ISと無気力な救世主 作:憲彦
デュノアの正体が一夏にバレた次の日の朝、複数の生徒が大きな声で何かを言っていた。廊下までに響いている。
「何騒いでんだ?」
「さあ?」
因みにデュノアはまだ男性用の制服だ。クラスの皆には話してないからな。
「本当だってば!この噂、学園中で持ちきりなのよ?月末の学年別トーナメントで優勝したら織斑君と交際でき―」
「俺がなんだって?」
「「「キャァァ!!」」」
なんか一夏が声をかけたら慌てて逃げていった。しかし、優勝出来たら一夏と交際と言う妙な噂、これは恐らく、完全にあれが原因だろう。
昨日の夜、消灯時間ギリギリの時間、謹慎の解けた箒が一夏とデュノアの部屋を訪ねて来たのだ。
そして大声で「私が優勝したら付き合ってもらう!」とか叫んでいたことだ。
まぁ、当の一夏本人は寝る寸前だったと言うこともあり、話なんか全く聞いていなかった。右耳に入って左耳へと流していし、デュノアは1時間ぐらい前に寝ていたので話は耳に入っていない。
たぶんその声を聞いた他の生徒が、誰かに話してそれが学校中に噂として広まり、現在に至ったのだろう。9割女子校って怖いな。
「なんだアレ?」
「あ、一夏~。おはよう!」
「あぁ、鈴。朝からよく炭酸なんか飲めるな。」
飲み物を片手に持った鈴が現れた。
「まぁ~ね。それよりも、あんたも災難ね。変な噂流されて。」
「は?」
「え?知らないの?自分の事なのに?」
聞こうとしたら悲鳴をあげて逃げていったからな。一夏は今現在なにも知らない。
「なんかアンタ、今度やる大会の優勝賞品になってたわよ。」
本来出回っている噂よりも酷い言い方だ。事実ではあるが……。
「なんだそれ……。」
「まぁ、75日たてば忘れ去られるから、それまで待ってれば?じゃあ私自分のクラスに戻るわ。」
トーナメントまでもう少しなんだけどね。
「どうすんだよこれ。」
「変に本当の事を伝えても、別の噂が広がりそうだしね……。」
この日1日、一夏は自分の不幸体質を恨みながら授業を受けていた。
恨みながら授業を受けた放課後、修理が完了したファイズギアを受け取りに、職員室に来ていた。とっとと受け取ってデュノアとアリーナに行こうとしていたのだが、
「何やってんだ?草加。」
「あぁ、来てたのか。一夏」
「さっきから居たよ。早くファイズギアよこせ。姉貴とコーヒーなんか飲んでないで。」
しばらく会えてないから仕方無いと思うが、ここ学校だぞ。それに草加は仕事でここに来ている。
「良いではないか。後5分だけだ。」
「姉貴、あんた仮にも教師だよな。仕事あるだろ。」
「そうだぞ一夏。5分ぐらい許してやれ。それに俺は今日の為に仕事を全部終わらせてきた!」
誇らしげに言うなよ。
「尺が勿体無いんだよ。早くしろ。」
「チッ。千冬、また今度な。」
「そんな~……」
久々に会えたが、時間が短かったのか千冬が少し泣きそうになっている。
「今度2人で誰にも邪魔されないところに行こう。そこで今まで会えなかった分の埋め合わせをッ!!」
「いい加減にしろバカ共!」
キスしそうなくらい千冬に顔を近付けていたので、カイザギアの入っているアタッシュケースを使って、全力で草加の後頭部を殴った。あのまま行ってたら確実にしていただろう。
「一夏!君は将来の兄に何て事をするんだ!」
「お前が俺の兄貴になるくらいなら俺は家を出ていく!とっとと帰れ!帰るのが嫌ならアリーナで俺の訓練相手になれ!」
そんなことを言われたら、大体は帰るはずだ。だが草加はアリーナで一夏の相手をすることにした。
「えっと……、一夏、隣の人は?」
「草加雅人。姉貴の恋人だ。」
「え!?織斑先生恋人居たの!?」
悪くないリアクションだな。スマートブレイン内部でも、草加に恋人がいると言ったら周りから驚かれた。この2人に恋人がいるのはかなり意外な様だ。
3人が使用人数の少ないと聞いた第3アリーナに向かっていくと、近づくにつれなにやら慌ただしい様子が伝わってきた。
「何だ?」
「何かあったのか?」
様子をうかがうために前に出ようとしたとき、
ドゴォンッ!!
