ISと無気力な救世主   作:憲彦

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今日は時間を飛ばしまくって、オーガの受け取りと一夏の救出。はてさて、詳しく語られなかった誘拐事件の真相とは一体?

木場編は今日で多分終了。次回よりリクエストのあったエピソード行きます。


ファイズとオーガ

『『Exceed Charge』』

 

「「ハァァ!!」」

 

クリムゾンスマッシュとゴルドスマッシュ。ファイズとカイザの必殺技が同時に敵を撃破した。木場がファイズギアを受け取り、2代目と活動を始めてから結構な時間が経った。最初こそは戸惑っていた毎日だったが、今は草加と肩を並べて戦うほどに成長したのだ。

 

「終わったな。大丈夫か?」

 

「なんとかね。まだ慣れないけど……」

 

木場が慣れてないと言うのは、恐らく仕方無いとは言え命を奪うことだろう。だが、慣れないと言うのが普通。力に飲み込まれていない証拠だ。

 

「今日は村上から話があるそうだ。早く戻るぞ」

 

そう言うと、草加はサイドバッシャーに、木場はオートバジンに乗ってスマートブレインへと戻って行った。受ける前は様々な事に心配していたが、上手くやっているようだ。

 

スマートブレインに戻ると、完了してきた任務を報告してからすぐに村上の待つ社長室に入っていった。村上は既に対談用の机に着いていた。そして、机の上には白いベルトと金色のベルトが置かれていた。

 

それを見ると、何を話すのか理解したのか、自分達も椅子に座った。

 

「話はそれか?」

 

「はい。先日完成して今日ここに届けられたデルタギアと帝王のベルトの片割れ、オーガギアです」

 

デルタギアはファイズギアとカイザギアの出力を上げた発展型のベルト。オーガギアは先に作られたファイズギア、カイザギア、デルタギアの出力を遥かに凌ぐ程の強さを持っているベルトだと説明を受けた。その分体にかかる負担も大きい事も。

 

「最近、2人には戦地などで武力介入を行なって止めたり、テロリストの根城に突入して壊滅して来て貰っていますが、何か感じることはありませんか?」

 

「確かに、最近激化の一途を辿っている気がする……」

 

草加の言うように、アラスカ条約が結ばれたと言うのにも関わらず、戦争にはISが大量に投下され、軍隊だけでは無く民間人にも大きな被害が出ている。それは間接的な被害ではなく、IS部隊が直接攻撃しているのだ。

 

そしてテロリスト。使っている兵器は出所不明の未知のものとIS。悪いことにどんなに調べてもどの国で作られたのか、どの国から送られたのかが全く分からないのだ。まぁ、十数年後に木場の助けた少年が潰す事になるが、それは別の話だ。

 

「ですよね。私も事前に様々な場所の情報を仕入れるために現地へ行くことがありますが、ハッキリと言って戦力が異常に高いところがある。そこで、こちらも戦力の増強と言うわけです」

 

「でも、それじゃあライダーズギアの本来の使い方からあまりにも逸脱することになる。ISでおかしくなった世界を元に戻すまでの間、戦闘の為に使っているだけの筈ですよね?これじゃあ完全に戦闘用に作られてる」

 

「木場さんの言うことは確かです。しかし、現段階で我々の活動を世界に知られる訳には行かないのです。今は2人はまだ都市伝説程度の存在。でも、このまま行くと明るみに出てしまう」

 

村上としては、まだスマートブレインの行っている活動が明るみに出るのは避けたいのだ。理由は様々あるが、最大の理由は、ライダーズギアが今世界に知られれば確実にISを殲滅するための兵器となり、その後の世界でも最大の戦力として使われる様になるのを恐れているからだ。

 

新しい戦力として見られれば、新な戦争の火だねとなることは間違いない。村上は何としてもそれは阻止しなくてはならないと言うことだ。

 

「デルタギアは草加さんが。オーガギアは木場さんが持っていてください」

 

「分かりました……」

 

木場は少し納得出来ない所がある様だが、確かに今自分達の活動がバレる訳には行かないことは知っているので、大人しくベルトを受け取った。草加もデルタギアを受け取り、社長室をあとにした。

 

