ISと無気力な救世主   作:憲彦

23 / 131
今日は漸くあの人が本編に登場します。そして、ISの世界では知らない者は居ない白騎士事件、その真実とSB社の本当の姿が判明します。

白騎士事件は原作とは別の物となっておりますので、原作の設定以外認めないと言う方はご注意下さい。

それと、昨日は更新出来なくてすみませんでした。昨日今日と体育祭がありまして、熱中症患者、怪我人の手当てや競技への参加で体力を使い果たしてしまい、投稿が出来ませんでした……。歳を取るのは嫌ですね……。

そう言えば、原作では一夏と箒、福音と戦っているときにお喋りするほどまで余裕を持ってましたね。あの余裕は一体どこから来てるんでしょうかね?


SBと白騎士事件の真実

暴走した軍用のIS『銀の福音』、人的被害が出る前に福音の討伐の作戦を実行していたIS学園の専用機持ち。

 

福音を確実に行動不能にするために、一夏が向かったのだが、思わぬ邪魔が入ってしまった。

 

「おい!邪魔だ!早く戻れ!!」

 

「何を言っている!私とお前ならすぐにアイツを殺せるだろ!」

 

「バカな事言うな!!福音と操縦者を助けるのが目的だ!いい加減帰れ!」

 

福音の攻撃を避けながら、篠ノ之に帰るように言っているが、全くそのつもりは無いようだ。しかも彼女は今回の任務の内容を全く別の物としてとらえていた。

 

それに加え、彼女の行っている攻撃は、一夏の援護どころか、邪魔をしているだけだった。そして、更にトラブルが続いた。

 

「ッ!?おい!何でこの海域に船が居るんだ!?」

 

『なに!?密漁船か……?数名の教員を向かわせた!なんとか持たせてくれ!』

 

「分かったよ!」

 

トラブルが重なる自分に、半ばヤケ糞になりながら、福音から放たれる光弾を弾いている。

 

『143 enter』

 

『Blade Mode』

 

「ハァァ!!」

 

フォトンブレイカーで放たれた大量の光弾を切り裂き、福音に近付き落とそうとしたが、

 

「ガッ!?危ねーな!何しやがる!」

 

またしても篠ノ之の援護(笑)である。慣れない射撃武器での攻撃だ。篠ノ之は当然福音に当てられる訳もなく、攻撃は一夏に当たってしまった。

 

「お、お前が私の射線上に入るからだろ!」

 

逆ギレである。いい加減帰れよ。

 

「あぁ、もう!耐えてくれよ!」

 

離れた福音に全速力で近付き、フォトンブレイカーからフォトンブラットの刃を伸ばし、福音を斬った。もちろん威力はセーブしてある。

 

攻撃を受けた福音は、海へと落下。後は福音と操縦者を回収するだけだが、一夏が海へ向かおうとしたとき、異変が起こった。

 

福音が墜ちた場所の海水が蒸発し、そこだけ綺麗に無くなっていたのだ。その中心には、青い雷を纏った福音が、自らを抱くかのようにうずくまっていた。

 

「おいおいマジかよ……!」

 

「な、何だ?あれは……」

 

一夏も篠ノ之も、第二形態移行した福音に驚いている。何故このタイミングかは疑問だが、事態は更によろしくない方向に進んでいる。

 

『キアアアアアア……!!』

 

獣の様な咆哮を発し、福音は一夏に突っ込んできた。

 

「ッ!?グワ!!」

 

あまりのスピードに、反応することが出来ずに足を掴まれ、海へと叩き付けられた。

 

「チッ!」

 

『103 enter』

 

『Blaster Mode』

 

海から出て、飛び出すと同時にフォトンブラスターに変えて、福音を狙い撃った。1発1発のポンプアクション式なのを恨みたくなる。

 

先程よりも増えた光弾を、紙一重で避けながら福音に攻撃を入れている。だが、どんなに一夏が必死で戦っても、邪魔をしてくるヤツが居る。篠ノ之である。

 

彼女のやっている攻撃は、福音の動きを制限するのではなく、逆に一夏の動きを制限している。

 

「ガッ!?お前いい加減にしろ!!」

 

とうとう、篠ノ之は一夏に攻撃を当ててしまった。今まではかする程度だったので、ある程度は無視していたが、今度は当てやがった。

 

