ISと無気力な救世主 作:憲彦
あ、昨日の内に章管理と並び替えを使って、色々と整理しました。各長編ごとに並び替えてみました。話数少ないのもあるけどね笑
皆さんの好きな長編は何ですか?格付けでもしましょうかね笑
生徒会。それは大抵どの中学校や高校にも存在する、生徒達で組織された部門。主な仕事は、生徒集会の準備や当日の司会進行、後は生徒達の悩みを解決するなど多岐にわたる。そして生徒達のリーダーとして学校を引っ張っていく存在。それが生徒会長だ。主に2年生が主軸となるときに選挙によって、信頼度の高い人が会長になるのだが、この学園では少し違うようだ。
「ねぇいっち~。生徒会長になる気は無い?」
「あ?何で?」
「いやちょっと気になって~」
「なるわけねーだろ、そんな面倒なもんによ。そもそも立候補して選挙に出るのが面倒だし、まだ入れ換えの時期じゃねーだろ」
「ん~。この学園、少し変わっててね。学園では1番強い人が生徒会長やることになってるんだよ」
「あそう。俺には関係ねーけどな」
な。変わってるだろ?学園で1番強いヤツって、初代ブリュンヒルデの織斑千冬だろ。学園全体となるとな。そもそも全校でトーナメントを行った訳でもないのに、誰が1番なんか判断できないだろ。
「まぁそうなんだけど……現生徒会長がね……これをいっち~に渡せって」
そう言って本音が差し出した紙。手紙のようだな。筆で「果たし状」と書かれている。……何時代だよ。また面倒事を。と言う顔をして手紙を受け取った。
「あ~……織斑一夏、生徒会長の座を懸けて、今日から3日後の12月15日午後4時より第1アリーナにて試合を行う。必ず来るべし。現生徒会長、更識楯無……誰だこれ?」
「今の生徒会長だよ。いっち~も会ってるんじゃないかな?ほら。この人だよ」
「ウワァ~……よりによってこの変態百足女が生徒会長かよ……何でこんなのが生徒会長できんだよ……」
学園最強(笑)だからだろう。強ければ誰でも生徒会長になれる。それがこの学園のルールだからな。
「適当にやって適当に負けるか」
「多分認めないと思うよ?それに、個人的にはいっち~に負けて欲しくないし……」
「俺も負けるのは嫌だが……面倒だし出たくねーな」
面倒臭きことこの上無し。と言う顔をしている。マジで出ないかもしれないな。
「お前ら席に着け~。あと織斑。今月の15日に試合が入ってるから、サボるなよ」
「それ従う必要あるのか?たかが生徒会長からの果たし状。これに拘束力があるとは思えないが。それとも、この学園の生徒会長にはアホみたいに強い権限でもあるのか?」
「その通りだ。下手すれば新米の教師よりも強い権限を持っている」
「イカれてんな。この学園」
「同感だ。まぁ入ってしまった物は仕方無い。コンビニに行く感覚で勝利でも掴んでこい」
どんな感覚で掴ませようとしてんだよ?コンビニ感覚は無理があるぞ。まぁ、退路を絶たれてしまった一夏は、渋々試合をすることに。だが、このあと千冬に「1年生の面子がかかっている。負けることは認めんぞ」と言われてしまい、適当に戦い適当に負ける。と言うことが出来なくなってしまった。
「アァァァァ……何でこんなことに……」
午前の授業が終わり、昼食をとるために食堂へ来ている。だが、机に突っ伏して唸っていた。頼んだうどんが隣に置いてあるが、汁が少なくなっており、うどんなのに伸びきっている。
「ん~。私もカイチョー止めたんだけどね~。全く聞く耳を持たなくて」
「仕方ねー。出るしかねーか」
そう言って、伸びきっているうどんに手を出す。汁が無いため啜りにくい。が、自分のせいだから文句は言えない。大人しく食べるしかない。
「取り敢えず、しばらくはその女の戦い方や専用機の情報を集めておくか……」
その件に関しては、既に千冬が動いている。試合データや専用機の情報等を、現在USBメモリにまとめてくれている。
「あ、でもいっち~勝ったら生徒会長になっちゃうね」
「……まずはいらん権限を全て捨てて、通常の学校と同じ様に選挙で選抜されるようにして、次の生徒会長が決まるまでの間は俺がやっとく」
