ソードアートBro's   作:名無しの権左衛門

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3:ZERO

3:ZERO 

 

「…」

「おや、こんな所に人がいるじゃないか。怪我はないかい?」

「ここはどこ」

「見てわからないか?」

 

 目の前の人物は、上を指す。

上から太陽の光が刺し込んでいる。

その差し込む穴の大きさは、人の胴回り三倍程。

 

高さから見て、結構な高さ。

この高さからダメージがない事に、今更ながら動揺する落ちた本人。

 

「そんじゃ、自己紹介しようか。わたしはアーロイ。あんたは?」

「……アスナ」

「アスナね。という事は、プレイヤーか。わたしは一応、英雄という役割のようだ」

「英雄……」

「ふむ。アスナ、ここら辺をほっつき歩いてみないか?

 ここでじっとしているより、有益だろ?」

 

 アスナは頷く。

まだまだゲーム開始で、寡黙を貫くアスナは己の殻に閉じこもったままだ。

そんな彼女を気に掛けるアーロイ。

 

アーロイは右耳の上前方に、生体磁石を使いくっついている三角形の機械『フォーカス』を起動する。

この機械により、AR空間が周囲に広がる。

周辺のいろんな情報を汲み取り、彼女にその情報を与える。

 

アーロイの少し後ろを歩くアスナは、何も考えないで歩くだけ。

しかし突然横に広げられる腕によって、前に進めなくなった。

 

「アーロイさん?」

「アーロイでいい。ちょっと身を隠してくれないか?」

 

 アスナはアーロイに言われた通りに、周辺にある瓦礫の陰に身を隠す。

アーロイは腰をかがめた状態で、アスナに近寄る。

 

「エクリプスだ。ちょっと制圧してくる。待っててくれ」

 

 アスナは状況を読みこめないまま、アーロイは一人で前に出ていく。

何せこの場所は殆どが暗闇である。

何をしようにも、光が足りない。

そんな環境でも、苦にもせず行動する彼女。

胆力と勇気、実力がそろっている女性なのだ。

 

 暗闇から響いてくる男共の悲鳴。

泣き止んだと思ったら、アーロイが戻ってくる。

 

「制圧した。奥に階段があった。そこから出ようか」

「ええ」

 

 再び歩き出す。

歩き出して少しすると、鳴き声がする。

これは人間の鬨の聲ではない。

電子音が響く。雑音や空間を引き裂く音で、周囲を満たす。

 

「ねえ、アーロイ」

 

アスナは不安そうな聲で、近くに居る彼女に話しかける。

ほとんど暗闇だが、アーロイの場所はわかる。

それは彼女がつけている『フォーカス』が、光を発しているからだ。

 

 今『フォーカス』は、稼働状態となっている。

その状態だと、『フォーカス』本体上に碧い輪っかが出現し回転する。

 

「ああ、大丈夫。今回はなんとかできる奴らだ」

「今回?」

「アスナ、ちょっと足を確保してくる」

 

 そういうと、アーロイは足早にその場を去る。

アスナは今まで通り、瓦礫の陰に隠れる。

暫くすると、彼女は二匹の馬のような機械を連れてきた。

機体の一部が光っているので、アスナにもその全容を見ることができる。

 

「これは?」

「ストライダー。馬型の機械獣だ。

 こいつに乗ってくれ、この場を突破する」

「騎乗スキルなんて持ってないんだけど」

「持っていなくても可能さ。さあ、乗った乗った」

 

 アスナを乗らせると、アーロイも乗ったのかアスナの前に出る。

アスナはアーロイが笑ったかのように幻視する。

アーロイは短く「ハッ」と、掛け声を発する。

するとアーロイとアスナの乗る、ストライダーが走り始める。

 

 途中、アスナが聴いていた機械音の正体である、ウォッチャーという偵察機械二体に警戒態勢に移行された。

しかし既に彼女らは、階段を上った後だった。

 

 

「うっ!?」

「お、外か。しかし、わたしが知る世界ではないな」

 

 アスナは真っ暗闇から光あふれる地上に出たことで、目がくらんだ様だ。

アーロイは慣れているのか、目の錯覚を気にせずこの世界から反射される光を視神経に映しこむ。

 

途端、アスナの頭上に『Horizon Zero Dawn CLEAR』という表示が出る。

アスナは突然の事に茫然としてしまう。

しかしアーロイはその状況を呑みこめてしまっているようだった。

 

「なるほど、アスナが最初で最後の到達者ってわけか。

 おめでとう、アスナ。わたしと同じ力を使えるようになったぞ?

 そして、私とのフレンド登録もできる。よかったじゃないか」

「どういうことなの?」

「つまり、『フォーカス』も『オーバーライド』も使い放題だ」

 

 アスナは『フォーカス』という言葉を聞いて、自分のインベントリを見る。

そこには『Horizon Zero Dawn PACK』というものがあった。

そいつを選択し開くと、アーロイと同じような『フォーカス』や弓矢等装備が装着された。

 

「私とお揃いだな」

 

 アーロイはアスナの姿に、くすっと笑う。

あまいろの頭髪は、造形は違えども姉妹のように見えてしまう位二人を象徴づける。

 

「さあ、行こうかアスナ。世界は広いぞ?」

 

 始まりの街の圏外と圏内の境目に、いつの間にかストライダーと共に立つ二人。

圏内はいつも通り。

しかし圏外には、機械達がリポップ跋扈し始めていた。




不定期更新な文字列を見てくださりありがとうございます。
どのような世界観がわかりずらいので、3話連続投稿しました。
相変わらず情緒を省いてますので、言動がおかしいことになってます。

愉楽であれば幸いです。
またいらしてください。

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