという少女で間違いない。

しかし制服アレンジ魔法少女もびっくりな天衣無縫っぷり。

白銀の胸当て・白の布地と白金の縁・金色の神威・背中にアルセウスの胴装飾が浮遊・周囲に全タイプ18のプレートが浮いている。

更に背後には、スーパーセルを伴うΔレックウザ・マントルと内核を浮かせるΩグラードン・

巨大台風を従えるαカイオーガが君臨している。

 

 プレートは普通入手だとプラスチック製のもので、粗悪なものである。

しかし、このプレートは農耕作業で鍛えた大人が、両手で抱え無ければならないほどの重さである。

それほどこの創造の源であるプレートは、関わる全てに関して”重い”ということなのだろう。

 

 シリカはその地に静かに降り立つ。

そして静かに目を開ける。

その目は黄金に光っていた。

 

彼女はキリト達を一目見て少し安堵してから、ディアルガとパルキアを見る。

『ときのはぐるま』が破壊されても尚、背後にある黒の……負のエネルギーにより変異させられている。

そして、両手にデザイン変更された伝説の装備があり、そこに命の輝き・燃焼・灯が宿る。

両手にある短剣を上に放り投げると、それぞれが少し長い槍となる。

しかしそれでは貫通力が足りない。

 

よって二つ合わせることで、グングニールと化した。

 

 彼女は思いっきり投げた。

神々しい神威を纏うグングニールは、その負の感情の塊に当たる。

だがそのグングニールは、貫けない。そのまま突撃している。

そこへシリカは右腕を掲げた。

 

そこから、ひし形の何かが浮かび上がり、周囲に光を発する。

 

 その光は、18のプレート・レックウザ・グラードン・カイオーガを包む。

 

「上位命令を実行し、Zワザでアレを破壊します。

 

 『インフィニティマルチバースト』!!」

 

 

 18のプレートは輝きを増し、そこからそれぞれのZワザを繰り出す。

大元は『裁きの礫』。

更にレックウザは、『流星群』を元にした『アルティメットドラゴンバーン』。

グラードンは、『噴火』を元にした『ダイナミックフルフレイム』。

カイオーガは、『しおふき』を元にした『スーパーアクアトルネード』。

 

 この砲撃とグングニールで、負の塊を蒸発させる。

色とりどりの波導が、周囲に爆散される。

 

”congratulation” ――おめでとう――

 

この時既に、25層クリアが通達されていた。

其れと共に、このゲームのレートが出現した。

LAと別に確実にダメージを負わせた者順に、ランキングの表示がされる。

上位になるほど、良いものが得られる。

 

 だが目の前に現人神がいるのだ。

まだ喜びの余韻に浸れる人物はいない。

 

戻ってきたグングニールを二つの短剣に戻し、腰ベルトにある革の鞘に入れる。

そしてシリカはディアルガとパルキアが、素に戻った事と安全性を確認して踵を返す。

周囲は金色の光に満ち溢れ、この空間的浸食を食い止めている。

 

彼女の最後の仕事。

 

18のプレートが波紋を周囲に流す。

その波紋は音となり、周囲に浸透していく。

 

 其れは正しく、祈り[オラシオン]――――。

 

 聖母すら凌駕する彼女の祈りの姿は、プレイヤー皆の荒み興奮状態である心理状態を鎮静化させる。

そして彼女の背中から白い純白の翼が生え、周囲に白銀の風を祝福の鐘の音を送る。

シリカは掌を目の前に突き出すと、伝説の装備から黄緑色の光が周囲に広がる。

この光は空間的浸食を停止、空間の再生を行う。

 

空間が本来あるべき場所に戻され、ちゃんと接合される。

 

 

全てが接合されたとき、シリカは地面に座っているキリトに近づき同じく座る。

 

「キリトさん、貴方のために頑張りました。

 あなたが私を必要としてくれたので……。

 私もキリトさんが必要でしたので……えっと……」

 

 年相応ではないその顔に、キリトは心に痛みが来る。

そしてその痛みを抑え、シリカの頭を撫でる。

 

「ありがとう、シリカ」

「えへへ……初めて感謝されちゃいました……」

 

 キリトは微笑み、シリカを労う。

するとシリカはそれに安心したのか、気を失いキリトの胸の中へ倒れこむ。

そしてユニゾンが終わる。

 

いつの間にかレックウザは小型化していて、他のポケモンはいなくなっていた。

件のアルセウスもこの場所にいなかった。

 

キリトはシリカをちゃんとした姿勢にして、腕の中で寝させる。

アスナもやっと立ち直ったのか、キリトに近づく。

 

「凄いなぁ、シリカちゃん」

「ああ。俺達よりも苦労しただろうに」

 

 そして、後ろでは大騒ぎする男共。

転移結晶が使用できる事を伝える明るい光が、結晶からあふれ出る。

この結晶が使えなくなったのは、空間的侵食が開始されたとき。

だから、泣いて喚いた。

 

何せ、空間浸食が開始されてから死んだプレイヤーが、全て帰って来たのだ。

同じくレートランキングに表示されて、経験値とアイテムを取得した。

ちなみに、最下位はシリカ。

 

 

 シリカはサトシと共に、ディアルガとパルキアの金剛玉・白玉を手に入れ奥の台座中央に行くと、

ギラティナからもらった宝石・心の雫が合わさり『天空の笛』ができあがった。

この天空の笛は、今半透明のイヤリングとして右耳に装備されている。

 

さて、どんちゃん騒ぎするプレイヤーは、劉備玄徳に連れられて次の層へ行きアクティベートする。

 

 

