ISと無気力な救世主   作:憲彦

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さぁ~てと。束とクロエに遅めのクリスマスプレゼントと行きますか。はぁ……

あ、でも時期的にはお年玉かな?クリスマスプレゼント&お年玉と言うことにしましょう笑


家族の時間 買い物編

「では、14時間だけ現世に生き返れる様にしました。まぁ、余り長くいるとかえって別れが辛くなります。それは頭に入れておいてください」

 

とある日の早朝。死神君に呼ばれた海堂と束。この日は待ちに待ったあの日だ。現世に限定的に生き返れる日。前々から死神君に頼んでたのだ。

 

「分かってる。一通り楽しんだらすぐに戻るよ。未練残さないようにして」

 

「俺もだ。娘と半日楽しんだらすぐ戻るよ」

 

「はぁ、分かりました。では、これを」

 

渡されたのは、大量の福沢諭吉さんが入った封筒2人分と、遊園地、水族館の入場チケットだった。どっちか1つにしろよ。14時間で回れるのか?

 

「あとこれをどうぞ。一応、私が自分で回って何を使えば時間内に回れるかを書いたメモです。使って下さい」

 

「サンキューな。何から何まで」

 

「別に構いません。口座を少し軽く出来たので良かったですよ。使う予定の無い金達でしたから」

 

まさかの全部死神君のポケットマネーだった。どんだけ金持ってんだよコイツは……。

 

「この前も説明しましたが、時間が無くなっても現世に残った場合、我々死神はあなた方に消滅処置をとりますのでお忘れなく。では、現世での時間を楽しんでください」

 

死神君が死神の鎌を横に軽く振ると、空間が割れて現世と通じた。割れ目から1歩でも出れば、そこは現世だ。死神君から渡されたタイマーを腕に巻くと、2人同時に現世へと歩いていった。

 

「では、現世での一時をお楽しみ下さい」

 

そう告げると、割れ目は消えて元の風景に戻った。その後死神君は通常の監視任務に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと……ここは」

 

「ちーちゃんの家の近くだね。見覚えがある」

 

出てきた場所は、束が死ぬ間際にクロエを置いていった場所だ。ここから草加の家までは、歩いて5分とかからないだろう。すぐに着く。

 

「ここだな」

 

取り敢えずチャイムを鳴らした。ここで余り時間は取りたくない。早く出てくることを願って、チャイムを鳴らす。

 

「ん?クロエ。出てきてくれ」

 

「は~い!」

 

中で千冬の声とクロエの声が聞こえた。家の中に居るようだ。声が聞こえてから30秒程で、クロエが姿を現した。

 

「あっ!?」

 

「ん?どうした?クロ……エ……ッ!?」

 

「久し振りだね。ちーちゃん。クロエ」

 

「た、束……」

 

「お、お母さん……」

 

目の前にいる束に、2人とも驚いている。当然だ。束が消滅したその時、束がクロエに託した端末では、もう自分は出てこないと言っていた。その束が目の前に居るのだ。驚くのは仕方無い。

 

「本当に、束なんだな……?」

 

「そうだよ!正真正銘、篠ノ之束だよ。あ、でも今は海堂束だけどね」

 

「名字を変えたのか?」

 

「うん。私、結婚したんだ!」

 

「「え?」」

 

予想通りの反応だ。痛々しい姿からまともな姿になったことよりも、束の口から出た結婚と言うワードの破壊力が強すぎて絶賛処理落ちしている。

 

「じゃちーちゃん。時間が無いから、クロエ連れていくね」

 

そう言って、クロエの手を引いてどこかへと連れていってしまった。

 

「14時間後には戻って来るからね~!」

 

「……相変わらず、嵐の様なヤツだ」

 

少しは弱まったけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、お母さん。結婚したって本当ですか?」

 

「うん。そうだよ。この人とね」

 

今電車に乗って移動しているが、クロエ本人はまだ信じられないようだ。まぁあの束の相手だ。それこそRPGのラスボスクラスの魔王じゃない限り務まらないだろうからな。

 

「どうも~。海堂直也だ。よろしくな」

 

「あぁ、よろしくお願いします……お父さん?」

 

「おう!」

 

この人が!?と言う事を内心で思っている。流石に少し失礼だが、クロエと海堂は今日が初対面だ。正確には座談会の時に会っているし、海堂は一足先に会っている。まぁ、今回は座談会のことは無かったことにしてくれ。

 

「えっと、今はどこに向かってるんですか?」

 

「ん~っと……」

 

死神君から貰ったメモ帳を広げ、プランの確認をする。取り敢えず今の目的は買い物だ。2人からクロエに何かを買ってあげるつもりなのだろう。

 

「次の駅で降りよう!まずはそこで買い物!その後は~……クロエ、どっち行きたい?」

 

そう言うと、ポケットから死神君に貰った遊園地のチケットと水族館のチケットを取り出し、クロエに見せた。

 

「えっと……どっちでも良いんですか?」

 

「おう。クロエの好きな方を選べ」

 

「じゃあ、水族館で!」

 

買い物の後の行き先は決まった。最初は水族館だ。メモを見ると、どちらからでも時間一杯楽しむためのルートが書かれている。用意周到過ぎて、ちょっと気持ち悪い。まぁそんな事はさて置き、最初の目的地である大型のデパートに着いた。ここには色々な物が置かれてある。食品や文房具は勿論、衣服や玩具、本、ゲーム類に機械類、楽器、スポーツ用品、自転車、植物、日曜大工の木材・道具、家具、宝石類、その他諸々。犬と猫の2種類限定だが、ペットも売ってある。相手は動物のため、売っていると言う表現が正しいのかは分からない。

