ソードアートBro's   作:名無しの権左衛門

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前後編に分割してます。


4:邂逅(前編)

4:邂逅(前編)

 

 ゲームが始まって一か月。死者数は300人を切った。

このゲームに追加されたルールにまだなじめていないプレイヤーが多くいる中、

今も次の階層へ行くため迷宮区攻略を目指している。

 

今もちらほら、英雄と呼ばれるキャラクターがプレイヤーと共に行動している。

勿論別に独りでいる英雄もいる。

彼等と手を取り合い、生きていけるかどうかがこの世界から生還する知恵となる。

 

 

 さて、誰もが一層クリアの為のかじ取りを行わない中、とある英雄がとある人物の目の前に出てくる。

 

「おっと、君はプレイヤーか?」

「えっと……はい、そうですが。貴方は?俺……私はディアベルと申します」

「ははは。そこまで畏まらなくてもよい。私は劉備玄徳と申す。

 君たちのいう、英雄というものだ」

 

 碧の甲冑に身を包む大人が、迷宮区を攻略しているパーティの筆頭に話しかける。

最初は何事かと驚くプレイヤー側だが、劉玄徳を知るディアベルは皆を静める。

おかげで劉玄徳の後ろに付く数名の人物も、警戒状態を解く事となった。

 

今回の偶然とも言える邂逅は、このSAOを揺るがす事となる。

 

それはともあれ、ディアベルと劉玄徳らは協力体制を取ることとなる。

 

 

 

「マリオ!遂に来たぞ!」

「何何、どうしたんだ!?」

「フロアボス攻略会議さ!さあ、行くぞ!」

 

 キリトはマリオを伴って、迷宮区に一番近い街へ移動する。

 

 

 

「アーロイ、急いで!」

「消極的なアスナが積極的になるなんてな。

 で、どうしたんだ?」

「ボス攻略会議よ!機械の王女様をやっている場合じゃないわ!」

「ゲームで制約されていた、オーバーライド無限使用を一端止めてそっちへ行こうか!」

 

 オーバーライドをされた瞬間、敵対化しているときよりもはるかに強力になった機械獣を大量に連れる二人。

機械の王女二人は、ストライダーにまたがり会議が行われる場所へ向かう。

 

 

 10時ごろ。

 ステージ中央を見下ろすコロシアム方式というような感じな場所で、会議が行われる。

ステージ中央には、頭髪を空色に染めている青年がいる。

 

「皆、良く集まってくれた!俺はディアベル。気持ち的にナイトやってます!」

 

 拳を胸に強く当てて、軽口を云い会場を彼のパーティの野次と共に和ませる。

会場の緊張をほぐして静粛にさせ、本題へ入る。

 

「今日俺達パーティは、迷宮区でボスの部屋を発見した!

 このβテスターにより無料で発行、配布されているSAOの歩き方という本には……

 第一層ボス『コボルト・ロード』という名前が記載されている。

 

 しかし、SAOのGMがこのゲームに強制ログインさせるほどの強い勢力が、このゲームを支配した。

 故にこの本のほとんどの情報が、意味をなしていない事になっている。

 

 そこで俺達パーティは、英雄と共にボス部屋に入りボスの姿と基本戦闘能力を確認した!

 

 ボスの名前は分からなかったが、機械仕掛けで巨体だった。

 色は黒色で、基本的な戦闘はロングレンジの攻撃だ。

 

 図体はでかいため、懐に飛び込めばなんとかなるだろう。

 取り巻きは、俺達が入室して5分間は出現しなかった。

 

 さて、このような堅牢な巨大な体躯を持つフロアボスを倒す方法はある。

 それはパーティだ。

 パーティを申請し、協力体制を作る事でレイドというものが作れる。

 パーティは2人から8人で作れる。そしてその中から、リーダーを一人決める事で

 その更に上のレイドリーダーにより統率されることで軍隊として動かすことができる。

 POTローテとスイッチによって、パーティを入れ替え攻撃する。

 これによって、敵を安定して撃破することができる!

