第15話です。
誤字の報告ありがとうございます。
第2章 沖ノ島海域編
第15話 大規模演習前編
一週間後。
四鎮守府の艦隊が横須賀に入港した。他の鎮守府の艦娘と間違わないよう、急遽各鎮守府で横須賀は赤、呉は青、佐世保は黄、舞鶴は白色の所属鎮守府のワッペンを用意し、艦娘に付けさせている。
08:30 四鎮守府の演習参加メンバーがグラウンドにて各鎮守府ごとに整列する。俺も、一応横須賀鎮守府の列の最後尾に並ぶ。そして正面に四鎮守府の長がいる。
中村「これより、四鎮守府合同の演習を行う。前半の部は、沖ノ島海域に向けた艦娘の連携訓練を行う。そして後半の部より、一般に公開される鎮守府対抗戦を行う。各員、より一層の努力を求める。」
と、訓示を中村提督が述べ艦娘は演習エリアに出撃した。
演習エリアは相模湾。
09:00 訓練が開始された。内容は各指揮系統の確認。艦隊航行の訓練、艦隊陣形の変形訓練。その後、艦種ごとに分かれて砲撃、雷撃、航空訓練を行い、最後は模擬弾を用いた実戦に近い訓練を行った。訓練に参加しているメンバーは1つ1つの訓練を真剣に取り組んでいた。
ちなみに俺は、訓練に参加する必要はないので演習エリアの範囲の外からコマンドの望遠モードで様子を見ていた。提督達はドローンを飛ばして、その映像を鎮守府の会議室で見ていた。
12:00訓練が終わり、全員一度帰投した。艤装の補給を済まし食堂で昼食を取る。
俺は、翔鶴さん達と食べるのは遠慮しようとしたが、翔鶴さんが誘ってきたので俺は断ることをせず、3人で食べることに。ちなみに今日は人数が多いのでカレーである。トッピングに色々とのせることができ、俺は千切りキャベツとトンカツ、そしてトンカツソースをかけた。翔鶴さんはキノコカレー、瑞鶴は野菜カレーだ。
裕一「訓練どうでしたか?」
翔鶴「普段、他の鎮守府の艦娘と訓練することはないので新鮮でしたね。横須賀のメンバーと違ってくるところもあって、なかなか連携は大変でしたね。」
瑞鶴「もう、ほんとーに疲れた。」
裕一「瑞鶴、午後からもあるんだぞ。大丈夫か?」
瑞鶴「多分、大丈夫。」
裕一「そうか、おっともうこんな時間か。すみません、翔鶴さん。午後からの演習の準備があるのでお先に失礼しますね。」
翔鶴「わかりました。それではまた後で。」
裕一「はい。」
瑞鶴「また後でねー。」
裕一「おう。」
食べ終わった食器を返却し、俺は会議室に向かった。
13:00大会議室
コンコン、
裕「失礼します。デスピナです。」
中村「入ってくれ。」
中に入ると他の鎮守府の提督もいた、どうやら食後の一服の時間だったらしい。
中村「デスピナ、これが今回の相手だ。」
裕一「はっ、拝見します。」
参加艦娘
紅
デスピナ
白
大和、武蔵、長門、陸奥、アイオワ、ローマ、リットリオ、ビスマルク、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、大鳳、サラトガ、妙高、羽黒、利根、筑摩、鈴谷、熊野、摩耶、鳥海、北上、大井、木曽、時雨、夕立、江風、朝潮、綾波、秋月、照月、初月、伊58、伊401、伊19
遠距離からの砲撃と航空戦、接近しての魚雷、そしてこちらが空母だからか、防空艦も入っていた。
中村「横須賀からは誰も出ないので存分にやって構わない。」
裕一「それは、良かったです。もしいたらかなり手加減してしまうところでした。しかし、これである程度は実力をお見せできると思います。」
呉の提督「ほぅ、ある程度の実力でこちらの連合艦隊に勝てると?」
裕「えぇ、最大の理由は他の鎮守府との連携経験が少ないことがあげられます。そのため、こちらが指揮系統を混乱させれば後は烏合の衆ですから。」
佐世保の提督「なるほど。では、最大でない理由は?」
裕一「実力ですよ。」
舞鶴の提督「ふん、舐められたものだな。その高い鼻をへし折ってやろう。」
裕一「楽しみに待ってますよ。では、失礼します。」
