ISと無気力な救世主   作:憲彦

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一応いろんなものを作った村上。その中には当然、開発に失敗した物も沢山あります。今回はそれを見て頂きましょう。


失敗作達

「休みの日にすみませんね~。倉庫整理の手伝いに来てもらって」

 

「構いませんよ。どうせ暇でしたし」

 

休日のこの日、木場と草加と一夏がスマートブレインに来て、作ったものを保管する倉庫の整理をしていた。と言っても、今整理している倉庫は、村上が個人的に余った素材を使って作った変な道具だ。

 

「しかし……よくこんなに作ったな……」

 

「一気に大量の物を入荷しますからね。余る量も結構な規模になるんですよ。それを使っていたら、いつの間にかこんな量に……」

 

だからと言って、巨大な倉庫を1つ自分のもので埋めるのは流石にどうかと思うぞ。しかも特に役に立たないガラクタばっかり。本当に何故作った?

 

「全部捨てて良いのか?」

 

「そうですね~。使えそうな物は残しておきましょう」

 

「使えそうな物って……」

 

完全に使えないガラクタは廃棄の箱に。何かに使えそうな物は使えるの箱に。どっち付かずで曖昧な物は判断不能の箱にそれぞれ分別する。が、当然廃棄の量が圧倒的に多く、使えそうな物はその1割にも満たないだろう。そして、これは一夏達がいるときに作ったわけではないので、使用用途不明な道具も大量に出てくる。例えば、

 

「懐中電灯?何でこんなものがあるんだ?」

 

「あぁ~。それ物を大きくするライトです。ほら」

 

ポケットからペンを取り出して床に転がすと、一夏から受け取ったライトをつけてペンに光を浴びせた。すると、みるみるペンが巨大になっていく。

 

「うぉ~!スゲー。本当にデカくなったな」

 

「ただし」

 

「ただし?」

 

「すぐに戻さないと爆発します」

 

「「「え?」」」

 

ズドォーーン!!!

 

「「「ウワァァァアアアア!!!」」」

 

巨大な爆発が倉庫と言う空間に広がった。一応、開発した物全てにシールドを張っているから問題はないが、一夏と草加と木場にはシールドが張られていない。もろに爆発に巻き込まれた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「……何でテメーは無事なんだよ!!」

 

「一応シールド張ってるので。ほら」

 

ホケットから、スマートフォンサイズの端末が出てきた。簡単なシールドを張る装置の様だ。なんちゅう物を作ってるんだ……

 

「そろそろ警察や自衛隊に売り込みましょうかね?」

 

まぁシールドだけなら実用性は高いからな。売り込んでも良いんじゃないか?体が傷付くリスクを最小限に出来るのだから。

 

「じゃあこっちのライトは何だ?今度は緑色だが……」

 

「それは物を小さくするヤツですね。こんな感じに」

 

またポケットからペンを取り出して、光を浴びせた。すると、本当に小さくなって行った。ミニチュアサイズ程度までだ。

 

「これも爆発するのか?」

 

「いえ。爆発はしませんが」

 

「へぇ~」

 

草加が興味深そうに村上の手からボールペンを取って、様々な方向から観察をしている。

 

「爆発はしませんが、戻るときに、一時的に元の30倍の大きさになってしまいます」

 

「ウワァ!!」

 

草加がペンの下敷きになってしまった。と言うか、出てくるものが今のところドラえもん関連の物ばかりだな。ビッグライトとスモールライト。

 

「んお?これは見たことあるな……」

 

「あぁ~。ドラえもんの空気砲」

 

それは知ってるんだな。まぁ確かにタケコプターと並んで、かなりの回数使われている道具だからな。知名度も高いのだろう。3人も知っているようだ。

 

「えぇ。ここにある物の大半は、ドラえもんを参考にしていますからね」

 