 俺達にできないことはないんだ!

 

 まずはパーティを作ってみてくれ!」

 

 この場に集まるプレイヤーは目の前や近くに居るプレイヤーと組む。

しかしアスナやキリトは、後ろの方に静かに居たので把握されているのはディアベルのみだ。

影が小さく空気が薄い彼らは、同じ雰囲気を持つお互いを見る。

そしてお互いに英雄を持つためか、インスピレーションを感じる。

 

 最初に動くのはキリトだ。

座ったまま蟹やフナムシもびっくりな横移動で、アスナに近づく。

 

「パーティ組もうぜ」

「良いわよ。貴方も英雄持ちでうれしいわ」

「俺もそう思うぜ、アスナ」

「げ、行き成りってどこで見たのよ」

「メニュー欄左上」

「げ、ここでみれたのね」

「知らなかったのかよ(笑)」

 

 キリトはアスナとの距離を短くする。

プレイヤーの親睦に心を温めながらも、あぶれているマリオとアーロイ。

 

「キリト、彼女たちの事、僕に紹介してくれないか?」

「アスナ、彼らの事、私に紹介してくれよ」

 

「「あ」」

 

 二人はお互いの世界に入り込んでいたことを思い出した。

そしてお互いの事を、簡単に紹介する。

理由として、まだディアベルの話があるからだ。

 

「よっし、皆できたかな。それじゃ、次は「ちょお、待ってんか!」ん?」

 

 独特の口調が、会場を包み込む。

その音源はステージに降りてくる。

で、その人物はキバオウと云って、何を云うのかというとβテスターについての言及だ。

彼は初心者に対して情報を独占したことと謝罪とその見返りとしての報酬を言い渡した。

 

 しかし、この空気の読め無さにとある人物が出てくる。

 

「つまり、君はβテスターに死ねというのだな?」

「アンタ誰や」

「私は中山清王が末裔、劉玄徳だ。ディアベル殿と協力体制を取っている。

 それはどうでもいい。

 キバオウ殿。貴殿の先程の言葉、撤回してもらおう」

「なんやと!?」

 

 碧の装備を身に包む劉備は、キバオウに対して言葉を厳として事実を云う。

βテスターがビギナーよりも死亡している事、ディアベルが云った様に『SAOの歩き方』という本の無料発行……。

そして、世界が黒の者に支配された今、この世界にβテスターもビギナーも関係ないという事を告げる。

 

「ぐっ」

「もしビーターがビギナーに武器や資金を提供したとしよう。

 ビーターは、そのまま生き残れると思うか」

「当たり前やろ!装備と資金の提供だけや!情報はまだ持っとるやろ!」

「否。死ぬ」

「そんな筈ないやろ!」

「装備も金もない状態で、外に出てみろ。

 外には何が理由か知らぬが、機械の獣が跋扈している。

 彼等の攻撃や索敵範囲は、そこらの猪とはわけが違う。

 まず、攻撃の手段がない状態で、どのように敵を狩ればよいのだ?

 レベルがあったとして、それが機械獣による遠距離レーザー攻撃を回避しきれると思うか?

 

 思えるのならば、ここで無駄口を叩くがいい。

 なければ即座にそこに座るがよい」

 

 劉備の指摘に、不満たらたらながらもキバオウは席に座る。

 

「ディアベル。民は善悪なくとも、私達の行動を左右しかねない。

 事は慎重に行おう」

「それはもとより、です。あっと、えー、彼は劉備玄徳と云いまして、俺達パーティと協力体制を取っている英雄です」

 

 ディアベルは先ほどの事をさらっと流して、英雄の紹介に入る。

出展作品や設定年齢等を曝け出していく。

基本的な紹介は終わった。

 

「レイドリーダーは俺がする。だけど、サブリーダーとして劉玄徳をつけよう。

 やばい時は俺達が協力して、前線と後援を支援しながら攻撃する!

