ソードアートBro's   作:名無しの権左衛門

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 前編9000文字。

 クロスオーバーの必須タグ報告、ありがとうございました。
引き続き、お楽しみくださいませ。


5:巡り廻って福と成す(前編)

5:巡り廻って福と成す(前編)

 

 ここは25層。

クォーターポイントだ。

 

 SAOが外枠だけの存在となった時、この世界に落ちた茅場昌彦が情報を提示した。

クォーターポイントは、色々常識はずれだと。

そんなクォーターポイントでも、常識はずれなのはプレイヤーも同じ様である。

 

 

 戻りの洞窟。

この洞窟は常に靄が発生していて、正しい道順でなければ入り口に戻されてしまう場所だ。

非常に陰鬱だが、この洞窟に入ることができさえすればモブがリポップすることはない。

つまり敵が出現しない。

その代わりここに来るまでが大変で、無駄に敵が強いのだ。

ただ強いため、絶対数が少ない。これが何よりの朗報である。

 

 

 さて、この洞窟に一人の少女が迷い込んでいた。

彼女の名前はシリカ。

 

 約一週間前、彼女が入るパーティにソロが入り込んできて、

宝はやるから戻りの洞窟最奥部に行きたいと懇願してきた。

そこで彼女以外が進んでソロの人物と共に、この洞窟に来たのだ。

 

 本来なら他のプレイヤーもいるのだが、ソロが大変な美人であるため皆ほいほいついていった。

気の乗らないシリカだけが、ついていけてなかったのだ。

シリカは洞窟を恐る恐る歩いていく。

事前情報だと敵はでないと知っているが、陰鬱で薄暗く靄がかかっていて何もいない異世界のような場所である。

しかも一人ぼっち。精神的苦痛を味わっている最中だろう。

 それでもあきらめないのは、皆が最奥部にいって宝物を取っていると確信しているからである。

しかしその願いは打ち切られる。

 

 ソロの美人とパーティの悲鳴が、彼女にはっきり聞こえる位の大音量が空間を揺るがしたのだ。

彼女は走る。涙目になりながら。

恐怖か心配か。そのどちらもが合わさった感情の中、必死の形相でたどり着いたのは……最奥部。

 

 祭壇らしきものが中央にあり、そこには更に深い靄がかかっている。

 

 そしてその中央祭壇の階段麓に、ソロの美女・パーティの男性たち・知らない人多数が転がっていた。

 

 中央祭壇に何かいる。

 

 そう思った瞬間、祭壇から何かが飛んできた。

シリカはすぐに回避する。飛来物は後方へ行き、壁を壊して出入り口を封鎖してしまう。

しかし靄でこの事を視認出来なかったのは僥倖だ。

彼女は靄による視界不十分で、やる気が滅入らなかった。

 

シリカはスローイングナイフをしかける。

ナイフは靄に入っていった。

 

 すると中央祭壇に掛かる靄が払われる。

 

 祭壇にいたのは、長い首と6本の太い脚を持ち、黒い翼を持つナニカだった。

その者は黒い弾丸を吐きだす。

シリカは当たってはいけないと思い、左右へ移動……隙を見て接近し攻撃する。

 AGI特化である彼女は、手数で敵を攻撃する。

敵はその場から動かない。動けないのだろうか。

シリカはそんなこと等意にせず、そのまま連続で攻撃を中てる事に集中する。

しかし敵は黒い弾丸を、彼女へと連続で吐きだす。

 

 シリカも疲れが出始める。

脳はこのVR世界を現実と思い込んでしまっているので、現実またはそれ以上に精神と肉体が直結している。

そのため、疲れをごまかす事はしにくいと考えられる。

 

「くぅっ」

 

 敵のHPゲージは一本。

半分にしたところで、状況が変化する。

 

 

 そう、この洞窟……いやこの場全ての空間が変異する。

 

 歪な場所、歪な空間と重力と歪曲、ねじれた全ての事象。

初めての感覚に、シリカは吐き気を覚える。

しかし目の前のモノは、自身を殺そうとしている。

 

