ソードアートBro's   作:名無しの権左衛門

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短いですが、8531文字です。


6:鏡の世界(後編) 

6:鏡の世界(後編) 

 

 さて、風林火山達の様子だが、まあ概ね変化はない。

基本的に強い敵やドロップを求めて、多くのボスを狩りまくっているようだ。

他の黒の英傑連盟団である、鍛冶師とその英雄達は素材集めの為網やツルハシを持って山を削っている。

血盟騎士団連中も同じく、ドロップの為に動く。

 

 だが、黒の英傑連盟団以外のギルド、風林火山・蒼龍同盟・血盟騎士団・軍に、月夜の黒猫団の仲間がいた。

そう、一人ずつ合計4人が、必ず茫然自失状態で見つかっていたのだ。

この救出の事は、既に副団長のアスナは知るところとなる。

 

 情報共有は、このデスゲームで唯一の長所であり短所だ。

情報を精査せず、そのまま躍り出るのは馬鹿の証拠である。

周囲の者らと情報を共有し、無駄な部分等を洗い流し本当の正しい部分を抜き出して情報を透明化させる。

これでちゃんと行動ができる様になるだろう。

 

 それができない愚かな者は、全て死という機会が待っている。

 情報に弱い者は、躍る。

其れを楽しむPKギルドやプレイヤーがいる。

だからこそメールというものは、罠であり不透明であると訝しんだ方が早い。

 

 しかし、ギルドメール・フレンドメールは、知っている人物への直接メールよりも信用度が若干高い。

まあフレンドメールはともかく、ギルドメールはお互いの信用を糧とした物ゆえ、お互いの信用度・盲目でない信頼度が、ある程度必要になるだろう。

 

 

 さて鏡の欠片が8枚集まったので、光と闇に居る人物が境界に集まる。

光から多くの人物が、闇からは少数の人物がやってくる。

ダンジョン踏破率が描かれているが、全ての区画に於いて50%行くか行かないかくらいだ。

しかし今回は救出・ダンジョンクリアという名目上、何時までも死ぬ可能性の高いダンジョンに居座り続けるのは、

非常に危険極まりない。

 

 真に残念だが、ここらを境にして探索を切り上げ合流を図る。

 

 とギルド仲間を説得して、この場に赴いてくれた。

まあ来てくれないと、帰ることができないからね。

 

 

「アスナ君、キリト君とは連絡が取れたのかな?」

「はい、ギラティナとのやぶれた世界経由で、情報共有しました」

「そうか。私の方等、ギルドマスター全員とその会話法は、目の前で展開してくれた。

 今から向かうとしよう」

「ありがとうございます、茅場団長」

「む、”ヒースクリフ”とは呼んでくれないのか?」

「いや、だって……須郷さん経由で話したことあるじゃないですか」

「ははは、そうだったね。仕方ないなぁ」

 

 アスナは現実にいる時よりも笑うようになった彼を嬉しくおもいながら、とりとめのない話を少しする。

彼女は、キリト達と合流後、KoB団長と会話したいとシリカに頼んだ。

場所はトールネックが、周囲をレーダーで感知して調べてくれた。

そしてその座標に、ヌー型機械獣ブロードヘッドを向かわせ、その場所に合わせ小さなダム穴を出現させる。

 

 これで呑み込みの早い団長と会話できるようになったのだ。

 

 ところでこのトールネック、非常に移動速度が遅い!