突然爆発音が響いた。その音を聞いた3人は、強引にではあるが、前に出て様子を見た。
「鈴!?オルコット!?」
ISを使ったら模擬戦、と言うよりは、ラウラが2人を一方的に攻めている様にしか見えなかった。機体の状態も危険だ。だが、それでも無理矢理動かして戦っている。
「一夏!」
「分かってる!」
「「変身!」」
『『complete』』
2人は変身すると、アリーナのシールドをぶち破って中に入り、3人の間に入った。
「おい。何をやってるんだ。お前は?」
「何をやっている?見ての通り模擬戦だが。何か問題でもあったか?」
「一方的に痛め付けてただけだろ。」
「その2人が弱いだけだ。」
「……草加。2人をここから出してくれ。」
「……分かった。」
一夏は草加に頼み、鈴とオルコットをアリーナの外まで運んでもらった。
「お前、昨日俺に自分と戦えって言ったな。良いぜ。相手になってやる。ただし、無事で済むと思うなよ。」
本気でやるようだ。友人を傷つけられた事でかなり頭に来ている。
「ふん。無事で済まんのは貴様の方だ。」
2人の間にビリビリとした空気が流れる。一夏だけではない。ラウラも本気で一夏を潰しに行くようだ。
「ハァ!」
『Ready』
ファイズショットにミッションメモリーをさし込み、ラウラ目掛けて走り出した。
「直線的に突っ込んでくるとは……。絵に書いたような愚図だな。」
「ッ!?」
突然一夏の動きが止まった。
「やはり敵ではないな。私とシュヴァルツェア・レーゲンの前では、貴様も有象無象の1つでしかない。消えろ。」
肩の大型カノンが回転し、一夏に止めをさそうとしたが、
「グゥゥ!!ハァァ!!」
無理矢理拘束を外した。
「な!?ガッ!」
この予想外の動きに、ラウラは驚き、隙を作ってしまい、殴り飛ばされた。
『Ready』
『ExceedCharge』
ラウラが立ち上がり、一夏に向けて加速するが、一夏もミッションメモリーをファイズショットから抜き取り、ポインターに差し込んだ。
「グ!?」
加速するラウラに、円錐状の光で拘束した。
「終わりだ!!ハァァ!!!」
クリムゾンスマッシュでラウラにとどめさそうとした。だが、
「よせ!一夏!!」
空中で草加によって阻止された。
「止めんなよ!」
「バカか!その攻撃を有人のISに撃ってみろ!機体は大破し、操縦者は灰になって消えるぞ!もう十分だろ。これ以上は意味が無い。」
「……。」
草加の言葉に納得したのか、変身を解除してアリーナから出ていった。
「2人はどうした?」
「デュノアが医務室に運んでくれたよ。」
「そうか。」
その言葉を聞いた一夏は、見舞いの為に医務室に向かった。途中、千冬に会い、アリーナのシールド破壊とやり過ぎについて注意され、この戦いは学年別トーナメントで決着をつけるように言われた。後でラウラにも同じことを伝えるつもりの様だ。
『教えて!憲八先生!!』
はーい、ペンネーム「ロムラー」さんからの質問です。「TVゲームではまったもの、又は今はまっているものはありますか?」ズバリお答えしましょう。作者は基本TVゲームはやりませんが、はまったものと言えば、クライマックスヒーローズシリーズですかね。DSだったらモンハンやロストヒーローズ、エースコンバット等にはまりました。
次の質問はペンネーム「たけじんマン」さんからです。「好きなおっさんキャラや爺さんキャラはいますか?」はい、ズバリお答えしましょう。微妙なラインですが、名探偵コナンに出てきた赤井秀一ですかね。字が合ってるかは分かりませんけどね。
次回もお楽しみに!感想と評価、活動報告の方もよろしくね!