多重人格なツチノコ   作:☆ショウ★

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ども、土曜日投稿って前回言って次回には出来なくなる変な三日坊主ヤローです。
仕方ないよね。テスト週間+スランプだったし。
でも実際はDQMBVやってたからなんですけどね・・・
ホントすみませんでした!
では続きをどうぞ!

あ、スランプは本当ですよ!


第十一話 ツチノコとさばく 中編

「・・・ん?」

 

バスの助手席に居たサーバルは、目の前に迫る真っ黒で大きな影を見つけた。

 

「・・・あ」

 

かばんもその影を認めた。

 

「ラッキーさん、あれって・・・」

 

「うん。砂嵐だね。前と同じように迂回しよう」

 

「砂嵐かあ。やっぱり砂漠には多いね」

 

「なになに!!なにがあったの!?」

 

テンション高めに、ルルが運転席に飛び出してくる。

 

「ああ、ルルさん、砂嵐が現れたので迂回しようとしてたとこです」

 

「え!?きんきゅーじたい!?きんきゅーじたい!?」

 

「まあ・・・そうですね。緊急事態です」

 

「わー!きんきゅーじたーい!!」

 

「なんであんなにテンション高いんだろう」

 

飛び跳ねながらバス内を駆け回るルルを見てサーバルが呟く。サーバルですらツッコミをするはしゃぎっぷりだ。

 

「ツチノコー!!ツチノコー!!きんきゅーじたーい!」

 

「緊急事態」の意味をわかって無さそうにルルが眠っているツチノコをたたき起こした。

 

「なんだようるさいな・・・」

 

気持ちよく寝てたとこを起こされたツチノコは若干ゃ不機嫌そうにルルに言う。

 

「というか緊急事態ってなにがだよ」

 

「それはねー!!」

 

よくぞ聞いてくれました!と言わんばかりにルルがさらにテンションを上げる。

 

「砂嵐だってー!きんきゅーじたーい!」

 

「砂嵐・・・砂嵐だと?」

 

ツチノコがルルの言葉を聞いて訝しみながらかばん達の方へ行く。

 

「おい。砂嵐って大丈夫か?」

 

「あ、ツチノコ!おはよー!」

 

「迂回しますんで大丈夫ですよ。車体ちょっと揺れるんで注意して下さいね」

 

「そうか。なら良かった」

 

かばんの言葉にツチノコは安心したように一歩下がり、手すりに掴まる。

 

「じゃあ、迂回するよ」

 

ラッキービーストが言う。バスが静かに曲がっていく、筈が、タイヤは緩くキュルキュル回るばかりでバスは全く動かない。

 

「あれ?ラッキーさん・・・?」

 

かばんがボスウォッチに話しかけるが、ボスウォッチは静かに震えながら

 

「アワワワ」

 

「ボスー!またー!?」

 

サーバルも流石に声を上げる。

 

「大丈夫じゃない感じか?」

 

「きんきゅーじたいはまだまだつづくー」

 

ツチノコがいつまでもはしゃいでるルルをとっ捕まえながら、運転席に向かって声を上げた。

 

「でもまだ大丈夫です。前もあったんで」

 

「じゃ行こっか、かばんちゃん」

 

かばんとサーバルは運転席から飛び降りてバスの後ろの方へ回った。

 

「あ、待って!ぼくも行くー!」

 

ルルもかばん達に続いて飛び出して行った。

 

「・・・」

 

ツチノコも無言で先に出て行った三人について行った。

 

「行きますよ。いっせーのーでっ!!」

 

そこでツチノコが見たのはバスの後方を思いっきり押す三人だった。

 

でも、三人の力でもバスはハマった砂から抜け出せなかった。

 

「うーん、厳しいですね・・・」

 

かばんが困ったように眉根を寄せる。

 

そこへツチノコが助言をする。

 

「スタックは押すより上へ引き上げるようにすると戻るぞ。それとかばん。お前は運転席にいろ。抜け出せた時にすぐ出せるよう準備しておけ」

 

「あ、なるほど。じゃあぼく運転席に居ますね。サーバルちゃん、ルルさん、バスをよろしくお願いします」

 

「うん!任せて!」

 

「かばんちゃんの分も頑張るよ!」

 

かばんは運転席に戻って行った。そして、

 

「上へ持ち上げるように・・・せえの!」

 

とサーバルとルルが力を入れた瞬間、

 

「うわっ」

 

サーバル三人の元へそんな声が落ちてきた。

 

そして

 

「うっぎゃ!!」

 

