ISと無気力な救世主 作:憲彦
リメイク版では質問回答コーナーをまたやるつもりです。活動報告を用意したのでそこにご記入ください!
前置きはこれくらいにして、はい本編ゴー
変わった未来
「じゃあな」
そう言って、1人の救世主はこの世を去っていった。守るものを全て守り、守った者達に後の全てを託した。そして仲間達もそれを受け入れ、前に進んでいる。筈だった。
「あれ?俺は……」
「なにやってんだ?なま物あるんだぞ。早くしないと傷むだろ」
「一音?」
「自分の息子の顔間違えるなよ……何年父親やってんだアンタは?」
「なま物……あ、仕入れしてたのか?」
「しっかりしろよ……ボケるにはまだ早いぞ」
手に持っている荷物。歩いているルート。一音との会話。反応が遅れていたが漸く状況を理解できた。いくつか疑問に思っている事があるが、それを振り払って店へと急いで帰っていく。
「おかえりなさ~い。随分買い込んできたね~」
「本音……」
「ん?どうしたの?」
「……いや。随分と懐かしく感じだだけだ」
「お?そんなに私に会いたかったのかな~?」
「なに息子の前で恥ずかしげもなくイチャ付いてんだよ。いくつだアンタら……」
「いやそうじゃなくて……なんか妙だな。慣れないって言うか違うって言うか。兎に角なんか変なんだよ」
「疲れてんだろ。繁忙期なんだからよ。老いが出始めてんだからよ。今日はとっとと休むんだな」
「お前、さっきから失礼だな」
何かが違う。そんな疑問を抱えつつも、その日の仕事を終えて夜を迎えた。
「なぁ本音」
「な~に?」
「ISとの戦いってどうなったか覚えてるか?」
「ッ!?ねぇイッチー。もしかしてだけど、記憶がおかしいの?」
「え?」
「村上さんが言ってたんだけど、イッチーが最後に使ったファイズギアは、体に大きな負荷をかけるから何かしらの影響が出るかもしれないって……体の崩壊、著しい体力の低下、記憶の剥離……様々な事が起こるって」
(じゃあ今までのはフォトンブラッドの影響……死んだじゃなくて意識が飛んでた?いや。じゃああれ以降の記憶が欠片も無いのはおかしい……)
「ISはあの戦いの後、村上さんのお陰で私達の世界から離れて独自の世界を作ってそこで暮らしてるよ。ライダーズギアはスマートブレインの意向で完全封印。あの戦いで、私たちは平和を手に入れられたんだけど、まだ傷は深く残ってるの……覚えてない?」
「いや大丈夫だ。少し確認したくてな」
「そう。大丈夫なら良いんだけど」
自分の知らないことが本音の説明で判明した。だがそれでも疑問は尽きない。そもそもの疑問は何故織斑一夏と言う人物がまだ存在しているかだ。たしかにあの時、一夏はプロトタイプのファイズギアを使いフォトンブラッドの影響で灰になった。早い話が死んだと言うこと。なのに生存しており時間も進んでいる。本音の話を聞く限りでは、戦いの後も一夏自身普通に生活していたと言うことになるのだ。記憶の剥離。薄れていくと言っても、完全に頭の中から消え失せる筈はない。何か断片的にでも覚えている筈。まるで違う未来を進んでいる世界の中に、あの戦いで死んだ筈の自分がポンっと出された。そんな感じのする状態なのだ。
「おかしい……何かがおかしい。どうなってんだ?」
次の日になっても疑問が消えることはなく、自分の中にある不安は大きくなるばかり。そのせいか店の仕事が全く手に付かずミスを連発。少し休めと言われ本音と一音に店を追い出された。現在進行形でバジンに乗って走っているのだが、考えが吹っ切れる感じはしない。
「おいバジン。起きろ」
「なんだ?」
「俺って、あの戦いが終わったとき死んだんじゃないのか?」
「…………正直言って、あの時の記憶は曖昧なんだ。0の攻撃でシステムのほとんどが停止。辛うじて光景の録画はされてたが、カメラの損傷が激しくて見れたもんじゃない。あの時お前が死んだのか生きていたのかは、俺にも分からないんだよ」
「そうか……」
