ロクでなし魔術講師とコード・キャスター   作:皿無き河童

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思いつきで書いた為続くか不明です
今回はグレンが帝国宮廷魔道士団特務分室になりたての時に白野にあったと言う設定です


code00 プロローグ 二人の出会い

ー死にたくない

 

その思いだけを持って子供は走り続ける

 

ーーこんな所で諦めてたまるか

 

その気持ちだけで子供は進み続ける

 

ーーーまだ自分は何にもできていない何もしていない

 

まだ見ぬ未来に思いを馳せて子供は足掻き続ける

 

そうやって体に無数の傷を負いながら深い森の中を走り続ける子供に、無慈悲にも悪意は近づいてくる

 

「見つけたぞぉ!こっちだ!」

「殺すんじゃねえぞ。生かして捕らえるんだ!」

 

その声を聞いて走るペースを上げていく。

しかし、相手は子供と大人逃げ切れるわけもなく、呆気なく追い詰められ、四人の大人に囲まれる

 

「はっ!手間取らせやがってクソガキが」

 

そう言って四人のうちの一人が子供の腹に蹴りを食らわせる。鈍い痛みに苦しみ、腹に蹴りを受けた事でむせ返る

 

「おい。殺すんじゃねぇって言ってるだろ。もし殺したら今回の計画が破綻する」

「心配すんなよ。加減はしてんだ死にはしねぇよ」

 

そしてまた蹴りを食らわせ続ける。腹を腕を足を頭を体のいたるところを蹴られ続ける

 

ーこのまま死ぬのか…

 

ー何もできずにこんな大人に殺されるのか

 

蹴られて傷つき意識が朦朧として気を失いそうになる

 

ーそんなのは嫌だ!こんな所で死んでたまるか!こんな所で諦めてたまるか!

 

ーこんな所で終わってしまったら、自分をここまで逃がしてくれた人たちに顔向けできないじゃないか!

 

そんな気を失いそうになる自分に喝を入れる

痛みが走る体を無理矢理にでも動かそうとする。その度に今まで以上の痛みが体を襲うが、そんなものを無視して体に動けと命令を出す

 

ー考えろ…頭は働くんだ。動け…痛みがするだけで体はまだ動くんだ

 

ーそうだ、まだ自分は諦めない!

 

ーだってまだ、自分は足掻くことが(戦うことが)できるのだから!

 

『うむ、よく言った。其方のその思い、しかと余が聞き取った』

 

『まったく呼ばれて来てみれば、一人の子供をいい大人が四人がかりで襲っているとはな』

 

『えぇ、こんなイケ魂を放置何てありえません。なのでこの良妻キャスターちゃんが助けて上げましょう』

 

『ふん。いつもであれば無視する所だがその傲慢さ気に入った。感謝しろよ雑種。この俺手ずから救ってやろう』

 

そんな声を聞くと同時に体から急に力が抜け意識を保てずに眠るように意識を手放した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…ぃ…ぉ」

「おい、起きろ」

 

男の声が聞こえ目を覚ます。すると目の前には黒髪の年がそう変わらなさそうな少年がいた

 

「おっ起きたな。ちょっと聞きたいことがあるんだが、お前この近くにある村の子供か?」

 

「えっと…たぶんそうです」

 

「そうか」

「あぁ、生存者をみっけた。今からそっちにいく……はいはいわかってますよ」

 

少年は自分の返答を聞くと耳に手を当てて独り言のように何かをつぶやく

最初はそう言うイタイ人なのかと思ったが仲間と連絡を取っているのだと理解する。そして、この人はさっきまで自分を追って来ていた人と違って敵ではないと思った

 

「っと言うわけで、俺の仲間のところまでついて来てもらう事になるがいいか?あぁ後俺の名前はグレン、グレン=レーダスお前は」

 

「ハクノ、ハクノ=キシナミです」

 

「そうか、それじゃハクノついて来てもらう前にもう一つ聞きたいんだが、この辺りにあった死体はお前がやったのか」

 

グレンはそう言って此方を睨みつける。しかし、身に覚えがない為素直に答える

 

「いえ自分ではないです。自分を追ってくる人に捕まって逃げ出そうとする前に気絶してしまってさっき目を覚ましたので」

 

「わかった。それじゃ仲間と合流するからついて来てくれ」

 

そう言うとグレンは此方に背を向けて歩き出す。ハクノはそんなグレンの背中について行くように歩き出し始めた

 

これは、魔術に絶望し穀潰しになる前のグレンとただの子供であったハクノの初めての出会い。この日から二人の運命の物語がゆっくりとしかし着実に始まって行く


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