ISと無気力な救世主   作:憲彦

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ではまず、短編企画の1発目は明るい物から行きましょう。

ツッコミ所満載でお届けします。ただし、ツッコまないで下さいね。


短編集
無人島その1


8月5日、気温36度。湿度72度。大抵の人間なら根を上げる環境。そんな中、絶賛夏休み中の一夏達はと言うと、

 

「いっちーまだ直んないの~?」

 

「ちょっと待ってろ……あ、こりゃ無理だな」

 

IS学園の寮では、一夏の部屋に本音が来て休んでいたのだが、ドライバー片手にクーラーを分解して中身を見ていた。そして何かを諦めた。

 

「えぇ~!ここも~」

 

ここも。とは、IS学園の殆どの部屋のクーラーが異常をきたしているのだ。電子科出身の教師や用務員などは直して回っているのだが、数が足りず直した経験のある者は自分で直せと言われたのだ。一夏もその1人なのだが、

 

「ここまでブッ壊れてたら御手上げだ。ハハハ!」

 

笑っては居るが、暑さでかなりイライラしている。目が全然笑っていないのだ。キレるのは近いな。

 

「あぁ~……暑い……」

 

「風呂に水入ってるから……水浴びでもしてこい……」

 

「は~い」

 

本音は一夏に言われた通りに風呂へと向い、一夏は分解したクーラーを組み立てて、ネジを絞めている。そんな細かい作業をしていると、先程本音に言った「水浴び」と言う言葉が引っ掛かり、考えていた。

 

(水浴び……水浴びか……よし)

 

クーラーの最後のネジを絞めると、何かを思い付きスマートブレインへと向かっていった。しかし、急に居なくなると本音も驚くので、置き手紙を残していった。

 

『村上と話をしてくる。

かき氷でも食って涼んでろ。

シロップは冷蔵庫の1番手前の棚に入ってる。

メロンは残り少ないから使うなよ。

 

一夏』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな理由で訪ねられても困るんですが……」

 

「仕方無いだろ。お前しか頼れるの居ないんだから」

 

確かに、村上はかなり頼りになる。しかし流石に無理があったようだ。まぁ、確かに「暑すぎるから何とかしてくれ」は無理がある。

 

「家に行けば良いんじゃないんですか?クーラー付いてるでしょ」

 

「俺も姉貴も家に帰る日が少ないから、電気止めててな。帰ったところで使うことは出来ない」

 

「…………」

 

余りにも極端なこの姉弟の行動に、村上は言葉を失って頭を抱えてしまった。すると、今度はそこに

 

「村上!クーラーが動かなくなったぞ!」

 

「俺の部屋もです」

 

スマートブレインの社員寮のクーラーも逝かれた様だ。因みに、スマートブレインの社員寮のクーラーは結構古いものになっている為、いつ止まってもおかしくはない状況だった。何故変えなかったって?まだ使えたからだよ。それに日常的に社員寮を使っていたのはこの2人だけだ。他は社員はだいたいマイホームを持っている。

 

「…………はぁ。分かりました。どうにかしますよ」

 

常日頃からスマートブレインに多大な貢献をしている3人だ。一夏1人なら兎も角、3人まとまって来るとなると、無下に帰すわけにも行かない。

 

「スマートブレインが実験の為に買い取った無人島があります。気候的にも穏やかなので、涼むことは出来る筈ですよ。移動用のボートはこちらで出すので、それで我慢してください。」

 

無理な願いかと思っていたが、叶えてくれるようだ。村上に無理な事は無いのか?と思ってしう。むしろそれで我慢とは一体何だ?十分贅沢だと思うが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言うわけで無人島まで来たが……草加、この状況どうする?」

 

「イヤ……本当済まない。久しぶりの運転だったから慣れるのに時間がかかって……」

 

現在無人島に到着した一夏、千冬、本音、草加、木場、真耶の6人で来ているのだが、一夏以外草加の手荒な運転のお陰で完全グロッキー状態だ。全員顔を青くして出しそうになっている。何がとは聞かないでくれ。大体みんな予想した物だから。

 

「帰りは木場に運転させるか……」

 

「イヤ、もう1度チャンスをくれ。何か上手く行きそうな気がするんだ!」

 

