ISと無気力な救世主 作:憲彦
『ちょっと早いけど、教えて!憲八先生!!』
はーい、ちょっと早いけど始めます。ペンネーム「俺、参上!」さんからの質問です。「好きなサブライダーは何ですか?」はい、ズバリお答えしましょう。ガタックです。主に変身者の性格が好きです。
今回は、感想欄で良く見かける、「篠ノ之姉妹はどうなるんですか?」的な感想と、「デルタの意外な変身者」が判明します。予想された方も沢山居ると思いますが、飽きずに読んでください。こんな設定認められない!と言う方が居ても書き直さないので、ご了承下さい。
木場と草加の話で、真実を知らなかった者達は暗い顔をしていた。ISの為に、たくさんの人が死に、たくさんの人が悲しんで居る現実。知らなかった訳ではないが、内容が自分達の知っている真実と違いすぎた事に、彼女達は戸惑っていた。
その時、真耶の持っていた端末に、緊急の通信が入ってきた。
「どうした?」
「ちょっと待ってください……ッ!?これを!」
「な!?」
福音の暴走にも、冷静な判断が出来た千冬だが、今度学園から入ってきた連絡には、その冷静さも消えた。
「どうした?」
連絡を見てからの千冬のただならぬ様子に、草加が訪ねてみた。
「山田先生、すぐに各教員に連絡を!専用機持ちはすぐに準備をしろ!」
「待ってください!一体、何が起きたと言うんですか!?」
ラウラの言葉に、千冬は持っていた端末を全員に見せた。その内容は、現在に自分達が居る旅館に、福音が近づいているとの内容だった。
「ッ!?木場!いくぞ!」
「あぁ!」
木場は一夏のファイズギアを持ち、草加と共に旅館を飛び出した。
「専用機持ちは教員部隊と協力し、旅館を守るんだ!」
「ですが!福音はどうすれば!?」
確かに旅館を守るのは大切だ。しかし、福音を倒さない限り、いくら守ってもキリがない。かといって、真っ先に飛び出した2人に頼むのも申し訳ない。
「……。山田先生、しばらくここを頼みます。」
そう言うと、デルタギアの入ったアタッシュケースを持ち、草加達の後を追った。
「木場、出来るだけ旅館から離れるぞ。」
「分かってる。海岸の端まで行けば、旅館への被害は抑えられる。」
木場はバジンに、草加はサイドバッシャーに乗り込み、出来るだけ旅館から離れた場所で福音の相手をしようとしていた。そこへ、
「待ってください!私も行きます!行かせて下さい!」
「千冬!?」
デルタギアを持った千冬が現れ、自分も連れていって欲しいと頼んだ。
「良いんですか?ここからは、本当に危険ですよ。」
「覚悟は出来てます。私は行かなくてはならない。教師として、一夏の姉として。」
覚悟は確かな様だ。こうなってしまえば必ず着いてくる。草加はそれを良く知っているので、何も言わずにバッシャーのサイドカーに乗せた。
バイクを走らせる事数分。海岸の端まで来ると、福音を目視で確認できた。
「来たぞ!」
『913 ENTER』
『Standingby』
「思ったより早い。」
『555 ENTER』
『Standingby』
「「「変身!」」」
『Standingby』
『『『Complete』』』
福音を確認すると、3人ともベルトを巻き、草加はカイザ、木場はファイズ、そして千冬はデルタに変身した。
『Battle Mode』
草加はサイドバッシャーをバトルモードへと変形させて、飛んでいる福音目掛けて6連装のミサイル砲で一気に攻撃した。だが、福音はそのミサイル全てを光弾で破壊し、草加達のいる場所へ向かってきた。
「来たよ!」
『Rady』
「Fire」
「Blast Mode」
ミサイルを全て破壊し、迫ってくる福音に、木場はファイズエッジにメモリーをさし込み構え、千冬もデルタムーバーをブラスターモードへと変えて構えた。
「威力はちゃんとセーブしておけよ。」
「分かってる!」
2人に注意しながら、草加もブレガンにメモリーをさし込み、ブレードモードにした。
『キアアアアア!!!』
福音が咆哮をあげ、更にスピードをあげて突っ込んできた。
「グッ!ハァ!!」
初撃を受け止め、弾き返した。そこに合わせて千冬は福音を撃ち、動きを一瞬止めたところを木場が斬り付けた。
「加減が難しい!」
「あぁ!何でアイツがこれで戦えてたのか不思議だ!」
