ISと無気力な救世主 作:憲彦
アポロガイストを倒し、本音を救った一夏。少しすると目を覚ましていつも通りの本音に戻った。それと同タイミングで、村上のベルトの改造が完了。それぞれに手渡された。
「見た目はあんまり変わってないな」
「使ってみたら分かるぞ。かなり強化されてる」
草加が不思議そうにベルトを見回すが、外見に特徴がないことに驚いていた。だが一夏は一足先に使って改造されたベルトの力を実感している。だからこそ、安心して受け取れるのだろう。
「一夏くんがアポロガイストと戦った後、収集したデータを元に、更に改造を加えました。それぞれのフォトンブラッドへの耐性を考え、出力はギリギリまで上げています。体に多少の負担はかかりますが、命に危険がでない程度に抑えています」
出力その物はプロトギアにも劣らない程までに上げているようだ。だが、ただ上げただけではなく、それぞれの体が耐えられる限界レベルまでと言う繊細な調整を加えている。恐らく計算との誤差は1%未満と言う所だろう。こんな文字通りブッ飛んだ事を短時間で仕上げた村上や開発部の連中は化物、もしくは変態でしかない。
「どうする?仕掛けるか?」
「このベルトなら、ネガの世界のライダーを相手にすることができる筈だ。前回の様な敗北は無いよ」
「とは言え、お前らはどうなんだ?さっきの戦闘じゃ、お前ら2人も殺られてただろ?ベルトを改造しようにも、お前らのはそもそもが違う。こっちでどうこうできる代物じゃない」
ディケイドとディエンド。一応ライダー技術ではあるのだが、この世界のライダーズギアと比べたらかなり違う。と言うよりも別物である。いくら高い技術力を持っていたとしても、改造は不可能である。
「問題ない。こっちに来てから何故か力が半減しててな。だが、ようやく戻った」
そう言って、士は自身のベルトを取り出して全員に見せた。最初は白を基調としたカラーリングだったが、今はディケイドの体色と同じマゼンタが基調になっている。そしてライダーの紋章も増えていた。同様に海東のディエンドライバーも黒ベースではなく、シアンベースの色に変わっていた。
「どうやらこの世界、僕らが到着する前から何度も、そして長い期間タイムリープを繰り返していた様だ。だから時空が歪んで、僕らの力が時間差で届いたんだよ」
「これでようやく俺たちも全力で動けるって事だ。心配すんな」
その後、全員自分のベルトを持って部屋から出ていった。行き先はショッカーが使っている捨てられた工業地帯。既にライオトルーパー部隊が周囲を封鎖して民間人を巻き込まない準備がされている。思う存分戦えると言うことだ。
(ついにここまで来たか……不味いな。このままじゃ歴史を繰り返すだけだ…!それだけは、なんとしても防がないと!)
「さてと。まずは挨拶だな」
『Battle Mode』
「は?」
「同感だ」
『ATTACK RIDOE GIGANT』
『ATTACK RIDOE SIDE BASSHAR』
「おい、何やってんだ?お前ら」
一夏の言葉を無視し、草加はバッシャーをバトルモードに変形させ、一音はスライガーの武装を展開。士はミサイルを4つ積んだロケットランチャーを呼びだし、更に自分のバイクをバッシャーのバトルモードに変えだした。
「お前ら、マジで何やるつもりだ?」
「ノック」
「嘘つけ!」
数年前、一夏が亡国にスライガーを突撃させたあれを思い出してしまう。だが数年前やらかした男がここで止めるのには理由がある事を忘れてはならない。
「それやったら地形が変わるぞ!?昔やったけど地形が大変なことになったからな!」
「それくらいなら良いだろ」
「だな。どうせ廃棄された施設なんだし」
「撃つぞ」
「ちょ!せめて俺達が離れてからに!」
一夏と木場の静止を無視して、3人は攻撃を放ってしまった。乗り物に乗っていた3人は兎も角、一夏や木場、バジン、パトリック隊に簪は爆風で吹っ飛ばされてしまった。
『兄さん?下で爆発音がしたんだけど何かあった?』
「お前は上にいて良かったな……」
上から警戒していたマドカだったが、突然の爆発音に驚き一夏に通信を入れた。聞こえてきた声は恨めしそうな声だったが、生きていることは確認できた。
「さてと。雑魚は粗方片付いたな」
「いって……全く。数を減らすならもっとマシな方法があったろ」