普通に仕事をする気の様だ。まぁ性格やそれまでの過程はどうであれ、一夏なら問題なく仕事をこなしてくれるだろう。
放課後。一夏は整備室へと向かった。ファイズギアとファイズブラスターをしばらく使ってなかったからな。整備をしようと思ったのだろう。目の前に作りかけのISみたいな物があったが、自分には関係無いので無視していた。
「ん?……更識楯無……何でここにいるんだ?」
本音に見せてもらった写真とよく似た人物が整備室にいた。コイツのお陰で面倒事に巻き込まれた。そう思っているため、警戒心剥き出しだ。
「ち、違う。私は更識簪。君がさっき言ってた人の妹」
「あ?そうか。そいつは悪かったな」
この短い会話を終わらせると、一夏はすぐにファイズギアとファイズブラスターの点検に入った。まぁ使ってないとは言え、完全に壊れているところは無いし、ガタが来ている所もない。点検その物は簡単に終わる。1時間程の点検をすると、全部しまって整備室から出ていった。
「簪とか言ったな。お前はまだ残るのか?」
「え?うん。電気は点けてて良いよ」
「そうか。じゃあな」
そう言って、一夏は整備室から出ていき、自室に直行した。
「あ、早かったね。点検終わったの?」
「あぁ。特に壊れてるところは無かったからな。メンテの必要もなかった。それより、整備室にあの女の妹がいたぞ」
「え?かんちゃん?」
「いや渾名は知らねーよ。まぁ簪って名前だからそうなんしゃねーのか」
「やっぱり。整備室ってことは、まだ専用機が完成してないのかな?」
「専用機?企業が作るもんじゃねーのかよ。それ」
「最初は倉持って企業が作ってたんだけど、いっち~が見付かったときに、いっち~の専用機作るってなって、仕事放棄しちゃったんだよ」
「成る程」
それだけ聞いて、一夏は冷蔵庫から材料を取り出して夕食を作り始める。話を聞いたからと言って何か協力出来ると言う訳ではないからな。
「本音。作りすぎたから整備室のヤツに持っていってくれ」
「お?りょ~か~い!!」
料理の入ったタッパーを受け取ると、スゴいスピードで整備室に走っていった。
「かんちゃ~ん!いっち~からの差し入れだよ~!!」
「本音?」
「はいこれ!ちゃんと届けたからね!しっかり食べるんだよ~!!」
届けると、急いで整備室から出ていった。簪は少し困惑していたが、タッパーを開けて中に入っている物を食べた。肉じゃがだな。ご丁寧にご飯まで付いている。
「美味しい……」
うん。将来お食事処織斑のお得意様確定だな。
さてさて、今日が15日。つまり試合当日だ。なに?端折り過ぎだって?気にするな。いつものことだから。第1アリーナには、既にファイズになった一夏と喧嘩を売ってきた楯無がいる。
「俺の大事な放課後を潰しやがって」
「ゴメンね~。でも、私は生徒会長の座を奪われる訳には行かないの。分かってくれる?」
「んなもんになるために、態々お前に試合挑む訳ねーだろ。興味もねーのによ」
「それでもよ。生徒会長は学園最強が勤めるもの。貴方はあの福音を倒した人。分かるでしょ?戦う理由」
つまり、現在自分が学園最強とは言いにくい。と言うことだ。だから実力者であり仮面ライダーである一夏をここで倒し、自分が学園最強と知らしめる為。と言うことだ。完全に巻き込まれたな、一夏は。不運な事に変化は無かったようだ。
「なんでそんな忘れ去られた設定思い出したんだよ……」
思い出したもんは仕方無いだろ。さてさて、完全に楯無の理由で戦わされる一夏だが、ここまで来てガタガタ言うわけには行かないの。何故なら、もう試合開始だからだ。
『試合開始!!』
「ハァァア!!」
ランスを構えて瞬間加速で突っ込んできた。一夏は特に避けるような素振りはせずに、攻撃を受ける。当然吹っ飛ばされてしまうわけだが、特にダメージを負ったような感じはなく、無言で立ち上がった。
「は!?何で!?」
「何でだろうな?俺も驚きだよ」
「くっ!じゃあこれなら!!」
蛇腹剣だ。それを一夏に向かって振るってきた。
『Redaey』
焦らずにミッションメモリーをバジンから外しておいたハンドルに差してファイズエッジを構える。自分に向かってくるダメージを負いそうな攻撃だけを的確にいなしていく。
