ISと無気力な救世主 作:憲彦
現在進行形で書いている仮面ライダークロノスとISの小説の感想欄で、このエンディングのリクエストがあったので書いてみました。悲しいヤツじゃないですよ。一夏がすぐに帰ってきた場合のストーリーです。
※一夏が日本を離れていた時間などは詳しく考えていないので、突っ込まないで下さい。本音が出産をする少し前に帰ってきた。と思ってください。
もう1つのエンディング
「死ねェ!織斑一夏ァ!!」
「グワァ!!ガァハァ……」
現在の状況、いきなり一夏がオーガに吹っ飛ばされた。それもそうだ。先程の戦闘で体には大きなダメージを受け、アクセルフォームを使い体力も消費している。何故変身を維持しているのか聞きたくなる位だ。
「グッ!」
「どうした?力が入っていないぞ!」
なんとか攻撃を受け止めるが、今の状態では受け止めるのが精一杯だった。ファイズブラスターがあれば兎も角、今は無い。バジンに探してきて貰っている。
盛大に挨拶をしたときの自分に、全力でグランインパクトを決めたいと思った。何があったのかはお察し下さい。
『Ready』
「ハァァ!!!」
「ッ!?」
『Ready』
オーガストランザーで斬られそうになったので、一夏もファイズエッジを再び起動し、なんとか受け流したが、その後オーガのラッシュを受け、ベルトが外れてしまった。
「ハァハァ……。クッ」
息が上り、ボロボロの状態でも戦おうと、ベルトに手を伸ばした。
「貴様、何故そこまでして戦う?戦えば確実にここで死ぬ。生き延びたとしても、いずれは灰となって消え失せる。なのに何故戦う?死ぬのが怖くないのか?」
「……怖いさ。今も昔も、死ぬのが怖くて仕方無い。それに、俺は死んだら体が残らない。それだけでも泣きそうになる位怖いよ。」
「なら何故……?」
「俺には、守りたいものが、守るべきものが出来すぎた。何もなかった俺に、大切なものを沢山くれたアイツらを、俺は何があっても守り抜く!ただ、それだけだ!」
IS学園で出会った仲間達、共に戦った木場や草加、姉として支えてくれた千冬、そして、一夏の1番近くで隣に立ち、進んでくれる本音。それらの存在が、今の一夏が戦う最大の理由だ。
と、そこに
「やっと見付けたか。どこまで行ってたんだよ。」
一夏の足元にファイズブラスターが転がってきた。バジンが見付けて転がしてくれたようだ。一体どこまで吹っ飛ばされていたのやら。
『555』
『ENTER』
『Standingby』
「近い将来死ぬ運命だとしても、俺は戦う。ファイズとして、アイツらの仲間として!変身!!」
『Awakening』
『143』
『ENTER』
『Blade Mode』
「仲間……。気に入らん。そんなものの為に……!そんなものの為に命を懸けると言うのか!」
何かが癪に障った様だ。
「あぁ。当たり前だ!!」
もう、互いに防御を捨てている。攻撃を防がず、斬られ斬り返す。殴られれば殴り返す的な感じだ。
正直な話、さっきまでボロボロふらふらの状態だったのに、ブラスターになって防御無視して攻撃しあえるのが疑問だが、些細な問題なのでサラッと流して頂きたい。
「これで終わりだ!!」
『5532』
『ENTER』
『Exceed Charge』
「こっちの台詞だ!!」
『ENTER』
『Exceed Charge』
ファイズのブラスタークリムゾンスマッシュとオーガのオーガ・ストラッシュがぶつかり、フォトンブラッドが渦巻き周囲を薙ぎ払った。その影響で、壊れかけていた建物は更に壊れ、崩れそうになった。
「グッ!ゼリャア!!」
最初はファイズが押されていたが、徐々にオーガストランザーのフォトンブラッドの刃が砕けちり、押され始めた。
「何!?グワァ!!」
とうとう、フォトンブラッドの刃が全てなくなり、オーガストランザーもへし折れてブラスタークリムゾンスマッシュを受けて吹っ飛ばされてしまった。
その拍子にオーガギアも外れ、変身が解除された。
「な、何故こんなに、強いんだ?」
意識を失いそうになりながらも、ボロボロの状態で自分に勝った一夏に質問をぶつけてみた。
「別に強かねーよ。昔と変わらず弱いまんまだ。何も出来ないのがイヤで、誰も守れないのがイヤで外側に力を付けただけだ。1っつも強くなんかなってねーよ。やり方はどうであれ、お前の方が強えーよ。俺なんかよりな。」
それを聞くと、意識を失ってしまった。
「さーてと、早くここから出るか。」
道中、ベルトを回収しながら建物の外に出た。因みに、一夏と戦った女はまだ生きているので、肩に担いでいる。
『3821』
『ENTER』
『Jet Sliger Come Closer』
ファイズフォンにコードを入力すると、間もなくジェットスライガーが飛んできた。操縦席に担いでいた女と回収したベルトを積んで、色々と入力してからスマートブレインに飛ばした。
「バジン、俺を日本まで運んでくれ……」
「(^^)b」
ブラスターを維持するのはキツいようなので、バジンにしがみつて日本まで行くようだ。降り下ろされなければ良いけどな。
~数ヵ月後~
バジンの燃料や、一夏の体力等、色んな事が重なって日本に着くのが遅れてしまった。終いにはバジンも一夏も、なかば八つ当たりの様に、日本に着くと同時にスマートブレインの社長室に突っ込んだ。ガラスをぶち破って。
「ちょっと!何やってんですか!?連絡が無いと思って心配してたら急にここに突っ込んで来るなんて!!」
「悪ぃ~。何かむしゃくしゃしたから。」
「少しは反省してください!大体貴方はいつも―」
「行くところあるからまたな」
『Vehice Mode』
バリィーン!!!