「お前が帝王のベルトの装着者になるとはな……随分と追い越されたな」

 

「いや、俺はこのベルトは草加君が受け取ると思ったよ。まさか俺が使うことになるなんて……」

 

まぁ、大体木場がオーガギアを使うことになった理由は分かる。草加は体術や武器のカイザブレイガンを使った斬撃や銃撃と、様々な状況に対応できる柔軟な戦い方をするが、木場は少し固い戦い方をする。主にファイズエッジを使った斬撃主体の戦い方だ。その為、剣が標準装備のオーガギアを託されたのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『木場さん、ドイツには着きましたか?』

 

「えぇ。たった今。今回の相手は、4年前に草加君が壊滅させた組織の残党ですよね?」

 

「はい。全部で20人。その内3人がISを所持しています。気を付けてください」

 

「分かりました。では」

 

電話を切ると、早速作業に取りかかった。今回の目標が集結する可能性が高いところの目星は付いているので、バジンに乗ってそこまで向かった。

 

バジンを使って約1時間程度の現在は使われていない、病院の廃虚。町でもかなり有名な心霊スポットでなので業者も壊せないのだ。滅茶苦茶怖いから。職務放棄かよ……

 

「こんな感じの場所苦手なんだけど……」

 

場所にテンパったのか、ファイズギアではなくオーガギアを持ってきている。流石にテンパりすぎだ。

 

全部で4階建ての病院だが、事前の村上からの報告で使われているのは1階だと分かっている。木場としては、早く終わらせることが出来るので、安堵の表情を浮かべている。

 

しかし1階にある病室を回ってみたが、いっこうに見付からない。絶対に行きたくは無いと言うことで、手術室だけは見ていないが、このパターンは完全に手術室にいる。

 

「はぁ……よし!」

 

覚悟を決めて、手術室の扉を全力で蹴り飛ばして中に飛び込んだ。そして、案の定中に居た。

 

「誰だ!?」

 

「へ、変身!!!」

 

『Complete』

 

余程怖かったのか、中に飛び込むと同時に変身して、問答無用で中に居た人の意識を刈り取った。そして後悔した。何故なら、相手は20人と言っていたが、ここにいるのは15人。しかも全員男性で、ISを持っている人も居なかった。

 

「1人残して情報を聞けば良かった……ん?何だこの書類?」

 

明らかに入り口に散らばってた無数のカルテとは違う、真新しい書類を手にとって目を通した。英語で全部書かれていたが、幸い木場は英語を読むことが出来るので、解読した。

 

「誘拐の計画書って、今時ベタな……ん?誘拐……?ヤバ!!」

 

すぐに廃病院を出て、紙に書いてあった監禁場所まで急いだ。しかも、驚く事に誘拐されたのは日々草加が将来の弟と言っている織斑一夏と言う少年だったのだ。助けられなかったら色々とヤバイので、すぐに救出に向かった。

 

紙に書かれていた場所は、これまた木場の苦手な雰囲気漂う、今は誰も使っていない大型の倉庫だった。かなり離れた位置で、入り口を確認すると男が2人立っていた。両方とも銃を持っている。

 

「ん?おい!止まれ。」

 

『000』

 

『ENTER』

 

「変身!」

 

『Complete』

 

「っ!?仮面ライダー!」

 

「はぁ!!」

 

「「うわぁぁぁ!!!」」

 

オーガに変身して、手早く門番役の2人の意識を刈り取り、中に入って行った。中に入ると、驚く事に捕まっていた一夏は自力で縄をほどいて、ISをまとっている3人から逃げ回っていたのだ。

 

「チッ!タイミング間違えた!」

 

「大人しく捕まらないか!!」

 

「やなこった!!!」

 

どうやら、もう少し早いタイミングで縄をほどいて逃げるつもりだったようだ。しかし、そのタイミングで木場が門番2人を倒してしまい、気付かれたようだ。

 

1人が銃を展開して、一夏を撃ち殺そうとしたが、

 

「やめろー!!!」

 

オーガストランザーを手に持った木場が、全力で阻止に入ったのだ。仮面ライダーの存在を過去に知ったことがある人間だったので、当然驚いた。

 