ライダーズギアはISを超える攻撃力を持っている。今回の様な、機体と操縦者の救出の場合はかなりの神経を使う。各攻撃力は最低限にしてあるものの、やはりやりにくい様だった。
「千冬!合わせろ!」
『Rady』
『ENTER』
『Exceed Charge』
「デリヤァ!!」
グランインパクトで福音を殴り飛ばすと、千冬はそれに合わせて、空中にいる福音を木場のいる場所にルシファーズハンマーで蹴り落とした。
「ハァァ!!」
木場のファイズエッジでの攻撃が命中した。威力はセーブしてあるとは言え、かなりのダメージを与えられた筈だ。
「どうだ?」
砂浜に叩き付けられた福音は、動きを止めている。だが、待機状態に戻っていない為まだ警戒はしている。様子を確認するために、少しずつ福音に近付いていく。しかし、次の瞬間、福音は突然起き上がり、草加達に近距離で光弾を撃ち込んだ。
「グワァ!!」
「ウワァ!」
「アアァ!!」
「う、嘘だろ……。ダメージが、無い!?」
油断していた訳ではないが、近距離での攻撃に防御が間に合わず大きなダメージを受けてしまった。
何故ISを超えているライダーズギアを使っているのに、ここまでのダメージを受けるか疑問に思っている人も居ると思うので説明しましょう。フォトンブラッドの流し方1つでスペックが変わるからだ。今はISに合わせて流しているため、防御力が下がっているのだ。
「……クッ!」
『Rady』
『ENTER』
『Exceed Charge』
ポインターにメモリーをさし込み、福音を2重の四角錐状の光で拘束し、トドメをさそうとしたが、福音はその拘束を無理矢理解いた。威力をセーブしているため拘束力も弱くなっている様だ。
「ッ!?グワァ!!」
無防備になった草加に光弾を当て、地面に落した。その衝撃でベルトも外れ変身が解除されてしまった。福音は、邪魔者を消そうと再び光弾を草加に撃とうとした。
「「危ない!」」
草加を庇うため、木場と千冬が盾になり攻撃を受けたが、2人もベルトが外れ変身を解除されてしまった。
「グ!まだだ!」
草加はベルトを掴み、立ち上がろうとするが脚に全く力が入らず、立つことが出来なかった。木場と千冬も、受けたダメージが大きい為、しばらく動けそうに無かった。
福音は、倒れている3人に近付くと、今後も障害になると判断したのか、エネルギーを溜めて3人に放とうとした。草加達も流石にこの状況には目を瞑ってしまったが、いつまで経っても衝撃が来なかった。
「ギリギリ間に合ったか。」
「い、一夏……。」
目を開けると、一夏がいた。その手にはファイズブラスターがある。生身で福音にフォトンバスターモードで攻撃した様だ。……何でそんなもん生身で使えんだよ。
そしてそこには、一夏だけではなく専用機持ち達も来ていた。
「お前達、どうしてここに?」
千冬が驚いた様に訊ねた。
「一夏が目を覚ましたんで連れてきました。どうしても行くと言っていたので。」
「そこまで言ってねーよ。早く3人を連れてこい。」
運ばれてくると、一夏はファイズギアを受け取り自分の腰に巻いた。
「良くそんな状態でこれたな。」
「結構な時間寝たからな。後は俺がやる。」
『555 ENTER』
『Standingby』
「変身!」
『Awakening』
『143 ENTER』
『Bride Mode』
フォトンバスターによって吹っ飛んだ福音が体勢を直したところに、一夏がフルスピードで突っ込んで、福音を斬った。
『キアアアアア!!』
「何回も同じ攻撃を食らうかよ!」
福音から放たれた無数の光弾。だが、それはもう何回も見た。見切れない筈がない。
『5532 ENTER』
『Exceed Charge』
「ヤバイ。離れるぞ!」
草加の言葉を、専用機持ち達は良く理解していなかったが、何と無く危ない感じがしたので全力でその場から離れた。
「ハァァ!!」
ファイズポインターを起動させると、フォトン・フィールド・フローターで上空へ飛行し、急降下しながら福音に跳び蹴りを叩き込んだ。攻撃が福音に当たった瞬間、周囲にフォトンブラッドが渦巻いた。草加が離れろと言った理由はこれの様だ。
この攻撃を受ければ、福音と言えども動くことは出来ない。シールドエネルギーが0となり、強制解除された。
「よし!終わ……り……」
「一夏!!」
現在、旅館の医務室。ベッドの上では一夏が寝ていた。