俺は、会議室を出て、部屋に戻った。
自室
部屋に戻り鍵を掛けて、俺は、艤装の幹部妖精を出して会議を開く。内容は、明日の特別演習についてだ。もちろん、遮音などのフィールドは展開済みである。
裕一「今回の演習、俺としては単艦での純粋な実力を示すために、ミサイルと防空火器以外使わないでおこうと思うんだけど。」
航空妖精「何故ですか!何故我々航空隊を出さないんですか!」
裕一「いや、だってさ、多分オーバーキルになるし。それにこちらの手札は戦闘以外であまり見せたくないんだ。」
副長「航空隊ぐらいなら問題ないと思いますが。」
裕一「うん、そうだね。でも、航空隊を使わずとも勝てるよってことを表したいんだ。だけど、航空隊の出番がないって訳ではない。」
航空妖精「どういう事です?」
裕一「多分、防衛線を突破して、深海棲艦の襲撃が高確率である。」
砲雷長「断言ですか…。」
副長「理由は何でしょうか?」
裕一「簡単だよ。横須賀のほうに各鎮守府の主力艦が多数集まっていて、皆模擬弾しか使えない。防衛線も手薄な上、指揮官までもこっちにいる。敵にとっては、人類側の戦力を大幅に減らすチャンスだ。物量にものを言わせてやって来るだろう。」
副長「そのために現在各鎮守府は警戒を強めているのでは?」
裕一「副長、沖ノ島海域一つの奪回も出来ない戦力に敵を退け続けるほどの実力はない。せいぜい時間稼ぎが関の山だろう。提督達もそこはわかっているはずだ。防衛線で時間を稼ぎ、横須賀に待機している艦隊を急行させ、三鎮守府の艦隊を一度引き帰させて補給と実弾換装を済ませてから、増援に向かわせるつもりだろうが……
おそらく、時間はそんなに稼げずにこちらへの侵攻を許すよ。そしてこちらが演習中に敵と遭遇、戦闘になる。実弾がない状態でどこまでできるか……
って感じになる。」
航空妖精「そこで我々の出番ですか。」
裕一「そう。当日、航空隊は実弾装備で出撃準備。戦闘になった場合、航空隊で敵を撃滅する。」
砲雷長「それでは、演習ではミサイルを、万が一戦闘になった場合は航空隊を使うということで宜しいでしょうか。」
裕一「そうだ、みんな頼む。」
副長・砲雷長・航空妖精「了解。」
裕一「それじゃ、戻ってくれ。」
妖精が艤装に戻ってからフィールドを解除する。
裕一 (とにかく、何も起こらないのが1番いいのだけど…。必ず何か起きそうなんだよなー…。)
そんなことを心の中で愚痴りながら、夕食の時間まで時間を潰した。
食堂
俺は、翔鶴さんと瑞鶴ではなく別の艦娘と食べていた。翔鶴さんと瑞鶴は演習メンバーと明日の打ち合わせの様だ。
それでは、今俺は誰と食べているでしょうか。
正解は、駆逐艦の子達多数でした。
睦月「今日も遠征頑張ったんですよ、もっと褒めるが良いぞ!」
裕一「おー、えらいえらい。」
皐月「むぅー、僕も!」
裕一「皐月も偉いぞ。」
白露「私が1番なんだからね!」
裕一「そうだな、白露は一番だな。」
こんな感じで、色んな駆逐艦の子達の頭を撫でています。
俺は、駆逐艦達のお兄さん的立場で可愛い妹達を褒めてあげているだけで何もやましいことはしていませんよ。
裕一「ほら、山風もおいで。」
山風「別にいいよ。」
裕「仕方ないな。来ないなら…、」
俺は、山風の元に行き、頭を撫でた。
裕一「そう、卑屈になるな。遠慮しなくていいから。」
山風「あっ!あり…ありがと…。」
裕一 (…守らねば!俺は、今、山風教に入信します!)
綾波「あ、あの!」
裕一「うん?どうした綾波?」
綾波「また、夕食ご一緒して、良いですか?いつも翔鶴さんたちと一緒なので…なかなかお誘いできなかったんです…。」
裕一「あー…、そうだね。いいよ、言ってくれればいつでも。」
綾波は表情を明るくし、
綾波「ありがとうございます!」
他の駆逐艦達「「「「私も!」」」
裕一「ははっ、いいよみんなも。」
他の駆逐艦「「「やったー!」」」
こんな感じで夕食は賑やかだった。