とらドラ!腐った目の物語 作:手乗りタイガー
「比企谷八幡だ.....」
「それじゃ俺はこっちを持つから行こうか」
そう言って重い方の荷物を持つ辺りモテるタイプなんだろうな。
てか逃げ場をなくされた気もする。
北村に着いていくとオサレなカフェに着いた。
え?俺がこんなオサレなカフェに入っても良いのかよ、訴えられたりしないよな?てかパクリじゃないのかこれは....。
中に入ると席は埋まっており空いている席は無かった。
よし!これで帰れる!と思ったら北村はそのまま入っていき奥で座っている女性に声をかけた。
「亜美、すまんな。少し遅くなった」
「おそーい。10分も遅刻....て後ろの人達は?」
「ああ。俺の友達の逢坂と比企谷だ」
いつから俺は友達になったんでしょうかね....分からん、八幡記憶にない。
「ふーん。私は川島亜美よろしくね♪」
なんだろう....どことなくこの笑顔は偽物っぽい。まるで俺が大人に対してする営業スマイルみたいな笑顔だ。
「私は逢坂大河、よろしく」
逢坂は若干睨みを効かせながら川島の事を見ている。どうやらおきに召さないようだ。
まっそれは俺も同じだか。
「比企谷八幡です.....」
「よろしくね♪」
(あみちゃんがこーんなにも笑顔振り撒いてやつてるって言うのに目くらい合わせて挨拶しろよ。てかさっきから睨んでるこいつは何なんだよ、あみちゃん、超ー気分悪いんですけどー)
「亜美は昔うちの近所に住んでて所謂幼馴染みってやつだ」
「はぁ.....」
(ため息?あみちゃんを前にして?あり得ないんですけど....)
「悪い俺ちょっとトイレ行ってくる」
「気分悪いのー?大丈夫?」
「......気にしないでくれ」
(.......気にしないでくれって......あーもう限界なんなのこいつ....目は腐ってるし中身まで腐ってるんじゃないの?てかいい加減こっち見て会話しろっての)
「俺もトイレ行ってくるよ」
「は?じゃあ俺待ってるから行ってこいよ」
「そんな拒絶しないで一緒にどうだ?俺は比企谷とも親睦を深めたいぞ!」
は?男同士で親睦深める前に逢坂と親睦深めてやれよ。見ろ、逢坂の奴目が点になってるじゃねーか。
てかトイレでどんな親睦深めんだよ、嫌だよそんな濃厚な親睦なんて。
「いや俺は一人でトイレ行く派だから。むしろ好きだから」
「まあまあ良いじゃないか!はははは!!」
「お、おい....力強....」
ほぼ強引にトイレに連れ込まれる俺。もう、ほんとに帰りたい......。
「比企谷は亜美のことどう思った?」
トイレに入って第一声がこれである。
本当に意味がわからない。
「は?」
「亜美を見て率直な感想が聞きたいんだ。話してくれないか?」
先程までのおちゃらけた北村は何処にいったのか真面目な顔で聞いてくる。
「普通に可愛いと思ったけど?スタイルも良いし性格もいい」
「そうか...可愛いことは認める」
「でも」
「ん?」
「あれはなんだろうな....偽物っぽいと言うのか。よく分からんが本心では言ってない、気がする」
本当、ボッチとの距離感は掴んでほしいものだ。あれだけ相手の顔を伺って話しているのを見れば本心で話してないのは分かる。まっどっちでもいいが。
「そうか。ちょっとこっちに来てくれるか?」
「ん?何でだよ、俺はトイレに用があるんだよ」
「まあ見てくれって」
トイレからこっそりと俺達が座っていた座席を見ると川島は先程までとはうってかわりまるで別人のようだった。
「あーだっるーい。ねえ、あんた。あみちゃんのアイスティー無くなっちゃったから店員呼んで頼んでくれない?」
「.....」
「ちっ。無視かよ...てかさっきから態度悪くな~い?さっきいた男もそうだけど~あれってあんたの彼氏?あの目の腐り具合やばくなーい?」
「別に彼氏じゃないから」
「あっそ別にどうでもいいけどぉ~」
「これが亜美の本心だ。横暴でわがまま。生粋のお姫様タイプだ」
「それで?」
「別段驚かないんだな」
「そりゃ誰だって自分が一番に可愛いだろ?他人の為になんて言ってる奴に限っては特にな」
「成る程な。逢坂と一緒にいた理由がなんとなく分かったよ」
「は?」
「あいつは中々分かってもらえないとは思うが良い奴なんだ。比企谷もそこを理解したから一緒にいるんだろ?」
「どうだろうな....」
「俺は亜美のあの性格が嫌いじゃない」
「それで?あの外面を外させたいのか?」
「ああ」
「でもそれが良いこととは限らないだろ?」
「どうしてだ?外面を取り付くっても良いことは無いと俺は思うんだが」
「それはお前のエゴだ。あれはあいつ自身が生きてきた中で必要だと思ってしてる事だ。それを知ったような口で周りが口を挟むことじゃない」
俺は知っている。
俺がそうだったように------------。
俺は知っている。
俺が大人に対しては良い子でいようと外面を取り付くっていたこと。
そしてそれがどれ程辛いことなのかを。
自分を欺くことは自分じゃなくなるといっても良いだろう。でも生きていくにはいずれ誰しも自分を欺くときはきっと来る。それが早いか遅いかだ。
そして俺は知った。
選んだ-----------。
自分でいるためにボッチになると。
パシンっ。
店内に響く頬を打つ音。
先程から川島に色々言われ続けた逢坂が限界に来たようで川島の頬をひっぱたいた。
よく今まで我慢したと俺は思うが北村はどう思っているのだろうか。
北村は席に戻っていく、俺も後を追うように席に戻る。
「祐作~。ぶたれたぁ~」
川島は北村にすり寄るようにして少し赤く染まった頬を見せる。
「分かった、分かった。悪いな逢坂、それに比企谷。今日はこれで帰らせてもらうよ」
荷物は?と思ったがここでそれを聞く勇気は俺にはない。
そして静かになった店内では放心している逢坂。
「はぁ....」
俺はマッカンをどうにか入手できないか。あの懐かしい味を思い出しながら逢坂と共にスドウバックスをあとにした。
今回は小町ターイムはお休みです!
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