 目の前の者は、脚がなくなりその長躯のみとなる。

羽も一般的な羽から、何かの触手へと変化する。

 

 ソロやパーティも消えている事、それらを眼中にしない……できない状況は

彼女を精神的苦痛で脅かすことは簡単だ。

シリカは空中に浮く岩石や天地が逆さになり連続でくっついている樹木を伝い、

頑丈そうな建物の中に入る。

 

「ふぅ……」

 

 休みを取るが、少しの隙間からそのモノの眼が見える。

彼女は固まる。そして……走馬燈が、死が彼女の脳を加速化させる。

そのモノはいつの間にか、この建物を平らにし彼女を外部に露わにさせる。

 

 わけがわからない。

意味不明さから、脳が現実を受け止めたがらない。

彼女はうごけなくなる。

 

「嫌……死にたくないっ」

 

 シリカはダガーを再装備する。

一度手元を離れてしまっていたが、決意を元に対峙を決意。

しかしその脚は震えてしまっている。

 

 シリカはその瞳に涙を溜め、必死に心の奥の本能的恐怖に抗う。

しかし彼女は動けない。

謎の黒いドロドロした重油のようなものに塗れた触手が、彼女の脚を固定したのだ。

 

その者が口に溜めるのは、黒の禍々しいもの。

 

 

 遂にその者は発射する。

其れは―――

 

 

 

 

 

―――当たることはなかった。

 

(あれ……?)

 

 

 恐怖で瞳を閉じていた彼女は、大きな違和感を感じることはなかった。

そのかわり、温かい何かに包まれているようであった。

足が地についていない。

 

 一瞬で蒸発して、天国にでもいったのかと思ってしまう。

しかしそんなことはなく、次の言葉で目を覚ます。

 

 

 

 

「ピカチュウ、『エレキボール』!」

「ピカッ!ピカピカピカピカ……ピッカアッ!」

 

 雷撃音。

 

 少女はその落雷に似た音で意識諸共現実を認識し、瞳で世界を映し脳で理解する。

目の前は青い服。少し顔を上げると、赤い帽子をかぶる少年がいた。

 

「おっ、気が付いたか。間一髪だったな!」

 

 少年はシリカに笑いかける。

しかしすぐに目の前を見る。シリカはその戦闘を見れない。

だがどこかの地面に着いた時、解放してもらう。

 

「あっ、ありがとうございます!」

「いや、いいんだよ、お互いさまさ。

 ところで君の名前を教えてくれないか?

 俺はマサラタウンのサトシ」

「はい!私はシリカっていいます。よろしくお願いします、サトシさん!」

「サトシでいいよ、シリカ」

 

 サトシの方が、若干身長が高い。

そして、サトシの肩に乗る黄色い彼。

 

「えっと……サトシ……さんはテイマーなのですか?」

「テイマー?なんだそれ。俺はポケモントレーナーさ。

 で、こいつは俺の相棒、”ピカチュウ”」

「ピッピカチュウ」

 

 

 黄色い電気鼠ポケモン、ピカチュウ。

その赤い頬は電気袋で、そこに電気を溜めて放電する。

和気藹々とするが、背後で音がする。

HPゲージが残り、2割。

 

「っと、話はあとだ。まずはギラティナを抑える!」

「はい!」

 

 この後ピカチュウとの連携を以って、ヒットアンドアウェイ。

一気にけずり、体力を減らした。

 

ギラティナを倒すと、彼のものはこの世界……やぶれた世界の底へ落ちて行った。

そして全てを見届けると、元の洞窟に戻る。

 

 洞窟の全てが元に戻って居ながら、パーティはどこにもいない。

しかも靄や埃っぽいのがなくなっている。

つまりこれは、このダンジョンのクリアというわけだ。

 

彼のものは、例の祭壇の所にいる。

しかし違うところは、襲ってこないということだ。

 

「っ、ま、まだ戦うんですか……?」

「……」

 

 シリカは連戦でくたくただ。

なのに、まだ戦闘する事に絶望する。

だがサトシは、笑う。

 

 サトシは地面にへたり込んでいるシリカの隣に行き、片膝をつき肩を触る。

 