故にこの光の鏡の世界にいるプレイヤーしか分からない。

それでも十分な有用性だから、あまり文句はないもんだ。

まあ元ネタが、キリンだから仕方ないといえば仕方ないがね。

 

 会話の結果KoB団長は、いろんなギルドのマスターに集合指示を出して境界に向かうよう伝えた。

 

 

 そんな最中、汚れた夢の泉に向かっていたDDDとサトシ・アスナ・アーロイは、かつて

虹とオーロラ・氷に覆われたレインボーリゾートにやってきた。

 

「なんだここ……」

「……」

 

 いろんな光景を見てきたが、此処まで衝撃的だと言葉も少なくなる。

しかし途中、キリト・シリカ・メタナイトがいるのを確認して、地上に降りる。

なんせ彼等はリザードン・機龍を駆使して、労力を稼いでいたのだ。

 

キリト達の場合は単なる経験値稼ぎという名目だ。

だから、ピナに乗ることはなかった。

 

それも理由だが、7Mの巨体が鏡と台座に反応されるのかどうか心配したので、やってみようとしたが、時間が勿体なかったというより、行きはスターシップに乗ってきたので心配しようがなかったのだ。

 

「あー、スターシップのような皆で乗れる奴ねーかなぁ」

「ピナがいますよ?」

「でかすぎてメタナイトが乗れないだろ」

 

「私は飛べるぞ?」

 

 

「「は?」」

 

 メタナイトは背中に翻るマントを変形させ、蝙蝠のような羽を展開させる。

なぜだろうか、無性にしてやったりの顔に見える。

 

「あぁ、最初から言ってくれよ……」

「聴かないのが悪い」

「さいですか。でも、これで!」

「はい!」

 

 メタナイトはこの長距離ランニングをしたがる物好きかと、キリトを珍しい者をみるような眼で見ていた。

だが実際は聞きたくても聞けなくて、我慢の関を切っての愚痴だったようだ。

 

しかしおかげで、メタナイトが飛翔できることを知った。

これによりキリトはドラグーンを使用、シリカはレックウザとユニゾンできるようになる。

 

 もう少し早くやっておけばよかったのに、と言わざるをえない。

この後アスナ達が視認し、やってくるのだ。

 

 ドラグーンはスーパークルーズという、常時音速飛行が可能だ。

勿論騎乗時も可能。其れ以上も出せるが、やり続けるとオーバーヒートし時速110kmまで落ちる。

 メタナイトも限定解除で、時速350キロ出せる。基本時速80km。

シリカもユニゾンすれば、地上から一気に大気圏外へ出て衛星となるくらいの第二宇宙速度を出せる。

それ以前にデルタ化すれば、時間・空間・宇宙から宇宙への移動をも可能にする。

 

 そんな規格外に、機龍時速250kmとリザードン時速180kmがくる。

地上を走り常時飛行状態に移ろうとしたキリト達は、シリカによる圧倒的索敵範囲によって超上空からの飛来者を発見した。

 

 

「キリト君!」

「アスナ!……と、そのお方はだれ?」

「ウム!わしの意向を示すか。わしはDDD。プププランドの名君である!」

「暗君の間違いじゃないのですか?」

「そう褒めるでないゾイ」

 

 キリトに対して、機龍から降りるDDD。

そんなDDDにシリカが攻撃的になる。

だがそんな攻撃をいともたやすく回避する。さすがは暗愚詐欺。

 

「陛下!」

「ム、メタナイト卿!そちも無事であったかゾイ」

「は、陛下こそご無事であらせられましたか。ところで、閣下はどちらに?」

「エスカルゴンはまだゾイ。しかし、今から愚かな臣下を迎えに行くゾイ」

 

 話はとんとんと進む。

久しぶりのサトシとの合流に喜ぶキリト。

実際、超頼りになるサトシは、キリトにとって心の支えの一因となっている。

 

「サトシ、久しぶり」

「よ、キリト。ところで、そちらの人はだれかな?」

「っと、紹介するよ。彼はメタナイト卿っていうんだ。

 凄く強い剣士だよ」

「メタナイトだ。その黄色い動物とそのドラゴン、非常に強いのが伺える。

 調教師か?」

 

 若干メタナイトは、サトシはナイトメアと同列の事をやっているのかと訝しんでいる。

しかしその懐き具合を見て、全く違うと見解を立てるが他人にとってそれはただの洗脳にしか見えない。

 

だがそんな推測はサトシに通用しない。

 

