ISと無気力な救世主 作:憲彦
「なぁ海堂」
「んあ?」
「今、何かやりたいことってある?」
この日、木場の部屋には、家主の木場と同居人の海堂、そして巧が居る。特にやることもなく、3人でダラダラと過ごしていたが、突然木場が海堂に対して「何かやりたいこと無いか?」と訪ねた。
「ん~……一度で良いから、人前で、思いっきりおしっこ漏らしてみたい」
「……えぇ……」
この言葉は予想外だった。海堂がバカなのは知っているが、こんなことは言わないヤツだと信じていたからだ。なので木場は思いっきり引いている。
「海堂……俺達で叶えられる範囲にしてくれ……流石にそれは無理だ」
「えぇ?ダメ?じゃあ……あ、ケーキをワンホール自由に食ってみたいな~」
「よし!それなら良いな!」
「あぁ!」
「え?」
ケーキを食べるという願いを聞くと、木場と巧のテンションが上がった。そして、海堂の前にケーキを置いたのだ。そこそこ高そうなやつ。
「今日お前の誕生日だろ?」
「だから俺達で金出しあって、ケーキ買ってきてたんだよ」
「お前ら……粋な真似を」
一緒に入っていたプラスチックのフォークを袋から取り出し、ケーキにガッツいた。
「うぉぉぉ!!何て良い友達を持ったんだ俺は~!!」
そう叫びながら、ケーキを一口頬張った。だが、
「ウゴァ!済まん……!俺生クリームダメだった……!」
なら何故ケーキを食べたいと言ったんだ?ほぼ100%生クリームが使われてるぞ。あれは。
「ぬっ!」
「待って!落ち着け!」
海堂の言葉にイラッと来たのか、巧が目潰しをしようとした。それを寸の所で止めて落ち着くように言った。勢い的に完全に潰すつもりだったようだ。
「ふざけんな!何のためにバイト代削ってまで買ったと思ってんだ!?あぁ!?」
「待って!もう1つやりたいことがあった!!」
「今度は何だよ!」
「パイ投げ!」
「アアアアア!!!!」
海堂がパイ投げと爽やかに言うと、巧が雄叫びをあげながらケーキを海堂の顔面に投げ付けた。今の海堂は顔の原型が分からなくなるほどに生クリームまみれだ。
「ケーキ無駄にならなくて良かった~」
十分無駄になってるよ。
「…………」
ここはコンビニのトイレの個室。中には啓太郎が入っている。だが、中々出られない。外からスゴいプレッシャーをかけられてるからだ。
(なにこのプレッシャー!?草加くんに当てられた時以来だよ!このプレッシャーは!)
そんなことを考えてたが、数分後には消えたので出ていこうとした。のだが……
「紙がない~!!」
トイレットペーパーが切れていた。仕方無く、バックの中からノートを取り出して、使ってないページを切り取って拭いた。コンビニから出たときの彼は、魂が抜けたような感じだった。
「はぁ……うわ!?」
ダルそうに歩いていたら、捨てられていたバナナの皮に足を滑らせて転んだ。そのまま、後頭部を地面に強打。悶絶している。3分位悶えていたが、痛みも取れたので再び帰路に付いた。橋を渡っていたとき、何と無く川に目を向けると、流れてくる段ボールを見付けた。
「あぁ!?」
中身が目に入ると、学ランを脱ぎ捨てて川へと飛び込んだ。11月の時期に川に飛び込むのはどうかと思う。しかし、啓太郎には段ボールの中に猫が見えたのだ。助けるためなら仕方無い。段ボールを抱えながら岸に上り、中が無事かを確かめるために蓋を開けてみた。すると
「ぬいぐるみかよ!!何だよさっきから!アニメか!?」
小説の間違いだ。
無気力な救世主の日常は、うp主の提供でお送りいたしました!
……バジン1回破壊しようかな……?
次回もお楽しみに!感想、評価もよろしくお願いします!!