「大丈夫だ。俺が行ってくる」

「へ?さ、サトシさん!?」

 

 サトシがギラティナに歩み寄ると、彼のものは口を開ける。

サトシを食うのかと思ったら、帽子を取る。

というか、甘噛みをしている。

 

しかもギラティナは嬉しそうにしている。

サトシも笑って、ギラティナと接触している。

どういうことか分からないシリカは、安堵して気絶した。

 

 

 

 目を覚ますと、とある宿に居た。

宿のベッドで、今まで味わったことがない布団の柔らかさに惰眠をむさぼるところだったシリカ。

彼女はすぐに着替えて、扉を開けて外に出た。

 

「お、目が覚めたんだな、シリカ」

 

 扉を開けて聲がした方へ向く。

そこには壁に背中を預けていたサトシと足元で待機しているピカチュウがいた。

 

「シリカ、早速でわるいが、ちょっと話したいことがあるんだ」

「何ですか?」

「ひとまず、中へ行こう」

 

 シリカが休んだ部屋へ逆戻りして、お話する態勢に入る。

 

「さて、シリカ。君に託されたものがあるんだ」

 

 サトシは卓上に、小さな球と白金色の塊を置く。

 

「このボールとこの宝玉だ」

「えーと?」

「つまり、シリカはポケモントレーナーになれるんだ。

 この世界だと、どこにもモンスターボールは売っていない。

 という事は、シリカは特別に許されたという感じかな?」

「そうなんですか。それで、この宝玉は?」

「これはギラティナの力の一部なんだ。絶対に売っちゃいけないんだ」

「いいんですか?売るかもしれませんよ?」

 

「大丈夫さ。ギラティナは、あの世界の主であり神様なんだ。

 見抜けない筈がないさ」

 

 シリカは何かに巻き込まれてしまった感が、自分に襲い掛かる。

だがこれはチャンスでもある。

 じつは彼女はモンスターテイマーのスキルを取得しているのだ。

しかし今までモンスターをテイムしたことがない。

だからこれは、渡りに船なのだ。

 

「それじゃあ、今から捕まえに行こう、ポケモンをさ!」

 

 まだ陽に余裕があるので、昼飯を摂取して鍛冶屋で耐久を上げて狩にでかける。

しかしポケモンがいない。

今はまだ普通の層である。

その為シリカは若干涙目になる。

 

 それを見て、サトシはシリカを連れてとある場所へ来る。

その場所は湖だ。

北でも東でもなく、丁度好い位の湖。

 

 シンジ湖。

 

ここで一度気分転換をする。

 

お互いに世間話と共に、サトシがどういう人なのか知る機会となった。

 

 そんな時だった、二人にプレイヤーの一人が話しかけてきたのは。

 

「なあ、君の隣にいる彼……英雄か?」

 

 それを聞いて、シリカは反応してしまい睨みつける。

 

「あ、ご、ごめん。繊細な話だったな。大丈夫、俺も英雄がいるから。

 どうしようとか全く考えていないよ。

 ただ、この層のフィールドボスって、倒せてないんだ。

 だから―――」

 

 

 シリカとサトシは、彼の背後にいる存在により固まってしまう。

彼等の反応を見て、直ぐに彼は回避運動を取る。

刹那。

 

彼のいた場所が爆発し、地面毎抉り取られる。

 

「チッ!こんなところでフィールドボスに出くわすなんてな!

 最高の日だ、全く! 俺はキリト!ボス攻略に手を貸してくれ!」

 

「俺はサトシ!宜しく頼む!」

「ピカ、ピカチュウッ!」

「わ、私はシリカです!」

 

 いきなりの翠の龍が背後から、ものすごい速度で迫ってきた。

キリトはその剣で機動を逸らす。

HPバーは1段。

 

さて、敵は穴を掘ったり、炎を吐いたり、神鳴りを落として来たり、超高速で飛来してくる。

そんな中、キリトはサトシに質問する。

 

「サトシ、アイツの事を教えてくれないか?」

「アイツはレックウザ。ドラゴン・ひこうタイプを持つポケモンだ」

「なるほど、今はそれだけでもありがたいよ。

 それでサトシはイベント関連で、シリカにポケモンを仲間に引き入れる道具とか渡せないか?」

 

