ISと無気力な救世主   作:憲彦

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大層なサブタイトルですが、タイトルだけです。

『憲さんの仮面ライダー解説!』

今日解説するのは、ディケイドに出てきた2号ライダー「仮面ライダーディエンド」です。変身アイテムはベルトではなく手持ちの武器であるディエンドライバー。ディケイド同様にライダーカードがありますが、こちらはライダーに変身ではなく呼び出します。

時間経過、もしくはダメージ量で消えます。ぶっちゃけその描写が無いので不明です。モモタロスは木にぶつかった一撃で消えましたね。

ファイナルフォームライドのカードもありますが、ディケイドと違いカードを読み込むと相手を1発撃ち抜きます。「痛みは一瞬だ」……一瞬でもやだよ。

コンプリートフォームでは映画で出てきたダークライダーが出てきます。電王関係のダークライダーが出てこなかったのは大人の事情。

変身者である海東大樹は世界を巡るトレジャーハンター。ディエンドライバーもショッカーから盗み出したものです。ファイズの世界ではオーガギアを回収しました。何故か士の行く先々で現れます。士の自己紹介の際に海東にそう言わせた理由がこれです。




「おいおい……何のパーティーだ?これ」

 

「そんなお気楽な物だったらどんなに良かったことか……木場先生!コンディションレベルレッド!生徒を避難させて下さい!」

 

「分かりました!皆さんシェルターへ!早く!!」

 

10000体の無人ISによるIS部隊。その中心に居る篠ノ之束。それを見た鈴は、独自の判断で警戒レベルをマックスにした。甲龍の衝撃砲の砲門を全て上空に向け、いつでも迎撃出来るようにしてある。

 

「時間稼げれば良いか……」

 

「全く……どこの世界にも居るもんだな……」

 

「同感だ」

 

海東と士はその場に残っている。目の前にいる自然災害に悪態を付きながら。

 

「何やってんのよ!?早く逃げて!!」

 

「時間を稼ぐんだろ?手伝ってやるよ」

 

「右に同じく」

 

士は腰にベルトを、海東は右手に拳銃型のアイテムを構えている。

 

「「変身!!」」

 

『KAMEN RIDOE DECADE!』

 

『KAMEN RIDOE DIEND!』

 

「ついでにもう1人」

 

そう言うと、デルタのカードをホルダーから取り出してディエンドライバーに入れて読み込ませた。

 

『KAMEN RIDOE DELTA!』

 

「あれ?何でここに居るんだ?」

 

デルタの状態で出てくるかと思ったが、生身の一音の状態で出てきた。ベルトはちゃんと巻いている。何でここに居るのか等、少し戸惑ったが目の前の状況を見て色々と納得してしまった。

 

「君も手伝いたまえ。と言っても、僕たちじゃあ5分が良いところだ」

 

「時間稼ぎって事か……良いぜ。変身!」

 

『Standingby』

 

『Complete』

 

しかし、ここに居る4人でも5分。それが稼げる時間の限界だ。それほどに不味い状況と言うことだ。と言っても、ここで潰せるだけ潰さないと後が困る。

 

「多勢に無勢も良いところだ……」

 

「でも5分は稼げる……頑張るしかないわね」

 

そう意気込んでいたのがつい3分前。5分は持つと思っていたが、上手くは行かなかったようだ。避難はまだ半分ほど残っている状態だ。押されるのも仕方無い。数も確かにそうだ。

 

しかし、大きな違いは性能だ。無人機は第3世代程度の性能だと思っていた。だが、それが大きな間違いだった。第3世代なんて言う優しいものでは無かったのだ。世界はまだ第3世代が主流。第4世代はまだ企画にすら挙がっていない。どう考えても完全に相手のISは第6世代以上の性能を持っている。

 

「そろそろヤバイぞ!!」

 

『ATTACK RIDOE BLAST!』

 

「ヤバイって言っても手が無い!」

 

『ATTACK RIDOE BLAST!』

 

