多重人格なツチノコ   作:☆ショウ★

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今回はとにかくふざけます。
けもフレと関係の無いネタも存分に出てきますのでご注意を。
覚悟が出来た方はどうぞお進み下さい。


第十四話 ツチノコとこはん 後編

「それじゃあ1ページ目から見ていくっすよ」

 

アメビーがとしょかんから借りてきた本をみんなで囲む。みんなで文字を読む練習だ。アメビーが慎重に本を開く。

 

「えーっと、これは何て書いてあるの?」

 

サーバルが隣に居るかばんに聞く。因みに並びはかばんを12時の方向とし、そこから時計回りでサーバル、スナネコ、ツチノコ、ルル、プレーリー、アメビーとなっている。

 

「これは、『サーバルキャット』って書いてあるよ」

 

「へえ!私ってこうやって書くんだ!なんかシュッとしててカッコイイね!」

 

自分の文字という新感覚に感動するサーバル。

 

「確かに、サーバルさんらしいスタイリッシュな文字っすね」

 

「でしょー!さっすがわたしだよねー!」

 

「別にサーバル何もしてないですよね」

 

「やめてやれ。いつもの事だ」

 

容赦なくズバッと斬るスナネコを諭すツチノコ。

 

「このサーバルキャットという名をもってこの世に生まれたということをしたんだよ!」

 

「あーはいはいじゃあかばん次の文字を」

 

「ひどい!!」

 

スナネコの冷めっぷりにショックを受けるサーバル。

 

「まあまあ、では次…」

 

言いながらかばんは次のページを開いた。

 

「えーっとこれは…」

 

「『そんなに憎いならなんで俺をやらねえんだい。なんで妹に手え出した…!なんで妹やらなきゃならねんだい!!』って書いてあるな」

 

「なにそれ」

 

ルルが変なものを見るような目で文字に目を落とす。

 

「博士どの達は何をもってこれをアメビーどのに渡したのでありましょうか…」

 

「でも妹がどうとか言ってるし、ギンギツネがキタキツネに言ったんじゃない?」

 

「サーバル…あの二人は別に姉妹じゃないぞ」

 

「あ、そうだったね」

 

「姉妹ならやっぱブラックジャガーとジャガーかな?ちょうど「俺」って言ってるし」

 

「でもどうしてブラックジャガーさんがこれを言ってて、それがこの本に書かれてるんでしょうか」

 

「…」

 

場が一瞬沈黙に包まれる。

 

「あーこれはもうアレだ。謎だ。考えるだけムダだ。次だ次」

 

ツチノコが匙を投げ、次のページを開いた。そのページは見開きを全て使ってデカデカとこう書かれていた。

 

「『立てい!!!』」

 

ガタッ

 

ツチノコのその声でその場の全員がいっせいに立ち上がった。

 

「あ、違う違うここにそう書いてあっただけだ」

 

ツチノコが慌てて周りに弁解をする。

 

「ああ、そうだったんすか。いきなり過ぎてビックリしたっす」

 

「急にそんな気合い入れちゃってどうしたんですかぁ?」

 

「いや、こんなデカデカと書かれてるの見たらそう発音したくなってな。それと、このマークがある時は力強く発音することになるんだ」

 

ツチノコが『!!!』の部分を指しながら説明する。

 

「にしても『立てい!!!』でありますか。また謎でありますね」

 

「博士と助手の謎チョイスはもう気にしないでおきましょ。さあかばん。次のページを」

 

「あ、はい。捲りますよ」

 

かばんが次のページを開いた。

 

「えーっと、これは数を表す文字ですね。『4016円』」

 

「なんですかその半端な数字」

 

スナネコが冷めた様子でぶっきらぼうにいう。

 

「なんでだろう…。ライオンの声で脳内再生されたよ」

 

「あ、この円ってのはヒトが使ってた硬貨のことだ」

 

「ああ、ツチノコさんが興奮してたあれですね」

 

「興奮してたゆうな。じゃあ次行くぞ」

 

そしてペラリと次のページへ。

 

「『いやーんばかーん古いよーいーじゃないのレロレロ、ハカセです』」

 

「…」

 

その場をまた嫌な沈黙が支配する。

 

「えーっと、これは何っすかねえ…」

 

「考えるな考えるな。見なかったことにしとけ」

 

「これ多分博士が自己紹介かなんかするときにしようとか考えて」

 

「おっとそこまでだ次のページだ!」

 

ツチノコがかばんの考察をぶった切り強引に次のページへ。

 

「これは、『そうかそうかつまり君はそんな奴だったんだな』ですね」

 

「…なんでだろう。かばんちゃんが読んだらすっごく心にグサってきた」

 

「ええっ!?」

 

「奇遇でありますね。わたしもでありますよ…」

 

「オレっちも…。プレーリーさんに言われたら立ち直れる気がしないっす」

 

「私もだな…」

 

「ボクもです」

 

一気にドーンと落ち込んだ空気になった。

 

「じゃあさっさと次に行きましょう!」

 

かばんが空気を変えるため無理矢理次のページへ。するとそこには

 

『ワイトもそう思います』

 

「本からも賛同された!!?というかワイトってだれ!?」

 

これには思わずかばんも絶叫ツッコミ。

 

「あー、やっぱりか。ワイトもこの言葉にゃ傷つくか」

 

「ですねー。ワイトもそう思うって思ってましたよ」

 

