ISと無気力な救世主   作:憲彦

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本日1本目です。


復活の救世主

士のタイムベントから抜けた直後、一夏は急いで自分の店へと走っていった。その後に続いて、士と海東もゆっくりと歩いて店へと向かっていく。

 

「本音!一音!」

 

「イッチー!?町は大丈夫だったのウワ!?……へ?」

 

「いって!何しやがんだ親父!!」

 

「うるせーよ……少しはこうさせろ」

 

店に入って早々に、一夏は本音と一音に抱き付いた。力強く、2人の存在を確かめるように。すると時間が巻き戻り険しい表情だった一夏の顔が、いつもの穏やかな物へと戻っていた。一夏はようやく気づいたのだ。自分が持っているものに。

 

「ようやく復活か?一夏」

 

「士か。お前の仕業だな。さっきの妙な時間の巻き戻りは」

 

「よく分かったな。と言っても、やったのはさっきのが初めてだ。それ以前の時間ループは俺が原因じゃない」

 

「まぁ良い。礼を言っとくよ。大事な事に気付けた」

 

「なら、さっきの滅茶苦茶な作戦は無しって事で良いのかな?」

 

「……俺は1人で戦ってるつもりだった。でも、生まれて此の方1人で何かをやり遂げた事なんて一度も無かったからな。いっつも横に誰かがいた。潔癖症気味のバカだったり、幽霊苦手な小心者だったり、世界最強の姉貴だったり、人型になるバイクだったり、赤髪のうるさいヤツだったり、大切な家族だったりな。皆がいて初めて解決できた。だから、この事件も皆で解決する」

 

「中々に悪くない作戦だ。それになら手を貸せるよ」

 

それから、一夏は村上に全ての情報を渡した。その結果、緊急事態として一部ライオトルーパー隊を復活。ライダーズギアも最終所有者の元に戻される事になった。

 

「海東は草加達の所に行ってくれ。あっちは数が多すぎるからな。士はこっちで俺の手伝いを頼む」

 

「あぁ」

 

町には既にトルーパー隊も展開している。地上はパトリック隊とドイツ軍元IS部隊のシュヴァルツェア・ハーゼの合同部隊と、簪率いる500人のライオトルーパー大隊、おまけに空にはマドカの変身するサイガが率いる30人程の空中小隊。現場の指揮はそれぞれの隊長に任せているが、1番後ろには村上が控えている。これプラス草加と木場、海東に人型になって自由に動き回れるバッシャーだ。

 

敵が可哀想に思えてくる程の体制だが、一夏達が何度と殺されていること、時間が巻き戻るたびに敵が強くなっていることを考えると、これくらいは必要になってくるのかもしれない。

 

因みに、これを機にISも復活させろとの声があったが、乗る人間を確保するための時間が無いと言われ突っぱねられた。

 

「こちら簪。住民の避難は完了。敵を待つ」

 

「パトリック了解。こっちも引き続き敵を待つ」

 

「上空小隊から地上部隊へ。今の所敵の影は無い。出現時間まであと1分。警戒を怠るな」

 

「分かってるよ。そっちも出たら援護頼むぞ」

 

「理解している。ん?灰色のオーロラが現れた。そっちはどうだ?」

 

「2人とも、敵のお出座しよ。村上さんからは無制限攻撃許可が降りてるわ。いつでも初めて」

 

「了解。変身!」

 

『complete』

 

「上空部隊、援護に向かう」

 

何故いつも急に湧いてくるのか不思議だったが、どうやら士や海東が移動するときに使うオーロラをショッカーも使用していた様だ。

 

ショッカーが現れた直後、静かだった町は突然ドンパチ騒がしくなってきた。前回一夏が相手にした時よりも格段に多くなっている。だが万全と言える準備を施した。酷しい戦いではあるが全く相手にできない訳ではない。順調と言っても良いほどに敵を殲滅していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「騒がしくなってきたな……」

 

「向こうは始まったみたいだな」

 

「あっちが終わったら、次はここだ。数はさっきより多いが、油断するなよ」

 

今一夏の店には一夏と一音、士、バジン、本音がいる。戦えるのは本音を除いた4人。今回は一音も変身できる。戦力的には圧倒的に前回よりも強い。敵が増えれば話は変わるが、前と同じなら万が一にも負けることはないだろう。

 

「そろそろだ」

 