何故ドラえもんの事を村上が知っているのかと言うと、娘さんが小さいときに一緒に見ていたからだ。映画にも連れていったし、レンタルショップからDVDを借りたりと、結構馴染み深い所もあるのだろう。

 

「これの威力は?」

 

「アニメと同じですよ。撃ってみますか?」

 

「なら折角だし撃たせて貰うか。……これがトリガーか」

 

何も無いところに構えて、取り敢えず1発撃ってみた。アニメと同じと聞いて少し安心していたが、撃った瞬間に草加が立っていた場所から消え、後ろの壁にめり込んでいた。しかも、撃たれた空気の塊は、壁に大穴を開けたのだ。

 

「威力は同じなんですが、現実の人間には厳しい様で、高確率で肩が外れたり、後ろに吹っ飛ばされます」

 

空気砲を外して、外れた右肩を嵌めながら壁から出て歩いてきた。普通に怪我してるな、あれは。

 

「もっと……まともな道具は無いのか?」

 

「でしたらこれですかね?孫の手(電動)。痒い場所に当ててボタンを押すだけです」

 

今度は木場に渡して実験させてみた。

 

「あ、これはちょうどいい!貰って良いですか!?」

 

「構いませんよ。使って頂けるなら開発者として嬉しいですからね」

 

木場に充電器と本体をケースに詰めて渡した。ただで良いものを貰って、偉く上機嫌になっている。村上も道具が役に立つので嬉しそうにしている。

 

「さてと、続きましてはこのバッグです」

 

「何期待されてると思ってんだよ……」

 

「まぁそんなこと言わずに楽しんで下さいよ」

 

そう言うと、箱の中から何かの頭を取り出した。無駄に鮮やかな色をしている。頭部のデザインで無ければ、恐らく普通に売れていただろう。

 

「これは、メカではありませんが、デザイン性の高いカバンが欲しくて、素材にこだわってみました。機能性なランドセルと鮮やかな色で知られるマンドリルの顔を合わせてみた、マンドセルです」

 

「気持ち悪っ!!」

 

草加が思いっきり引いている。合わせたといっているが、ほとんどマンドリルの顔だ。ランドセル要素と言えば、背負う部分くらいだな。

 

「だからキメーんだよ!!大丈夫かお前!?つーかお前マンドセルって言いたいだけだろ!!カバンじゃねーだろそれ!!」

 

「いえ。ちゃんと入り口はありますよ?ほら」

 

「頭頂部を開けるな!!!」

 

マンドセルが出てからと言うもの、一夏はツッコミが止まらない。まぁ、確かにボケの量も結構多いため、自然とツッコミが増えてしまう。……スゲー迷惑だよな、ボケが増えるって。ツッコむ方は大変だ。

 

「でもこれ結構入りますよ。こんな感じに」

 

適当に物を掴むと、頭頂部だけではなく、口からも物を突っ込んだ。

 

「おいやめろ!!何かヤバイぞその絵面!!」

 

確かに、何とも言えない絵面だ。マンドリルの口に腕を突っ込む初老の男性。スゲーシュールだ。その後も様々な道具が飛び出してきた。動物の言葉が分かるヘッドフォンに、今とは全く別のメモリを使うタイプのライダーズギア、強制的に狂騒状態にするクラッカーなど、とんでもない物がポンポン出てきた。

 

「これくらい片付けば十分ですね。3人ともお疲れ様でした。これ、今日の特別手当てです」

 

手当ての入った封筒を渡すと、処分する物をまとめて外に持っていった。そしてそのまま廃棄。手伝った3人はその後帰宅した。草加は病院に寄ったがな。




次回もお楽しみに!感想と評価、ストーリーリクエストと教えて!憲八先生!!の活動報告もよろしくお願いします!!

あ、もうすぐクリスマスですね。ここで1つ読者の皆さんにお願いがあります。

ボーズ・オブ・テラーガシャットの変身音。これを募集します。案のある方は、ストーリーリクエストの活動報告までお願いします!

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