「いや、俺はポケモントレーナーだよ。こっちの黄色いポケモンが、”ピカチュウ”。

 今乗っている橙のポケモンが、”リザードン”っていうんだ。

 皆10年以上の付き合いになるんだ」

「ということは、かなり幼い頃からの付き合いということか?」

「まあ、そんな感じだよ」

 

 サトシはポケモンを知らない人に、ポケモンの良さをアピールする。

実際25層のボス戦やテーマフラグ解放後のポケモンリーグで、ポケモンの恐ろしさを見たプレイヤーは軒並みトラウマを患っていた。

 

 致命傷を与えたのに、カウンターでノックダウン。

キングシールド等の特殊な防御で、ダメージを受けたりデバフを受け更に全ての攻撃を防がれる。

一撃必殺や道連れ、特性の頑丈等のポケモンの洗礼を受け、ポケモンリーグで心的外傷を患うプレイヤーが後を絶たない。

しかもフィールド技・天候技、タイプの植え付け等……ゲームバランスが一気に変化と共に瓦解しているので、ポケモンリーグに挑戦する人が少なくなっている。

 

 それでも立ち向かう人がいる。

勝利した後の大量のコル・経験値、極稀にドロップするモンスターボールを入手するためだ。

このモンスターボールは、召喚する一度切りの消耗品が多い。

しかしその中で偶に、中身のないボールがある。

それは本当にポケモントレーナーになれる、そういう資格を与えられのだ。

 

 ゲームの様に一回なげたら終わりじゃない。

しかし地形によって無くしたり、当たり所によって耐久力が低下して爆散がある。

勿論ゲットしたら、耐久値は無限になるから安全さ。

 

 

 とにかく、サトシはメタナイトにポケモンに関して、色々話をする。

それはキリトにとっても、非常に有益な情報のようで少年のように聴いていた。

メタナイトも、ポケモントレーナーへの認識を変更した。

ただの虫取りが進化した究極系と考えるようになったのだ。

 

―――

 

「で、ここ?」

「そうゾイ」

 

 そういうは、ナニカの遺跡。

ここにエスカルゴンがいるという。

 

いや本当にいた。

別段異変はなかったが、ここら遺跡全てに点々と光り続けるPC等の機械群が垣間見える。

 

「おお、愛しのエスカルゴンよー!」

「陛下!よくぞご無事で!」

「それで、エスカルゴン。何をしておったのかゾイ?」

 

 話を聞くと、エネルギー対策としてローアのギアの解析を完了し、夢というその脳波の解析とローアのその夢との関連性とそれに関する誘導性。

脳と脳波による夢の発生が、エネルギー源ということを突き止めそのドリームエナジーと呼称した其れを、ギアとして一つにまとめ抽出。

そしてそれを波長を変動させ、異空間開発を行った。

 

 異空間を開くのには、ワームホールのように粒子加速をしなければならないわけではないが、圧倒的エネルギーが必要。

そこでエスカルゴンロボが、全てのスターロッドをこの鏡の世界から奪取する。

更に願望や夢すらないエスカルゴンロボに、スターロッドを幾何学的紋様の上に配置させ、ドリームエナジーの効率的な採取を成功。

 これにより圧倒的エネルギーを取得。

総計3900ヨタワットの抽出に成功。

そこから、ローア一機分通過限界と5分間の展開維持を更に広げる研究に着手し成功。

上記のスターロッド紋様群を、量子空間に閉じ込め毎秒50年で経過させその分の膨大なドリームエナジーの連続抽出にも成功。

次にそのエネルギーを使い、ローアのドリームエナジー転換装置を研究しその拡大に成功。

毎秒時の電流・電圧・抵抗を含め、ギャラクティック・ノヴァ1機分と連続一か月展開に成功。

 

 またこのエナジーを転換し、重力子・磁力・量子・電子や陽子、中性子を成すニュートロンの個体抽出と

反物質の生成と維持や操作に成功した。

 

「カラビンビン……カラカラビンビン、全く分からないゾイ……」

 

