ISと無気力な救世主 作:憲彦
あ、今日よりタイトルの変更を行います。
あの訓練のあと色々な事があった。箒にいつも通り絡まれたり、箒が千冬に出席簿アタックを食らったり、箒が千冬に指導室に連れていかれたり、箒が補習を食らったり…………。訂正しよう。特に何も無かったな。
まあ、そんなことがありながら迎えた、クラス対抗戦当日。
この対抗戦は、現時点での各クラス代表の実力をはかる物なので、公式戦の様に相手をシャッフルで選ぶ訳ではない。隣のクラスと戦うことになる。従って、最初は1組と2組の試合になる。(※上記の対戦相手選出方法は今作のオリジナルとなります。)
(鈴は初っ端から相性の悪い遠距離機が相手か……。)
そう、鈴の機体、甲龍は遠距離の機体との相性が悪いのだ。主な理由は衝撃砲の射程距離が余り長くない事があげられる。
しかし、そんな事は鈴が1番理解しているだろう。だが、絶対に勝つと言う顔をしている。
(1組やオルコットには悪いが、ここは鈴を応援させて貰うか。)
『両者、規定の位置まで進んで下さい。』
どの様な試合になるのか、楽しみにしていると、いつの間にか開始時間になっていた。
アナウンスに従って、鈴とオルコットは規定の位置まで進んだ。
『試合、開始!!』
合図と共に、オルコットは自分の距離に入るために後退し、鈴との距離を開けようとした。だが、
「オゥリャ!!」
距離を取らせまいと、双天牙月を連結して投げ飛ばした。綺麗な投球?フォームだ。
ISと言う、ほぼ何でもアリな戦いが出来るようになったこの時代、自分の持っている武器を投げ飛ばすと言う方法は誰も取らない。単にリスクが大きいからである。
しかし、誰も取らない方法だからこそ、相手の意表を突き、大きな隙を作らせる事が出来る。暗殺でも良く用いられる方法だ。
なにより、ISの戦闘では「隙を作る」事事態、最も危険なことである。この世に存在するどんな格闘技よりもだ。(因みに作者は1秒あればナイフを4回相手に当てることが出来ます。腕力に物を言わせてですけどね。)
予想通り、鈴の放った攻撃は、オルコットの意表を突き、動きを一瞬止めた。一夏との特訓で、それを見逃さなくなった鈴は、一気に距離を詰め込んだ。
「ハァ!!」
「グッ!」
距離を詰め込むと、武器を使わずに、拳で地面に叩き伏せた。しかし、相手も専用機を任される程の代表候補生。一夏との試合から全く訓練をしていない訳ではない。
墜ちながらではあるが、ビットを展開して、鈴を攻撃した。これくらいの返しは出来るようになった様だ。
(ヤバッ!ビットの対策してなかった!!こうなったら!)
鈴はビットの対策を忘れていたみたいだ。しかし彼女の性格上、チマチマ避けたりガードしたり等はしない。単純に面倒だと思うからだろう。
攻撃を受けながらも獣の様に接近し、オルコットに掴みかかると、一緒に地面へと突っ込んで行った。
地面に押さえ付けると、衝撃砲の出力を最大にして撃とうとしていた。残りのシールドエネルギーを考えて、この一撃で全てを決めるようだ。
だがオルコットもただ押さえ付けられてるだけではない。レーザービットにエネルギーを溜め、鈴と同じく一撃で片付けようと思っていたらしい。だが、
ドゴォーン!!!!
突然響き渡った轟音に、アリーナが静まり返った。
その音は、鈴の衝撃砲でも、オルコットのビットでもない。アリーナの中に突っ込んで来た何かの音だった。
「「ッ!?」」
「ん?」
土煙に包まれた相手の正体。それはISだった。一夏のとはかなり違ったフルスキンのISだ。
「何あれ?一夏のISの親戚?」
「どう見てもそんな感じには思えませんけど?」
正体不明のIS。それの登場で観客席はパニックになっている。皆我先に逃げ出そうとし、収集が付かない。
「姉貴聞こえるか?」
『織斑先生と呼べ。それでなんだ?』
離れた所から一夏は千冬に連絡をとっていた。
「この状況は不味い。俺をアリーナの中に入れろ。今すぐにだ。」
『そうしたいが、今全ての扉がロックされている。開けることは出来ない。中に入るには壁かアリーナを覆ってるシールドを破壊する必要がある。』
「なら今すぐにシールドを―」
『ただし、シールドは修理費が高い。破壊するなら壁にしておけ。そっちの方がまだ安く済む。今から指定する場所の壁を破壊しろ。』
「分かった。」
いくら人を助けるためとは言え、学校を破壊させるとは、千冬も思い切った様だ。一夏は場所を聞くと、その場に急いで向かった。
「織斑先生!いくら何でも生徒をあそこに入れるのは危険すぎます!扉を開けて、教員部隊を入れた方が―」
「その教員部隊が我先に逃げ出し混乱を招いている。そんな連中を入れるより、アイツを入れた方がよほど信用できる。」
「ですが!」
「それに、私は一夏を信じている。アイツなら大丈夫だ。」
一夏を信じ、託した千冬に真耶は何も言わなくなり、一緒に一夏を信じた。
アリーナ内部では、シールドエネルギーがギリギリな鈴とオルコットが踏ん張っていた。
先程通信で、千冬に一夏到着までの時間を稼ぐ様に頼まれたのだ。
「すぐに来るって言ってたけど、案外キツいわね……!」
「大丈夫ですわ……!あと少し、あと少し耐えれば、きっと……!」
2人共、立っているのがやっとの状態だ。ほとんど気力で戦ってる様な物だ。
しかし、相手にはそんなこと関係ない。所属不明のISは、鈴達に止めをさそうと迫ってきた。
((避けられない!!))