 キリトは英雄のアイテムのほとんどが、自軍を有利にさせるものだ。

だから仲間にするアイテムはあっていいはずだ。

それにピカチュウもレックウザと同じポケモン。

レックウザをシリカが手に入れれば、サトシは動きやすくなる。

移動速度から見て、シリカはAGI特化だってわかる。

たからこそ、攻撃の要が必要だ。

プレイヤーがその速度で情報を集め、ポケモンの眼となり戦略を練り戦術を組み込めば勝利できる。

 

「既に渡しているさ。シリカ!あのポケモンを捕まえよう。

 というか、このポケモン以外ポケモンがいないかもしれない。

 最後のチャンスだ!」

「はい!」

 

 右手に構えているのは、Mと描かれた紫のボール。

そのボールはマスターボールといい、どんなポケモンでも捕まえられるのだ。

そう……投げて当たれば、絶対に捕まえられるのだ。当たればな……。

 

「は、はやっ!?」

「あれは神速だ!先制攻撃で、威力がかなりある!

 しかもレベルはクォーターポイントのフィールドボスだ、やられるぞ!」

 

 キリトがレックウザの攻撃に驚愕の中、サトシだけがまともに状況を理解している。

何故か。

 

 彼こそがテーマフラグ英雄だからだ。

フラグを踏まれたからこそ、いきなり湖からレックウザが出現し今に至る。

フラグが踏まれた今、彼には数多の知識と知恵がアップロードされた。

しかも彼は、制作者の意向が全くない状態だ。

今までの知識と経験則で、テーマフラグによる情報を上手く自分に適用させた。

 そしてサトシは、それらを集約し結果としてキリトとシリカ・自身だけでこのレックウザを捕まえないといけない

という事を本能で理解する。

それは今ここにプレイヤーがいないとかそういう問題じゃない。

 

 まず、速さからして違いすぎる。

 

「レックウザが空中で、回転し始めた!」

「ッ!」

 

 そして天が光る。

その雷光が周囲を包んだ時、キリトは後ろへ大きく下がる。

雷光が消えたとき、キリトの目の前つま先から円形に焦げた平原が見えた。

 

半径10M程の焦げ。

 

「技は神鳴り・穴を掘る・神速が今の所の技だ!後一つで、行動がわかる!

 ピカチュウ、十万ボルト!」

「ピィッカ~~チューー!!」

 

 ピカチュウは電撃に身を包み、高圧電流をレックウザに向けて放つ。

レックウザに当たるが、効果がないように見える位動じなかった。

逆にピカチュウにヘイトが向く。

彼奴はピカチュウへ高空から、勢い付けて落下してくる。

 

「ピカチュウ、アイアンテールで逸らすんだ!」

「ピッカア!」

 

 ピカチュウはアイアンテールでレックウザの軌道をずらす。

そのまま地面に潜ろうとするが、AGI特化のシリカとキリトの剣技が当たる。

わずかにレックウザの速度が低下する。

潜るとすぐに地面を掘って出てくる。

 

HPバーは、半分まで低下する。

 

奴は呼吸を整えている。

 

「ピカチュウ、電磁波だ」

「ピカッ」

 

 微弱な電流で、レックウザを麻痺させる。

スタン状態へ陥ったボスは、動きが散漫になる。

そこへキリトはアイテムを手に持つ。

そのアイテムは、パイナップルのようだった。

安全ピンを抜いて、遠投する。

 

 レックウザは身の危険を感じて退避しようとしたが、キリトのスローイングナイフでソレを爆破させた。

レックウザは逃げようとするが、スタンにより行動不能になる。

更に破片による光の乱反射や火薬による煙で、レックウザの視界を封じる。

 

 そこへAGI特化で忍び足なシリカの接近だ。

そのままマスターボールを当てて、レックウザを入手する。

ボールは一つも転がる事もなく、そのままポーンと音を鳴らして捕獲したことを告げる。

 

