ISと無気力な救世主 作:憲彦
「では、新装備の開発は草加さんと木場さんに一任します。開発スタッフと協力して下さい。経費等はこの書類に書いてあるので、目を通しておいて下さい。」
今日は量産型に付ける新装備の開発の会議。この前村上がトイレで書類を使ってしまった為、少し延びて今日になった。
「「えぇ~」」
新装備の開発なら、大体担当する人は喜ぶのだが、この2人は全く乗り気ではなかった。それもその筈、2人が開発業務に関わると、大体最低でも3日は徹夜するはめになるからだ。そして、作業中は平均睡眠時間が1時間を切る。
その理由は、案が出すぎてまとめられず、アレもこれもと言っている内に3日の時間が過ぎるのだ。しかも完成したらその都度実験が必要で、2人からしたら面倒なことこの上無い業務なのだ。
しかし、そんなことで決められた事は変えることが出来ない。幸か不幸か、開発期間は約1ヶ月ある。完成できなくても、ある程度のデータと物が出来れば良い。適度に気を抜きながら作業を行えば良いのだ。2人の性格上無理な話だがな。
新装備の内容
・量産型ギア、ライオトルーパーに付ける装備。目立たず攻撃力のあるもの。
・全てのギアへの転用が可能。
製作期間 1ヶ月ちょい。
「「はぁ~……」」
「さ~てと……何から作るか……」
「身近にあるもので良いんじゃない?」
早速開発室に籠り、何をベースに作るかを考え始めた、木場は身近なものと言っているが、草加的には新しいものを作った方が良いと思っている。しかし、現状では案が浮かんでこないので、木場の提案通りに身近にあるもので考えた。
「グランインパクトの小型化とかか?」
「あぁ~良いかもね。早速やってみようか」
そう言って、ファイズショットとカイザショットの設計図を引っ張り出して、そこから色々と考え始めたが、アレでも最大限小型化した物だ。流石にそこから更に小型化するのは骨が折れる。
しかし、提案してしまった以上やるしかない。ゲンナリしながらパソコンの画面と睨み合いなが、作業をこなしていく。思った以上に進まないがな。
威力の設定を下げたり、付いているカメラ機能を取り外したりと、現在以上に小型化して目立たない様にしているが、そうすると攻撃力がファイズのグランインパクトよりも威力が下がってしまう。どう頑張っても3トンが限界だった。
ここまでの作業で既に1日経っている。
「なぁ、これって外付けじゃなくて、最初からベルトの中にシステムの一部として組み込んでおけば良いんじゃないか?」
「あ……」
草加に言われて気付いたようだ。確かに、後から外に付けるよりも最初から中に入れておけば目立たないし、物を作る必要も無い。しかし、それを形が完成する前に言ってほしかった。
だが出来てしまった物は仕方無い。実際に使ってみるしかない。草加をカイザに変身させて、取り敢えず使わせてみた。木場のオーガでも良かったが、ベースにしているのはファイズとカイザなので草加に頼んだ。
「どう?」
「スゴく微妙……」
まぁ、普段からファイズ以上に強力な技を使えるカイザからしたら、わずか3トンの攻撃など風船に水を入れて3つ持つのと同じくらいに微妙なんだろう。流石にこれが新装備だとしたらショボ過ぎる。
グランインパクトの小型化の案が出るまで1日、設計図を作るのに1日と半分、完成に1日、実証実験に半日。この段階で4日かかっている。しかもいつでも作業できる様にほとんど寝ていない。
「はぁ……没になったらドッと疲れが出てきたな……」
「……次は何にする?」
この後も2人は新装備のアイディアを出そうとして、寝ずに考えまくった。クリムゾンスマッシュ・ゴルドスマッシュの小型化や先程のグランインパクト小型化のを脚に付けようや、スパークルカットやカイザスラッシュの簡易的な物など、現状で考えられる簡単な物を出したが、ほとんど量産型が使う装備だ。威力とか色々と問題があってどれも没になった。
実際に作ってはいないが、各設計図を引っ張り出して新しい設計図を作ったり、作る1歩手前まで作業をしたりしたので、かなりの時間が過ぎ去った。
ここまでに既に2週間の時間が経っている。そして、ほとんど寝ていない。
「あぁ~。もう眠い!眠すぎて訳分かんねー!!」
「これ終わったらサーカスに寝に行こうか~!!」
2週間不眠不休で作業をすると、人間のテンションは壊れてくるみたいだ。寝るためにサーカスに行くってどう言う事だ?
ちなみに最初の発言が草加で、次が木場のだ。
「と言うか寝るのに適したサーカスってなんだ?」
「劇団○季でしょ!」
「な・る・ほ・ど!!それだな!!」
「と言うわけでプラネタリウムへ行こうか~!!!」
何故?さっきまでサーカスへ行こうと言っていたのに、どうやってプラネタリウムになったのだろうか……。小さな疑問なので、この際無視するが。
「ん?何だこの本……」
マジンガー○(←○の位置間違ってる)のコミック本だった。何故こんなものがここにあるのかは疑問だが、手に取って読んでみた。すると、
「ロケットパンチに目からビームはどうだ!?」
開いて読んでいた描写に調度それがあったようだ。もう出てこない案。不眠不休の疲れ。そして深夜のテンション。これが揃えば草加の無茶な提案も受け入れられてしまう。
「よーし!残りの時間でそれを作ろうか!!」
「「「「オー!!!」」」」
アレから数日。草加のブッ飛んだ提案が受け入れられ、完成させたこの日、作業終了と同時に草加と木場が倒れたので、コミック本を持ってきた人が代わりに色々とまとめた書類を持って村上の居る社長室に入った。
「ロケットパンチと目からビーム……」
「もう、皆のテンションがおかしくなって、完成しちゃいました」
コスト的には問題は無い。正直言って採用したいと言うのが本音だが、間違いなく関係各所に怒られる。
「まぁ、その。色々とアレなので、今回は採用を見送らせて貰います。」
まぁ、当然の判断だな。
深夜のテンションと言うか、私のテンションがおかしいのでこうなってしまいました……。
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