近くの停車位置にバジンを止めて人間の姿にして、あの時の事を聞いてみたのだが、何故か都合よく事実に辿り着けないようになっていた。結局なにも解らずじまい。完全にお手上げだ。
「俺の中にある灰になった記憶は……あの時笑って死んでいった俺の記憶は、一体なんだったんだ……」
「生きてることが不満なのか?」
「いや。むしろ嬉しいさ。アイツらとまた一緒にいられるんだ。嬉しくない筈がない。でも……」
「素直に受け入れられないか?」
「あぁ。よく分かったな」
「何年一緒にいると思ってんだ。お前の考えなんて多少は分かるよ」
「あの時、俺は満足していた。大切なもん全部守って、全部託して、生きることを手放した筈だった。そんな俺がまた生きている。この現実が受け止めきれないんだ」
守りたいものは守った。託せることは託した。そして生きることを手放した。本来なら自分はここにいる筈がない。満足して死んでいったにも関わらず、この世界で生きていると言うことが、どうにも呑み込めきれないのだ。まるで、生きていることが罪であるようにも思えてしまう。
「ま、悲観的になることはないだろ。お前だって生きているのが嫌って訳じゃない。もう一度人生を楽しめると思えば良いだろ。もうISも仮面ライダーもない。平和なこの世界で」
「だと良いけどな」
その後も相棒であるバジンと数分間他愛もない話を続けた。虚とバジンの最近や一音の事。草加と千冬、木場に真耶。村上など、自分達の周りにいる人間の事をお互いに話し合っていた。なんにもない時間がただ過ぎていく。相手の言葉に笑い、自分の言葉で相手を笑わせる。これが平和だと感じたその時だった。
『キャャャャャャャャッ!!!!』
「「ッ!?」」
そう遠くない場所から沢山の悲鳴が聞こえてきた。そして爆発音も混じっている。悲鳴の感じからイベントやそれの類では無いことは容易に分かった。急いでバジンをバイクにしてその場所まで走っていく。
「なんだよ……これ」
一夏とバジンが目にした光景は、余りにも酷いものだった。軽く数えて数百は人が居たと思われる場所がまるで爆心地の様に破壊され、地面は抉れ建物は崩壊。露店の看板や机は燃えている。そしてそこには、骸骨の柄が入った黒いタイツ姿の人型の何かが刃物の様な何かを持って彷徨いていた。
『battle mode』
『どう考えても敵はアイツらだな』
「あぁ。行くぞ!」
バジンは兎も角、一夏にはベルトがない。だがこの状況を見過ごせるほど賢い訳ではない為、生身の状態でバジンと一緒に敵と思われる群衆に突っ込んでいった。
「デヤァ!ハァ!オラァ!」
この場所を破壊した割りには、数だけで大した強さがあるわけではない。しかしそれでも生身では手に余る存在のようで、バジンはサクサク倒していくが一夏は若干苦戦ぎみであった。
「ハァッ!かってぇな!ウワッ!?」
『イーッ!』
「ッ!?クッ!」
流石に限界が来た。生身で苦戦する相手を何十体もしていたのだ。当然長く持つ筈もなく、倒れてしまう。そして1人の敵がナイフを一夏に降り下ろした。もうダメだと感じて目を瞑る。
「ハァッ!!」
「ん?」
目を開けると、見慣れたマゼンタカラーをした仮面ライダーが一夏を助けてくれた。そしてバジンの方にもシアンカラーのライダーが援護に入っている。
「どの世界でも懲りずに蘇りやがって。いい加減お前らの顔には飽きてきたぜ」
「士……」
「一夏、今は逃げるぞ。海東!」
「あぁ!」
『ATTACK RIDOE INVISIBLE』
2人の助けで、一夏とバジンはこの場所から逃げ大事に至らずに済んだ。しかし、この異変がどこまで影響を及ぼすのか、それはまだ定かではない。
本来は7話とか8話でとっとと終らせるつもりだったのに……まぁ良いや
次回もお楽しみに!感想や評価、お気に入り登録もよろしくお願いします!!
全部があげ終わったらリメイク書きます。
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