とらドラ!腐った目の物語 作:手乗りタイガー
逢坂から逃げて部屋に入った俺はまずリビングに入って体が硬直した。
洗面台だろうか?恐らく洗面台なのだろうスペースの所は生ゴミとカビとよく分からない物で溢れ返っていた。これがテレビなら間違いなくモザイクが掛かっているだろう。
そしてこの強烈な異臭。
思わず両手で鼻を塞ぐ。
先程サイゼリアで食べたチーズドリアをリリースするのをなんとか堪えて逃げ場を探す。
「大丈夫....安心しなさい」
後ろからゆっくり足音が聞こえてきて振り替えると逢坂が木刀を肩にトントンとまるで俺を殴る予行演習のようにしながら歩いてくる。
「この状況で安心出来るのは仏かよっぽどの馬鹿だけだ」
「ならあんたも仏になりなさいよ。悟りでもなんでも拓けば良いじゃない....そして大人しく私に殴られろコラァアアアア!!」
足に力を入れて逢坂は飛びかかってくる。迫力はさながら獲物を狙う猛獣のようだ。
俺だって痛いのは厭だ。全力で逃げる、そして辿り着いたのは逢坂の寝室だった。扉に鍵がついていたのでロックしてなんとか逃げ切れた、と深呼吸をする。
「あけろぉぉぉ!!」
ドンドンと扉が叩かれるが開く気配はない。逢坂だって自分の部屋の扉は壊したくはないだろう。
それにしても....すごい部屋だな。
「でも.....」
見た目は広くベットもお姫様が使うの?ってくらいに大きい。そして乱雑に脱ぎ捨てられた衣服。なのにどうしてだろうか、生活感がない。いや汚れてるし俗に言う汚部屋なんだが何て言えば良いのか....小さい子供が遊ぶ人形の部屋って感じで人間味が無くてどこかおかしい。何故かは分からないけど嫌悪感に襲われて気持ちが悪い。
「.......」
扉に体重を預けて寄りかかる。この部屋を見ていたくなかった、なんだこの部屋は.....どうしてこんな部屋に......。
異臭とは別の意味で吐き気に襲われた。
「うっ....」
俺が吐き気に襲われてると扉の外から足音が徐々に近付いてくるのが分かった。
だか分かったときには既に遅かった。
「私の部屋で何してんだぁあああ!!この変態!駄犬!」
逢坂が扉を蹴破って俺はすぐ近くに置いてあった棚に頭をぶつけた。
「痛っ!」
「はぁはぁ....あ、ああ、あんた....なな、何を持ってるのよ....」
逢坂の声は震えているが今は後頭部を棚の角にぶつけたため構っている余裕はない。
くしゃっ。
「くしゃっ?....」
何かを潰した音を聞いて、その音の発信源に目を向けると俺の左手に何かが握られていた。
ピンク色の封筒のようなもので北村君へ。と書かれていた。
これは俗に言うあれでは.....。
「私のら、ラブ....らら、ラブラブレターを見て潰して....」
逢坂の体が震えだし俯いていた顔を上げて真っ直ぐ俺を睨み付けた。
このままでは絶対木刀で殴られる、そして悪ければ死ぬ!考えろ!今この状況で尤も有効で話を別の方向に持っていける内容を。
駄目だ思い付かん。てかラブレターなんて書いたことも貰ったこともない俺がこの状況の打開策とか思い付くわけない!最初に触ったラブレターが他人のとか笑えないわ!
「.....何ぶつぶつ言ってるのよ....まぁいいや、今から殴るから動くんじゃないわよ?」
「い、いや誤解なんだよ。話をまず、話を聞いてくれ」
「うるさい!うるさい!話なんて聞く必要がない!」
「ここで嘘や欺瞞を言うつもりはない!でも逢坂が俺の話を聞いて納得いかないのなら素直に殴られる、それでいいだろ?」
「....分かった、聞いてあげる。その代わり納得いかなかったら....」
「分かってる.....」
逢坂は木刀を右手で掴んではいるが下ろして一応聞く体制は作ってくれたようだ。
「まず初めに俺が逢坂の家を訪ねた理由だ。実は小町から夜ご飯のおかずを買いに行くように頼まれたんだが逢坂の好き嫌いが分からないから一緒に買いに行けと頼まれたんだよ」
「.....あんたが態々一人で私の家を訪ねるような性格に見えないんだけど?」
意外と見てるんだな...少し感心してしまう。
「ああその通りだ。だからこそこの言葉は信憑性があると思う。俺は小町に頼まれたんだ、な?分かるだろ?」
「いや意味分からないんだけど.....シスコンってこと?」
「いや違うから何故そういう結論に至ったんだよ。俺は小町に逆らえないんだよ」
「やっぱりシスコンじゃん....。で、私の家に来た理由は分かったけどら、ラブレターの中を見たことの説明にはなってないわよね?」
「ああそうだな。確かに関係ないな。ここからが本題だが、このラブレター中身入って無いんだけど」
「へ?」
いやいや、へ?じゃねーよ。俺も潰した感じで何も入ってないの分かったんだけどこれってあれだろ?
「つまり入れ忘れ。だろ?良かったじゃねーかよ、このまま渡してたら気まずいどこの話じゃねーしな」
「あ、そう言えば隣の部屋の机の引き出しに入れっぱなしかも.....」
「はぁ...これで納得してくれたか?」
「.....納得した。でも部屋のこと小町に言うかもしれないし」
「だから言わねーって!」
そんな事言ったら掃除兄にも手伝わせますから!終わるまでこきつかってください!って笑顔で言うのが目に見えてる。
もう掃除はごめんだ。
「でも私だけ弱味を握られてるみたいでフェアじゃないし」
何に対してフェアじゃないんだよ....。もう意味わかんねーよまじで、リスクリターン考えてる暇があるなら現状の状態をもう少し考えろよ、最早お前に不利益はない、むしろ俺にとっての不利益しかないまである。
「ねえ、あんたはさ.....人を好きになったことってある?」
「は?」
今日もやって来ました!何故何!?小町ターイム!!それでは今日のゲストはー!!
お兄ちゃんでーす!
八幡「.....なあ小町、そろそろ俺以外でも良いんじゃねーか?」
小町「と、言われると思ってもう一人今日は特別ゲストとして呼んでまーす!存在Xさんでーす!」
存在X「こんにちは。今日は呼んでくれてありがとうございます」
八幡「.....」
小町「どしたの?お兄ちゃん」
八幡「いやもう....うんいいよ。続けてくれ」
小町「では!えーと実は!存在Xさんは凄い能力があって人の死期が分かるみたい!え!?お兄ちゃんどうしよう!小町気になるよ!」
八幡「こ、小町ちゃん?流石に止めとこうな?」
存在X「死期がみたいのですか?」
小町「はい!」
存在X「では祈りなさい。神に祈りを捧げるのだ」
小町「はい!神の奇跡は偉大なり 主を讃えよ その誉れ高き「やめろぉぉおおおお!!」あ、あれ!?今どこからか声が!?」
存在X「まだ認めぬか----------」
小町「あ、あれ?お兄ちゃん存在Xさんがいなくなっちゃったよ!消えたよ!ミステリーだよ!」
八幡「えーと。今日はここまでだ」
小町「ああ!それ小町の台詞!」
続く?