「やったあ!レックウザ、ゲットです!」

「やったな、シリカ!」

「ピカアッ!」

「すっげえ……」

 

 LAはシリカになる。

LAアイテムは、元気の塊3つ。

瀕死のポケモンを、完全復活させる。

 

「シリカ、レックウザを出してみてくれないか?」

「はいっ、サトシさん」

 

 シリカはボールを掌に載せて、言葉を告げる。

 

「出てきて、レックウザ」

 

 紫の神々しい光が周囲に漏れ出し、きらびやかな光の中出てきたのは翠碧の神龍レックウザだ。

 

「シリカ、ポケモンを仲間にできたら、ニックネームを付けられるんだ。

 やってみないか?」

「はい!じゃ、じゃあ、ピナって名前で」

「そっか、良い名前じゃないか。よろしくな、ピナ」

 

 レックウザは爛々とした笑顔のシリカ・明るい笑顔のサトシ・興味津々なキリトに頷く。

するとピナ[レックウザ]は、碧の光を放ったと思ったら小さくなった。

デザインはそのままに、小型化する。

そのままだと7M位の巨体なので、非常にありがたい。

 

「さてと……フィールドボスも倒せたし、後はフロアボスだけだ。

 ありがとな、シリカ、サトシ」

「いえ、私も手伝って頂き、ありがとうございました」

 

 握手をしあうのと同時に、この機だからフレンド登録もする。

彼等が和気藹々とする中、サトシは固まったままだ。

そして意を決したように、去りゆくキリトの背中に語り掛ける。

 

「キリト、御願いがあるんだ」

「?」

 

 

 願いは、テーマフラグ持ち英雄としての役割の援護だった。

シリカもレックウザ持ちであり、テーマフラグを踏んだことで責任を果たさないといけない。

これはSAOプレイヤーの義務である。

そして、必然的に攻略組扱いになる。

 しかし攻略組というのは、畏怖や尊敬いろんなものから思われ狙われる立場だ。

だからこの危険性を、さらっとサトシに伝える。

サトシはシリカをちらっと見る。

その視線に気づくキリトは、彼らに提案する。

 

「俺、ギルドマスターなんだ。よかったら、今の期間だけでもいい。

 入ったらどうだ?」

「いいのか?」

「いいけど、シリカが入らないと入れないぞ?」

 

 というわけで、シリカ達はキリトの作ったギルド『黒の英傑連盟団』に加盟する事となった。

行動はまた明日だ。

理由として、もう西日が傾いているためだ。

 

 キリトはギルド員である、アスナとアーロイを呼んで説明責任を果たす。

まずは今までの経緯を把握して、詳細にはいり目的と手段を明確にする。

 

つまり今この25層が最高層で、迷宮区でボス部屋が見つからないで終わっているという事。

それと迷宮区の壁に、桃・青・黄の三角関係の中央に赤い何かが描かれている謎の壁画を発見する。

壁画の先から風が入り込んでいたので、こじ開けようとしたが開かなかったので英雄を探していた。

ついでにフィールドボスも未討伐だったという事を伝える。

 

「よろしくね、シリカちゃん、サトシ君」

「よろしくな、シリカ、サトシ」

「はい、宜しくお願いします。アスナさん、アーロイさん」

「宜しく、アスナ、アーロイさん」

 

 お互いに自己紹介して、次のテーマフラグの目的を明確にする。

フィールドボスの討伐をフラグ上完了した。

これからは、その桃・青・黄の場所へ行く。

 

桃はエムリットを示し、シンジ湖にいる。

中央の水底洞窟で、あらゆる不安の中あらゆるものを信頼・不信用を取捨選択する。

 

青はアグノムを示し、リッシ湖にいる。

同じく水底洞窟で、この鼎立を解く強い意思を示さないといけない。

 

黄はユクシーをしめし、エイチ湖にいる。

これも同じで、今まで培った智慧・知識・見聞・知見を示さないといけない。

 

 

 最後にその中央の赤は、洞窟クリアでもらえるカケラを持って壁画へ行くことで出現する。

その心と云えるものを手にし、最奥部へ向かう事となる。

最奥部と云える場所で、フロアボスを撃破する。

 