この時、リザードンに跨るサトシとアルセウスが、蒼穹から舞い降りた。

ギルドマスター二名とキリト達がいる中、アーロイがサトシたちに聴く。

 

「どこ行ってたんだ?」

「テーマフラグ英雄としての仕事だよ。で、ものすごい情報が入った」

「なんだ?」

 

 その情報は、25層にポケモンが出現したこと。

ただしモンスタボールはでない。

まあ普通の情報。

 

そして、この層からこれからの動きが確実に大変になる。

それは……。

 

 

「反英雄。つまり、ダークヒーローってやつの出現か」

「そうなんだ。つまり、俺達英雄やプレイヤーが殺されてしまう事があるってことだ。

 テーマフラグ英雄がどうなるかはまだ分からない。

 だけど、アルセウスが確認するには、ダークヒーローの動きでPKギルドの動きが活発になるってことなんだ」

「ということは、危険が危ないわね」

 

 キリト・サトシ・アスナが会話する。

これを聞いたディアベル・ヒースクリフは、ダークヒーローを見つけ次第排除するか平和的解決を目指して頑張る事を云ってくれた。

それと機械獣の現状を確認したアーロイは、精鋭部隊の再建と治安維持部隊の増強を提案する。

少なくとも浸食が始まって、最後の弾幕の場面になるまで航空支援があった。

だから囮になる囮と小回りが利くアタッカー、航空支援を行えるバード系を育成することになる。

 

「それで、ちょっと聴いていいか?」

「ん?」

「俺とシリカを、正式にキリトのギルドに入れてくれないか?」

「ああ、いいぜ」

「ありがとう、これからよろしく頼むぜ」

 

 サトシとキリトは握手する。

キリトは即時判断を下した。

この判断は当然だろう。神とかよくわからないが、25層ボスを一瞬で蒸発させるほどの実力だ。

イベントの力もあるだろうが、少なくとも今の時点では過ぎたる力だ。

50を超える50層レベルのポケモンたちとそれを従えるシリカ、そして彼女にテイムされているピナ。

心身共に幼い彼女は、この力を使えているがもしもがある。

それを抑えられるのは、今の所キリト達しかいない。

 勿論シリカに匹敵する力を持つ英雄はいるが、それは個々のちからでしかない。

個々であり群全てが、圧倒的強さにあるこのポケモンとシリカは常に狙われることになるだろう。

まあ、キリトがシリカ達とテーマフラグ解放の最初期から関わったという責任感と、

シリカという人物に少し心惹かれたからという理由もあるかもしれない。

 

 

 

 

 26層。

 

 一日休憩して話し合った事。

 シリカのアルセウスとのユニゾンは、ボス戦または想定外の事でしか使用してはいけない。

ピナのゲンシカイキは、シリカとアルセウスのユニゾン時でしか使用しちゃいかん。

これらの神化統一を、デルタ化と云い汎用性を高めることになる。

 アルセウスは半透明のイヤリングとして、シリカの傍にいることになる。

基本的な情報は機械獣ウォッチャーやフォーカスでなんとかなるが、

戦術や戦略はアルセウスの圧倒的処理能力に任せ発案考案実行とする。

 エンテイを含むポケモンたちは、このフィールドで消えると一定時間

やぶれた世界で傷をいやすことになる。

体力が回復したら、表に出てこられるようになる。

 しかし、基本的にはギラティナによる拉致からの蛸殴り戦法にする。

何せ伝説のポケモンたちが強すぎて危ないのだ。

主な理由は二次被害の可能性を孕んでる、広範囲攻撃を持つ神系ポケモンのせいだ。

 

 次にサトシだが、基本的に問題ないが一体ずつしかポケモンを出してはいけない。

理由としてモンスターテイムができるのは、一体だけだから。

下手にプレイヤーを刺激してはいけないという事。

ボス部屋だと基本見知った面子になるので、後の禍の可能性は激減する。

 それと基本的には、シリカと共に行動してもらうことになる。

またPKギルドの監視を行ってもらうことになる。

 

 最後にアーロイによる機械獣の選定だ。

各層にブライトプレッシャー1体・デスブリンガー5体・トールネック4体を配置。

ウォッチャー等偵察を40体、航空機械獣を50体、地中移動可機械獣を10体、他機械獣を100体配置する。

第一層~第4層までが、広いので多くの機械獣を配置する。

また、22層はモブがポップしない、またはレベル0の機械獣が出現する。

ポケモンは25層のみのようだ。だから、機械獣をその層で乱獲し、他層へ移動させる。

 精鋭部隊はデスブリンガー・ソウトゥース・ストームバードを中心に構成し、

モブを殲滅することに心血を注ぐことになる。

また第一層の裏ボス討伐の為の準備を行うようになる。

 

 

「あぁ、私ったらキリトさんにもたれかかって寝てしまうなんて……」

 

 顔を真っ赤にして、ベッドで悶絶する彼女。

既に昨日の内に、笑って許してくれている。

シリカは色々と思い出すのと共に、現実に帰るという気持ちが強くなるのと心が温かくなる事を思い出す。

この空気を壊したくないと思いながら、彼女を含めた皆は生きていく。

 

 




 非常にサクサクですね。
情緒等省いていますので、つまらなく感じるかもしれません。
次は6話後編が書けたら投稿致します。

 色々使ってボス戦を盛り上げましたがどうでしたか?
楽しんで頂ける、これこそ望外の喜びでございます。

是非またいらしてください。


無駄話:映画でピナ似のモンスターが出てきて、成長し敵対した氷龍が出てきましたよね?
実はアレが元ネタです。
それで神化統一――デルタ化が、その上位互換ってなわけです。

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