だが実際に数は減っている。前回ここを強襲したときは大量の戦闘員が溢れるように出てきたが、今出てきているのは量産型の戦闘員ではなく形のある怪人やダークライダー達のみだ。
「おいおいおい。なんなんだこれ?」
ダークキバを先頭に、ネガの世界のライダー達が出てきた。その後ろにはアナザーライダーや様々な世界の怪人達がいる。
「一夏。お前は元凶の撃破を優先するんだ」
「あの地下に伸びてる階段だな。上は任せたぞ」
「あぁ」
草加の指示に従い、元凶がいるであろうと目星をつけていた場所へと走っていく。それを見届けると、地上にいる敵を倒しにかかった。
「マドカ。上から一夏を援護してくれ」
『了解!』
「木場!一気に薙ぎ払え!」
「分かった!」
『Ready』
『ENTER』
『Exceed Charge』
「伏せて!」
木場の合図に合わせて全員地面に伏せた。その直後、木場のオーガストラッシュで真一文字に敵を切り伏せた。前回同様に怪人どもはこの一撃で倒すことができる。
「また来たのか偽物ども。偽物である貴様達に勝ち目がないのに何故ここにきた?」
「偽物偽物って、喧しいわ!」
「グッ!」
草加の一撃がオーガに入った。しかもベルトを改造した効果か、確かなダメージが入っている感覚がした。
「確かに俺達のベルトはお前達から見たら玩具かもしれない!だが!」
「俺達はこれでも、大切な人や、大切な場所を何度も守ってきた!命懸けで」
「時には悩み、立ち止まり、敵の手に落ちた事もある」
「大切な人を人質に取られ、仲間と敵対したこともある」
「それでも俺達は守ってきたんだ!自分が大切に思っている沢山のものを!」
「たとえ怪人や同じライダーを倒すために作られたベルトじゃなくても!何度も戦ってきたんだ!だから!」
「「お前に、お前達に!偽物なんて言われる筋合いはない!!」」
2人の勢いのある攻撃がオーガを圧倒し始めた。前回戦ったときは全く歯が立たなかったが今は違う。確実に相手にできている。
「調子に、乗るな!」
オーガストランザーを振るうが、木場がそれを受け止めて草加が一撃を確実に決めていく。防御と攻撃の両方に優れたコンビだからこそできるやり方で圧倒していく。
「チィ!ちまちまと!」
この2人を相手にするのは骨が折れると判断したのか、同じ世界の仲間を呼ぼうとした。だが、呼べる状況ではなかった。
「ハァ!」
「グワアッ!」
「どうやら、お前と私の相性は最悪な様だな。リュウガ」
リュウガは接近戦に向いているライダーだ。武器は青龍刀。飛び道具はない。唯一、ストライクベントを使えば離れた敵にも攻撃できるが、機動力の高いサイガ相手にストライクベントでは弾速不足。つまり肉弾戦に偏る戦いになると言うことだ。そんなことでは今のサイガにまともな一撃を入れることはできない。
「ふざけるな!」
『Advent』
「黒い龍のお出ましか。だが!」
フライングアタッカーで勢いと回転を付けながらダークドラグレッターに接近。巨大な顎で噛み砕こうとしてきたが、それを避けてトンファーエッジを抜き細切れにした。
「なっ!?」
トンファーエッジを元に戻すと、傷付いたダークドラグレッターに無数のフォトンブラッド光弾を撃ち込み破壊した。
「嘘だろ……ダークドラグレッターが……!?」
ダークドラグレッターが破壊されると、ベルトのバックル部分にあったリュウガの紋章は消え去り、リュウガの姿も貧相な物へと変わっていった。
「これで終わらせて貰う!」
フライングアタッカーを吹かし急降下。強烈な蹴りをリュウガに叩き込んだ。見た目が大分貧相になった為か、防御力がかなり下がっており、蹴りを入れたとき柔らかいと言う感触すら覚えた。
「本当に往生際が悪い男だな~、士?もしかして、また死にたいのか?」
「ふん。だったらそっちから襲えばいいだろ?こっちが来るのを待たずにな」
「生憎と、こっちも色々と忙しくてな~。お前を殺しに行きたくても行けないんだよ。なんだ?寂しかったのか?」
「はぁ……ふざけんなっ!」
「全く、士は変な人ばかりに好かれるね~」
「黙れ。さっさと倒してこの世界の異変も終わらせるぞ」
「言われなくても」
士と海東はダークキバと対峙していた。相変わらず音也のふざけた挑発は士の神経を逆撫でする。だが、今回ばかりはその挑発はすぐに消えてしまうかもしれない。
「今度は、負けるつもりはない」