「仮面ライダー!?何でここに!!そのガキは放っておけ!今はコイツだ!!」

 

リーダーの様な女がそう叫ぶと、一夏を追い掛けてた2人が木場の方を向いて、打鉄の武器を展開して斬りかかってきた。

 

木場はそれを受け止めて、2人を弾き飛ばすが、もう1人のリーダー的な女はラファールをまとっている。木場が2人を払い除けた所にサブマシンガンで銃弾を叩き込んできた。

 

「グッ!はぁ!」

 

まだ調整が完璧ではないが、オーガはそこら辺のISよりも強い。だが、流石に3人を1人で相手にするには少しばかり調整が足りないようだ。最初こそは相手の意表を突き圧倒していたが、徐々に押され始めた。

 

打鉄をまとった2人が木場を抑えて、動きを封じてからラファールのグレネードを撃とうとしたが、ここで一夏が驚きの行動に出た。

 

「ガッ!?鉄パイプ?」

 

「今だ!!」

 

「!デリャァ!!」

 

ISをまとっている3人に鉄パイプを投げ付けて、一瞬動きを止めたのだ。誰も予想していなかった行動である。

 

「助けられっぱなしは性に合わないからな」

 

「この……クソガキが!!アガッ!」

 

ラファールをまとった女が、一夏の行動に激怒して持っていたグレネードで殺そうとしたが、今度は大きな何かに蹴り飛ばされた。

 

「バジン!?」

 

「ロボット……?オット!」

 

一夏は女を蹴り飛ばしたバジンから投げられたアタッシュケースを受け取ると、床に置いて中を確認した。そこには、木場が今着けているものとは違う形状のベルトが入っていた。一夏はそれを取り出し、ベルトを腰に巻き付けると、携帯の画面を見ながらコードを入力した。

 

「よせ!使うな!!」

 

『555』

 

『ENTER』

 

『Standingby』

 

木場は使うのを止めるように言ったが、それを聞かずにコードを入力したファイズフォンをベルトへとはめた。

 

『Complete』

 

「ウソ……だろ……」

 

「オリャ!!」

 

木場を押さえていた女を蹴り飛ばすと、膝を付いている木場に手を差し出して立たせた。

 

「手伝ってやるよ。出来る範囲でな」

 

「無茶な人だ……」

 

蹴飛ばされた女が体制を立て直して、再び迫ってくると、一夏はラファールの相手を、木場は打鉄2機の相手をした。

 

打鉄はブレードを展開して戦っているが、剣の勝負で木場に挑んで勝てるわけが無い。邪魔なラファールの相手を一夏がしてくれて居るので、心置き無く2人の相手が出来るのだ。先程よりも強く、正確な斬撃が打鉄の2人を襲い、圧勝した。

 

そして一夏は、バジンからさっき渡されたバイクのハンドルにミッションメモリーをさし込み、ファイズエッジで戦っていた。

 

「はぁ!デリャア!!」

 

「うわぁぁぁ!!このガキっ!」

 

「終わりだ」

 

『Exceed Charge』

 

「ハッ!?」

 

ファイズエッジから放たれたフォトンブラッドの波。それに飲み込まれて自由を奪った。そして、全力で斬ったのだ。攻撃が終わると、ラファールはエネルギーが0になり強制解除された。それを見ると一夏はファイズエッジからメモリーを抜いて、ハンドルの部分はバジンに返して、変身を解いた。

 

「返すぜ」

 

ベルトをアタッシュケースにしまうと、それを木場に投げ渡した。中身があるのは分かっているので、自分の姿を見せずにその場を立ち去った。千冬が来たのはその直後だった。天井をぶち抜いて入ってきた。その為、見たのはオーガの後ろ姿だった。




草加編を書いてたときは、適当に木場さんは新人研修と書いた気がしますが、普通にファイズとして活躍してました。すみません。はい。

とまぁ、一夏の誘拐事件の真相はこんな感じです。まさかここで1回変身するとは……

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告、質問もよろしくお願いします!!

あ、木場さんの結婚式のリクエストがありましたが、それはあえて書かず、結婚前日のストーリーを書こうと思っています。と言っても、またとあるアニメのオマージュですけどね。結婚はサラッと行こうと思います。

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