というサーバルの悲鳴も響いた。

 

だが、サーバルへの急な衝撃と、ルルのパワーでなんとかバスのタイヤは砂から抜け出せた。

 

「えーっと、どうすっかな、これ」

 

「とりあえず二人ともバスの中に入れとこう!」

 

そしてツチノコとルルは、サーバルに落ちてきた声の主、(伸びた)スナネコとスナネコの一撃が脳天直撃したサーバルを見ながらそう言った。

 

「皆さん!バス出ますよ!ってスナネコさん!?」

 

かばんは運転席から後方を眺めるがそこでスナネコが目に入った。

 

「かばん!スナネコも詰め込むぞ!」

 

ツチノコがかばんに叫び、かばんは慌てて前に向き直しハンドルを握る。そしてツチノコがスナネコを、ルルがサーバルを抱えてバスに飛び乗った。

かばんは全員がバスに乗ったのを確認し、バスを走らせた。

 

「さて、一難去ったな」

 

「おーい!起きろー」

 

ルルがサーバルとスナネコを揺らし、起こす。

 

「うみゃ・・・」

 

「おっ?」

 

そしてサーバルとスナネコは目を覚ました。

 

「お、起きたな」

 

「スナネコ・・・また飛ばされたの?」

 

「はい。とってもおっきな砂嵐だったので、夢中になってみていたら飛ばされて、またここに」

 

「前と全く一緒じゃん!」

 

「危ないので砂嵐見る時は離れて見てくださいね・・・」

 

サーバルとかばんが軽く注意するが、スナネコは聞き耳を持たない。

 

「お、スナノコ。ここにいたんですか」

 

「ツチノコだ」

 

そしてスナネコのサラッとしたボケにつかさず口を挟むツチノコ。

 

「そうでしたか。じゃあツチネコ、ここで何してたんですか」

 

「だからツチノコだ!なんでカップリングぽく言うんだ」

 

まだボケてくるスナネコに思わず声を荒げるツチノコ。

 

「というかボケを被せるな。話が進まん」

 

言いながらツチノコはスナネコをよく観察する。

 

(ふむ、天然毒舌な点は変わってるっぽいな・・・あれがスナネコは面白かったのにな。残念だ)

 

「ツチノコ、なんかいつもと違う」

 

「へ?」

 

スナネコの思わぬ一言にツチノコはマヌケな声を上げる。

 

「あ、スナネコは分かるのー?」

 

「ええ、いつもならもっともっと奇声をあげる筈なのに今日のツチノコ、やけに冷静です」

 

「へえ、分かるんだ。すごいねえスナネコ」

 

「おい、私を奇声キャラにすんな」

 

スナネコとルルの言葉を聞いて流石にツチノコも抗議を入れる。因みにサーバルは運転に集中してるかばんのとこへさっさと戻って行ってしまった。よっぽどかばんが大事なんだろう。

 

「ほら今!ツチノコ、私って言いました。普段オレって言ってるのにおかしいです。ボクには分かりますよ?」

 

「・・・まあ別にバレてもいいんだがな。確かに今の私はお前の知ってるツチノコではないな」

 

「何言ってんですか。頭おかしくなったんですか。それとも脳みそ乾燥して砕けました?」

 

「砕けるか!というかお前の毒舌健在か!」

 

あんまりな言い草に大声をあげるツチノコ。

 

「うおう、久しぶりなハイテンションツッコミ」

 

「お前は何関心してんだよ・・・」

 

若干ゃ疲れたようにツチノコはルルに言う。

 

「で、どういう状況なんですか?」

 

「ああ、それはな、かくかくしかじかでな」

 

「は?何言ってんですか。のう・・・」

 

「何言おうとした!?今度は私の脳に何言おうとした!」

 

何かを言いかけてハッと口を噤んだスナネコにツチノコは責め立てる。

 

「なんでもないですよー。脳みそ失くしました?って言おうとしただけです」

 

「なんでもあるわ!というかどうやったら脳みそ失くすんだ!」

 

「ヘドバンしてたらポンって飛んでくかもですよ」

 

「それで飛んだら全国のヘビメタバンド全員脳なしになるわ!というかボケを重ねるなって言ってんだろ!」

 

ツチノコは肩で息をしながらつっこむ。

 

「んで、かくかくしかじかって言ったら理解するってのが大体の小説のルールだ」

 

「そんなの初めて聞いたけど・・・というかメタァ・・・」

 

二人の漫才をただ傍観してたルルはツチノコの思わぬ一言に驚きながら言う。

 