流石10000体のIS部隊。どんなに倒しても数が減っているような気がしない。言葉に10000とするのは簡単だが、実際に目の前にすると恐ろしいの一言だ。

 

すると、今度はそこにもう1機ISが飛んできた。腕には誰かを抱えている。

 

「あ、箒ちゃん。戻ってきたんだ」

 

「はい!コイツもちゃんと持ってきましたよ!」

 

「母さん!?」

 

飛んできたのは箒だった。そして腕には気を失った本音がいた。これで鈴と一音は箒が何処から来たのかを把握することが出来た。

 

「ナイスだよ!箒ちゃん!さぁ!早速切り刻もう!!」

 

「待ってください。今ここで切り刻んでも意味がありません。殺すなら一夏の目の前で。手が届く瞬間にです!」

 

「おぉ~!良い考えだね!そのアイディア頂き!!」

 

「させるか!!チェック!!!」

 

『Exceed Charge』

 

ポインターを放ってルシファーズハンマーを入れようとしたが、空中で無人機によって邪魔された。それだけではなく、無人機を破壊した直後に束の放ったレーザーの直撃を受けベルトが外れてしまった。

 

「一音!!」

 

トドメを刺そうとする束の攻撃から、鈴が身を挺して守ってくれた。しかし、あまりにも攻撃力が高くて守ることは守れたが、甲龍は絶対防御が発動してしまい、戦うことが出来なくなった。

 

『FINAL ATTACK RIDOE DEDEDE DECADE!』

 

『FINAL ATTACK RIDOE DIDIDI DIEND!』

 

「デリヤァ!!」

 

「ハアァァ!!」

 

士のディメンションキックと海東のディメンションシュートが炸裂したが、攻撃の直後を狙い撃ちにされて、士たちも変身が解除されてしまった。

 

「あんまり手応え無いね……さぁ~てと。いっくん達が来るまで待ってようかな~」

 

「アンタら……!何でここに居るの!!臨海学校のあの時、アンタ達は―」

 

「そう。確かに死んだよ。木場勇治の手によってね」

 

「じゃあ何で!!」

 

鈴の言う通り、篠ノ之姉妹は臨海学校の2日目に死んだ。木場の手によって灰にされたのだ。友達の仇として。

 

「確かに死んだけど、その時はISも一緒に着けてた。私のISには万が一の事を考えて、あるシステムを入れておいたんだよ」

 

「システム?」

 

「そうさ。使用者が死んだとき、脳の中にある記憶やその人間の人格をデータとして保存するシステムさ!そして一定の時間が経つと私の研究所に送られるようになってる。後は簡単さ。空の体に私のデータを入れるだけだからね」

 

「その時に私のデータも一緒に取り込まれていたと言う訳だ。そのお陰で、今はこんなに素晴らしい力を手に入れることが出来た!人間離れした身体能力!回復力!そしてそれを自在に操ることの出来るこの体……お前達に殺されたお陰で手に入れたのさ!!フフフ……ハハハハ!!!」

 

束の口から発された事実に、聞いていた4人は唖然としてしまった。あまりにも現実離れしているからだ。しかし、現に目の前に彼女達は存在している。生きていると言って良いかは分からないが、束の言葉に嘘は無いようだ。誰も戦えず、固まっているところに、アイツは来た。

 

「本音ぇぇぇ!!!」

 

「来たか!」

 

「邪魔だ!!変身!!」

 

『Complete』

 

ファイズに変身すると、ミッションメモリーをバンドルに差し込み、勢いよくバジンから飛び降りて一気に斬りかかった。

 

「鉄屑に用は無い!!そこをどけェェェェ!!!」

 

『Complete』

 

『Startup』

 

「ゼリャア!!!」

 

アクセルフォームになって無人機を破壊しながら一直線に突っ込んでくる。勢いに任せて束と箒を斬り裂こうと思ったが、ファイズエッジを受け止められて攻撃は束に届かなかった。

 

『Timeout』

 

『reformation』

 

「ッ!?グッ!」

 