「……帰っていいか?」
「なっ!?ダメに決まってるでしょ!!そんな実力を見せられたら、ますますこのまま帰すわけには行かないわ!!」
ランスに付いている4門のガトリングを撃ち、ダメージを少しでも与えようとするが、素直に攻撃を受けるわけはなく、走りながら全部避ける。一夏はそろそろ面倒だと思い、一気に楯無に近付き攻撃を入れた。だが、
「?分身?」
殴るとそれは水に変わっていった。どうやら水で作られた精巧な分身の様だ。質量も持っているため、本体を当てるのは難しいだろうな。周りにはそれが大量にいるから。
「マジで面倒だな」
『Complete』
『startup』
アクセルフォームになって、一気に蹴散らしていく。だがどれも本体ではなく、攻撃を入れればただの水に変わっていってしまう。
「なら!」
壁伝いに天井まで走り、ポインターにメモリーをセット。一気に全員に貼り付けて、上空から全て消し飛ばした。
「いない?どう言う事だ?」
楯無の専用機のミステリアス・レイディの攻撃によって、アリーナの地面は結構抉られてる。身を隠そうと思えばいつでも隠せる状態だ。多分どこかに隠れているのだろう。
(全部吹っ飛ばすか?いや。そんなことしたら客席まで被害が行くな。1ヵ所ずつ壊すか?それも面倒だ……)
と言うことで、一夏はファイズブラスターの出力を調整し、周りの瓦礫だけを壊すようにした。
『103 ENTER』
『Blaster Mode』
『ENTER』
『Exceed Charge』
「オラァ!!」
ファイズブラスターから強力なフォトンブラッドの光弾を放ち、隠れられそうな場所を1ヶ所ずつ壊していった。
「キャアァァァ!!」
「見付けた。どうする?降参するか?」
「するわけ、無いでしょ!」
「ウオッ!?」
手を一夏に向けて伸ばすと、何故か周りの空間に沈んで行った。どうやら拘束されたようだ。しかもレーゲンのAICよりも力が強く、このままでは抜けられそうに無い。
「こんなのを隠し持ってたとはな」
「切り札は最後までって言うでしょ?それよりも、何かジメジメしない?」
「ッ!?」
そう言われた瞬間、辺りが大爆発に包まれた。楯無は勝利を確信し、観客は一夏の敗北を確信していた。だが、いつになっても試合終了のブザーが鳴らない。
「なんで?ん?っ!?いない……!?」
爆発で舞い上がった埃が晴れると、先程まで一夏を拘束していた場所には誰も居なかったのだ。観客席もざわつき、楯無もかなり焦っている。
「どこ見てんだ?」
「ナッ!?いつの間に!!?」
一夏の声は上から聞こえてきた。飛んで拘束から抜け出して、爆発を回避したようだ。あの一瞬でファイズブラスターになれたようだ。
「流石に少し危なかったな。でも、これで終わりだ」
『5532 ENTER』
『Exceed Charge』
「ディヤァァア!!!」
「ウワァァァァ!!」
『ミステリアス・レイディ、シールドエネルギー0。よって勝者、織斑一夏!』
勝ってしまった。これで一夏は正式に生徒会長に就任したわけだが、まず最初に彼は生徒会に与えられた無駄に強力な権限を全て学園に返上した。そして校則に『生徒会長は選挙によって選ばれた者が勤める』と書き出した。今期は仕方無いため一夏が勤めるが、来期からは立候補者が選挙を行ない選ばれることになった。
「うぅぅ~……何で生徒会長じゃなくなった私が書類整理してるのよ~!!」
「黙って仕事しろ。お前が放置して残してた書類だ。お前の仕事はお前がやれ」
と言い残し、生徒会室から出ていった。監視?鎖と南京錠でガチガチに椅子に拘束されて、専用機も取り上げられている状態だ。ピッキングに使えそうな道具も近くには置いていない。抜け出せるわけがない。と言うか抜け出した瞬間にブリュンヒルデが出動するため、逃げ出すのは不可能だ。
「織斑さん。この度はありがとうございました」
「気にすんな。自分の仕事をやらせてるだけだ」
まぁけじめは大事だからな。散々溜め込んだ仕事を処理させるのが、
まさか長編調整とかに1日使うとは思わなかった笑
次回もお楽しみに!感想と評価、その他作品もよろしくお願いします!!