ISと無気力な救世主 作:憲彦
果たしてバジンは新しい姿を虚に見せることが出来るのか?
バジンの破壊を書く場合はこれを基準とします。
バジンの朝は早い。遅くても4時には起床する。そこからまずは店の玄関を掃除する。ゴミを取り去って綺麗にした後は店内の清掃だ。これは閉店時に一夏がやっているが、バジンは朝にもやるようにしている。そして最後は朝食作りだ。これは一夏、本音、バジンと交代制でやっている。この日は偶々バジンだった。冷蔵庫の中にある食材を使ってそこそこ豪華な料理を作る。和食か洋食か中華かはその日の冷蔵庫の中次第だ。
因みに、一音が赤ん坊の頃は一夏と協力して離乳食を作ったり、朝食の担当でない時は魚の市場に行ったりジギングに行っている。実はこれがかなり家計に助かっている。
そして、朝の最後にすることは勿論
『朝だぞ。起きろ』
プラカードで寝ている一夏達を起こす。バジンのお陰で休日でも規則正しい生活が出来る。一音や本音は少し不服そうにするがな。
「今日は和食か……バジン。人間態になったらどうだ?」
『あの姿は慣れない所が多いんだが……』
ISの拡張領域の機能を利用して、バジンが人間になったときは邪魔なパーツの部分をしまうことが出来る。しかし、重いものが無い人間態は少し動きにくいそうだ。体がいつも以上に軽いのが原因だろう。あり得ない方向に飛んでいくことが何度かあった。虚にもまだ人間態は見せていない。
「いい加減見せたらどうだ?義姉さんなら気にしないと思うぞ?むしろ喜んでくれるだろ」
『人間態を見せて、「変な声」や「こんなキャラなんだ」とか「ロボットの方が良い」とか言われたら流石に立ち直れる気がしない』
「変な事気にしすぎだろ。絶対にそんなこと言わないから安心しろ。つーかそれ言うならお前と恋人関係になってないだろ」
『確かにそうだが……』
いまいち踏み切りが付かないようだ。仕方無い。ここはうp主が一肌脱ごう。
「あ、今日バジン予定入ってるだろ」
『……アァア!!?』
バジンの予定をカレンダーに書き足しておいた。ついでに一夏の頭にこの情報を流して言わせた。因みに虚とのデートを用意しておいた。そしてもう1つ。
ピピピピ!ピピピピ!
『ん?メール?…………』
「ん?どうした」
バジンにメールが来たが、それを読んで絶句した。
『バジンさん!新しい姿になれるよになったって本当ですか!?』
情報を流したのは誰だろうか~(棒読み)
『服どうしよう……』
「どっから情報が漏れたんだろうな?まぁ服は貸してやるよ」
『助かる……移動はバッシャーにでも頼むか』
「と言う訳で、バッシャーを借りに来た」
「なるほど。だから人間の姿なのな……」
待ち合わせの時間になるまえに、草加の家に訪ねてバッシャーを借りに行った。因みに服装だが、一夏の着る服を借りている。黒のジーパンに白のシャツに黒いパーカー。殆ど黒いじゃねーか。
「別に良いけど、今娘の相手をしてもらってるんだが」
「自分で見ろよ。子育てくらいお前にも出来るだろ」
「いや俺は千冬の面倒があるんだが……」
「両方ともこなせ」
娘さんはあと少しで一歳だが、また出来たそうだ。何故に?
「一夏と村上にしばかれて少しは反省したか?」
「まぁ、少しはな」
千冬が娘を出産した後に、祝いとして一夏の店に集まっていたのだが、それから数ヵ月後にまた子供が出来たと知らせに来たのだ。まぁ、それで村上と一夏に店の裏にあるデカイ山に一緒に行くことになったのだ。何があったかは察してくれ。これで山の一角が消し飛んだんだ。
「じゃあバッシャー借りていくぞ~」
娘を抱えながら、去っていくバジンとバッシャーに一緒に手を振っている。
『デートに付き合うのは良いが……機能停止してた方が良いか?』
「別に構わん。盗聴と盗撮をしなければな」
『分かってる』
お前らそこそこ長い付き合いなのに、何を疑ってんだ?と言うか盗聴と盗撮って普通警戒するか?
まぁそんな疑問はさておき、待ち合わせ場所である駅に着いた。いきなりの人間態は色々とあれなので、まずはいつもの姿で虚を探した。幸いすぐに見付けることが出来たので、プラカードで呼んだ。が、当然虚は気付かなかった。
『人間態で行けば良いだろ』
『いや緊張するから……』
『いいからさっさと行け。彼女の性格からも、拒絶されることは無い』
「はぁ……」
バッシャーに言われた通り、人間の姿になって虚を呼びに行った。
「虚」
「はい。あ、バジンさん来たんですね!」
まぁ当然の反応だ。この姿は完全に初対面。本音も写真を送ったわけではない。取り敢えずプラカードを出そうとし…………ん?
