ロクでなし魔術講師とコード・キャスター   作:皿無き河童

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code03 その男ロクでなしにつき

グレンが授業に大遅刻しほぼ何も出来ずに一限目が終了した後もグレンはいたって不真面目に授業を行なっていた。まず授業の内容がほぼ理解できるものではなく黒板に書く文字もほぼ読解不能。生徒達はそんなグレンにひそひそと陰口を言ったり、前任と比較して何故前任が辞めたのかと言っていたり、拝聴する価値なしと独学をしたりと色々だ。

だがそんなグレンから何か学べるものもあるはずだという真面目な生徒もいたが、グレンはわからんと辞書を押し付けておしまい。本当に何のために講師に来ているのかと言いたくなる。

自分自身この学院には任務できているし、グレンが講師だと聞いた瞬間学べることなどないと思っているから気にはしないが、流石に真面目にこの学院に来ている生徒にそんな態度はどんなものかと。

それにその後の錬金術の授業の為に女生徒達が更衣室で着替えているところへ、知らなかったとはいえ真っ正面から侵入。よくもたった1日で問題行動ばかり起こせるものだとしたくもない感心をしてしまう。

 

そして午前の授業が終わり十二時過ぎ、昼休みの時間になりハクノは一人屋上に来ていた

 

「ここなら、誰も来ないかな」

 

そう言うと自身の固有魔術である【コード・キャスト】を行使するために呪文を唱え始める

 

「《code・view_map》」

 

唱え終えると魔術学院内のマップが形成され、どこに誰がいるのか表示されていく。それを昼食として持ってきた焼きそばパンを食べながら見つめる、本来はもっと近くから護衛するべきなのかもしれないが、固有魔術なんかを使うところを見られて変に怪しまれても堪らないので、こうして離れたところで見守っているわけだ。

 

「あれ?グレンも近くにいるって言うか見るからに相席してるのかな?グレンのことだから適当に開いたところに座ったら偶々って感じだろうけど。まあそれはどうでもいいとして、学院内には今のところ護衛対象に危害を加えるようなのはいないかな。っとなると警戒するなら学院外からの侵入者かな。でも内通者がいるって言うのはこの手の仕事のテンプレだからおろそかにできないんだよな。」

 

そうやって今後の行動方針について考えていると自分の側に近寄ってくる人物がいるのを見つけて術を止めようとするが、その人物がセリカだと気づいたので、術は止めずに迎えることにした

 

「グレンの事でも聞きにきたんですか?」

 

「ふっ気づかれないように近づこうと思ったんだがな。やはりお前のそれは本当に便利だな斥候など意味をなさなくなるからな」

 

「いやそこまで便利じゃ無いですよ、セリカみたいに忍び足で近づいてくる人には有効でしょうけど魔術的な細工で隠れられると観測しにくくなりますし」

 

「そうなのか?ならお前にこっそり近づくときは魔術を使って脅かすとしよう」

 

「……それで本当に何しにきたんですか?」

 

「最初に言ったのであっているよ。それでグレンはどんな感じだ」

 

「わざと失態を演じたり生徒からの批判を集めて学院側から辞めさせられるの待ってる感じですかね。授業の殆どが自習、教えるにしても不真面目で内容なんて少しも理解できないような感じですしね」

 

「そうか……」

 

「まぁ何か劇的なことが起きてそれでグレンが変わるきっかけを掴めたら少しは良くなるんでしょうけどね」

 

「まだ起きていないと言うわけか…」

 

「真面目で真摯に魔術を学ぼうとしてる人が多いので後はそんなことができる子がいるかですかね」

 

「そうか…こんな私情に巻き込んでしまってすまんな」

 

「セリカにはお世話になってるから、このぐらいどうしたことないよ」

 

「はぁ〜。グレンにもお前くらいの良心があればよかったんだがなぁ」

 

そんなセリカの言葉に苦笑いで答えると簡単な別れの挨拶をした後にセリカは帰っていった。グレン達は食堂からまだ動いておらず、随分とゆっくりと食事をしているようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその後の午後の授業も相変わらずやる気のない態度で授業を行なっていくグレン。魔術を神聖視してそれに情熱をそそいでいる生徒達からすればグレンはあまりにも異様で異常な存在だろう。そして、そんなグレンにシスティーナがとうとう痺れを切らしたのは最早必然だろう

 

「だからと言って決闘を挑むなんて想定してなかったけど」

 

いや〜あんな古風なもう誰もしなさそうなことする人いるんだなと思ってしまった。そして現在生徒全員が中庭に出てグレンとシスティーナの決闘の結末を見ようとしてる。

決闘の内容は黒魔【ショック・ボルト】を当てた方の勝ちとシンプルなものだ。

 

「ハクノくんシスティ大丈夫かな」

 

ルミアがシスティーナを気遣うように尋ねてくるが正直どんな結末になるか予想ができる分反応に困る。

 

「う〜ん。そこまで気にしなくていいと思うよ。たぶんこの決闘に勝つのシスティーナだろうし」

 

「えっ?どうしてですかグレン先生とシスティならグレン先生の方が……」

 

「まぁ見てればわかるから」

 

そろそろ開始しそうなのでルミアに二人の決闘を見るように言う。そして結果だけ言うならば自分の予想通りグレンは負け、システィーナが勝った。そしてその後も予想通りグレンは約束なんて知らんと言って三流の悪役のようなセリフを言って何処かへ消えていった。後に残ったのはそんなグレンに対して軽蔑の視線を向ける生徒だけ

 

「このぐらいじゃあまだ変わらないか。まぁ今日から始まったばっかりだしすぐには変わらないか」

 

誰かに聞かせるわけでもない小声でそんなことを言っているとルミアが話しかけてきた

 

「凄いよ!ハクノくんの言った通り本当にシスティが勝っちゃたよ!」

 

「うん。そうだねぇ」

 

「あっでもどうしてシスティが勝つって思ったんですか?普通ならグレン先生が勝つと思うのに」

 

「あ〜勘だよ。グレン…先生なら決闘でもいい加減にやって負けそうだなって。それよりも友達はいいの?」

 

「あっ。そうだシスティ!」

 

自分が指摘するとルミアはシスティーナのところへ走っていった。それを見送るともうここにいる必要はないので教室に戻った




固有魔術
【コード・キャスト】
≪code・○○≫と唱えることで発動する。○○の内容を変えることで様々な効果を発揮するので汎用性が高い。

≪code・view_map≫
任意の範囲のおおまかな地形を示したマップとその範囲内にいる人物がどこにいるのかがわかるようになる。
ただし魔術的な隠蔽をされるとマップ内に表示されにくくなる。

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