「お前が一々私の射線上に乗るからだ!!援護をしてやってるのに文句を言うな!!」

 

邪魔ばっかりしてくる篠ノ之に、一夏もついにキレた。だがここは戦場。目の前に居る福音を倒さない限りはまともに文句を言うことも出来ない。しかし、第二形態移行をした福音は、篠ノ之の作った絶好のチャンスを逃さなかった。

 

「ハッ!?グワァァァ!!」

 

一瞬で一夏に近付き、0距離で光弾を一夏に撃ち込んだ。その衝撃で、ベルトは外れ、一夏は海に落ちていった。

 

「一夏!!」

 

一夏が落ちるのを見ると、福音はその場から立ち去っていった。

 

『作戦失敗……。直に戻れ。』

 

「ですが千冬さん!一夏が!!」

 

『戻れと言っている。次は無いぞ。』

 

千冬からの帰還命令に納得できず、命令を無視して海に入ろうとしたが、その時

 

『邪魔だ。退け。』

 

紅椿に短い文のチャットが飛んできた。誰かと思い、確かめようとしたとき、横から何かに殴り飛ばされた。バジンである。ベルトの状況から一夏が危ないと判断して飛んできたのだろう。

 

そのまま孟スピードで海に突っ込むと、物の数秒で一夏とベルト、ファイズブラスターを見付けて上がってきた。全部揃っていることを確認すると、一夏を持って旅館に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅館の作戦室に使っていた部屋では、一夏が横になって寝かされていた。全身に包帯等を巻いている状態だがな。

 

「篠ノ之。貴様どういうつもりだ?命令を無視し、勝手に出撃した挙げ句、戦闘では一夏の援護どころか邪魔をして、戻ってきたら一夏はこの状態。」

 

「そ、それは…………」

 

「ちーちゃん!箒ちゃんは悪くないよ!問題があったのはいっくんの方だよ。私が作った白式を使えば良かったのに、スマートブレインの作ったゴミなんかに乗ってるからこんなことになったんだよ!」

 

「そ、そうです。悪いのは一夏です!ちゃんとしたISを使っていればこんなことには!!」

 

「貴様らは揃って私に殺されたいようだな。望み通りにしてやろう!!」

 

頭蓋骨を割る勢いで2人を殴ろうとした。だが、止められた。

 

「よせ。そんなヤツら、殴る価値すら無い。」

 

その部屋には、2人の男性が入ってきていた。

 

「雅人さん……木場さん……」

 

「今はそんな人達を殴るよりも重要な事があるはずだ。キツいかも知れないけど、今は落ち着いて。千冬さん。」

 

草加と木場の2人だった。

 

「そう、ですね。ふぅ……。よし、まず、お前達2人は今すぐこの部屋から出ていけ。これ以上一夏のそばには居させん。」

 

「な、何故ですか!?千冬さん!!」

 

「私は同じことを2回言うのが嫌いなんだ。さっさと出ていけ。」

 

その言葉に、篠ノ之姉妹はなにも言わずに出ていった。出ていってから数秒後に何かを蹴飛ばした様な音がしたが、何と無く予想がついたので無視しておいた。

 

「2人は何故ここに?」

 

「一夏が撃墜された直後、スマートブレインのメールにバジンからの連絡があった。」

 

「それを見た社長が、俺たちをここに向かわせたんだ。でも、まさかここまでだったなんて……。」

 

「あの女は、自分以外の事なんて考えていないんだ……。白騎士事件の時もそうだ。どうせ今回も、自分の作った第4世代型のISの実力を見たいが為に、こんなことを……!」

 

他の専用機持ちが暗い顔をしていたが、「白騎士事件の時も」と言う発言に反応した。

 

「どう言う事ですか?白騎士事件の時もって?」

 

専用機持ちの中から、ラウラが代表して2人に訊ねた。

 

「白騎士事件は、表向きは日本に飛んできた4000発以上ものミサイルを撃ち落とし、死者0と言う事になっている。新聞やニュースでもそうなっている筈だ。」

 

「えぇ。わたくし達も、当時のニュースで報道された内容は覚えていますし、授業でもその様に聞いていますわ。」

 