『KAMEN RIDOE W』
『サイクロン!ジョーカー!』
「なんだそのライダー?」
緑と黒のツートンカラーのライダーに変身した。
「ハァ!オリャア!」
「グッ!ウワアッ!?」
「海東!」
「はいはい」
『ATTACK RIDE BLAST』
風をまとった強力な攻撃がダークキバを襲い、空中へと蹴り上げる。そこに海東が合わせて攻撃を入れた。
「……中々だな」
「まだまだだ!」
『KAMEN RIDE OOO』
『タカ!トラ!バッタ!タトバ!タトバタトバ!』
「うるさい歌だな」
「歌は気にするな!ハァ!」
鷹の目で攻撃を全て見切り、虎の爪とバッタの脚でキツい一撃を叩き込んでいく。
「次だ!」
「させるか!」
「こっちの台詞だよ」
キバの紋章を呼び出し、士の動きを止めようとしたのだが、海東が手をかざすとダークキバの時間だけが止まった。ジオウの世界で手に入れたもう1つの宝だ。
「悪いけど、士は殺させないよ。まぁ、今の君に殺すことは不可能だけどね」
「海東……余計なことを」
「君が遊んでるからだろ?早く片付けなよ」
「はぁ。もう少し遊んでからと思ったが、まぁ良い。王様には王様の力だ」
『KAMEN RIDE ZI-O』
『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』
最近訪れたジオウの世界の力。それを使いネガの世界の王であるダークキバを追い詰めていく。ダークキバは手も足も出ず、攻撃を受けるしかなかった。
「時間を止められたら流石のお前もなす術なしだな」
「チッ!卑怯な……!」
「ネガの世界で俺に卑怯な手を使って色々とやったヤツがよく言うぜ。海東、一緒に行くぞ」
「あぁ」
『FINAL ATTACK RIDE ZIZIZIZI-O』
『FINAL ATTACK RIDE DIDIDIDIEND』
「デェヤァ!!」
「ハァ!」
「グアアアアアア!!」
2人の合わせ技が炸裂し、ダークキバは無事撃破された。力が完全に戻った状態の2人相手なら、敵にすらならない存在だったようだ。
「見えないな……やっぱりクロックアップは厄介だ」
一音はパトリックと簪の2人と組んでダークカブトを相手にしていた。厄介なクロックアップを相手にしているお陰か、劣勢に立たされていた。
「クッソ!弾幕でも張るか?」
「止めておいた方がいい。時間の無駄。それよりも」
「そろそろだ」
『CLOCK OVER』
「今だ!」
「なに!?」
クロックアップが解除されたと同時に、一音がダークカブトに掴みかかり動きを封じ込めた。
「2人とも!」
「おう!」
「分かった!」
タイミングを見計らうと、パトリックと簪はアクセレイガンでダークカブトのベルトの両脇に付いているクロックアップのボタンを破壊した。
「グッ!しまった!」
「これでクロックアップは使えないな!」
クロックアップが封じられた今、ライダーフォームで3人を相手にするのは辛い。ベルトのカブトの角を反対側に倒し、鎧を付けたマスクドフォームになった。
「かって!?なんだあの鎧は!?」
3人の攻撃を一切受け付けない程の防御力になった。そして攻撃の一撃一撃が重たくなった。クロックアップと言うライダーフォーム最大のアドバンテージが無くなってしまえば、防御やパワーが低いこの姿は自殺行為。しかし、この状態なら攻撃を受けることはまずない。余裕の態度で3人の攻撃を受けている。だが
「余裕ぶっこいてられんのも今の内だ。チェック!」
『Exceed Charge』
「ハアァァァァァア!!」
「ッ!?ウワアアアアアアアア!!!」
無事、ダークカブトも撃破した。これで3人は手が空いた。だが、他の場所の援護に向かおうとしたその時、パトリックに1つの通信が入ってきた。
『隊長!大変です!子供が近くにいます!』
「はぁ!?どう言う事だ!半径5キロに渡って他のライオトルーパーと警察と自衛隊が封鎖してるんだぞ!子供なんか入れる訳ないだろ!」
『ですが実際に目の前に!』
「通信機貸せ!聞こえますか?一音です。今からそちらに向かいます。子供を保護したと同時に戦線を離脱して付近を警備している者に引き渡します。それまで持ちこたえてください」
『分かりました!』
「2人は他の所に向かってくれ。スライガー!」