 更にこれらを用いた空間連絡手段により、プププランドに来たる災厄等全てを樹形図型並行量子計算で導き得たその中で

一番あり得る可能性の高い事件案を、フームや星の戦士たちに通達する。

これによって、プププランドの平穏が保たれているのだ。

 

しかもこれらの原案はフームが行っている。

元凶は宇宙ゴミの飛来とナイトメア大要塞撃破後の宇宙ゴミの飛来だ。

この中にエスカルゴンとフーム・キュリオ・ブンの知識欲を満たすものがあった。

それがローアの各部品であった。

 

「そ、それで、その樹形図うんたらっていうやつで、今回の災厄を予測できないの?

 (ボス戦とは言えない……)」

 

 アスナはエスカルゴンに、今回の裏ダンジョンの事について聞く。

すると帰って来た答えは、どうとればいいか分からなかった。

 

「ハルカンドラの夢波長暴走を助長する機械を発見したでゲス。

 よって、夢を主成分とするダークマター族が動き出すでゲしょう。

 つまり今回は、確認されている5体以上のダークマター族と戦闘し倒さなければ、

 この騒動は収まりを見せないでゲしょうね」

「???」

 

「つまり、SAOのボス戦は各ボスによって専用ステージに飛ばされ、戦闘する事になるでゲス」

 

「!?」

 

 アスナはエスカルゴンから、SAOの名前とボスという概念に驚く。

 

「何驚いているんでゲスか?私もそのテーマフラグ解放の英雄でゲスよ?

 嘗めてかかってもらっちゃ、困るでゲス」

 

 機械をいじりながらしゃべる彼は、非常に得体のしれない者に見えた。

 

 更に会話では、ここはVRであるが彼等にとっては現実さながら、しかし実際違うのでMR空間。

其れゆえに、もう一人の自分を作り出す事が可能という事まで言って来出した。

実際他の所も工事や機械いじりの音が聞こえる。

 

彼等の暴走は絶対になく、変な思惑を出した瞬間彼の脳波と同調するように更新するのだ。

だから彼はこの場に於いて、絶対の存在なのである。

 

「それと、今回は星の夢、ギャラクティック・ノヴァも出てくるでゲス。

 メタナイトには以前壊れてしまったハルバードを修復しております故、

 何かあったらこの通信機を押してくれでゲス。

 因果関係や調律は、こちらのドリームエナジーをつかったローアの亜空間ゲート創成機で、ちゃちゃっと調整しとるでゲスから。

 ほいっと」

 

「おっと。かたじけない、エスカルゴン閣下」

 

「私の分まで頑張ってくださいでゲス。陛下も戦うんでゲしたら、それ相応の武器をお渡ししますが?」

 

「おいエスカルゴン!わしにくれゾイ!」

「といいつつ、全員のために良い夢と願いを持つならば、最高の力を出してくれるドリームキャストをお渡しするでゲス。

 ゲスが陛下は阿保でぐうたらで、私欲を満たすしかできないデブの脳足りんでゲスから隠れても攻撃できる、

 亜空間切断武器を渡すでゲス」

「デェァハハハハハ!!流石はわしの愛しのエスカルゴンゾイ!

 わしを褒めることは……ん?」

「おとと、陛下は常に他の愚かな愚民を平伏させる美貌とカリスマをお持ちでありますなぁ、じ、実に天賦の才、王佐の才、天災厄災でゲス!」

「ワハハハハ!さっすがはエスカルゴン!褒めるな褒めるな!照れるであろうが!」

 

 バンバンと甲羅を叩く。

普通に痛そうだ。

 

結局、基本見てるだけのサトシも護身用として、武器を貰う事になった。

その武器は悪夢の顕現である、ダークマター族に効果が抜群とのこと。

相手が悪タイプであれば、自分らはフェアリータイプかとサトシとシリカは納得する。

 

「さ、時間が無いでゲス。それとそこのブラッキー。ちょいと残るでゲス。

 それと異空間による盗聴は、私めに察知されるという事をお忘れなく」

「っ……」

 