束はファイズエッジを弾じき、一夏の首を掴むとベルトからファイズフォンを外した。

 

「まぁまぁそんなにいきり立たないで。少し話をしようよ。ちょうど皆来た所だしね……そうだね~何で男でもISが起動出来るのか話そうかな~」

 

束の言うように、草加や千冬、木場がここに集まっていた。3人ともついさっきここに着いたようだ。ここに居る全員、束と箒の2人には因縁浅からぬ人が集まったことになる。

 

「まぁ、まずは基礎からだね。ISのコアには人間と同じ意思や感情が存在している。この学園で最初に習ったことだよね?ISの適性に個人差があるのはこれが原因だよ」

 

「何故……!そんな話を!」

 

「この学園の雰囲気も大分変わったよね~。昔は居なかった男子生徒が沢山いる……」

 

一夏の言葉を無視して、束は自分の話を進めた。その言葉を、全員黙って聞いているしか無い。話に興味があるのか、避難に遅れた生徒は窓から顔を覗かせている。

 

「ライダーズギアが使える以外にも、いっくんみたいなISを使える人が増えたんじゃないかな?当然だよね……私がISのコアにかけたロックが解けてきてるみたいだしね」

 

「ロックだと!?」

 

「そう。私の発明だもん。気に入らない不特定多数の人間に使われるのは嫌だからね。特に、学会で私の発明を馬鹿にした男共にはね。そもそもちーちゃんに使わせるために作った道具だもん」

 

ISが世に出てからの最大の謎。「何故男性には使えないのか」それが明らかとなった。製作者である束自身がロックをかけていたと言うのだ。

 

「いっくんにISが使えたのはちーちゃんの弟だからかな?姉弟ならDNAが似てる所があるからね。他の女共が使えたのはちーちゃんと性別が同じだったからかな?さっきの理論から行くと……まぁ、そこら辺は詳しくないから掘り下げて話すことは出来ないけどね……」

 

「お前は……!何処まで感情のある物を馬鹿にするつもりだ!!」

 

「馬鹿にする?自分の作ったものをどうしようと、私の勝手でしょ?意思?機械ごときがそんなものを持って良いと思ってるの?」

 

「ふざける……なぁ!!」

 

「さ~てと。ここでいっくんに選択肢をあげるよ!私達と来て永遠の命を手にして一緒に過ごすか、ここで首をへし折られるか……さぁ!選んで!!」

 

「……断る!お前らと居るくらいならな!」

 

「そう……残念だよ」

 

「一夏……残念だ。お前とは一緒に居たかったのに……まぁ良い。死を選ぶと言うのなら、この女と一緒にあの世に送ってやる!!」

 

「例え死ぬことになっても……本音は助ける!本音だけは!!」

 

そう言うと、地面に突き刺さってるファイズエッジを取り、束を斬った。拘束が解けると、本音を持っている箒へと向かっていった。しかし、後では束が一夏を殺そうと構えていた。

 

「海東!そっちを頼む!」

 

「あぁ!」

 

士はライドブッカーのガンモードを構えて一夏の方向へ、海東はディエンドライバーを構えて本音の方向に向かった。

 

「邪魔だ!」

 

「ウワ!?」

 

突っ走る一夏を押し退けると、後ろに居る束に攻撃を入れた。意識外の攻撃故、大きなダメージを与えることに成功した。その間に、本音は海東によって助け出された。

 

「お前……」

 

「バカ野郎!!」

 

「ガァ!何しやがる!!」

 

束に攻撃を入れた後、振り返ると同時に一夏を全力で殴った。

 

「死んでも助けるって言ったよな……俺はいろんな世界を回っていろんな人間を、仮面ライダーを見てきた。お前じゃないファイズもな。そいつらの目には死なんて無かった。死んでも守るって言うのはな、何も守れずに死ぬことと同じなんだよ!」

 

「…………」

 