2人は諦めかけたが、まだ運は2人を見捨てていなかったようだ。
「ハァ!」
壁を破壊した一夏が、壁と一緒に正体不明のISを殴り飛ばしたのだ。
「遅くなった。後は俺がやる。」
「本当よ。どれだけ待たせる気?」
「遅すぎですわ!」
「そんだけ騒げるなら大丈夫か。一気に片を付けさせてもらう!」
そう言うと、手首に巻いている腕時計の様なもの、ファイズアクセルからメモリーを抜き取り、携帯のメモリーと差し替えた。
『Complete』
電子音の後、体の基本カラーが黒に変わり、胸部のアーマーが展開し、複眼の色も赤に変わった。体に流れるラインもだ。超加速モード、アクセルフォームだ。
ファイズアクセルに付いているボタンを押そうとしたとき、突然の邪魔物が入った。
『一夏!!男なら……男ならそのくらいの敵に勝てなくてなんとする!!』
「「な!?」」
「あの野郎!?」
そのバカデカイ放送が流れると、正体不明のISは放送室に狙いを定め、アリーナに突っ込んだ時と同じレーザーを放った。
「不味い!?」
『startup』
加速して、攻撃を体で受け止めた。別に箒1人だったら見捨てても構わなかったかもしれない。だが、放送室には他にも数名人がいた。恐らく逃げ遅れた放送部の人だろう。
それを守るために、一夏は体を張ったのだ。だが、アクセルフォームは胸部のアーマーが展開しているため、防御力が下がっている。
「グワァ!!」
その状態で攻撃を体に受ければ、当然ダメージは生身の体まで来る。
スーツもダメージ限界を迎え、解除されてしまった。
「一夏!!」
生身になった一夏に、止めをさそうと所属不明機が近付いてくる。だが、それは大丈夫だ。何故なら、
「……おせーよ。呼んだらすぐに来い!」
事前にバジンを呼んでいたからだ。
バジンは一夏を立たせると、ファイズエッジを置いて、元の場所に戻って行った。
『555 enter』
「はぁ、全く……変身!!」
『Complete』
「もう1回行くか。」
『Complete startup』
渡されたファイズエッジに、もう片方のメモリーを差し込み、加速しながら相手に斬りかかった。その時、装甲の一部が剥がれ、相手が無人機であることが判明した。
「無人機ならこれ食らっても問題は無いな!」
ファイズエッジからメモリーを抜き取り、ポインターに差し込み、それを脚に付けた。
『ExceedCharge』
電子音の後、無人機に大量の円錐状のマーカーが付き、それに次々と蹴りを叩き込んだ。
『3.2.1 timeout』
『Reformation』
無人機は粉々に破壊され、ファイズは元の姿に戻った。
「これで、終わったか…………。」
ダメージが大きすぎたのか、変身を解除すると、そのまま倒れてしまった。制服の胸の辺りが少し焦げている。それが彼のダメージの大きさを物語っている。
その数時間後、一夏が目覚めると先程の報告を行った。その結果、戦闘及び避難の邪魔をした箒に反省文と1週間の自室謹慎処分が下った。
本人は一夏の応援の為だと全く悪びれた様子は無かったが、千冬にこっ酷く叱られた。
ついでに、鈴には殴り飛ばされた。2秒位空中を漂っていたと思う。結構な力で殴ったな……。
今日はここまで。タイトルは「ISとファイズと無気力一夏」から「ISと無気力な救世主」へと変更します。
タイトルをくださったナハト・リコリスさん、ありがとうございました。
次回 2人の転校生。
次回もお楽しみに。感想もよろしくね!
『教えて!憲八先生!!』
はーい、ペンネーム「鈴の髪の毛を切って短髪にしたい」さんからの質問です。「作者が特撮にハマったきっかけは何ですか?」はい、ズバリお答えしましょう。作者が初めて見た特撮の映画が「ウルトラマンコスモス THE first contact」です。少年の頃のムサシとコスモスを描いた作品ですね。この映画のムサシがコスモスの手に乗って空を飛ぶシーンに憧れ、そこから特撮を見るようになりました。初めて見たウルトラマンはコスモス、戦隊はアバレンジャー、仮面ライダーはファイズです。
実は企画を2つほど考えています。1つは今まで書いた作品の外伝をまとめた短編小説、もう1つは過去に書いた作品を1度けす、またはリメイクと言うことで、台本形式から現在のような小説形式に直すことです。短編の方は書くのが決まっていますが、台本形式から小説形式に直すのはどっちが良いか迷っています。良かったら感想欄に書いてください。