 見抜かれたシリカは、エスカルゴンを睨み付けるがその視線を受け流す彼。

彼の方が一枚以上も上手であるようだ。

 

 皆が退出する中、ブラッキーキリトはエスカルゴンと対峙する。

 

「……」

「そう緊張するな、でゲス。これを見るでゲス」

 

 何かタップ操作をするエスカルゴン。

出てきたのは、夢波長を調べるグラフやらマップのようなものだった。

 

「これは先ほどの事でゲスが、キリトの持つ夢波長がグラフ上のものと同一という事で警告しておくでゲス」

「……」

 

 今度は緊張から、真剣に聴く態勢をとる。

それを見てエスカルゴンは頷く。

 

「この虹色の波長は、カービィの夢波長でゲス。

 そして、この橙がキリトのものでゲス」

「……じゃあ、この黒いのはなんだよ……」

 

 見た瞬間わかった。その虹色の波長が、黒くなった瞬間だ。

そして黒い波長が白く変わり、徐々に消えてなくなる……。

流石の事に、キリトは自分の口から言い出せない。

 

 しかし、その時違う別窓を出してくる。

それは黒の波長が、一つの淡い水色の波長と居場所を交代した場面。

そして虹色の波長が、黒の波長の前に立った後淡い水色に近づく。

 

後にその淡い水色の夢波長が消える。

黒いその波長は、交代する前巨大だったが交代後は小さくなっている。

つまり、この事からいえる事は……。

 

「ダークマター族のオリジナルである、ゼロでゲス。

 この淡い水色の波長は、サチという人物のようでゲスな。

 SAOの事は知っているでゲスが、意思と共に先に描く未来が実に小さいでゲス。

 だから乗っ取られたのでゲしょう。

 

 更にカービィは今までの冒険を記憶しているでゲス。

 夢波長でその中身も見れるのでゲスが、夢に出てきたリップルワールドのリボンという妖精にキスされたときの事を、まだひきずっているようで、良い意味で無類の女性の騎士様となっているようでゲス。

 

 それを逆手にとられた結果でゲしょうな」

 

「た、助ける方法は!?」

「ある」

「そ、それは……」

 

 息をのむ。

静寂が、彼を包む。

緊張感のある中、エスカルゴンが見せたのは笑顔だ。

 

「今回の騒動は、マスターハンドが原因でゲス。

 よって、今からキリトだけに見せるでゲス。

 これは公開するな、絶対に!」

「ああ……」

 

 マスターハンドが関わるゲーム作品が、そこに羅列される。

MMORPGしかやったことがないのと、友人が居ないことがここで関係した。

そう、彼の周囲には、テレビゲーム以前にリアルを持ち出す人はいない。

だからTVゲームや携帯ゲームの事を、このSAOに入ってから更に聴くことが無くなった。

 

 よって……これが出てきたときは驚いた。

マリオとの会話の中、適当に言った言葉に一つの単語があった。

それはストック。

 

これが適用されるのが、このゲームに出てくる英雄達だけなのだ。

そう、これは壮大なゲームの話だ。

 

「『大乱闘スマッシュブラザーズ』?」

「そうでゲス……亜空間、異空間防衛機構発動!

 介入してくる黒の波長を400ヘルツ感知、反ドリームキャスト・ドリームエナジーカノン装填急げ!」

「ど、どうした!」

 

 いきなりの反応に、キリトは慌てる。

しかしエスカルゴンは、キリトの腕を握り落ち着かせる。

 

「いいから、よく聴くでゲス。

 ここが嗅ぎつけられた。このまま陽動し、キリトがこの秘密を知ったという事を隠し通すでゲス。

 私の事は、絶対に口外しないこと。

 そして、これをマスターソードに搭載するでゲス。

 

 これは夢波長転換装置といって、触れたり憑依しようとしたダークマター族全てを、

 根本から全てを改変し元ボスの悟った集団にするでゲス。

 