「俺の知ってる仮面ライダーファイズは、たとえ自分の本当の姿を知られ、沢山の人に、大切な人に恐れられ軽蔑されるのを分かった上で、自分の大切な人を、大切な場所を守るために戦った。そいつは死ぬことなんて考えて居なかったさ……お前も、死んでもではなく、生きるために戦え!死ぬ気で!」

 

士の言葉に、覚悟を決めたようだ。ファイズフォンを拾いながらゆっくりと立ち上がった。

 

「生きるために死ぬ気で……か」

 

「一度だけじゃなくて二度までも……私達と来ることも!永遠の命までも……何故そこまで!!」

 

「命って言うのは、あるだけじゃあ意味がない。脆く、弱く、時間も限られている」

 

「そうさ。だから私達は永遠の命を手に入れた。下らない制限のあるものが嫌いだからね。お前の言ってる事は正しいよ。なら―」

 

「だが、だからこそ必死に生きている。大切な人の為に命をかけたりな。終わりがあるから俺達は全力を尽くすことが出来る。価値が生まれる。限りがあるからこそ、命は輝きを発する。お前の言う永遠には、価値なんて無い!」

 

「……この世界の存在じゃ無いくせに……ディケイド!何故ここまでこの世界に関わる!?お前は一体!何者なんだ!!」

 

「俺も聞いてなかったな。それ」

 

「ならよく聞いておくんだな!俺は、通りすがりの仮面ライダーだ!覚えとけ!」

 

「草加!木場!一音!俺に力を貸してくれ!」

 

「当然だ!」

 

「過去に蹴りを着けるためにも、協力させてもらうよ」

 

「親に手を出されたんだ。その分はキッチリと返させてもらうさ」

 

「僕も手伝わせて貰うよ」

 

『555/913/000』

 

『『『ENTER』』』

 

『『『Standingby』』』

 

「「「「「「変身!」」」」」」

 

『Standingby』

 

『『『『Complete』』』』

 

『KAMEN RIDOE DECADE!』

 

『KAMEN RIDOE DIEND!』

 

「たった6人ごときで……!」

 

「8人の間違いだ。束」

 

その声が聞こえると、空から髪型を変えて打鉄をまとった千冬と、ラファールをまとった真耶が飛んできた。この2人も参戦するようだ。

 

「千冬……大丈夫なのか?」

 

「ブランクはあるけど問題ありません。それに、私はアイツの心の闇に気付くことが出来なかった。そのせいで暴走させた。それだけではなく、沢山の人を悲しませてしまった。そして、束を一度死なせてしまった……これは私の罪だ。かつての親友には、私自身が引導を渡す」

 

「真耶さんは大丈夫なの?」

 

「はい!ここで一緒に戦わなかったら一生後悔する。それだけは嫌です。私は勇治さんの苦しみを分かることは出来ないけど、でも、今度は転ぶときも起き上がるときも一緒です!」

 

千冬も真耶も、戦う気は確かなようだ。それに伴う自分の中にある覚悟も。

 

「ちーちゃん……君まで……」

 

「束、私は自分の罪を数えた。次はお前の番だ。ーーーさぁ、お前の罪を……数えろ」

 

どっかの白ハットの探偵を思い出すな。そのセリフは。

 

「一夏……」

 

「篠ノ之……お前を歪めた責任は俺にもある。せめてもの償いとして、俺がお前を倒す」

 

「償い……フフフ……ハハハハ!!!お前1人で何が出来ると言う!?お前を私の物に出来ないのは悔しいが、その命は私が貰う!!」

 

「はぁ……随分と危ないのに憑かれたな……俺も協力してやる。一緒に行くぞ!」

 

自分の罪を償う者、過去のやり残しを終わらせる者。そしてそれに協力する者の戦いが始まるようだ。




ここの千冬は仮面ライダーにすると、スカルかな?それを思い付いたので、鳴海荘吉の名台詞を起用しました。思い付きを即実行しました笑

次回もお楽しみに!感想、活動報告、評価もお願いします!!

次回がディケイド編の最終回!だと良いな……

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