ISと無気力な救世主 作:憲彦
そしてこの小説も、後少しで完結。
そして、とあるマンガのキャラが出てきます。当ててみて下さい。答えは感想と共に感想欄まで!
「はぁ……何でこうなるかな?」
現在、一夏と本音はデパートに買い物に来ていましたが、拉致られてます。他の客と一緒に。
「おりむーの運って本当に悪いね。」
「全く、清々しいぐらいの不運だ。」
何故この2人が買い物に来ているのかと言うと、遡ること数時間前。
「アハハハハ!!いつ見ても面白いわ~。この写真。見事なまでに抱き枕だし(笑)」
「笑いすぎだろ。」
「リンリンあんまり笑わないで~。」
一夏が本音を抱き枕にしている写真を見ながら大爆笑していた。この写真のどこにそんな要素があるかは分からないが、鈴にはこれで大爆笑出来るようだ。
「て言うか誰に貰った。」
「ん?千冬さん。草加さんにも渡したって言ってたけど。」
「草加の野郎……。脚滑らせて頭打って死ねば良いのに。」
今一夏の頭の中では、その写真を見ながら腹を抱えて笑っている草加が浮かんでいる。何故かそれだけでも酷く殴りたくなった。
「まぁそれよりもさぁ、アンタらどんな体勢でご飯食べてるの!!?」
ああ、言い忘れたが、ここは食堂だ。しかし休日の為ほとんど人が居ない。それもそうだろう。わざわざ学園が休みなのに、金を払ってまで食堂で朝食をとる人は居ない。自分で作れば良いからだ。
その為、今ここに居るのは料理の出来ない人か、一夏や鈴の様に作るのを面倒くさがる人たちぐらいだ。と言っても、ここは規模の大きい学園。そんな人はたくさん居る。現在の食堂には、約40人ほど居る。
それで、鈴が言っていた体勢だが、一夏の膝の上に本音が座っている状態だ。
「いつの間にな、これで安定してな。」
「アンタらが関り持ったの昨日でしょうが!何で1日も経たずにこんなになってんの!?」
「知るか。」
本音の能力である。一夏の抱き枕になったら、何故か一夏の近くが落ち着く様になったそうだ。
「私はここが落ち着くんだよね~。なんか安心する~」
「でしょうね!それは分かってるわよ!!一夏の側が安心するのは分かってるわよ!!でも何でそんなすぐに信頼関係が築けるのよ!!」
「落ち着け。コーヒーでも飲んでろ。」
「私がエスプレッソは飲まないのは知ってるでしょが!!」
「モガッ!」
余計に火に油を注ぐ結果となり、鈴は一夏に差し出されたコーヒーを手に取り、無理矢理一夏の口の中に流し込んだ。因みに、本音は動じないでご飯を食べている。
しばらくして鈴が落ち着くと、
「そういえば、2人は水着買ったの?」
「いや。買ってないな。」
「やっぱり。買いに行った方が良いわよ。そろそろ臨海学校だし。」
臨海学校と言う単語に、2人は成る程と思い、午後から水着を買うために出掛けることにしたのだ。
デパートの水着売り場では、
「種類多すぎるだろ。」
好みの水着を買うために、一夏と本音は別々に水着を探しているのだが、普段着ですらネットで適当に買う一夏だ。こんなに種類の多い店では選ぶのにも苦労する。
「水着をお探しですか?」
「え?あぁはい。」
後ろから学ランをきた七三分けの眼鏡をかけた、とんでもないスタイリッシュオーラを放っている人に声をかけられた。
「でしたら、こちらの水着はいかがでしょうか?動きやすさを重視し、軟らかい素材で構成されておりますし、耐久性もあります。こちらのパーカーと合わせることも可能です。私の勝手な判断ですが、あなた様の第一印象から、カラーはこちらを選ばせて頂きました。」
上下でメーカーは違うが、デザインがぴったりな2着を渡された。どちらも黒に赤いラインが入っているファイズカラーだ。ポケットも付いているので物を入れることもできるし、チャックも付いているから落とす心配も無い。
そして、彼の言うように動きやすい素材で出来ている上に、中々の耐久性もある。
「良いものだな~。」
「お気に召した様で何よりです。その2着ならお値段もお安く済みます。」
「へ~。サンキューな。アンタ店員か?」
「いえ、近くを通り掛かったら何やら悩んでいる様子でしたので、失礼ながらお声を掛けさせて頂きました。では、私はこれで。」
一夏に頭を下げると、そのまま店を出ていった。世の中にはとんでもない物好きが居るようだ。
「おりむー決まった?」
「ああ。お前は?」
「決まったよ~。」
かごの中には着ぐるみみたいなのが入っていた。これ水着か?
