ISと無気力な救世主 作:憲彦
座談会は挿絵などの準備や質問の募集で9月中になります。なるべく早くはしますけど。
質問はいつも通り感想と一緒にお願いします。そして、見かけた方も方はしないようにお願いします。
短いです。
社員寮の空き部屋にやって来た木場は、荷物を床に置いてベッドに座り、村上に言われたことをじっくりと考えた。
(確かにあのベルトを使えば人を救えるかもしれない。でも、あれは兵器。人の命を簡単に奪える……)
木場の頭の中にあるのは、厳密に言うと自分が人の命を奪う事への抵抗ではない。今回の白騎士事件の様に、罪もない人を殺してしまうかもしれないと言うことだ。
強大な力に溺れ、自分を失い、IS開発者と同様に暴走してしまう可能性。全く無いとは言い切れない事が、溺れないと言い切れない自分が居ること、それが更に不安を煽るのだ。
(俺は一体……何をしたいんだ?)
考えれば考えるほどに分からなくなる。一瞬にして大切なものが奪われたあの瞬間。まぶたの裏に貼り付いて取れない光景。今も聞こえてくる沢山の悲鳴。様々な物が思考を鈍らせてくる。だが考えてみた。自分があの力を持っていても、あの場で人を助けられたかと。長田を海堂を助けることが出来たのかと。
答えは……
(イヤ、あの力があっても俺には……)
救うことが出来ない。それが出てきた答えで、突き付けられた現実だ。そんなことを考えている木場の部屋に、一人の男が入ってきた。
「ッ!?草……加くん」
「木場……本当に、生きてたんだ……良かった……!本当に良かった」
草加だ。木場の姿を見ると、安心して力が抜けた様だ。姿を確認すると同時に膝を床に付けた。
「何で……ここに?」
「短大出た後はすぐに就職活動始めてな。色々あってここに就職した。その、聞きにくいんだが……皆は……」
「うん……俺以外は全員……」
「そうか……。そう言えば、村上に言われたそうだな。ベルトの事」
「あぁ。でも受けるかは決めていない。よく考えてみたら自信が無くて……」
白騎士事件、ファイズギア。この2つが木場を悩ませていた。ベルトを使えば、白騎士事件で救えなかった分だけ命を助けられる。しかし、力を使う以上持たなければならない覚悟もある。人を救うべきか、自分を守るべきか。決断を下せないでいるのだ。
「……考えてる暇があったら、行動してみたらどうだ?」
「え?」
「俺も悩んださ。力に飲み込まれないのか、使いこなせるのか、この力を使うと俺はどうなるのか。不安な事が多すぎてイヤになってきたよ。でも、アイツの事を思い出したんだ。不器用で口が悪くて猫舌で、人間として欠点が多かったアイツの事を」
その人物は木場も知っている共通の友人だ。突然自分達の前にフラッと現れて、いつの間にか大切な存在の1つになっていた人。普段は頼りないのに、何故か自然と頼りたくなる人だった。
「そしたら、自然と答えが出てきた。いい加減ウジウジ悩んでるのにも飽きた。1つでも多くの命を救えるなら、俺はこの力を使う」
「1つでも多くの命を……そっか。ハハハ。悩んでるのがバカらしくなってきた!そうだね。救えるなら、救うべきだ。何でこんなに簡単な事に悩んでたんだよ。俺は」
草加と話して、在る友人を思い出して、覚悟を決められたようだ。救える物が多いなら救う。2人の友人がこの場に居たら絶対にそれをとる。想像以上にその人の存在が自分達に影響していた様だ。
次の日。
「では、使うと言うことで良いですね?」
「はい!1つでも多く救えるなら、俺は救いたい。その結果誰かの命を奪うことになっても……戦うことが罪なら、俺が背負います!」
「よろしい。上の上です!木場さん。貴方にして正解でした。これからもよろしくお願いします」
「はい!」
木場の心意気を認めると、村上はファイズギアの入ったケースを木場に託した。2代目、仮面ライダーファイズの誕生だ。
「あ、先代として言わせて貰いますけど、中々素直になりませんよ。そのベルト」
「……それでも、俺は一緒に戦って行きます」
連続は疲れる……。次回は一気に時間を飛ばして、オーガの受け取りと第2回モンド・グロッソでの誘拐事件に行こうかな?
多分次回で木場編が終わるので、その次はリクエストの消化に入ろうと思います。中々に面白いのが沢山来たので。
次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告、質問もよろしくお願いします!!
あ、現時点でスマートブレインが完成させているのは、ファイズギアとカイザギアの2本です。2つとも完成とは言えませんけどね。
そして勘違いしないで頂きたいのが、ライダーズギアは本来は兵器としては使わないと言うことです。ザックリ言うと、人間が到達困難な場所に行くのに使うためのツールと言うことです。今兵器として運用されているのは、完全にISのお陰です。