 

 よし、それじゃ、皆に迷宮区の地図を配布するから、明日の正午、ボス部屋前に来てくれ。

 解散!」

 

 皆は思い想いに解散する。

そのままレベ上げに直行する者や少し休憩する者もいる。

 

そんな中、キリトとアスナ達は一度この街を出でてとある場所へ向かう。

簡単な説明だけで、深い内容を云われなかったキリトとマリオは、不思議に思いながら付いていく。

付いていったところは、街から離れた山々と森の中だ。

 

そこには、一層に突如出現した機械獣が大量にいた。

 

「な……!?」

「これは……」

「おっとこいつらは仲間だ。攻撃すると、アンタたちを敵とみなして攻撃してくるぞ?」

 

 臨戦態勢となるキリトにアーロイが聲をかける。

キリトは既に安全マージンを超えすぎて、経験値がいずれの敵を倒しても1しか上がらなくなっていた。

故にこれは戦闘能力が未知数のマリオを守るための行動だ。

何せ機械獣はビームや重火器等のロングレンジで攻撃してくる。

近接攻撃が主なマリオには、分が悪いのだ。

 

 しかしアーロイの言葉やアスナの制止により、キリトは剣を抜いても攻撃はしなかった。

 

「さて、この機械獣の群れを見て、私のいう事を少し信じてくれないか?」

「僕は構わないけど、キリトは大丈夫か?」

「大丈夫だよ。最大の脅威である機械獣を治めているんだ、話を聞く価値は十二分にある」

 

 アーロイとアスナは頷き合う。

この力の誇示は、彼等に対して非常に有効であったことと成功の意味をなした。

 

アーロイはこのSAOの層が、一層毎にテーマがある事を伝える。

それを前提にして、この層のテーマが機械であるということを云う。

 

「確かに。デスゲームが開始されて、数日で機械獣が跋扈し始めた。

 その時、この層全てに歯車やナノチューブ、シャード等の素材やギミック・敵が出現した」

「ああ。実はその影響は、アスナがこの層のテーマを出現させるフラグを踏んだことにある。

 そして、そのフラグは地下に落ちたプレイヤーが、私と接触し地上に出る事にあったんだ」

 

 そこからパックの説明をする。

これらのメタ情報は、その層に住むテーマを出現させるフラグを持つ英雄に課されるとアーロイは伝える。

情報は地下情報で得たとも。

更にその層のフィールドボスやフロアボスも、その層のテーマとフラグを持つ英雄が知る場合がある。

故にこれを踏まえると、この層のフィールドボスはロックブレイカーでフロアボスはデスブリンガーとなる。

 実際フィールドボスを相手にしたプレイヤー達は、迷宮区へ突撃したが逃げ帰ったのも同じ。

そして名前は『ロックブレイカー』というのを、彼らは見ていた。

 これらは茅場が発表していた。

既に彼は攻略組の一人として、前線で挑んでいるようだ。

 

「じゃあ、何故マリオが居るんだ?劉玄徳という漢の人もいる。

 どうなっているんだ……」

「層のテーマに合わない人物も、ランダムに出現する。

 そして、その層のテーマフラグに関連付けられる英雄が出現すると、

 脳内に情報がアップロードされるんだ。

 私も最初は何だと思ったが、機械炉で情報を得て確信したよ」

 

 そして、その層のテーマを出現させるフラグを解放すると、そのテーマに沿う人物全ての能力が解禁される。

更にその英雄と共に歩む者に、『パック』が渡される。

これを開封すると、その者にしか扱えない非売品が渡される。

 もう一つ特典がある。

それはパックを入手したプレイヤーのみ、テーマフラグ解禁英雄とフレンド登録ができるというものだ。

普通にパーティに入れられるが、ギルドには入れられないしフレンド登録もできない。

だがこの特典により、その人物が加入しているギルドに加入でき、フレンドも登録できる。

 

