悪役令嬢なんて、冗談じゃあないわ!〜アルストロメリア〜   作:アラセイトウ

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シリアス多めロメオント目線です。


鞄と記憶

いつ頃だろうか、お姉様を、アルストロメリアお姉様を愛していると気づいたのは。

姉弟としての親愛ではなく、女性として愛していると気付いたのは。

 

僕の名前は、ロメオント。ロメオント・ヴァン・アメジルチリカ。だった。僕の本当の名前。

今は、ロメオント・カル・ゲッケイジュ。

少なくとも、あの日までは、お父様がいて、お母様がいて、お兄様とお姉様がいる。クンシラン王国、アメジルチリカ公爵家の次男に過ぎなかった。

 

そう、あの日、僕が、8歳になって、少したった頃の事だった。

 

初めて聞いた時は、驚いた。

僕が、帝国で唯一子供を産める可能性がある皇位継承者だなんて、しかも、皇位継承権第一位。

帝国で、皇子達が皇位継承権を争っているのは、知っていた。

だけど、まさか、内乱が終わって残ってしまったのが、齢60を超える皇族の一人だけ、とりあえず皇帝の座について貰い頭を抱えた。

皇族は皇帝である、バイオ陛下一人。

どうやら、陛下以外皆慌てたらしく、前陛下の落胤である、僕を探し、見つけたらしい。

あの日、僕を見つけた臣下は、すぐに公爵家に来て傲岸不遜な態度でこう切り出したらしい、曰く『殿下にこのようなあばら家はふさわしくない殿下もさぞかしお嘆きになっているだろう。帝国にいるほうが殿下にとって幸せだ。貴様らのようなハイエナのように腐肉を喰らう貴様らのそばに居たら、殿下が、お可哀想だ。』二人とも此処までは耐えたらしい、だが、『それにアルストロメリアだったか、あのようなものがそばにいると殿下が、穢れる。』この言葉を聞いた次の瞬間、お父様もお母様も怒って叩きだした。当たり前だと思う。僕も迷わずそうするだろう。

ちなみに、後日この話を執事から、聞き思わず、にっこりと笑ってしまった。嬉しすぎて。二人の愛が嬉しくて。

二人から、『黙っていて済まない。』と事情を話され、『血が繋がっていようが繋がっていなかろうが、私達の自慢の息子だ』と言われた後だったから、余計に。

 

だけど、二人は、公爵家。主君であるクンシラン王国国王から、命令されれば、断れない。

そして、ついに恐れていた事態が、訪れた。

 

勅命で僕を帝国に引き渡せと。

二人は、王国と帝国に全力で、抵抗するつもりだったらしい。

僕がは、二人と、お兄様とお姉様が、傷つくのを見るのが嫌だったから、土壇場で、止めさせてもらったけど。

 

あの日のことを思い出すと今でも、嬉しくて哀しくなる。

アリアお姉様に会うには、学園に入学しなければならない。

だから、4年間で、皇太子教育を終らせ、誰から見ても完璧になろう。アリアお姉様を娶っても文句が、言えないように。大切な家族を守るために演技をしよう。皇太子らしく、お姉様の言葉で言うなら、俺様風に。

噂好きな女性に近づいて仲良くし、情報を聞きだそう。

 

大切な大切な、アリアお姉様。必ずあなたを手に入れてみます。愛するあなたを。

僕が、魔法を暴走しても教師は恐れたのに、僕は、パニック状態だったのに僕が落ち着くまで、恐れることなく震えながら抱きしめてくれたあなたを。

次は、絶対にあなたの事を守ります。大好きなあなたを。




ロメオント、アルストロメリアが恐れていた道へ

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