 

「何を買おっかな~。迷っちゃうよ」

 

確かに、こんなにジャンルがあれば迷うのは当然だ。だが時間を食うわけには行かない。買うものは大体決まっているので、それ以外の物には目もくれず目的の物を買いに行く。

 

「まずは服だね~。クロエには何が似合うかな~?」

 

最初は定番の衣類だ。何が似合うか、と言ってと、クロエは容姿が整っている。ふざけた服で無い限り似合わないと言うことは無いと思われる。

 

白いワンピースを始め、様々な服を着せていく。完全に趣味に走る場面もあったがな。珍しい事に、ここには白衣も置いていた。束衣装と言うことで着せてみたが、無駄に似合っていた。後はサバイバルゲームに使えそうな迷彩服、○魂のゲロインが着ているチャイナ服、西部劇に出てくるガンマン風の服、とあるバレーボールマンガに出てくる高校の女子制服、和服、SPDの制服、東方キャラの服……ここコスプレ用品売ってる店だっけ?

 

「どれも似合うな」

 

「流石私達の娘!でも迷っちゃうな~」

 

「うぅ~。あんまり恥ずかしいのは嫌ですぅ!!」

 

「そっかぁ~。じゃあこれにしよう!!」

 

そう言って取り出したのは、大きめの黒猫のパーカー。フードには耳が着いているタイプで、おまけにつなぎ服タイプのパジャマも付いてくる。これもフードには猫耳が付いているタイプでつなぎ服のため、尻尾や猫の手を模した手袋も付いている。値段は34,580円。ついでに東方キャラのみょんみょん言っている半妖の服も買った。何気にこれが高い。69,860円。服だけで、合計104,440円した。税込みだ。

 

「良いんですか?こんなに高いの買って……」

 

「大丈夫大丈夫!クロエの為に一杯持ってきたんだから!楽しんで使わなくちゃ!お揃いのアクセサリーとかも欲しいな~」

 

確かに金はたくさんあるが、初っ端から飛ばしすぎな感じもする。心なしか、封筒の中の福沢さん達が汗を流しているように見える。カートに服を詰め込むと、次にアクセサリーを置いている場所へと向かう。が、その途中で海堂の得意分野の物を見つけてしまった。ギターだ。

 

「ギターまで置いてんのかよ……ちょっと寄って良いか?」

 

「うん。良いよ。まだ時間あるし」

 

「サンキュー。すいません。少し弾いてみて良いですか?」

 

「はい。構いませんよ」

 

「ありがとうございます」

 

そう言うと、クラシックギターを1つ手に取り、椅子に座って軽く音を整えた。

 

「お父さんってギター弾けるんですか?」

 

「弾けるなんてもんじゃないよ。なんせ、この私が彼に惚れた理由の1つだからね。ギターは」

 

音合わせも終わり、いよいよ弾き始めた。海堂の奏でる音楽を聴くと、クロエに衝撃が走った。奏でられた音楽は、穏やかな曲であるにも関わらず、強く何かが伝わってくる。

 

「スゴい……聞いているととても落ち着く曲。でも、落ち着いているけどどこかに悲しみを感じて、それでいて前へ進ませる力のある不思議な曲……」

 

「でしょ~。私も最初に直也の歌を聞いた時に同じことを思ったんだよ。いやぁ~。本当に不思議な物だね~。そこから一瞬にして好きになっちゃったんだもん」

 

顔を赤らめながらクロエにそう言う。いつのまにかたくさんの人が周りに集まっていた。海堂の奏でる音楽に引き寄せられたのだろう。曲が終わると、聞いていた人は海堂に拍手を送った。中には涙を流して感動していた人もいる。本当に力を持った曲なのだからだろう。

 

「良いギターだな。クロエも弾くか?」

 

「え?私がですか?」

 

「あぁ。時間無いから、基本的な事を少ししか教えられないけどな」

 

と言うことで、使ったギターを購入。同時にケースと教本も買って全部クロエにプレゼントした。そして今度はアクセサリーショップ。何をお揃いで買おうか悩んでいる。

 

「ん~……クロエ、どれが良い?」

 

「え?私が選ぶんですか?」

 

「だって~、私も直也もこう言うのは苦手なんだもん」

 

「え~……じゃあ、これで」

 

クロエが選んだのは、羽がモチーフのネックレスだ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

画像はうp主が勢いで買ってしまったヤツだが、イメージ的にはこれだ。因みに、買ってはみたものの、なんか着ける気にならなかったので、結構な時間自室に放置していた。

 

「おお!結構良いな!」

 

「うん!そうだね!じゃあこれにしよう!!」

 

と言うことで、3つ同じものを買って早速着けてみた。特に何か特別と言う訳ではないが、無性に嬉しくなって笑顔が溢れてきた。

 

「さてと、買い物も終わったし、次は水族館に行こう!!」

 

再び電車に乗って、今度は水族館に向かう。まだ時間はある。ゆっくりして行けるだろう。因みに、カメラを購入して、クロエが様々な衣装を着ている写真を撮っていたため、境界に戻ったらアルバムが作れるだろう。




ほとんどのアニメでは、死者が現世に生き返れるのは24時間となっているので、現実的に考えて10時間ほど減らしてみました。

今更ながら、死神君の名前どうしましょうか……なんか良い名前のあるかた、ストーリーリクエストの活動報告によろしくお願いします!渾名と一緒に送ってくれるとありがたいです!

次回もお楽しみに!感想と評価、活動報告やその他作品もよろしくお願いします!!

そろそろ死神君の小説でも書きましょうかね。

次回 家族の時間 水族館&遊園地編。別に遊園地いらないような気がしてきた。

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