「そんなもんなんですか」

 

「そんなもんだ」

 

「でもボクには分からないんで説明してください」

 

「めんどくせええええ!!」

 

スナネコの物言いに大絶叫するツチノコであった。

 

 

「なるほど」

 

それから数分、説明途中に色々割り込まれ、その度にツッコミをしてたツチノコはもう疲れ果てていた。

 

「はあ・・・まんぞくかよ・・・」

 

「ええまあ」

 

「そこは言えよ・・・!まんぞく・・・って」

 

「すごい・・・ツチノコが振り回されっぱなしだ・・・」

 

「スナネコ・・・ホントすごいよ!」

 

「ぼくには何があっても真似出来ないですね・・・」

 

スナネコとツチノコの会話を見て圧倒されたルル、そしてハンドルにボスウィッチを括り付け、運転を完全にラッキービーストに任せたかばんと、かばんに着いてきたサーバルが思い思いの反応をする。

 

「お前ら変なとこで感心してんなよ・・・というかかばんは真似しんでいい」

 

「あらら、さすがのツチノコもヘトヘトですか」

 

「ダメだよ。そんなんじゃ漫才のテッペンは目指せないよ?漫才は体力勝負なとこもあるからね」

 

「目指してるつもりこれっぽちもないわ」

 

スナネコに便乗ボケするルルを軽くあしらう。

 

「ダメだなー。ぼくじゃスナネコみたいに熱くならないなー」

 

「ただでさえ砂漠で暑いのにさらに熱くすんな」

 

「にしても前世代のツチノコですか・・・」

 

言いながらスナネコはツチノコに詰め寄り、真正面に見据える。

 

「な、なんだよ」

 

と、ツチノコが言ったと同時に、スナネコはツチノコの両ほっぺを思いっきり引っ張った。

 

「いでででで!!!急に何すんだコノヤロー!!!」

 

キシャーと威嚇の声をあげながら急いで身を引き、ヒリヒリとする自分の両頬を抑える。

 

そしてそんなツチノコを驚きの表情でスナネコは見入る。

 

「今ツチノコ、いつもの様子に戻ってましたよ!」

 

「あ?何が?」

 

しかし当のツチノコは、全く気付いてない様子だ。

 

「今ツチノコ、ボク達の知ってるツチノコでした!よね!ルル!」

 

「う、うん。でもぼくツチノコとあんまり話してないから分からないかも・・・」

 

「でも今の様子、確かにツチノコさんでしたね・・・」

 

かばんが話に入ってきた。

 

「今もわたしたちが知ってるツチノコなのかな」

 

サーバルも口を挟む。

 

「んあ?なにが?」

 

ツチノコは頭いっぱいにクエスチョンマークを浮かべながら四人を見る。

 

「ツチノコ、自分のことなんて呼ぶ?」

 

ルルが問いかける。

 

「あ?私だが?」

 

「「「「うーん・・・」」」」

 

四人は揃って唸る。

 

「もしかして、スナネコさんがツチノコさんに触ると一瞬だけ戻るとかですかね?」

 

かばんの思いつきが発動する。

 

「あ、それかも!スナネコ、またツチノコに触ってみて!」

 

ルルがワクワクしながらスナネコを揺さぶる。

 

「な、なんだ?」

 

そしてツチノコをサーバルとルルが囲み、スナネコがゆっくりと近づく。不気味なオーラを発しながら。

 

「さて、触らせて貰いますよ・・・」

 

「検証したいんなら普通にしろよ!」

 

というツッコミとともにラッキービーストの無機質な声が響いた。

 

「スナネコの家に着いたよ」

 

「あ、そっか」

 

「じゃあ続きはボクの家で、ですね」

 

「じゃあ行きましょうか」

 

「わーい!スナネコの家!」

 

と、あっさりツチノコを解放し四人はさっさと行ってしまった。ハンドルに巻き付いたボスウォッチを放置して。

 

「こいつらマイペースすぎるだろ・・・」

 

アワワワと小さく震えるボスウォッチを回収しながらツチノコ呟いた。




今回はホント大変でした。スランプって恐ろしいです。
だいぶ長くなりましたが、砂漠編はまだ続きます。
まあといっても、次回はすぐ終わるかもですがね。
今回はとにかく書きたかった、「スナネコに振り回されるツチノコ」を書けて良かったです。そしてスナネコに便乗し、ボケを重ねるみんななど、やりたいことが出来てまんぞく・・・です。
では、次回もしくはツイッターでお会いしましょう。

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