 それと、カービィに気を付けるでゲス。

 あいつは、ゼロはクレイジーに支援を受けている。

 だからマスターソード以外で戦ってはいけない。

 いいな、わかったな!」

「ああ!」

 

 この遺跡内部が揺れに揺れる。

機械群が響き、周辺物にヒビが入ったり煙が出始める。

遺跡の奥では、既に火災が発生したり反物質やニュートリノの暴走で消失したり変な物質に書き換えられている。

 

「私はここで引きつける。

 オリジナルスターロッド幾何学群・樹形図型並行計算量子PC・抽出等私技術の賜物を、このマスターソードの転換機に付属している。

 

 だから……ギラティナアアアア!!!」

 

 その聲が来たとき、キリトの足元にダム穴が開く。

 

「!? え、エス……」

 

 キリトはやぶれた世界に消える。

一定の夢波長で操作されたギラティナは、従うほかなかったのだ。

 

 この場に残されたのは、エスカルゴンのみ。

いや、多くのエスカルゴンロボがいる。

 

「キキ……ギャハハハハ、グフフ、ヒャハハハハハハハ%&漑I痾!!」

 

 その狂気の黒に染まる手袋は、左手を示す影を現す。

 

「ハッ、己の崩壊を制御できず、夢波長に犯され自壊しているな。

 全く予想通りで、反吐がでるでゲス。

 

 ……私めに刃向うとどうなるか……身をもって知れ」

 

 エスカルゴンは緊急事態宣言と最終戦争宣言を発動する。

彼はただでは死なない。

 

 

―――

 

 やぶれた世界から出てきたキリトは、違う場所からアスナ達と合流した。

勿論見られない内に、貰い物をマスターソードに装着した。

 

 アスナ達はいつの間にか、違うフィールドに居ることが夢波長でわかった。

夢波長は恐ろしいの一言だ。

その者の夢・考え等、全てを曝け出しているのだ。

だから誰が誰に好意を抱いているのか、見てはいけない項目も普通に見れてしまう。

 

 恐ろしい。

これを私欲なく、この世界の為に使っていたエスカルゴンはこの世から消えてしまった。

 

(もし、俺がPKをするような偽善ぶった奴なら……いや、エスカルゴンは全てを見ている。

 最初から、こういうのは予測済みだったのだろうな……)

 

 

「キリト君が無事で本当によかったわ」

「どうしたんだ?」

「あの後少ししたら、ギラティナに閉じ込められたのよ」

「そうなのか?」

「ええ。シリカやサトシが問い詰めても、全然話を聞いてくれないっていうか、耳すら貸さないし。

 なんというか操られたっていうのかな?」

 

 そしてそのあと、遺跡を含む闇鏡世界の100分の1が消失した。

ギラティナが再展開したのは、闇鏡世界の台座がある広場。

ここから中央鏡へ行けば、皆と合流できる。

 

しかしフームと会って、伝えなければならない。

そんな義務感が、キリトに生まれてしまう。

 

そして再度考えた。

 

ストックによる救出方法を……。

そこで一つ妙案を展開することにする。

 

 その案は、シリカに手伝ってもらうことになった。

後はキリトがどうやって、カービィを救済するかにかかっている。

鍵は今の所、マスターソードへの憑依誘導だ。

 

(俺がなんとかしないとな。俺しかできない。

 だから、今は皆を信じよう。そのボス群を、確実に倒す事を……)

 

 キリトはマスターソードを、インベントリに隠し皆と共に進む。

その鏡界の境界で、全てが決する。

 

 




 やっと鏡の世界の戦闘前パートが終わりました。
これで百の位切り捨て27000文字です。

 今の執筆状況はやっとの事、最終局面に移りました。
確かめたところ、この鏡の世界の話をひっくるめて66000文字でした。
暇つぶしなので、ぐだぐだと進めてしまうんです。

 次の投稿は、この鏡の世界の話を終わらせたらとなります。

 今回は短いですが、楽しんで頂けたら投稿者の冥利につきます。

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