そしてフロアボスから宝玉を手に入れる。

 

 だがフロアボスと戦う前にやっておかないといけないことがある。

北東にある海底でおふれの石室に行き、封印を解除する。おもにピナが居れば大丈夫。

解除したら、砂漠・迷宮区外壁・鉱山にある封印の石室に訪れ、畏怖の存在に認められ

最北端にある神殿で大陸そのものの祖を覚醒させ仲間にする。

 

 他にも三鳥・始祖とそのコピー・他世界から来たディオキシリボ核酸やコスモ等を、

仲間にしておくといい。

悪夢・這い寄る溶岩・三日月・三剣士と王・三柱の土地神・真実と理想とその本質の粕・千年の願い星・破壊と再生と秩序・機械の心・別空間からの侵入者・4島の守り神・海と陽の神・時を超える者・水の都の守り神・結晶塔の帝王・蒸気を操る者・ダイアの女王・瓜二つな道化。

 

 フロアボス討伐すれば、真のボスと対峙することになる。

これはサトシとシリカの仕事である。

他の者は、音沙汰を待つのみ。

 

 

 

 次の日。朝食マスターアスナさんにより、付与能力もついて元気に皆が駆けていく。

さて水底洞窟への行き方がわからないというが、前もって言ったように泳いでいく。

そう、機械獣の踏破能力は半端じゃない。

 

彼等は、虎型機械獣に跨り、洞窟へ向かう。

 

洞窟内はほのかに明るく、意味深な水たまりによる芸術が不気味だ。

洞窟の奥には、ピンクのポケモン、エムリットがいた。

 

エムリットは訪れた4人に、テレパシーで語り掛けそのまま精神世界で試練を受けさせる。

しかし一瞬で覚醒する4人。

実際はかなり時間がかかっているが、精神世界による加速でどうにかなった。

 

 4人は不確定要素を取捨選択し、その世界を潜り抜けた。

エムリットはシリカに、桃色に煌めく宝石を渡す。

『有情の欠片』。

これを貰うと、エムリットは消える。

それと同時にホワイトアウトし、それが晴れると湖畔に突っ立っていた。

異常に透明度が高い湖の底にあったはずの洞窟が消えている。

クエストを達成したので、次の場所へ行く。

 

 意思の洞窟では、シリカとサトシの友情と強いこの世界を乗り越える意思を示した。

直ぐに彼らは帰ってくる。

『意思の欠片』。

アグノムは消える。

同じ様にリポップして、次へ向かう。

次は知恵の洞窟だ。

 

 この洞窟には、アスナとアーロイが向かう。

するといつの間にか湖畔に皆が立っていた。

『智慧の欠片』。

やはり成績10位以内とテラフォーミング機を作る秀才な博士のクローンは、一味以上も違った。

 

 さて、三つ集めると『心の雫』となった。

これを持って、壁画の所へ行く……前におふれの石室に行って、封印を解いた。

それから迷宮区、『テンガン山』へ行き壁画にその雫を掲げる。

壁は崩れたので、外壁へ行き封印の氷山『レジアイス』にこの世を統べる者を認識させて、彼等の仲間とした。

 戦闘は今までなかった。

なので、砂漠も鉱山も足元の点字を全て踏んで解除して、最奥部の者にシリカたちの存在を認めさせた。

最後にキッサキ神殿で待つ祖を、『ブライトプレッシャー』で面制圧して仲間にした。

 

 

「午前でこれだけやれるなんて、思ってなかったぜ」

「ピカァ……」

「今までのテーマフラグより簡単でよかったよ」

「戦闘にならないなんて、凄くぬるいわ」

「死ぬよりマシじゃないか」

「皆さん、どれだけ死地を味わって来たんですか……」

 

 正午の再補給。

オーキド博士というポケモン博士に聴いて、いろんな場所へ行く。

オレンジ諸島で三鳥と海の神を認めさせ、ジョウト地方の鈴の塔で三獣と鳳凰を屈服させた。

アローラ地方で、4島の守り神・異邦で異空間のポケモンを制圧した。

ホウエンの誕生の島でDNAを拘束降伏させ、水の都やラルース、ロータとついでに世界の始まりの木を見に行って、それぞれ護神・もう一つのDNA・伝説の装備を手に入れてきた。