「フラグな発言をするんじゃねーよ。沈めて泳いで日本に帰らせるつもりか?」

 

とは言え、誰もいない島にまで涼みに来たのだ。村上の言った通りこの島は気候が穏やかだ。日本より何倍もまともな環境。グロッキー状態でもすぐに回復する。

 

「さーてと!泳ぐぞ!」

 

「あの織斑先生。私もここに居て良いんでしょうか?まだ仕事も残っているのに……」

 

「構うもんか。どうせ他の教師共に押し付けられた仕事だろ。給料が上がるわけでもないのに何の特がある?人間休みは必要だからな」

 

女性陣は海にプカプカ浮かんで波に身を任せながら揺られている。そして男性陣はと言うと、

 

「飲み物は……何とか無事だな。炭酸以外」

 

「食品も大丈夫だ。肉と野菜と調味料しか無いけど…」

 

「何故か釣り竿とモリがあるぞ……」

 

食材の確認と、食事の準備をしていた。取り敢えず、魚介類は現地で捕れと言うことらしい。

 

「あ、スイカだ。木場!海で冷やしてくれ」

 

かなりの大玉のスイカだ。(スイカアームズ!大玉!ビッグバン!)←言いたかっただけ。

 

よく割れなかったな。網も付いていたので、木場に2つ手渡して海に冷やすように言った。海水で冷えるかは甚だ疑問だが。

 

スイカを渡した後、一夏はモリを持って海へと向かっていった。あれ?一夏ってモリなんか使えたっけ?海の中で脚を吊らないように十分に解して、ゴーグルを着けて海の中へと飛び込んでいった。

 

海の中はかなり澄んでいて、相当な距離を見ることが出来る。そして、魚や貝なども沢山生息している。

 

(必要な数捕れば良いか……)

 

因みに、所有者の居ない無人島等で勝手に漁をするのは法律に触れるので、自治体や役場等の水産課に許可か確認を取ってからにしましょう。

 

(あ、外した。意外と難しいな……)

 

やっぱり簡単には捕れない様だ。それからも10分ぐらいモリを放っているが、一向に捕れる感じがしない。

 

「使いにくいな。これ……」

 

初心者にも使える平均的な長さのモリなのだが……。

 

「やっぱコッチだな」

 

『555』

 

『ENTER』

 

「変身」

 

『Complete』

 

「さてと……やるか」

 

変身した重みで、海の底へと沈んでいった。一応呼吸は出来るので苦しくはない。深さは10メートルぐらいだろう。歩きながら獲物を探している。ベルトは重り代りに着けていたのだろうが、何故ファイズフォンを持っているんだ?

 

「あれ?一夏は」

 

「魚捕りに言ったよ。アッチの方向に」

 

ヤシの実らしきものを持ってきた草加が、木場に一夏の事を聞いていた。すると

 

ズドォーーン!!

 

木場の指さした方向に大きな水柱が立った。そして宙を舞っている魚や貝をアクセルフォームのファイズが掴み取っていた。

 

「「…………」」

 

よくマンガとかで見かける光景に、2人の口は開いたまま塞がらない。この状況でも女性陣は海で普通に遊んでいる。

 

そして、先程まで口の開いていた2人も、すぐにこの状況に慣れ、自分達も遊ぶことにした。羽織っていたシャツを脱ぎ捨て、千冬達の居る海へと走っていった。

 

「お、ようやく来たか!」

 

「準備は終わったんですか?」

 

「うん。スイカも冷やしてるよ。後で割ろう」

 

「やったー!あれ?いっちーは?」

 

「潜って魚捕ってたよ。もう少しで来るんじゃないかな?」

 

その後、一夏も合流して草加、千冬、本音、一夏は海で泳ぎながら遊び、泳ぐのが余り得意ではない木場と真耶は砂浜で山や完成度の高い城を作った後に浅瀬で遊んでいる。

 

これが食事をする直前まで続いた。




次回はスイカ割りとバーベキュー?的な事をします。

次回もお楽しみに!感想、評価もよろしくお願いします!!

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あ、短編集に丁度良い企画名があったらそちらもよろしくお願いします。流石に「短編集」では寂しいので……

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