一夏が呟くと、3人は変身しバジンはバトルモードに変わった。本音はバジンが守ってくれている。変身してから数秒後に、店の入り口をぶち破ってショッカーの怪人が複数入ってきた。

 

「店の入り口は静かに開けろ!修理代請求するぞ」

 

1番最初に入ってきた怪人を外に蹴り飛ばして、全員外に追い出した。

 

「タイミングバッチリだな」

 

「とっとと叩き潰すとするか」

 

「バジン、本音は任せたぞ」

 

『ガッテン』

 

一夏は拳の間接を慣らし、一音と士は剣を、そしてバジンは久し振りのプラカードで戦おうとしていた。

 

「本音、お前は何があっても自分の事を守れ。もしもの時はバジンに乗ってスマートブレインに逃げろ」

 

「分かった!」

 

本音の身の安全を第1に考え、もしもの時は逃げることを約束させ、ショッカー怪人と向き合った。

 

「さてと、前の借りを返させてもらうぞ。歯、食いしばれよ?」

 

「ついでに入り口の修理代も入れておけよ」

 

「ついでのついでに、何度も時間を戻して面倒事を生み出し続けてることと、性懲りも無く蘇り続ける事もな」

 

ほとんど憂さ晴らしであるが、それぞれそれなりにショッカーに対してストレスを抱えていた様だ。それが3人に勢いを付けさせ、一気に怪人を始末した。

 

「コイツら、生命力は無駄に強いからしっかり始末しろよ」

 

「どうやってだよ!?」

 

「焼けば良いだろ?こんな風にな」

 

『KAMEN RIDOE RYUKI』

 

士はベルトにカードを入れて、赤い龍を模したライダーに変身。更にライドブッカーからもう1枚変身したライダー関連のカードを取り出した。

 

『ATTACK RIDOE STRIKE VENT』

 

右腕に龍の頭がはまったかと思うと、割れたガラスの中から赤い龍が出てきて士の後ろを飛んでいた。

 

「ハァァァァ……ハァ!」

 

右腕を突き出すと同時に、龍が強烈な火炎弾を吐き出し怪人を焼きつくした。

 

「成る程。なら俺は、こうだ!」

 

一音は近くにいた怪人にブレードを突き刺し、一気に大量のフォトンブラッドを流し込んだ。フォトンブラッドは生物にとっては毒でしかない。怪人も身体の構造は違えども生物であることに間違いはない。多少、効きが悪いかもしれないが、大量に流し込まれてしまえばそこらの生物と同様に灰になって死んでしまう。

 

「息子ながら恐ろしいな……」

 

「生命力強いって言ったのアンタだろ?まぁ俺から言わせれば、黙々とそいつらの頭を叩き潰してる親父に言われたくないんだがな」

 

一音の言う通り、一夏はグランインパクトで怪人や戦闘員の頭を的確に狙って叩き潰していた。確かに確実ではあるが、絵面は酷い。

 

「よう。さっきはよくも嫁を殺してくれたな?」

 

「ッ!?」

 

「オラァ!」

 

前回の時間で本音を殺した怪人を見付けた。殴り飛ばして離れた位置に誘導すると、全力で攻撃を叩き込み始めた。一撃一撃に恨みと怒りを込めて確実に入れていく。当然相手も反撃しようとするのだが、その隙すら与えない程の連撃を与えていった。

 

「悪いが俺は焼く事はできないんでな。普通に終わらせてもらう!」

 

『ready ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「ダァア!!」

 

『ウワァァァア!!!』

 

グランインパクトで上空に叩き上げ、更に落ちてきた所にポインターで拘束。クリムゾンスマッシュを叩き込んで灰に変えた。

 

「今度こそちゃんと死んだな」

 

完全に灰になったことを確認すると、自分の店まで戻っていった。

 

『FINAL ATTACK RIDOE RYURYURYU RYUKI』

 

『FINAL VENT』

 

「チェック」

 

『Exceed Charge』

 

「ハァァァァ……ハァァア!!!」

 

「オリャアアアア!!!」

 

ちょうど終わっていた様だ。本音も無事で敵も全て燃やされたか灰になっているかだ。

 

「よう。そっちはどうだ?」

 

「問題ない。こっちも終わったみたいだな」

 

「あぁ。さてと、明日からどうなることやら」

 

不確定な未来へと進んでいく事になったが、今のメンバーなら問題ないかもしれない。そう思える程に今回は順調に終った。




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