「でも違ったんだ。実際は、何万人もの人が死んでいる。白騎士が落とせなかったミサイルや、破壊したミサイルの破片が降り注ぎ、地上に居た人達を殺した。でも政府はその事実を公表しなかった。これからISの時代が来るからだと、ISが不利になる情報を消すために……!」

 

その言葉に、千冬以外の全員が驚いていた。そんなことが発覚すれば、世界が持っているISへの見方が180度変わってしまうからだ。

 

「な、何故そこまで……!いやでも、実際にたくさんの人が亡くなっているのならそんな報道出来る筈が無い!」

 

軍人のラウラならそれが不可能なことはよく知っている。実際に何万もの人が亡くなっていたとしたら、そんな報道出来る訳が無い。かならず遺族や友人等が騒ぎを起こすからだ。

 

「誰も文句を言わないように、政府は死亡した人の関係者に、大量の金を払ったんだ。それこそ、自分の家族や友人がどうでも良くなるレベルの金額を……。」

 

この言葉に、全員驚き、何も言わなくなった。

 

「国の予算には、毎年使用用途不明金が出てくる。白騎士事件が起こった当時、その金を使って人を黙らせたんだ。具体的な額を言うとすれば、人生5回は遊んで過ごせる位の額だ。そんな金を貰ってしまえば、例え家族でも恋人でも黙ってしまう。」

 

「で、でも、それでも騒ぐ人は居ると思うよ!いくらお金を積まれたからって、無かったことに出来ない人だって居る筈だよ!」

 

デュノアの言うことは確かだ。本当にその人を大切に思うのなら、金でも黙らない人はいくらだって居る。だが、

 

「そんな人間ほど、沢山殺されたよ。国が手を回してその人の人生を滅茶苦茶にしたり、覚えも無い借金で自殺に追い込まれたり、ISに不利な情報を出そうとする人は、いろんな方法で消されたよ。」

 

「俺達スマートブレインは、そんな人達を集めて作られた会社なんだ。白騎士事件の被害者だけじゃない。世界中のIS被害者で構成された会社だ。そして、俺達の使ってるギアも、これ以上IS被害を出さないための物だ。世界を、もう一度男女平等に戻すための……。」

 

これがスマートブレインと白騎士事件の真実だ。だが、1つ分からないことがある。

 

「あの、何でそこに篠ノ之束が出てくるんですか?ISの制作者だからって、白騎士事件と結び付けるのは無理があると思うんですが……。」

 

鈴の言うことも確かである。IS制作者=白騎士。では少し無理がある。

 

「当時、ISは学界では子供の夢物語だと笑われていた。そしてそのタイミングでの白騎士事件、これだけでも結び付ける理由にはなる。」

 

「それに、俺達は独自で白騎士事件について調べていた。世界中の軍事基地にハッキングを仕掛けたヤツや、白騎士の正体を。だが、その結果は誰もが予想した通り、ハッキングしたのも白騎士の正体も篠ノ之束本人だった。……あの事件は、自分の発明を周りに認めさせる為の自作自演だったんだよ!そのせいで、俺の友達は……!!」

 

木場の言葉に、全員詰まらせた。さっきまで半信半疑だった白騎士事件の真相が、目の前に居る人の言葉によって真実だと判明したからだ。

 

木場は、あの事件でギタリストになる夢を持っていた親友を、やっと好きな人と結ばれた女友達を失っていたのだ。それから、政府の連中に追われたり、いっそのこと自分も死んで楽になろうとしていた。

 

だが、自分と同じ境遇の人がいるスマートブレインに入り、男女平等を目指し現在に至る。

 

同時に、草加も白騎士事件で幼馴染を失っている。草加と木場の共通の友人をだ。

 

その為、2人は篠ノ之束を恨んでいる。と言っても良いだろう。




白騎士事件の真相を少し弄り、バジンも多少の意思があると言う設定にしました。この設定に納得がいかなくても、このまま続けますので悪しからず。

今日は質問は無かったので、憲八先生はお休みです。

最終回が近付いてきたので、もう一度人気キャラ投票の注意事項を、理由はあっても無くても構いません。ただし、全部門に入れて貰えると助かります。投票数によっては中止する可能性があることをお忘れなく。投票終了日は最終回でお知らせします。

次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。