「織斑先生、おりむーの様子は……。」
「大分落ち着いている。もう大丈夫だ。」
「でも、戦いが終わった直後に倒れたって……。」
「無理して動かしたからな~。まぁ夜中にでも目覚めるだろ。少しの間代わってくれないか?座りっぱなしで少し疲れた。」
「はい!」
会話の通り、福音を倒した後に一夏は気を失ったのだ。ブラスターの影響かと思ったが、単に無理して倒れた様だ。むしろ何であれで戦えたのかが不思議だ。
消灯まで後1時間位しか無いのに生徒に何を頼んでいるのやら。まぁ本音自身も一夏を心配しているので快く受け入れてくれた。
誰も居ない筈の夜の海岸。しかしそこに人影があった。篠ノ之束と箒だ。
「早く行こう。ここに居ても箒ちゃんには意味無いよ!」
「で、ですが一夏が。」
「後で束さんが連れてくるよ!(頭の中を色々と弄ってからからだけど。)」
学園から逃げ出して別の場所で何かをするようだ。しかも束はまた碌でも無い事を考えている。
「待て。篠ノ之束」
「ん?なんだお前か。何か用?」
「白騎士事件について聞きたいことがある。何であんなことをした?」
「な~んだそんなこと。決まってるだろ。私の作ったISを認めさせる為だよ。それ以外にある訳無いでしょ。」
「あの事件でたくさんの人が死んだんだぞ。中には夢を叶えられそうな人も居た。ギタリストになる夢を叶えられそうな人、好きな人と結ばれた人、美容師になる夢を叶えた人、世界中の洗濯物が真っ白になるように、世界中の皆が幸せになることを夢見ていた人、そんな人達がたくさん居たんだぞ。」
「ふん。そんなの知らないね。そんな小さなゴミみたいな夢より、私の夢の方が大切だからね。私の夢の方がそんなヤツらよりも大きいし偉大。叶えられるべき夢なんだよ。私の夢の為なら、他のヤツらの夢なんか消えてしまうべきなんだよ!!」
自分の夢の為に他人の夢を消す。この発言に、強い怒りを覚えた。
「……知ってるかな?夢って言うのは呪いと同じなんだよ。途中で挫折した人間はズット呪われたまま。らしい。人の夢を潰し消した、貴方の罪は重い!」
『000 ENTER』
『Standingby』
「変身……!」
『Complete』
木場の体を包む金色の光。その光が止むと、そこにはギリシャ文字のΩを模したデザインの金色のライダーが立っていた。
「ふ~ん。そんなので来ても無駄だよ。紅椿には勝てない。箒ちゃん。殺っちゃいな。」
「はい!」
箒は紅椿を纏うと、刀を構えて木場に突っ込み、斬りかかった。
「ハァ!」
「ガ!?」
攻撃を受け止めると、そのまま箒の顔面を殴った。
『Rady』
右腰のホルダーに携行しているオーガストランザーにメモリーをさし込み、長剣にして構えた。
「デリャアァ!!」
バカの一つ覚えの様に突っ込んでくる箒の攻撃を避けながら、一撃一撃を確実に決めている。
「フン!」
「グワァァ!」
木場の攻撃は先程から決まっているが、紅椿には傷が付いていなかった。束はそれを観察していた。
「ハハハッ!見ろ!この機体には傷1つ付いていないぞ!派手な割には随分と弱い機体だな!!」
傷1つ付いていない事に、余裕そうな態度をとっていたが、それはすぐに消えた。突然ISが解除されたのだ。
「な!?何故ISが!?」
すると今度は、箒の体が灰の様に崩れてきた。青い炎も出ている。
「こ、これは一体!?」
「お前!箒ちゃんに何をした!?」
「体に有害なフォトンブラッド。それが体内に入り込めばどうなるか。当然調べたんだろ。」
「……灰になって……死ぬ……!」
「そ、そんな!ああ!アアアアアアア!!!!!……」
悲鳴が消え、箒は灰になり崩れ去った。
「次はお前だ。篠ノ之束。罪を償って貰う。」
オーガストランザーを構え、ジワジワと束に近付くが、突然大きな声で笑い始めた。
「アハハハハッ!!!」
「何が可笑しい?」
「いやー。ISへの適性は低くても、私の妹だから機体の性能の30%は出してくれるかと思ってたけど……まさかその半分も出せなかったなんてね~。笑えてくるよ。やっぱり専用機は与えられた人が使わないとね。」
「何を言っている。」
束は箒の灰の中から待機状態に戻った紅椿を取り出すと、自分の体に付けた。
「こう言う事だよ。この機体は、私が私自身の為に開発、調整した機体なんだよ。見せてあげるよ。開発者自身が自分の為に造り上げた機体の性能を!来い!“黒椿”!」