 

 いろんな伝説やレアといわれるポケモンを、機械獣で拘束し倒してシリカとサトシに仕えさせる。

目的のための手段となるポケモンに、容赦なく攻撃をしかけ屈服させる。

サトシは心が痛むが、この世界の外の現実世界ではタイムリミットが刻一刻と迫っている。

そんな中、AIに気を病む必要性がない。

故に電撃戦を敢行する。

 

 こんな電撃戦でも、キリトは『血盟騎士団』や『風林火山』、『蒼龍同盟』『聖龍連合』『軍』にお目通りして、

25層ボス部屋発見と共にレイドを組む旨を話した。

 

さて、全てを制圧した中、とあるポケモンを護衛につけている。

ピナではない。

主にサトシとシリカを守るためだ。

 

<何故私は此処に居る>

「俺達がミュウツーを必要としたからだよ」

<……久しぶりだな>

「会うのは三回目。元気にしていたようで何よりさ」

<全く……>

 

 コピーと嘆いていた彼は、オリジナルへ宣戦布告していた。

しかし今では、コピーとてオリジナルとて結局は生物。

それを二度目の邂逅で認識し、それ以降世界を謳歌している。

そんな彼は感動的なのか、それとも微妙なのかあまりうれしくなさそうだ。

 拉致監禁の末がこれだ。

しかたがあるまい。

 

 そんな時、足元に結晶が広がる。

ゆっくりと、しかし確実にそのものが来る。

 

「お前は……」

<サトシ、お前のママは息災か>

「ああ。元気だぜ。今でも、オーキド博士とポケモンたちと一緒にミイちゃんと遊んでいるよ」

<そうか。それは朗報だ。サトシも愛する者をいつか、一瞬の内になくすことがある。

 後悔せぬよう、生きろ>

「解ってるって」

<そうか>

 

 エンテイはアンノーンがつくる結晶の転移門に入り、どこかへ消える。

グリーンフィールドの先にある大富豪の家。

そこの一人娘であるミイが始めた、最強の我儘にして最高の遊び。

それを食い止めたのが、サトシたちである。

 

 他にもサトシの偉業を思わせるポケモンが多数入り混じる。

その光景に辟易するシリカ。

この場所は自分がいるべきじゃないのか、という思い込みが彼女を襲う。

 

 夜中、天井の裏にある星のようなそれは輝いていた。

シリカが独り外にいるのを、キリトは発見する。

 

「シリカ、どうしたんだ?」

 

 彼女の隣に座り込むキリト。

 

「何でもないです……」

「そっか」

 

 そのまま黙って隣に居続ける。

そして、不意に口にする。

 

「皆さんは凄いのに、私だけなにもできてないです。

 本当に必要なんですか?」

「勿論さ。凄いとか何か大業を成したとか関係ない。居てほしいから、頼んでいるんだ」

「居てほしい?」

 

「安心するんだよ。やっぱり、常に気が張っている、張らなきゃいけない状況だからね。

 だから、シリカは俺達に必要なんだ」

 

「……ありがとうございます。少し、気が楽になりました……」

 

「……あんまり、我慢しないようにな」

「はい」

 

 もう少し天を見てから、ポケモンセンターに戻る。

さて、次の日だ。

次の日で、25層を超えられる。

 

 




 シナリオに関係ないものは、即落ち二コマな感覚で終わらせます。
現在考案中の即落ちは、武器強化詐欺・圏内(指輪)事件・リズベット随伴クエストです。
閑話としてお話を展開するのは、ノーチラスとユナの話です。
 またお断りとして、私が知っているゲームを中心としてキャラを出します。
理由はモチベ維持と、サクサク進めたいからです。
何故かというのは、この二次小説自体が暇つぶしのようなものですから。

 前編は情緒や背景等全カットでお送りしました。
如何でしたでしょうか?
楽しめましたらとてもうれしく思います。

ぜひまたいらしてください。


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