 パックの中身は、そのテーマフラグを解禁できる英雄と歩むプレイヤーにしか渡されず、外部に性能やら全ての要素を曝け出せられない。

ここらの仕様はよくわからないが、PKを防ぐためだろう。

 更にパックには、その英雄と同じ性能の武器や装備・能力を入手できるという。

このゲームにおいては、普通にゲームバランスを崩壊させるものだ。

しかし既にSAOは、枠組みとしての体裁は成しているが中身は別物となっている。

だからゲームバランスを崩しているとはいえない。

 

「キリト君とマリオさんは信用できるから、ここでばらしておくけど……」

「いいのか?喋ってしまうかもしれないんだぞ?」

 

 アスナの軽率な言動を、キリトが注意する。

しかし彼女は薄ら笑う。

 

「大丈夫よ。離れたら、マリオさんとキリト君の周囲にウォッチャーを数体付けておくから。

 もし何か言えば、すぐにそこらの私とアーロイの機械獣が殺しに行くわ」

「は、はい……」

「Oh……」

 

 ものすごく恐ろしい笑みをするアスナと鋭い眼光を放つアーロイ……。

機械獣の王として君臨する二名の覇気に、キリトとマリオは萎縮した。

 

「それじゃ話すわね。私の装備は、『フォーカス』と『オーバーライド』できる弓。

 後はアーロイが持つ装備ね」

「私自身が持つスキルは反映されていないが、主要な装備は大方アスナがコピー・取得しただろうな」

 

 そしてフォーカス等、アーロイのパックが如何に恐ろしいかキリト達は肝が冷える思いだった。

こんな装備が許されている。

という事は、このゲームはこの装備や能力が無ければいけないくらいのバランスとなっているということだ。

 

 

 

 さて、夜はアーロイが集めた食材を使ったアスナの料理を、キリト達がありつけることになる。

4人は同じ釜の飯を食う事となる。

故に親密となる。

 

 

 翌日、作戦会議を行いながら、早朝に来たメールを見る。

メールは班分けと担当だ。

 

 

「俺達は後方援護と後の雑魚狩り。そして、最後尾ローテで主砲か。

 ディアベルは、マリオとアーロイを英雄と知ってたな」

「ああ。あの男、非常に頭が切れるが、少々心配だ。

 何せキリトと同じにおいがアイツからした」

「つまり……」

「テスターだな」

「LAを取るかもしれない。ここは注意すべきかもな」

「ああ」

 

 LA。

ラストアタックボーナスと云い、最後の一撃はせつないをやったプレイヤーに与えられる

唯一のレアアイテムが配られる。

これは『SAOの生き方』に書いていない。

当たり前だ。普通に危ないからだ。

 

 アーロイはキリトと周辺の人物の行動の検討をする。

アーロイは今まで生き抜いてきた戦術眼とその野生の勘、

キリトはテスターとして前線を生き抜いてきたプレイヤーとして、

他者の心身の動きは比較的把握している。

 

 二人の御蔭で、後の危険性の『if』への対策ができる。

 

 アスナとマリオは、相棒の行動に対して懸念を提示しその最中での援護に関して話す。

アーロイは今まで一人で生き抜いてきたため、団体行動が苦手な節がある。

キリトも一匹狼である感が満載だ。

 だがアスナは競争でありながら、共に進む学校生活を送る経験則がある。

マリオは多くの仲間と協力し合い、困難へと立ち向かってきた経験がある。

二人が意見を出し合い、4人の行動を上手く組合せ嫌悪を抱かない戦闘をする。

これにより、最小限の犠牲でこの層を超えられると信じ、会議を終わらせる。

 

 




 元々前後編まとめて一話なのですが、冗長すぎてだれますし話数分割も演出ですので、思い切って分けてみました。
相も変わらず、txtなのでおかしいですがご了承下さい。

面白ければ、非常にうれしく思います。
是非またいらしてください。

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