「あっ!待ちなさい!……何で態々割れてない方のガラスから飛び出すんですか……」
また1枚ガラスを割られた様だ。結構な高さから飛び降りたが、変身しているので問題無いだろう。
一夏が急いで向かった先、それは本音の居る草加の家だ。一刻も早く会うために、かなりスピードを出している。(法に引っ掛からない常識の範疇で。)
その為、バイクでは3時間程かかるのだが、半分ぐらいの時間で目的地に着いた。
「本音!ウッ!」
変身を解いてすぐに本音の元へ行こうとしたが、突然足から力が抜けて倒れそうになった。
『Battle Mode』
「サンキュー。バジン」
倒れそうになったが、バジンに支えてもらいながら、家の中へと入っていった。
「本音!」
「いっちー……!今までどこに!?何か傷だらけだし!!どうしたの!?」
「ハハハ。まぁ色々とな」
「色々じゃないよ!何ヵ月も連絡とれなくて……心配したんだよ!」
そこそこ長い間連絡もとれず、帰ってきたかと思えば傷だらけ。心配していた本音は、泣いてしまった。
「悪かった」
「本当だよ!!村上さんも何も教えてくれなかったから!死んじゃったかと思ったんだよ!」
「お前らおいて死ぬかよ。それと本音」
「ん?」
「ただいま」
「うん…!おかえりなさい!」
それから数日後、本音の出産となったのだが……
「「「ガタガタガタガタ」」」
「全く……うちの男共は……」←千冬
「アハハ……仕方無いですよ。こればっかりは」←真耶
「はぁ、社長として少し情けないですね」←村上
病院の長椅子で、一夏、草加、木場の3人が並んで体育座りしながら、ガタガタ震えていた。本音の悲鳴が聞こえるたびに「ビグッ!」となっている。
「出産だと男は役に立たないって言いますけど、本当だったんですね。都市伝説かと思ってました……」
鈴も来ていた様だが、一夏達を興味深く見ていた。
震えている3人に対して、村上は全く動じていなかった。人生経験の差と言うものだろうか。
終わった頃には、本音よりもフラフラになっている。心なしか顔も青くなってる。
「いっちー達大丈夫?」
「な、何言ってんだ?お、俺達はこれ以上の阿鼻叫喚を体験してんだぞ!こ、これ、これくらいで動揺するかよ!」
「そ、そうだぞ!こ、これくらいどおって事はねーよ」
「ほ、本音さんは大丈夫なの?」
隠しきれていない。現に一夏は普段飲まない様な青汁を飲んでいるし、草加はコーヒーを飲もうとしているのだろうが、それは麺つゆだ。木場は今も震えているが、なんとかいつも通り喋れた。
「織斑くん。今からそんな状態でどうするんですか?貴方は父親になるんですよ。」
「村上……」
何故か、この言葉がいつも以上に重たいものに感じた。
「これから背負うものが増えたな。」
「違うでしょ一夏。背負うんじゃなくて、守るんでしょ。重たい事には変わりはないけど、背負うと守るじゃあ意味が違うわよ。」
「あぁ。そうだな」
覚悟を決めながらも、実に穏やかな顔をしている。
~数年後~
「なぁ母さん。父さんってどんな人なんだ?」
「どうしたの?急に」
「学校の宿題。父親についてだってよ。」
小学校の宿題ではありがちなものだ。自分の親についての作文などだ。昔から思っていたが、複雑な家庭事情の生徒には何を思ってこの宿題を出していたのだろうか?
「ん~……。お父さんはね~。口が悪くて、細かい作業が苦手なのに、女の人以上に家事や料理が出来て、女のプライドをズタズタにしたり、乱暴な所があったり、大事な事は何も言わないし、長い間帰ってこないと思ったら傷だらけで帰ってくるし、必ず無茶なことするかな。」
「母さん、本当に父さんの事好きなんだよね?」
「え?大好きだよ」
「……」
さっきの言葉を聞くと、本当に好きなのかが少し不安になってきた。
「悪いところしか無くね?」
「うん。確かに悪いところが多いね。でもね……必ず約束は守ってくれるし、不器用だけど優しいし、記念日とかも覚えていてくれるんだ~。それに、私達の為に、世界を救ってくれた事もあるんだ。ボロボロになって帰ってきたけど……。」
「ふ~ん。父さんって何者なの?」
世界を救った。その言葉に少し引いている。流石に自分の父親が世界を救ったと言われれば、どうなる?答えは「(゜д゜)?」こんな顔になる。
「何者って……」
何者。本音にとって、一夏を一言で現す言葉は1つしか知らない。
「世界を救った救世主、仮面ライダー。かな?作文に出来そう?」
「……イヤ。止めとくよ。何か大事そうな感じだし。」
結局、作文にはしないようだ。そこに
「帰ったぞ~」
買い出しに行っていた一夏が帰ってきた。
「何やってたんだ?」
「宿題の作文。親について書けだと。店の事でも書くか」
「面白そうで良いんじゃないか?」
子供の宿題で店の事を書かせようとするなよ。まぁ、こんな具合だけど、何だかんだで楽しく家族と過ごしている一夏だった。
う~ん。これが限界。途中から疲れて、また後味が悪いと言うか、適当な感じになってしまいましたが、一応トゥルーエンドです。
感想、評価よろしくお願いします!現在進行形で書いている小説もよろしくね!!