「俺だって分かったのか?」
「当然ですよ!近くに居るときの安心感がいつも通りですから!」
「そうか。じゃあ早速行くか」
まぁ行く場所は遊園地だ。虚が買い物の福引きでチケットを引き当てた。在り来りではあるが、2人一緒ならどこでも楽しめるのだろう。
「?この袋は何ですか?」
サイドカーの部分に虚が乗ると、中に入ってる2種類の袋に気付いた。片方は大きめで、もう片方は少し小さい。
「デカイ方は昼食だ。小さい方は……後で言う」
「はぁ……もしかして、指輪だったりしませんか?」
「…………」
「え?本当なんですか?」
まさか当てるとはな……普通は当てないと思うが。
「はぁ……もう少し雰囲気ある場所で言いたかったんだが……」
「今、言ってもらっても良いですか?」
「……」
バッシャーを路肩に停めると、袋から指輪を取り出して他の車が通りすぎるのを待った。
「虚、俺はロボットだ。それも戦うために作られた存在だ。平和にはなったが、戦いとなれば前に出るし、帰ってこれる保証もない……だが、それでも良いと言うなら、そんな理屈を無視して、俺と同じ道を歩いてくれないか?妻として……」
そう言うと、指輪を手に取り虚に差し出した。虚は、何も言わずに自分の左手をバジンに伸ばした。はめてくれと言う意思表示のようだ。
「良いのか?これから先、俺の伴侶として過ごすことになるんだぞ」
「勿論です。私もそれを望んでますから。但し、バジンさんが戦うときは、私も一緒に戦います!そして、一緒に帰ってきましょう」
「そうだな……」
婚約成立。バジンは虚の意思を聞いて、薬指に指輪をはめ込んだ。そしてバジンも、自分の左薬指に指輪を付けた。しかし、この世界の女共は逞しいな。前例のない人間とロボットの夫婦。そして一緒に戦う意思。並大抵の事ではないだろう。だが、それを受け入れた。本当に虚はバジンの事を心の底から愛しているようだ。そしてバジンもまた、心の底から虚を思っている。この2人なら前途多難な未来でも、迷わずに進むことが出来るだろう。
「来たは良いが……何をやるべきか」
「そうですね~。何から遊びましょっか?」
まぁ、バジンは婚約したし、虚はそれを受け入れたし、指輪もはめてるし、正直言ってもう帰っても良いと思う。が、せっかく当てたチケット。使わないのは勿体ない。
「じゃあ全部乗りましょう!絶叫系以外で……」
「そうか。ならジェットコースター行くぞ」
「え?ちょ!何でですか!?イヤァァァァァァ!!!」
そのまま、虚を連れてジェットコースターに行ってしまった。そこまで混んでいなかったので、すぐに乗ることが出来たが、虚はガクガク震えている。
(楽しいな)
そんな虚を見て楽しんでいた。案外バジンはSの様だ。涙目になっている虚を見て笑っている。声には出さないがな。いつものポーカーフェイスも無くなっている。
ジェットコースターが発進すると、乗っている客は全員ドキドキしている。1番最初の登り坂を進んでいるときはまだかまだかと待ち構え、その後に続く高低差の大きいコーストの爽快感を各々楽しむ。だが、虚にはそんな余裕が無さそうだ。バジンの手をガッチリ掴んで離さない。
「そんなに怖がるなよ」
「む、無理です!ISに乗って超高速で空を飛ぶならまだしも、これだけは無理です!!」
「なら大丈夫だな。前見とけ」
「え?キャァァァァ!!!」
話してる間に天辺に到達していた様だ。そして直後に落ちた。他の客も悲鳴を上げているが、それは楽しんでの悲鳴だ。虚のは少し違う。普通に怖がってる時の悲鳴だった。
まぁ、ジェットコースターは速いので一瞬で終わる。悲鳴を上げてる内にスタート地点に戻った。足元が覚束無い状態で、フラフラしながらコースターから虚が降りてきた。そんな虚をバジンが支えている。
「意外と楽しめたな」
別の意味でな。お前が楽しんでたのはジェットコースターじゃないだろ。
「つ、次はもっと穏やかなのにしましょう……」
「そうだな。お化け屋敷辺りでも行くか」
「他のにしてください!!」
そろそろ虚が可哀想なので、別のものにしてあげた。元々長い時間いる予定では無かったので、もう2つほどアトラクションを楽しんでから家へと戻った。
薬指に付けてる指輪を見られて、虚の母親に迫られたのは言うまでも無いだろう。しかし、不思議なことに、何故か人間の姿でも、虚の両親は普通にバジンだと気付いた。
「バジンくん。君は婿に来るつもりは無いかね?」
「婿ですか?……考えておきます。お義父さん」
「うん。よろしく頼むぞ!」
無論破壊となれば、後半のストーリーは全て変わります。
次回もお楽しみに!感想、評価もよろしくお願いします!!
あ、この前の性転換のあれで読みたいシチュエーションとかありますか?勿論、出す場合はr18の方ですよ。書き方や用語は……教えて貰えるとありがたいです。
ある場合はいつも通り、感想と一緒にお願いします。報告もしないでくださいね。