ソードアート・オンライン――紅の聖騎士と白の剣士―― 作:焔威乃火躙
新たに新キャラクターが登場することが決定しました。キヤラネーム、容姿、性格、役職、CVは後日情報が入り次第お伝えします。
以上、ニュースアート・オンラインでした。
デスゲームが開始してから、もう1ヵ月くらい経った。その間に約2000人ものプレイヤーがこの世界から去り、階層は未だに第1層だ。そしてついに、第1層ボス攻略戦の作戦会議が開催される。
〈トールバーナ〉、ボス攻略会議が開かれる場所だ。俺は1人でこの会議に出席するだ。先生改めヒースクリフは『今回のボス戦は遠慮しておこう。私は全てのモンスターの攻撃パターン、ウィークポイントを全て知っている、そんな奴が現れたとなると正体がバレかねないからね』なんてとこを言って今回は参加しないようだ。
会議の行われる噴水広場にはすでに人が集まっている。ざっと見て40人ってところか。
ゲーム開始してからようやく次の階層への兆しが見えてきたのだ。そのため多くのプレイヤーがこの茨の道を切り開かんと集まっていたのだろう。あるいは、私欲の為に闘いに身を投じる者もいるだろう。
ここに来る道中、ヒースクリフから聞いた話によると、ボスを倒す際に『ラストアタックボーナス』というシステムがあり、超がつくレア級アイテムをドロップできるらしい。最も、それを知るのは『βテスター』ぐらいだとも言ってた。
そんなこんなしてるうちに会議が始まった。指揮を執るのはディアベルというプレイヤーで青髪の片手剣使いだ。彼は話に入る前にパーティを組むように言う。俺を含め片手剣使い2名、斧使い1名、槍使い3名の6人構成のパーティに入る。
だいたい組み終わったところで本題に入ろうとすると1人のサボテン頭のプレイヤーが前に出て叫ぶ。
「わいはキバオウ。こん中におる奴らで死んでいった2000人に謝らなアカン奴おるやろ!あの日、『ビギナー』を見捨てて自分らはええ狩場やアイテムを独占して自分らだけ強くなりよった『βテスター』共に土下座さしてアイテムや武具を全部吐き出して貰わな、共に闘う者として命を預けられへんし、預かれへん!」
そのプレイヤーの言う事もあながち間違いではない。だが、あまりにも度が過ぎる。アイテムはおろか武器も全て渡すなんて、そんなことをすればボス攻略に行くなんて出来るわけないし、自殺行為同然だ。
「発言いいか?」
同じパーティの色黒男が出る。
「なんや、お前!」
「俺はエギル。このガイドブック、あんたも知ってるよな?」
そう言い、手帳サイズの小さな本を取り出す。
「あぁ、それがどないした」
「これを配っていた奴は
この一言で会場はざわついた。
「誰でも情報は手に入ったにも関わらず多くの人が死んだ。俺はそうならないための会議だと思うのだが?」
その言葉に反論できないのか、サボテン頭のプレイヤーは黙って席に戻る。エギルというプレイヤーも席に戻ると会議を再開する。
その後の会議の話を要約すると、ディアベルのパーティがボスを発見し、その情報とガイドブックを頼りにボス攻略の作戦をたてた。そして、明日のボス戦に向け各自準備ということで解散した。
俺はフィールドに出て、右手に持った剣を振るう。近くにいる《フレンジボア》を斬り倒し、片手剣ソードスキル[バーチカル・アーク]を解放した。
「……なんかすっきりしない……」
会議の間ずっと感じていた違和感、その正体がわからないままずっと気になっている。
「浮かない顔をしているが何かあったのね?」
ヒースクリフが街の方から歩いて来る。
「それが分かれば苦労はしないさ」
「ふっ、違いない」
そう言って空を見上げる。今は星が綺麗に輝く夜中だ。そんな星空を眺め、ふと思い出したかのようにしゃべり出す。
「だが、その悩みの存在に気付いているということは君には何かが見えているのであり、同時に見落としているものがあると気付いているということでもある」
「何かが見えていて何かを見落としている?」
「そう、違和感というのは脳が無意識に矛盾点、不可解な点があると認識しているが故に起こる現象。つまり、何か不可解な点に気付いている反面、それを裏付けるものあるいは繋りに気付いていないからこそ起こるのだ。それを忘れると、いつかきっと後悔することになる……」
そう言い残して、彼は闇の中に消えていく。
翌朝、俺たちは迷宮区に向けて歩いている。最終確認のためにガイドブックをチェックする。
そして、ふと死んだ者たちのとことを思う。これを持っていながらも、『βテスター』含め多くのプレイヤーが死んだということに悔やまれるものがある……あれ?
何か引っ掛かる。『ビギナー』はともかくとして『βテスター』がこんなところで死んだということが不可解に思えた。不意をつかれた、あるいは油断が招いた悲劇、だが
この間、ヒースクリフと共に黒鉄宮に訪れたとき、死者の記録『生命の碑』を見たとき、ヒースクリフが死んだ『βテスター』は100人くらいだと言ってた。今の可能性で死んだとしてもせいぜい20人だろう。
「何で……ここまで?」
「お~い、何やってんだ!置いてくぞ!」
50メートルくらい先にいるパーティメンバーに呼ばれ、慌てて駆けた。
『まぁいいか、大したことじゃないのかもしれないし』
しかし、俺はこのときまだ気付いていなかった。この判断の先の結果に後悔にすることを……そして、このデスゲームの本当の恐ろしさに……
DATE
無し
ついにボス戦開始
頭に残る靄を抱えながらも戦場にて剣を振るう
しかし戦況は
思いもよらない結末を迎えようとしていた
次回『違和感』