「え!?ツチノコさんとスナネコさんはワイトさんを知ってるんですか!?」

 

「まあ落ち着けかばん。私もお前に聞きたいことがある」

 

ツチノコがかばんを落ち着かせながら言う。

 

「ええ?聞きたいことですか?」

 

「ああ。ワイトって誰だ?」

 

「「「「知らないんかい!!」」」」

 

かばんだけでなく、黙って見てたプレーリー、アメビー、サーバルも思わずツッコミ。

 

「もういいです。疲れたので次!」

 

かばんが怒ったような素振りを見せながら次のページを開く。

 

『許してヒヤシンス』

 

「これぼくに言ってるんですかね」

 

「なんだろう。すっごくムカつく」

 

ルルが率直な感想ぶつける。

 

「アレじゃないっすか?さっきのワイトさんのくだりに対する謝罪じゃないす?」

 

「だとしてもヒヤシンスはおかしいです」

 

「独特なセンスだな」

 

言いながらツチノコがページをめくる。

 

「『許してくんさい』」

 

「ヒヤシンスどこいったんだよ!」

 

これにはツチノコもシャウト。

 

「すごい!独特なセンスって褒めた直後にそれを無くすなんて!この本お笑い知ってるよ!」

 

「なんで本がお笑い知ってんだよ!」

 

「この本色々凄いでありますね。空気を見て適切な言葉を出すのはすごいであります」

 

「それ最早付喪神の類だろ…」

 

「もういーですからさっさと次見ましょ」

 

スナネコがマイペースにページをめくる。

 

『フェンス・オブ・うわああああ!!!』

 

「なんですかこれ」

 

スナネコが大して興味がないようにぶっきらぼうに聞く。

 

「いや、ぼくも分からないですけど…」

 

「なんか、必殺技みたいなのを出そうとして阻止されちゃった!って感じだね」

 

ルルが顎に手を置きながらつぶやく。

 

「いや、技を出そうとして間に合わなかったって感じっすね」

 

「むー、それは悲しいでありますな。出せさえすれば何らかのことは起きてたはずでありますから」

 

「こうはなりたくないね」

 

「じゃあ次行くぞ」

 

ツチノコがめくる。

 

『止まるんじゃねえぞ…』

 

「止まらないよ!」

 

「どうしたの!?サーバルちゃん!」

 

「あ、ごめん!かばんちゃんの声でこの言葉聞いたら反射的に言っちゃった!」

 

サーバルがかばんに抱きつくように言う。

 

「よく分からんが、これもまたなんとなく残念な感じが漂うな」

 

「仲間を命をかけて守った!!って感じもするっすけどね」

 

「…なんだかぼくもう疲れました」

 

かばんが疲労に顔を歪ませながら言う。

 

「奇遇だな。私もだ」

 

「ボクもです」

 

「オレっちもっすよ」

 

「皆さん疲れてるのでありますか!」

 

「みんな大丈夫ー!?」

 

「体力ないねーみんな」

 

まだまだ元気そうなプレーリーとサーバルとルルが暑苦しく叫ぶ。

 

「日も暮れて来ましたし、次もページを見たら一旦休憩するっすよ。一旦じゃなくなるかもっすけど」

 

「じゃあめくるよー」

 

サーバルがページをめくる。

 

『お相手は、コノハ博士とミミちゃん助手、この両名でござんした。バイバイッ!』

 

「勝手に締めるなー!!!」

 

結局、かばん達の疲れは余計に貯まることになったとさ。




今回は色々冒険してみました。書いててちょっと楽しかったです。
私の小説はだいたいこんな感じがデフォなんです。今まではあまり巫山戯っぷりが足らないなって思ってる程度には。
こんな感じにふざけることが出来たらから、今回は満足です。学校で授業犠牲にしてメモネタを走り書きした甲斐がありました。
次回はもうちょい真面目になるかもです。


これよりアラフェネ

「フェネック!今回はこのこうざんを一緒に登るのだ!どっちが先に着くのか競争なのだ!」

「いいけど、急ぎ過ぎて滑り落ちたりしないでねー」


「まさかフェネックの言った通りなるなんてにぇー」

「フェネックには先見の明があるのかもね」

ジャパリカフェにて。こうざんを競いながら登ってる最中に見事に滑り落ちていったアライさんは、疲れたように机に突っ伏している。

「いやー、私もびっくりだよー。あんな綺麗にフラグ回収するとは思わなかったからさー」

「フラグ回収とかゆーななのだー!!」

ガバッとカフェの机を叩きつつ起き上がるアライさん。

「それよりアルパカとトキ!ツチノコ達はどこに行ったのだ!」

「ツチノコ達はとっくに降りていったわよ。多分今頃さばくじゃないかしら」

「よし、フェネック!!今すぐ向かうのだ!」

「待ちなさい。危険だし今回は麓まで運んであげるわ。ショウジョウトキ、仕事よ」

「はーい」

少し離れたところでお茶休憩してたショウジョウトキがフェネックを、アライさんをトキががっしりとつかむ。

「折角だし、今度は二人で競いっこしてみたらぁ?」

アルパカのキラーパスに思いっきり苦い顔をするアライさんと不敵な笑みを浮かべるフェネック。

「そうね」「そうですね」

乗るトキ達。

「いやああ!もうタイムアタックは勘弁なのだあ!!!」

アライさんがこうざんに声を響かせながら、一堂は麓へ一直線に降りていった。

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