ISと無気力な救世主   作:憲彦

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時間系列マチマチですいません。今日は大人一夏のトゥルーエンドが基準です。

そして、座談会の日程が決定したのでお知らせします。

投稿予定日は9月13日のカイザの日を予定しています。無理だったら次の日に投稿します。大変お待たせしました。座談会のプログラムは、後書きに書きます。

作者のテンション低めです


料理対決

「ですから、こちらをお読みください!きっと納得して頂けますから!」

 

「悪いが、どんなに話をされようと答えは変わらん。この店を売り渡す気は無い」

 

午後3時、来る客も落ち着いてきたこの時間帯に、最近一夏の悩みの種である連中がやって来た。今日で何回目だろうか?取り敢えず1週間以上連続で来られるのは迷惑だ。

 

「何度も言うが、ここ以外にも場所はあるだろ。その迷惑極まりない行為を止めてくれ」

 

「場所の件に関しては、我々が何度も調査した結果ここが最適だと判断したからです!当然、それ相応の金額はお出しします!それに、これから先この店が順調に経営できるとは限らないでしょう。ご家族の事を考えたら私達に渡すことが最善の筈です!」

 

「問題ない。別に儲けを気にしている訳ではないからな。来る人に満足してもらう。それが家のやり方だ。それに息子も継ぎたいとか言ってたからな」

 

このやり取りがなんなのか、唐突に始まったので分からない人が9割だろう。何故こんな事になっているのか、それはここに新しくホテル?レストラン?を建てるからだそうだ。つまりここにいるのはただの地上げ屋だ。

 

しかし妙な話だな。この場所は本来余り人は通らない。ここに人が集まるようになったのは一夏が店を出してからの筈だ。何度も調査とは、どの程度の調査なのかが気になる。

 

「跡継ぎ?フン。それで上手く行くとでm―」

 

「今、アイツの夢を笑ったか?……俺が料理を学んだ人からは、子供の願い事は未来の現実。それを夢と笑う大人は人間では無いとな。俺はそこまで大きな事を言うつもりは無いが、大切な息子の夢を笑うことは許さん。」

 

「ッ!!」

 

まぁ、これに関しては地上げ屋が地雷を踏んだりだけだ。ただそれだけの事だ。しかし相手が悪かった。目の前に居るのは誰だと思っている?織斑一夏だぞ。睨み付けるだけで相手を黙らせることは造作もない。

 

「そんなにこの場所が欲しいなら、俺に勝ってから言うんだな。料理人ぐらい決まってんだろ。ソイツと料理で対決して決めようぜ」

 

一夏の提案で、料理ですべてを決めることにした。一夏本人は勝つ気満々なので、料理を食べる審査員は相手に決めるさせることにした。勝負内容は料理を一品作って食べてもらい、どちらが美味いかを審査してもらう一般的かつシンプルな物。勝敗は分かりやすい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?何で村上が居るんだ?」

 

「最近援助をした方から依頼されましてね。まさかそう言う事だったとは……」

 

まさかの村上が資金を援助している相手だったそうだ。しかし、そう簡単に資金の援助は出来ない。恐らく、スマートブレインが援助しているのではなく、村上が個人的に自分のポケットマネーで援助しているのかも知れない。村上は一体どれ程の財力を……

 

「まぁ良いや。審査は公平にしろよ」

 

「良いんですか?それで」

 

「んなことで勝っても嬉しくはねーからな」

 

公平な勝負。それを一夏は望んでいる。そして、その勝負で相手を完全に倒す。相手にトラウマを植え付けないと良いけどな。

 

「そっちから選んで良いぞ~」

 

「……後悔するなよ」

 

先攻は相手。一夏は後攻の様だ。因みに食材は両者共に用意して使う。別に必ず相手の用意した食材を使うルールは無いので、一夏の出した食材は使わずに自分達の用意した高級な食材を使うようだ。

 

「やっぱそう来るか……」

 

予想通りの動きだった。まぁ当然だ。普通の食堂の料理人である一夏が普段使う安い食材より、自分達の用意した高級な食材の方がより美味い料理を作れるからだ。そして魚を中心に料理を作っている。この相手に、一夏はどの様な料理をぶつけるのだろうか?