「本音、溺れないのか?」
「?大丈夫だよ」
本人が大丈夫な様なので、そのまま会計に進んだ。水着は以外に高いものが多いが、一夏の選んで貰った水着は彼の言う通り、安値で済んだ。
まぁ問題が起こったのはここではない。問題が起こったのは一夏達が帰ろうとしたときだ。
武装した男達がデパートを占拠したのだ。そして、冒頭の様に一夏が頭を抱える結果となったのだ。
「でも何で今時デパート襲撃するの?銀行とかで良いと思うんだけど。」
「アイツらの格好見てみろ。そんなこと思い付く連中に見えるのか?」
襲撃してきた連中の格好とは、まさに世紀末である。髪型も含めてだ。顔を隠すつもりでマスクを着けているのかもしれないが、全く意味をなしていない。
「おいテメー!何喋ってやがる!!死にたいのか!?」
「うるせーよ全身世紀末スタイル。つか何で今時デパートなんか襲撃してんだよ。銀行行けよ銀行。」
「うるせー!どこを襲おうが俺達の勝手だろうが!!その口もう一回開いてみろ!2度と喋れない様に……。」
急に言葉が途切れた。さっきまで喋っていた男の顔があった場所には、デカイ拳があり、男は壁にめり込んでいた。
「な、何だ!?コイツ!!」
「う、撃て!撃て!!」
一斉に撃つが、銃弾は弾かれるだけだった。まぁ皆さんもうお気付きだろうが、今テロリストを殴り飛ばしたのはバジンである。
騒ぎに気付いて中に入ってきた様だ。
「おっと。サンキュー。」
一夏にベルトを投げ渡すと、いつまでも後ろから撃ってくる連中が鬱陶しく思ったのか、近くに居たのを蹴飛ばした。
「変身!」
『complete』
「IS!?ガァ!」
「全く、どいつもこいつも俺の休日を潰しやがって!何か恨みでもあんのか!?」
拉致られた人の全員を助けると言うより、日頃の鬱憤を晴らしているようだ。まぁ、確かに最近の休日は平和に過ごせていない様な気がする。
「う、嘘だろ。相手はたったの1人だぞ!!?」
「も、もうダメです!アイツ、鬼の様に強い……!」
「に、逃げろー!!」
「逃がすか馬鹿共!!」
「「「「ギャアアアア!!!!」」」」
物の数分で全てが片付いた。テロリスト共は全員警察に持っていかれた様だ。
「おりむー本当に運が悪いね。」
「一度出雲大社にでも行って開運でもしてくるか……。」
「普通に近くの神社でも良いと思うけど……。」
その後、一夏はマジで神社に通い詰める事になり、今日の様な不幸はあまり起きなくなったが、その代わりにそこそこ大きめな不幸が起こりやすくなった。
「マジで神の野郎をしばく……!」
この発言に、皆何も言えなかった。ただ1人、
「ドンマイ!」
と、鈴が毎度声をかけている。
今日はここまで。質問が無かったので憲八先生はおやすみします。
次回もお楽しみに!感想、評価、活動報告もよろしくお願いします。