スライガーに跨がると、手早く馬の姿に変えて通信のあった場所まで飛んでいった。まさかとは思ったが、本当に子供がいたのだ。敵が化けた存在とも考えたが、様子を見るからにそんな感じはしない。
「掴まれ!」
子供に向けて手を伸ばすと、声に反応した子供も一音に向けて手を伸ばして掴まった。そのままスライガーの上に乗せて、戦線を急速離脱。残った者達はアナザーライダーや倒せなかった怪人の相手をしている。
「危なかった……なんであんなところに居たんだ?行ける道は全部封鎖してた筈なんだが」
「あそこ、僕の秘密基地なんだ。道も僕がいつも通ってる所には誰も居なかったよ?」
「いったい何処にそんな道が……」
「地面の中にあるから!」
「成る程……」
はつらつとした笑顔で地面の中にあると言う衝撃の事実を知り、仮面の下で呆れた顔をしている。心なしかスライガーの手綱を握る腕からも力が抜けてる感じがする。
「あ、見えてきた。ん?何やってんだ?あそこ」
なんか道を封鎖してる自衛隊とトルーパー隊に掴みかかかって通してくれと叫んでる女の人がいた。
「なにがあった?」
「一音さん。その、この方が……」
「息子が居ないんです!探しに行かせてください!」
「ですから!ここから先では戦闘が起こっていて危険なんです!我々が探しに行きますから、ここで待っていてください!」
「息子?もしかして……」
視線を自分の下に向けてみた。すると、保護してきた子供はマズいと言う顔をしながらスライガーの背中を突っついていた。
「あの、もしかしてこの子ですか?探してる息子さんって」
「たける!」
「お、お母さん……」
やっぱりか。と言う顔をしている。仮面で隠れてるため周りには分からないが、秘密の通路に加え母親に黙ってここまで来たこの子どもに、感心に近い感情を覚えた。
「将来有望な仮面ライダー候補だな」
「え?僕も仮面ライダーになれるの!?」
予想以上の食いつきに、一音は少し驚いてしまった。
「僕もなれるの!?仮面ライダーに!」
「ちょっ、迷惑してるでしょ!この人は仕事中なんだから!」
母親が子供をなだめて止めようとしているが、子供の方は止まりそうにない。その様子を見ると、一音はスライガーから降りて変身を解き、子供と同じ目線になって落ち着いた様子で話し始めた。
「なれるよ。守りたい何かがあったんだろ?だから彼処に行ったんだよな?」
「うん」
「なら、その守りたいものを忘れるな。守りたいって言う気持ちもな。それがあれば、きっと仮面ライダーになることができる」
「分かった!」
「うん。君なら大丈夫そうだ。じゃ、後はお願いしまッ!?」
警備している人達に後を任せて戻ろうとしたとき、一音は自分の目を疑った。さっきまで戦闘が行われていた場所から見たこともない変な光が出ていたからだ。爆発などの物なら納得したかもしれない。だが、その光は徐々に伸びて一音のいる非戦闘地域まで迫ってきている。
「おいおい……マジかよ……逃げろ!脇目も振らず全力で逃げろ!!」
たけるとその母親をスライガーに乗せて全力で走り出す。それを見てトルーパー隊や警察、自衛隊も全力で走り始めた。
「酷いですよ!乗せてくださいよ!」
「無茶言うな!定員オーバーなんだよ!速くしろ!飲み込まれるぞ!兎に角走れ!!」
謎の光が発生する数分前、一夏は飛び込んでいった地下空間を散策していた。
「本当になにもいねーな……木場が来たら発狂して倒れてるな」
確かにそういう空間である。一夏でも少し恐怖を感じるほどに静かで何もない。そして何より無駄に通路があり広さもある。元々は何だったのかを聞きたくなるほどだ。
「敵はなし。迷路みたいに要り組んでるが一本道。所々に広くなってる場所を作って侵入者を混乱させる……無駄に手が込んでるな」
少し脚を止めて、しゃがみこんだ。そして地面に軽く拳を叩き付けて音を反響させた。
「そろそろか……と言うか、こうやって範囲確認するとマジでどうなってんだ?」
音の反響とファイズギアの五感支援で全体像を把握したのだが、結果この空間はサッカー場程の面積があることが判明した。ここまで巨大な地下空間、普通は絶対にあり得ない。人工のものかどうかを疑いたくなる。
「ここがゴール。だよな……」
ここまで歩いてようやく現れた扉らしきもの。一夏は馬鹿ではない。この中にいる存在が今回の元凶である事は感覚で分かる。
「さてと。鬼が出るか蛇が出るか……」