 

相手が手際よく食材を切っているなか、一夏もようやく動き始めた。と言っても、余っている食材は自分が用意した物のみ。その中から取り出したのは、タマネギ、人参、ジャガイモ、鴨肉、そしてユリ根だ。

 

(久し振りにすり鉢でも使うか……)

 

棚からすり鉢を取り出すと、包丁でバラバラにした鴨肉とユリ根を入れて一緒に混ぜてミンチ状にした。次にタマネギをみじん切りにし、色が変わるまで火にかけて、色が変わると先ほどミンチ状にした肉に混ぜ合わせた。

 

手頃にハンバーグでも作るようだ。しかし、村上は肉が苦手だ。それは分かっている筈。なのに何故肉料理にしたのだろうか?

 

一夏の料理が終盤に入ったとき、相手側の料理が出来上がった。なんとかの豚っていう映画で見たことあるきがする料理だ。

 

「鮭のムニエルのベシャメルソースがけと人参のグラッセです。どうぞ」

 

やっぱり紅のなんとかっていう映画で出たものだ。

 

「では頂きます……うん。濃厚なベシャメルソースが鮭と合いますね。お互いに無い食感を補いあって実に良いですね。人参も素材の甘さを引き出しソースと合う」

 

かなりの高評だ。一夏の料理はまだだが、もう勝ったつもりで居る。村上が食べ終った段階で、一夏も完成して出した。

 

「家の人気メニューの鴨肉のハンバーグだ」

 

「鴨肉?珍しいですね……」

 

確かに鴨肉のハンバーグは珍しい。しかし、村上は肉が苦手だ。最低限の量は食べる。だがそれでも少ししか食べられない。それより多く食べようとすると吐き出してしまうのだ。それは一夏も知っている。

 

「ん!?……」

 

ひと口食べると、そのまま無言で食べ続けた。その村上に地上げ屋の皆さんはかなり驚いている。

 

「な、何故?肉料理は食べられない筈なのに!?」

 

「ユリ根だ……」

 

「ユリ根?」

 

「肉を苦手とする人は、肉に付いている血生臭さや匂いが原因だ。だがユリ根を一緒に入れることでその匂いを消すことが出来るし、ユリ根は火を通すと芋みたいに甘くなる。肉嫌いな人が肉を克服には最初はこれぐらいが調度良い」

 

「確かに、血生臭さはほとんど消えていました。お見事です」

 

当然、村上が食べられない筈の食材を完食させた一夏が勝利した。

 

「何故……こんな料理に……」

 

「10000円の食材も1000円の食材も変わらない。食材の良し悪しじゃなく結局は作る人間の相手に対する気持ちしだいだ。お前は俺に勝つことしか考えてなかっただろ」

 

この日以降、迷惑者達は二度と来なくなった。そして料理人のほうは師匠の元に戻ったとか戻らなかったとか……。




では、座談会のプログラムをお伝えします。

1 出演者の紹介(一夏、本音、草花、他4名)
2 各々印象に残っているストーリー(出演者全員)
3 作者による作品説明(無気力な救世主に関しての)
4 質問返答(全作品の物)
5 作者のお話(今まで書いた小説について)

この様に考えています。質問のある方は、感想欄に感想と共に13日の午前までにお願いします。記念の挿し絵は一部紹介し、残りは今後の前書きにて掲載します。

キャラ意外の出演者は当日の発表となります。質問のある方は是非お願いします。『憲八先生』で答えられてない!と言う方は、この場でお答えするのでまた書き込んでください。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告、質問もよろしくお願いします!!

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