束が叫ぶと、纏った機体は先程の紅色ではなく、赤い部分が黒になった機体だった。これが本来の姿の様だ。
「100%の力を味わって死ね!!」
「ッ!?ハァ!!」
確かに彼女の言う通り、スピードも攻撃力も箒が使っていた時と比べて格段に違う。動く度に残像が発生するレベルの速さだ。
「ハハハハハ!!そんな動きで捕まえられると思うなよ!!」
さっきまでは、迫ってくる束に剣を振るっていたが、それを止めた。
「?諦めたか?良い判断だね!!死ねぇぇ!!!」
「確かに捕まえるのは難しい。でも」
「ッ!?」
「こうなってしまえば関係無い。」
トドメをさそうとした渾身の一撃を片腕で受け止め、逃げられないようにガッチリと固定した。
「終わりだ。」
『ENTER』
『Exceed Charge』
オーガストランザーから伸びる、伸縮自在のフォトンブラッドの刃に、束は貫かれた。
「無駄だよ。この機体にはフォトンブラッドを消す能力がある!この傷もすぐに塞がる!お前に勝ち目はない!!」
フォトンブラッドを消す能力が機体に備わっていると、余裕そうにしているが、箒の時と同様に機体が解除された。
「な、何で!?」
「オーガのフォトンブラッドは、ライダーズギアの中でも最も強い濃度を誇る。ファイズブラスターのデータをきちんと機体に入れておけば、少しは防げたかもしれない。」
「そ、そんな……!私にはまだやることが……!イヤだ!死にたくない!!死にたくない!!!!!イヤアアアアアア!!!!!」
「その感情は、あの事件で死んだ沢山の人が思っていた事だ。」
灰の中から束の作った機体を回収すると、変身を解いて旅館に戻った。
「千冬さん。これを。」
「篠ノ之の機体……。そうか、ありがとう。」
渡された機体を見て全てを察した様だ。
「いえ。一夏君はまだ?」
「眠っています。でもそろそろ目を覚ますでしょう。あぁそうだ。部屋を2つ取りました。使ってください。」
「……草加君と一緒に居たらどうですか?最近一緒に過ごせなかったでしょ?」
「ええ!?で、でも!」
「1つの部屋に一夏君を泊まらせるので、バレませんよ。適当に誤魔化しますし。」
「そ、そこまで言うのならお言葉に甘えて……。」
「伝えておきます。」
そう言うと、一夏の居る医務室に向かっていった。中に入ると、一夏の寝ている側に本音が居た。
「あ、さっきの。」
「布仏本音です。」
「よろしく。調度良かった。一夏が目を覚ましたらこの部屋に泊まる様に言ってくれないかな?」
部屋の名前が書かれている紙を本音に渡した。
「後で君も行くと良いよ。一人部屋だしね。」
「はい!伝えておきます!」
伝える事も伝え終わったので、自分の部屋に向かっていった。
明日は臨海学校最終日。午前で学園に戻るが、出来ることなら楽しんで貰いたい。
まさか今日が最終回になるとは……。書いてるのに予想してなかった……。
え~っと、本編は終わりましたけど、やりたいことがまだあるので終わりません。
キャラも出揃ったことで‼人気キャラ投票の締切日を発表します!締切は今日から1週間後の24日です!振るってご応募下さい!前にも言ったように、投票数によっては中止の可能性もあるので、なるべく全部門に多くの方に入れて貰えるとありがたいです!
発表までは軽いその後のストーリーだったり、質問のあった作文回の他の専用機持ちの作文等をやります。
『もう1回、教えて!憲八先生!!』
はーい、もう1回行きます。ペンネーム「orotida」さんからの質問です。「ファイズの世界のオルフェノクになったら何をしますか?」ズバリお答えしましょう。作者は基本ダラダラした人間です。特に何もせず、オルフェノクになって、人が苦労して行く、もしくは行けない場所に行ってのんびりグタグダしたいですね。
……夢の無い作者ですみません。
前書きでも言った様に、設定が気に入らないからと言って、批判するのはやめてください。たとえ来たとしても、一切取り合うつもりはありませんので悪しからず。
次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告の人気キャラ投票もお願いします!
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