意を決して、扉を開ける。するとそこには、一夏が驚愕するような存在がいた。
「おいおい嘘だろ……あん時破壊した筈のテメーが、なんでここにいやがる!?0コア!!」
部屋の中にいたのは見間違う筈のない存在。一夏が木場と共に破壊したISとの全面戦争の切っ掛け、0コアだった。まるで玉座のような椅子にすわり、なにも言わずに一夏に視線を向けている。
「黙りか。じゃあきっちり、ゲロ吐いて貰おうか!」
拳を構えて0に飛び掛かろうとすると、突然0が指を弾いて鳴らした。その直後、どこからともなくアナザーファイズとオルフェノクの集団が現れ、一夏を襲い始める。
「上にいないと思ったらこんなとこにいたのか!邪魔だ!」
オルフェノクの集団とアナザーファイズを殴りながら、0に向かって進もうとする。だが、何故かそれを執拗に止めようと一夏にオルフェノク達が掴みかかってくる。
「出し惜しみはしてられないか」
『complete』
『STARTUP』
「フッ!」
音速を超える動きで敵に攻撃を叩き込んでいく。クロックアップと違い、アクセルフォームで動けば周りがスローに見えることはなく、動けば周りに何があるか分からないレベルになる。だがそれに振り回される事なく、戦っている。
『ENTER』
『Exceed Charge』
「ハァ!」
オルフェノク全員にポインターを放ち拘束。本来のファイズの世界のフォトンブラッドとは元が違うが、それでもオルフェノクには効果絶大。10秒以内に全員片付けられた。
「次はお前だ!アナザーファイズ!」
『555 ENTER』
『Awakening』
「ふぅぅ……ハァア!」
「ハァ!ダァ!」
アナザーファイズは攻撃を入れるが、ブラスター相手に通じてる様子はない。簡単に受け止められカウンターを叩き込まれている。
「悪いが、お前じゃ俺に勝てねぇよ!!」
いつの間にかブレードモードになっていたファイズブラスターを振るい、アナザーファイズを斬り付けていく。大振りで荒々しいが、攻撃力はかなり大きい。結局、アナザーファイズは一夏に反撃する事ができずに倒れてしまった。
「ふぅ……0、洗いざらい吐いて貰うぞ」
「これ程の力があれば問題ないな」
「なに?」
0が呟いたその直後、0の体を中心に緑色の光が出てきて広がってきた。一夏はその光を全身に浴びたが、体には影響はなかった。影響が現れたのは記憶だ。自分が死んだと言う正しい歴史の流れが頭の中を駆け巡ったのだ。
「あぁっ…グッ!」
大量の記憶が一気に頭の中に流れ込み、それに耐えきれず激しい頭痛を覚え倒れ混んでしまった。
「ッ!ウアアアアアア!!!」
「計画通りだ」
「ゼ…ロ!なんのつもりだ!なぜ記憶を…!」
苦しみながらも0に問いかけるが、返事はない。0が指を弾いて再び音を鳴らすと、何度も体験した時間が巻き戻る感覚が襲い、意識を失ってしまった。
目を覚ますと当然の事ながら全員に正しい歴史の記憶が頭の中に流れ込んだ様で、本音や姉の千冬、その他仲間から泣き付かれた。全員にどう言うことだと問い詰められたが、これが正しい歴史だと言って納得させた。
「0!どう言うつもりだ!なんで全員の記憶を元に戻した!?何のためにこの2年間、お前に封印されたISのコアを与え続けて力を覚醒させたと思っているんだ?!」
「黙っていろ。これが最善の道だ」
「前も、その前も同じことを言っていた!だがそのたびに!歴史を繰り返し続けたんだぞ!何度も同じ、仲間が死んでいく未来を!それでも最善だと言うのか!?」
「いずれ分かる」
「ふざけるな!俺は歴史を変えたいんだ!そして!あの男が苦しまない世界を作る。それが目的だと最初に伝えたはずだ!だからお前の力を覚醒させたんだ!にも関わらずお前は!」
「貴様の目的を達成できるなら、手段は任せると言ったことも忘れるな。安心しろ。貴様の目的は叶えてやる。黙って待っていろ」
「……クソ!」
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デルタサーガをリメイク版に乗せるか否か
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乗せる
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否